michi のひとりごと

日々のつぶやき、あれこれ。

老々介護で 100歳になった母を見送りました。
こちらは重度の難聴。

『いのちのリレー』広がってほしい~!

2012-10-11 15:52:33 | 社会・共生

先日、図書館で、

前から読みたかった本に出逢ったんです。

アハメドくんの いのちのリレー』   鎌田 實 著

このお話は、いつだったか鎌田さんの文章で知った。この本のことも。

ページをめくるごとに大きな絵が現われてとても読みやすく、著者は「絵本」とおっしゃっている。

でも、中身はズシリと重く、詰まっています。

想像していた以上に素晴らしい本でした。

子どもから大人まで。英語がついているので外国の方々にも読んで戴きたいです。

 

 前半の要旨は、

   ――――

アハメド君は、難民キャンプで生まれたパレスチナ人。

2005年、おまつりの日に、イスラエル兵に誤射され、亡くなってしまった。まだ12才でした。

脳死となったとき、医者はイスマイル(そのお父さん)さんに、そっと臓器提供の相談をすると、イスマイル父さんは、周りの人と相談し、結局同意することにしたのです。

提供を受けた6人(皆 イスラエル人)のうち、50代の女性は亡くなったけれど、5人の子ども達は生きている。笑顔を取り戻し、ふつうの暮らしを楽しめるようになった。

鎌田さんは新聞記事で知って強く心打たれ、そのアハメド君のお父さんに是非お逢いしたいと願い、ついに5年後、その夢が叶った。

 

         

 私の胸にグッときた部分を引用させてもらいます。

 

『イスマイル父さんは、悲しみを横に置いた。

憎しみも横に置いた。

大事なのは、病気の子どもを助けること。』

 

『渦巻く批判の嵐のなかで、イスマイルが発した言葉。

それが、ぼくが新聞で読んで胸打たれたあの言葉だった。

「臓器提供は、平和の実現を望む私たちパレスチナ人の

シグナルだと思ってほしい」

 

イスマイル父さんは言う。

「大切な人やものを奪われたとき、その相手に報復すれば

憎しみの連鎖に巻きこまれてしまう。

武器を手に戦うことばかりが、戦いではありません。

戦い方は、いろいろあるんです」』

 

『平和な明日を勝ち取るための戦いだった。

イスマイル父さんの行動は、爆弾よりはるかに大きな衝撃を

イスラエルの人々の心に与えた。

とてつもなく難しいからこそ

とてつもない力を秘めた戦いだった。』

 

(鎌田さんが、イスマイル父さんと連れだって、移植を受けたサマハちゃんという女の子の家を訪ねると、そのお母さんは、)

『ひざの上で重ねていた両手を、彼女はぎゅっと握りしめた。

「ただ、アハメドくんのご家族のこと

とくにお母さんのお気持ちを考えると心が痛みます。

さぞ、おさみしいでしょう。さぞ、おつらいでしょう。

殺されたアハメドくんの無念とご家族のつらさを

忘れないようにしています」

そのあとの長い沈黙から、言葉にならない想いが聞こえてきた。

この人は、心臓を提供した少年の母親の気持ちを

察しようとしている。

悲しみを共有しようとしている。』

 

~あとがきにかえて~より

『お母さんと一緒に絵本を読んだ子どもたちが大きくなったとき、アハメドとサマハのいのちのリレーが、悲しみや憎しみに流されないための錨になると信じたい。憎しみの連鎖から、あたたかさの連鎖へ。世界を変えていくための小さな力になると信じたい。』

 

          

 

私も、最初は、

(このお話は美しすぎる。できすぎ…。)

と思ってしまいました。

でもこれは、現実・実際にあったことなんですよね。

そう、『憎しみの連鎖』は、延々と果てしなく続いていく。

人間って、そんなに愚かな動物とは思いたくないです。

たった一つのことからでも、

『あたたかさの連鎖』に切り替えて、

心豊かな世界に、少しずつ変わっていく、

そんなキッカケになってほしいと願うばかりです。

 

 

コメント
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