◉ 麝香連理草 (じゃこうれんりそう)・麝香豌豆 (じゃこうえんどう)・におい豌豆 (においえんどう)
洋酒瓶にスヰートピーさし誕生日 ・・・・・ 行広清美 [若葉]
なぐさみの言葉につまるスイトピー ・・・・・ 小野寺信江
スイトピー彩ふるへつつ束解かれ ・・・・・ 佐藤松枝
葉や花は豌豆に似ています。
緑色の細い花茎に、
甘い香りを持つ大きくかろやかな蝶形の花を数個つけます。
柔らかで明るくやさしい感じが好まれ、
色・香り・質感など、どれを取っても春を感じます。
英名のスイートピーは、「甘い香気の(花の)豆」という意味があります。
園芸品種が多く、色彩が豊富で白・淡紅・紅・紫・青など色々あり、
多くは切り花用に栽培され、鉢植えや花壇にも植えられます。
スヰートピーを詠んだ例句は
江戸時代・明治時代にも見当たりません。
大正末期以降になってから
富安風生の
「眉描いて女給等貧しスヰートピー」や
岸風三桜の
「スヰートピー指先をもて愛さるる」
などの句が歳時記に載っています。
[ マメ科レンリソウ属の蔓性観賞用一年草、イタリア原産 : 毒 ]
手に軽く握りスヰートピー渡す ・・・・・ みなみ
早春の花屋の店先に並んでいる
小さな束のスイートピーを見かけると
つい買ってしまいます。
スイートピー
シチリア島の原産で、
19世紀後半にイギリスで品種改良が進みました。
日本には幕末に渡来しました。
草丈は、1~2m。
巻きひげを他のものにからませながらよじ登ります。
全株に白い粗毛が生えています。
葉柄は、太く短く、両側に翼があり、基部には狭い耳状の托葉があります。
葉は、まばらに互生し、羽状複葉ですが、
小葉は最下部の1対だけ残して他の2~3対は巻きひげに変化し、
卵状楕円形で無柄、長さ約3cm、斜めに立ち上がり、
表面が青緑色で裏面が粉白色を帯びています。
花期は、5月。
葉腋から20cmほどの花茎を出し、
上部に長さ2~3cm、芳香のある大きな蝶形の花を2~4輪付けます。
花弁は5枚で、幅が広く大きい旗弁(きべん)1枚・内側には左右に広がる翼弁(よくべん)2枚・
更にその内側で雌しべ・雄しべを包む竜骨弁(りゅうこつべん)2枚です。
ガクは鐘形で先端が5裂します。
園芸品種が多く、花色は白・淡紅・紅・紫・青など豊富です。
果実は、豆果で表面に産毛があり、莢の中に種子が入っています。
開花時期によって、
冬咲系・春咲系・夏咲系に分けられ、
切り花用には冬咲系が温室栽培され、
露地用には春咲系・夏咲系のタネを秋に蒔き翌春から初夏の花を観賞します。
また蔓にならない矮性系のものは、
鉢植えや花壇に向くと言われます。
名は、英名の「甘い香気の豆」に由来して付いたそうです。
* レンリソウ(連理草)属の種子は食するとラチリズム(マメ科の植物による神経障害)の兆候が現れ、
下半身麻痺などの症状がみられます。
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