みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1360「しずく187~援護」

2023-02-20 17:39:44 | ブログ連載~しずく

 月島(つきしま)しずくの姿(すがた)は烏山(からすやま)の登山道(とざんどう)にあった。どこへ向かっているのか、しずくには分かっているようだ。そこには、日野(ひの)あまりがいるはずだ。
 道の要所(ようしょ)には銃(じゅう)を持った男たちが見張(みは)りに立っていた。でも、なぜかしずくの姿が見えていないようだ。誰(だれ)も、彼女に気づく者はいなかった。山の中腹(ちゅうふく)ぐらいのところで、山が不自然(ふしぜん)に削(けず)られている場所(ばしょ)があった。しずくはその削られた岩肌(いわはだ)に手を触(ふ)れた。すると、一瞬(いっしゅん)、岩肌が鉄(てつ)の大きな扉(とびら)に変わった。しずくは、その扉に吸(す)い込まれるように姿を消(け)してしまった。
 ――ここは烏杜高校(からすもりこうこう)。水木涼(みずきりょう)とアキは校舎(こうしゃ)の中へ入っていた。二人は階段(かいだん)を上がり三階へ。廊下(ろうか)には誰もいない。二人は端(はし)から教室(きょうしつ)を一つずつ確認(かくにん)していく。どの教室にも異常(いじょう)はなかった。最後(さいご)に向かったのは、廊下の端にある音楽室(おんがくしつ)だ。
 涼はアキに外で待つように指示(しじ)をすると、一人で音楽室の扉を開けて入って行った。中には誰もいないようだ。涼がホッとしたとき、誰かが後から身体(からだ)に抱(だ)きついてきた。突然(とつぜん)のことに涼は為(な)す術(すべ)もなかった。そのまま押(お)された涼は窓(まど)のところに押しつけられ、身動(みうご)きができなくなった。もがく涼…。その時、急(きゅう)に相手(あいて)の力が抜(ぬ)けて、その場に倒(たお)れ込んだ。涼が振(ふ)り返ると、そこにはアキが立っていた。アキはにっこり微笑(ほほえ)んで、
「もう、油断(ゆだん)しちゃダメだよ。これは貸(か)しだからね。あとで、ちゃんと返(かえ)してもらうから」
<つぶやき>アキが能力(ちから)を使ったのかなぁ。それにしても、こいつはいったい何者なのか?
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 1359「独立の時」 | トップ | 1361「花嫁候補」 »

コメントを投稿

ブログ連載~しずく」カテゴリの最新記事