友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

よみがえる青春時代

2024年07月13日 18時18分20秒 | Weblog

 小牧市立図書館で、はからずも目にした本を読むにつれて、青春時代がよみがえってきた。本の題名は『「恋と革命」の死 岸上大作』で、著者は福島泰樹さん、出版社は晧星社である。私は、岸上大作も福島泰樹も晧星社も知らなかった。

 岸上大作は昭和14年生まれの歌人で、昭和35年12月5日「午前2時30分、服毒。すぐ意識がなくなるかとおもったら、なかなか。(略)散らばっていた薬を飲む。現在2時37分。顔にレーンコートでかくす。電気を消して真暗闇の中で書いている。デアラメダ!」と日記に書いて死んでしまった。

 なぜ、自殺したのか、さっぱり分からない。彼が小学校へ入学した年、父親は戦地から帰国したが、マラリアで戦病死している。26歳の母と4歳の妹それに、父の父親である66歳の祖父の3人暮らしとなり、生活は厳しく、祖父と母との間は険悪だったようだ。

 家族のために身を削って働く祖父と母、しかし母に好きな男ができ、家庭の関係はいっそう地獄の様になってしまう。それが嫌でなのか分からないが、彼は東京の大学へ進学する。貧しい母子家庭なのにと思ったが、兵庫県の制度で奨学金を得ることが出来たのだ。

 大学は早稲田大学が第一志望だったのに、国学院大学の文学部へ入学する。理由は分からないが、お金の問題が大きかったのかも知れない。彼は小学校の時から日記を書いていて、中学生になると世界の動きや政治にも関心を持つようになる。学級委員長や生徒会書記を務め、「生徒会報」を発行する。

 昭和30年、福崎高校へ入学すると、小説を書き、作品を丹羽文雄に送ったりしている。クラブ活動は文芸部に所属するが、一方で窪田章一郎主宰の短歌結社「まひる野」に入会する。ロシア文学や哲学書そして石川啄木を読み漁る。文芸部の仲間4人で「福崎高校にルネッサンスを」と活動する。

 私とは5歳しか違わないから、あの時代がよく分かる。私も高校生になり、大人に仲間入りした気でいた。新聞部に入ったが友だちが書いた記事で校長に叱られ、それなら自分たちの新聞を作ろうとカンパを集めて発行した。新聞部だったのに、隣りの文芸部の友だちに頼まれて、詩や紀行文なども書いた。

 『「恋と革命」の死 岸上大作』を読んでいると、そんな昔を思い出す。


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