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『黒猫館の殺人』(1992、新装改訂版は2014年発行)は館シリーズの第6作で、火災で重傷を負い、記憶を失った「黒猫館」の管理人だったらしい老人・鮎田冬馬(あゆたとうま)の依頼で、推理作家・鹿谷門実(ししやかどみ)と編集者・江南孝明(かわみなみたかあき)は、東京から札幌、そして阿寒へと向かうトラベルミステリー(?)です。鮎田冬馬が火災の際に唯一持ち出していた手記の内容をもとに、内容の真偽を確かめるために黒猫館の位置や所有者などを調査するといういささか地味な設定で、『人形館の殺人』の大掛かりな仕掛けやスペクタクルなエンディングとは対照的です。
確かに黒猫館の本当の所在地は意外でしたが、手記に記されていた自殺を模した密室殺人のトリックと犯人は、「まあ、そうだろうね」という感じで想定内の結末だったので、全体的にいまいちぱっとしない印象を受けました。