朝から雨降りなので、甥っ子たちに手紙を書く。墓石は無くしてしまったので寺に集まる意味が無くなったが、親族の集いは続けて行きたいので、お盆の時期に関係なくみんなの都合の良い日にお店を予約して欲しいと伝えた。毎年、1月3日に我が家で行ってきた集いは、私もカミさんも年齢的にしんどくなったので「止めたい」と話したが、お店での集いは続けていこうと思う。それも私が生きている間である。
アジサイが雨に濡れていた。ケイタイで撮ってみたがアジサイの花の色がイマイチだ。例年もっと青っぽい色なのに今年は紫が強い。昨年秋に、鉢の土を入れ替えたせいなのだろう。大学の卒論のテーマが「アジサイの花の色」だった友人がいるが、土によって色が変わるから、アジサイは「移り気」などと言われている。きっと不本意なことだろう。こんなに清楚に咲く花をどうして浮気者のように呼ぶのだろう。
私はアナキーストの大杉栄や詩人の金子光晴に興味がある。大杉の家も金子の家も津島市辺りにあり、大杉は名古屋の陸軍幼年学校に通っている。末は父のように軍人となり、「大将になる」と言っていたようだが、教官の言うことは聞かない「不良」だった。語学に長けていて、父の勤務で東京へ移るとフランス語やエスペラント語を学び、陸軍のフランス語教官になっている。その一方で社会主義に傾倒していくから面白い。
年齢的には大杉の1つ上、ダダイストの辻潤は落ちぶれた士族の息子で、人前に出ることが苦手だったが語学に長けている点で共通している。辻が教えていた学校に、九州からやってきた多分勝気な女生徒がいた。学校を卒業したら結婚する約束だったが、8日で家を飛び出し、教師だった辻と同棲する。この女性が伊藤野枝で、辻との間にふたりの子をもうけるが、辻家にやってきた大杉と恋に落ちる。
明治末から大正を生きた人々はたくましい。海外にも出かけるし、ものを書き、出版し、結社を作り上げ、社会と闘う。大杉と野枝は虐殺されるが、野枝に捨てられた辻は放浪者となり、逆に詩人としての地位を得ていく。金子と野枝は同じ明治28年生まれ。興味深い人たちである。