みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1379「暗号の勧め」

2023-04-19 17:33:09 | ブログ短編

 この間(あいだ)知り合ったばかりの男性から変(へん)なメールが届(とど)いた。意味不明(いみふめい)の文面(ぶんめん)で、彼女には何のことだか分からない。たまたま一緒(いっしょ)にいた友だちに見せると、その友だちは、
「ああ、なるほど…」と、理解(りかい)できたようだ。友だちは、「ちょっとかして…」スマホを手にするとあっという間(ま)に返信(へんしん)してしまった。彼女は慌(あわ)てて訊(き)いた。
「ちょっと、何してるのよ。もう…、何を送(おく)ったの?」
 彼女は送った文面を見たが、これもまったく意味不明だった。友だちは言った。
「これは、簡単(かんたん)な暗号(あんごう)よ。OKしといたからね。今夜、八時、この間(あいだ)のお店(みせ)だって」
「えっ? 何の話しよ。ぜんぜん分かんないよ」
「だから、デートのお誘(さそ)いよ。ちゃんと行きなさいよ」
「はぁ? なに勝手(かって)なことしてるのよ。そ、そんなの困(こま)るわ。あたしは、どうしたらいいのよ。まだよく知らない人だし、変なメールを送ってくる人よ。何を話したらいいの?」
「暗号でも教(おし)えてもらったら。ちょっと面白(おもしろ)いかもしれないよ」
「そ、そんなのムリだよ。もう…。ね、どうしてあなた、暗号を知ってたのよ?」
「ああ…。それは…。だって、あたしの元彼(もとかれ)だからねぇ。この暗号もあたしが教えてやったのよ。暗号を使うと、何かと便利(べんり)なのよ。他(ほか)の人にばれることもないしね」
 彼女は友だちの手をつかむと言った。「あなたも一緒に来て。あたし一人じゃ、ムリ…」
<つぶやき>どうして彼は暗号を使ったのか? まさか、この暗号って流行(はや)ってるのか…。
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