徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

ドイツ情報、ヨーロッパ旅行記、書評、その他「心にうつりゆくよしなし事」

難民ヘイトイラスト~はすみとしこ(2)

2015年10月06日 | 社会

2016年1月16日アップデート:この2015年10月6日に書いた私のブログ記事がいまだに「はすみとしこ」や「難民」などのキーワードでの検索結果として読まれているようなので、ここに最新のドイツにおける難民による犯罪情報を右翼の犯罪とも併せて紹介したブログ記事へのリンクを貼っておきます:http://blog.goo.ne.jp/mikakohh/e/bfc251071e0b22bc3a56fc037e7108c0

大晦日にケルンなどで起きた女性襲撃多発事件で、この記事を読んでくださっている方の一部は「はすみとしこ氏の正しさが証明された」と思い込んでいる方もいらっしゃるかもしれません。もちろん「偽難民がいる」あるいは「難民の中にテロリストがいる」ということは事実で、それはいついかなる時も完全否定できることではありません。はすみとしこ氏の問題は感情的な思い込みによって【多い】という言葉を使うことと、下のイラストで何の個別ケースを考慮することなく、難民全てが「他人の金で好きなことをする人間」であるとレッテルを張ったことにあります。余りにも強引な「一般化」が問題なのです。その強引な一般化が差別であり、侮辱であるのです。彼女は在日外国人に対してもかなりの攻撃をし、様々なきちんと証明できないデマや出所不明の偽統計を拡散しています。それを鵜呑みにして彼女に賛同するような無批判な方は知性が足りないとしか申し上げようがありません。

私は海外にいる(元)日本人として日本から出ない日本人には体験できないようなことを体験してきています。私の周りには日本人でない人しかいないのです。だから、何か日本で事件が起きたり、日本の政治家が失言を連発したりすれば、当然「なんで日本ではあんなことを言う人が大臣(あるいは首相)になれるのか」聞かれますし、「あんなのが選ばれるなら日本の国民はよほどレベルが低いんだな」と言われることもありますし、福島原発の対処の仕方や、年間20mSVのところへ住民を帰還させようとする人権無視の政策なども含めて、「なんであんなのを野放しにしているのか?」という批判にさらされるわけです。歴史的事実を認めない日本人、無知な日本人などなど。ネガティブな日本人像はいくらでもあります。一部に変な日本人がいることや日本の政治家が相もない失言を繰り返すのも否定できない事実ですが、それを例にとって「だから日本人はみんなそう」と思われたら、あなた方はどんな気持ちがしますか? そのことをよく考えてから、はすみとしこ氏のイラストのことや難民のことを考えていただきたいものです。(以上2016年1月16日のアップデート)


はすみとしこ氏がFBで公開したイラスト「そうだ、難民しよう!」に反対する声が随分と広がっているようで、喜ばしい限りです。イラスト公開後にスタートした反対キャンペーンにも既に1万人近い賛同者が集まりました。私のブログやFBの記事から賛同して下さった方も多くいらっしゃったようで、ここにお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

カウンターイラストも出てきました。副島和芳氏の作で、やはりFB上に公開されています。副島氏のコメントは:

{はすみとしこ氏のシリアの難民少女のイラスト。ほんとに嫌悪感を感じてしまい、あの少女を想起する一切の話題を避けてきました。facebookの「はすみとしこの世界」はいったん削除されまた復活しています。どうしても看過できないコメントもいただきましたので、僕もカウンターをだします。
すごく、正攻法なものしか作れませんでした(笑)
(イラスト 工場長・コラージュ 副島和芳)}

はすみとしこ作 副島和芳作

確かに直球のカウンターですが、見ていて心の温まる気持ちの良いイラストです。
でも、この呼びかけのような積極的支援を全ての人がするべきだとは私は思いません。支援したいと思う方、そしてその余裕がある方がすればよいと私は考えています。私自身も時間的な余裕がないので、寄付金を払ったり、古着を寄付するくらいのことはしますが、それ以上に積極的な支援活動はしていません。私の難民でない人たちに対する願いは、「難民支援のために何もしなくてもいいけど、敵視もしないで欲しい」ということに尽きます。

問題イラストの元となった写真を撮ったJonathan Hyam氏もヘイトイラストにアレンジされたことを知って深い悲しみをツイッターで表明しています:
"Shocked+deeply saddened anyone would choose to use an image of an innocent child to express such perverse prejudice"(誰かが罪のない子供の写真を選んで、このような道理に反する偏見を表現に使うなんてショックでとても悲しい)。Japan Timesという英語メディアに取り上げられたので(記事はこちら)、ネット住民の一部では「国際的にも話題に!」と騒いでいるようですが、残念ながらそういうわけでもありません。むしろ話題になってない方が、日本の恥さらしにならなくて良いと思います。

Yahooニュースでは在英国際ジャーナリストの木村正人氏が【安倍首相はこの問いに「そうだ難民を受け入れよう!」と言い返せるか】という記事の中で、はすみとしこ氏のインタヴュー回答を載せ、また英国で出回っている難民に関する根拠のないデマも紹介しています。
この記事の中で根拠がない主張として削除された部分がはすみとしこの世界のFBページに公開されています:
「(削除された部分)
 そんな中、日本人の多くは戦争難民や経済難民の受け入れには反対しています。それは何故かというと、日本には既に65年も前に大量の戦争難民を受け入れており、彼らが理由で、日本に住む日本人が冷遇を受けているからです。日本には被害者のふりをして特権を得ている在日朝鮮人または在日韓国人(以下「在日」)と呼ばれる存在があります。彼らは日本人よりも優遇され、日本人が支払った税金で何不自由無い暮らしを送っています。国民たる日本人は生活保護が受けられずに多数が餓死しているにも拘わらず、在日の14%以上が生活保護を受けています。日本にいる在日韓国人は67万人とされていますが、その内 45万人は無職で、在日は生活保護が簡単に受けられますが、日本人への生活保護はハードルが高くてなかなか受けられないのが現状なのです。
(削除部分終わり)」

ネットにはこのような根拠のないデマがさももっともらしく流通しています。それを碌なチェックもせずに拡散していく一部ネットユーザーのリテラシーの低さには呆れるばかりです。統計っぽい話なら、何年度のどこでどのように取られた統計なのか、出所をきちんと確認してから拡散していただきたいものです。