◉ 仙蓼 (せんりょう)・草珊瑚 (くささんご)・実千両 (みせんりょう)
千両や大墨にぎる指の節 ・・・・・ 長谷川かな女
名は千両といふ明るくて寂しくて ・・・・・ 有働 亨
山より日ほとばしりきぬ実千両 ・・・・・ 永田耕一郎
実の付いた千両のことをいいます。
小さいつぶらな赤い実がかたまって付き、
鮮緑色のつややかな葉の上に美しく輝き、
冬の庭をひきたてます。
縁起物に相応しい風情があり、
正月用の重要な花材(切花)や鉢植えとして栽培れます。
古くは生け花で「仙蓼果・仙蓼花」と記され、
江戸時代初期以降は「千両」という表記がひろまりました。
千両を詠んだ江戸時代の例句は少なく、
麦雨の
「せんれうや猟師わけ入(る)山の口」が秋季として一句載っています。
冬季としての句は明治時代にも見当たりません。
昭和になってから
長谷川かな女の
「千両や大墨にぎる指の節」や
今井つる女の
「千両の実をこぼしたる青畳」
石田破郷の
「いくたび病みいくたび癒えき実千両」などの
句が歳時記に載っています。
変種の黄実の千両は果実が黄色く熟します。
[ センリョウ科センリョウ属の常緑小低木 ]
千両のみな啄まれ寒にいる ・・・・・ みなみ
センリョウ (千両)
日本では、
本州中部以西~沖縄の
暖地の常緑樹林下に自生します。
高さは、50~100cm。
茎は、緑色でふくれた節があり、
枝は、少し分岐し節が隆起します。
葉は、長楕円形で光沢があり、
先が尖って縁に鋸歯を持ち、対生します。
花期は、7~8月。
茎の先に、黄緑色の細かい花を
短い穂状花序に付けます。
花被がなく、雄しべ・雌しべともに1個。
果期は10~1月、
果実は径6㎜球形の液果で、
10月頃から赤く熟し、翌年2月頃まで見られます。
変種のキミノセンリョウ(黄実の千両)は果実が黄色く熟します。
観賞用として庭園に植えられ、
また名前がめでたいので
正月の縁起物とされ、生花として用いられます。
名はヤブコウジ科の万両に対して付いたそうです。