徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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難民危機~西バルカン首脳会談

2015年10月26日 | 社会

止まらない難民の流入。どんどん厳しくなる西バルカンルートを通る難民の状況。過去数週間、欧州連合はこの問題に関して一致団結して措置を講じることができずに混乱がつづいてきました。10月25日(日)に、欧州委員会委員長ジャン・クロード・ユンカーの招集した西バルカン首脳会談が開催されました。

そこで合意された事項は以下の通りです(欧州委員会プレスリリース2015年10月25日より)

1.難民の保護

可及的速やかな措置が必要なのは、西バルカンルートにおいて宿泊施設を確保し、難民たちの人間的な扱いを保証することです。
各国首脳は臨時宿泊施設、食料、衣料、飲料水及び衛生設備を手配することを約束しました
各国のキャパシティーで足りない場合は、欧州災害防護手続きが講じられることとなります。
収容キャパシティは10万人分まで拡張されます。

サミット参加国はギリシャが年末までに収容キャパシティを3万人分まで拡張する計画を歓迎し、またギリシャ及び国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に対し、賃貸補助金提供や最低2万人の収容のためのホストファミリープログラムの実施の際の支援を約束しました。

UNHCRはキャパシティ拡張措置をサポートすることを約束しました。5万人分の追加キャパシティは西バルカンルート上の難民の流れのマネージメント改善とその他の措置をより計画しやすくするためのものです。

2. 難民の流れの共同マネージメント

現在の状況で秩序を取り戻す唯一の道は、コントロールを外れた難民の流れを緩慢化させることです。
各国首脳は、難民の流れに関する情報を相互交換し、他国が尻拭いをしなければならないような単独措置を控えることを確約しました。
その為、政府レベルでの情報交換のための各国コンタクト先を月曜までに確定・提出することになりました。

3. 国境マネージメント

各国首脳は国境マネージメントのための措置をよりよくコーディネートすることを確約しました。具体的には以下の2点です:

・ギリシャと旧ユーゴスラビア共和国マケドニア間の国境における協力体制強化などをはじめとする2国間国境協力措置を直ちにとること
・二国間相互援助の枠内で1週間以内に400人の警察官と必要な装備をスロベニアに提供すること

サミット参加者はアルバニア、オーストリア、ブルガリア、クロアチア、マケドニア、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、ルーマニア、セルビア、スロベニアの首脳と欧州議会議長、欧州理事会議長、欧州連合理事会の現議長国および次の議長国の代表、国連難民高等弁務官でした。
また欧州対外国境管理協力機関(Frontex)や欧州亡命支援事務所(EASO)も参加してしました。

4. 統計資料

Frontexの統計資料によると今年の4月からヨーロッパへ向かう難民数が例年平均を上回り、7月に10万人を超え、8月・9月と増え続け、10月は21日までにすでに22万人を超えています。
西バルカンルートではシリア出身者が43%、アフガニスタン出身者が26%、コソヴォ出身者が12%で、東地中海ルートではシリア出身者が65%、アフガニスタン出身者が21%を占めています。

下図の赤丸に囲まれた数字はそれぞれの国でカウントされた難民数です。セルビアの場合は不法入国・通過者はカウントされていません。ドイツの70万人という数字は難民申請を希望した人の数です。
まさに現代の民族大移動の感があります。