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熟年新米弁理士のひとり言

平成18年に59歳で弁理士試験に合格した企業内弁理士です。弁理士試験、企業での知的財産業務について、気軽にお話します。

国際競争力

2011-04-25 20:04:51 | Weblog
松原隆一郎さんの「日本経済論 国際競争力という幻想」を読みました。

この本は、日本経済について語るときに良く聞かれる「国際競争力」という言葉の危うさを、①経済を巡る迷走と論点、②国際関係を巡る迷走と論点、③民主党政権の迷走と論点、④安心を巡る迷走と論点、⑤公共性を巡る迷走と論点を分かり易く説明しています。

自民党政治を批判していますが、その一方、民主党政権の問題点も指摘しており、バランスのとれた議論を展開しています。

私が共感をもったのは、竹中平蔵氏への批判です。

経済学者の中谷巌氏は、小渕内閣の経済戦略会議の議長代理として規制緩和や市場開放の旗を熱心に振り、その提言は後に同会議の委員だった竹中平蔵氏に引き継がれ、小泉構造改革の一環として実現されていきました。

この中谷氏が、「資本主義はなぜ自壊したのか」を出版して、構造改革を誘導した自らの言動が誤っていたと懺悔しています。

「人と人との繋がりは希薄になり、苦しんでいる人たちに投げかけるのは自己責任などという陳腐で冷たい言葉です。更に医療は崩壊し、日本を支えてきた人々の尊厳を踏みにじる愚策、後期高齢者医療制度が始まりました。うつ病や自殺が増えて、食品偽装などで、日本の特徴だった安心と安全が脅かされる社会になってしまった。」と述べています。

ところが、竹中平蔵氏は、「日本経済が外需頼みだったせいで世界同時不況の波を被ったのでは」と聞かれて、「なぜ外需依存になったかというと、内需が伸びなくなったから構造改革が止まり、企業や国民の期待成長率が下がったからだ」と答えました。

この論法では、都合の悪いことはすべて規制や慣行、制度といった経済の構造を維持しようとする既成勢力のせい、上手くいったのは構造改革の成果となる。

つまり、どう転んでも自らの説は否定されず、責任をとることもないのです。

「日本経済が悪いのは、構造改革が不十分だから、もっと進めろ」という論法です。
何だか、新興宗教の信者が、「いくら信仰しても幸せにならない」というと、教祖が「それは信仰が足らないからだ」というのと同じですね。

竹中平蔵氏は、自責(自分の責任)で考えることがなく、常に他責(他人の責任)を主張しています。

企業では最も嫌われるタイプですね。
自責で考えなけれれば、その人の進歩はありえませんから。

大学教授であれば被害者はその大学の学生に留まっていましたが、不幸なことに大臣になったために被害者は全国民に及びました。

もう二度と政治の世界に戻って欲しくないですね。
彼をゲストに招くテレビ局もいますが、良識を疑いたくなりますね。

彼の口から「私の考えは誤っていた」という言葉を聞きたいものですが、閻魔大王の前で総括させられるまで無理でしょうか。





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コメント (1)
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