夕方、長女のダンナと小5の孫娘がやって来る。カミさんは「何を食べさせてあげようか」と、思い悩みながらも、なぜかウキウキしている。私も何度か、カミさんの実家へ娘たちを迎えて行っては、お母さんの手料理を食べさせてもらった。
家庭を持ったら、家族でワイワイ言いながら食事をしよう、家族そろって旅行にも行こう、そんな夢を描いていた。私もカミさんも教師だったから、給料は少なかったが夏休み・冬休みがあったので、家族旅行に出かけることは出来た。
昨日、小5の孫娘に会った。目の周りがただれていて、鼻に血が貯まっていた。「どうしたの?」と長女に聞くと、「アトピーが酷いのよ」と言う。私も長女もそしてダンナもアレルギー体質なので、受け継いでしまったのだろう。
「ちっとも言うことを聞かない」とダンナは零す。そこで、思い出した。私の娘たちも年齢が増すにつれ、私とは口を利かなくなった。娘たちの部屋にノックせずに入ったら長女に、「女の子の部屋に勝手に入らないで」と凄い剣幕で怒られた。
女の子には、いや、男の子にも、親への反抗期がある。しかし、ある時期を過ぎると、仲良く話ができるようになる。きっと、対等になったと思うからだろう。私自身は親への反抗は無かったが、大人への不信感が強かった。それは既成のものとか、権威に対しての反抗だった。
戦後教育を受けて育った世代は、飢えと貧しさの無い社会を目指した。物質的には恵まれた社会になったのに、何かが違う。労働運動も学生運動も目にしなくなった。怒りは消えてしまったのだろうか。「不公正」「理不尽」に怒らないと、沈んでいく気がする。