◉ 皐月躑躅 (さつきつつじ)
庭石を抱てさつきの盛りかな ・・・・・ 嘯山 [葎亭句集]
満開のさつき水面に照るごとし ・・・・・ 杉田久女 [杉田久女句集]
さつき咲くしゅんしゅんしゅんと湯が沸いて ・・・・・ 大井雅人
江戸時代から栽培されてきた日本原産の花木で、
1000種以上の園芸品種があるそうです。
庭木としては、樹姿に優れ単植・群植によく、
丈夫で刈り込みに強く扱いやすいので、
公園などにも広く利用されています。
また花色や形が変化に富み、
盆栽に仕立てられた見事な皐月には
大勢の愛好家がいます。
杜鵑 (ほととぎす) の鳴く頃に咲くので
杜鵑花(さつき)と書くそうです。
[ ツツジ科ツツジ属の常緑低木 ]
上野不忍池畔「さつきフェスティバル」では
銘花・銘木などが多数展示され、
とても賑わっていました。
父の忌や色とりどりのさつき咲き ・・・・・・ みなみ
サツキツツジ ( 皐月躑躅 )
サツキツツジは日本固有の花木です。
本州福島県以西~九州にかけて、
山地の渓流に沿った岩上などに自生します。
樹高は、15~100cm。
葉は、枝の先に集まって付き、
線状披針型で両端が尖り、質は厚く固く、小さくて全縁、
褐色の伏毛があり、互生します。
花期は、5~6月。
枝先に紅紫色の花を付け、
花の下部には早落性の広い鱗片があります。
花冠は大きく、広い漏斗形で5裂し、
上面に濃い紅紫色の斑点があります。
雄しべは5本、雌しべ1本、葯は暗紫色です。
果実は、さく果で毛があります。
江戸時代から栽培されて品種が多く、
園芸品種には、花色が深紅~白・咲き分け・絞りなどがあり、
八重咲き種もあります。
刈り込みに強いので盆栽や生け垣に使われます。
庭木や生け垣・道路の植え込みなどには、
通常、原種に近い「高砂」「大盃」等の品種が多く用いられます。
名は、旧暦の5月(皐月)の頃、
一斉に咲き揃うところから付いたそうです。
近縁種のマルバサツキ(丸葉皐月)は、
九州南部の島々の岩地に自生します。
樹高は、50~100cm。
葉は広楕円形または倒卵形でサツキより幅広く丸みがあり、
両面に伏毛があります。
花期は、5~6月。
枝先に、径4~5cm、広い漏斗形で5裂、
普通紅紫色の花を1~2個付けます。
雄しべは6~10本でサツキより多く、
葯はサツキより薄い色をしています。
また白色・淡紅色・咲き分けなどの
多くの園芸品種があります。