みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1261「誰なの?」

2022-06-15 17:39:51 | ブログ短編

 出社(しゅっしゃ)した彼女は、自分のデスクの引き出しに見覚(みおぼ)えのない封筒(ふうとう)を見つけた。何だろうと封筒の中を見てみると、手紙(てがみ)が入っていた。読(よ)んでみると、お前の秘密(ひみつ)を知っていると書かれていた。秘密って…、彼女には思い当たることがなかった。気味(きみ)が悪(わる)くなったので、彼女はそれをごみ箱(ばこ)に放(ほう)り込んだ。
 翌日(よくじつ)、また同じ封筒が入れられていた。入っていた手紙には、彼女を名指(なざ)しして脅(おど)し文句(もんく)が書かれていた。そして、返信(へんしん)を要求(ようきゅう)する言葉(ことば)が…。彼女は思わず呟(つぶや)いた。
「廊下(ろうか)の消化器(しょうかき)の下に置(お)けって…。まったく、子供(こども)かっ…?」
 これは新手(あらて)の文通強要(ぶんつうきょうよう)なのか? 彼女は仲(なか)の良い同僚(どうりょう)に相談(そうだん)した。そして、犯人(はんにん)を捕(つか)まえようということになった。女性だけでは心配(しんぱい)なので、後輩(こうはい)の男性社員(しゃいん)にも声をかけた。
 彼女は返信にこう書いた。<あなたは誰(だれ)なんですか? 私には秘密なんてありません>
 その日の夜。ほとんどの社員は帰宅(きたく)していた。消化器は廊下の突(つ)き当たりにあって、ちょうど会議室(かいぎしつ)から見える場所(ばしょ)だ。女性二人がひそんでいると、男性社員が遅(おく)れてやってきた。
 彼女は声をひそめて、「もう、何してたの? 犯人に見つかったらどうすんのよ」
 彼はレジ袋(ぶくろ)を見せて、「お腹(なか)すくと思って…。買って来ちゃいました」
 同僚の彼女がそれに答えて、「おう…。やるじゃない。じゃあ、朝までがんばるわよ」
「ちょっと待ってよ。朝までなんて…。そこまでしなくてもいいよ」
 結局(けっきょく)、朝になっても誰(だれ)も現れなかった。でも深夜(しんや)の会食(かいしょく)は楽しいものになったようだ。
<つぶやき>犯人はいったい誰だったのか…。推理(すいり)してみませんか? 意外(いがい)な人物(じんぶつ)かもね。
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