わくわく記録帳

一日に見聞きすることをすべて記録すると文庫24冊になるらしい。
そんなに!?
記録しておかないのはもったいないよね。

チャンスと思って進むだけ

2012-04-09 02:47:54 | カイシャ・シゴト
3ヶ月間に渡る超ビッグなお仕事、社員総会が終わりました。この準備のため、最後の2週間は毎日11時くらいまで残業、家に帰ってもしこしこせっせと資料やらムービーを作り、”越境”もせずに仕事漬けww


3部構成の社員総会は、例年、総務担当マネジャー以下4~5人のメンバーで企画、運営していたのですが、今年は、まぁ、いろいろあって、実質ひとりでやることに。
しかも、グループのガバナンス体制変更≒要は分社化なんつーせんしちぶな話をしゃちょーにしてもらうべく仕込んでいたのに、しゃちょー交代、実質の権限者である取締役のおぢが退任と、しゃんしゃん、な第一部の社員総会までプログラムの変更やら、しゃちょーへのインプットやら仕事は膨らむ膨らむ。


2部には、ゲストによる講演。これは去年、鉄道整備の矢部さんにお話しいただいたのがとてもよかったので、その後も講演型のワークショップを開催し、今回の総会も、という運びに。


3部は懇親パーティー。今までは仮装大賞やモノマネ歌合戦的なゆるいイベントだったけど、4年ぶりに全社の社員が集まる場だし、分社化によってこの体制で行う最後の総会なわけだし、“交流”をテーマにしたい、とずっと考えていた。


それぞれの部を振り返ってもきっと6000字以上のだらんだらんリフレクションになると思うので、今日は第2部について振り返っておこうと思います。


ついったーで「思いってだいじ」的な意味不明なことをたくさんつぶやいていかと思いますが、すべてはこの第2部に通じていました。


第2部の講演ゲストは、遠野を拠点に被災地復興支援活動に従事されているNPO遠野まごころネットの代表、多田一彦氏。


もともと、講演をやろう、という話は決まっていて、誰を?何を?をいくつか提案したところ、おぢBから「震災から1年経ったわけだし、そういう活動している人はどうだ?現地で活動している人のバイタリティにはすごいものがある」と提案あり。するとおぢAが「被災地ではこんなに大変な思いをしている人がたくさんいる、それから比べたらお前ら恵まれているんだからもっとしっかりしろ、といいたい」と。


むむむ?と思ったことは言うまでもない。


震災、復興支援に対して、まだまだ自分ごととして向き合えていなかったあたしにとって、この仕事はとても辛いものでした。おぢAが言うようなメッセージにはどうしても賛同できなかったし、そのことをオブラートに包んで「どういうメッセージを社員に発信すればいいのか、自分自身がピンと来ていない」と言ったらおぢBから「そこから説明しなくちゃダメか?」と呆れられたりもした。おぢBは親会社が主催するボランティアツアーに参加して、実際に被災地に行っているし、被災して復興している事業主の話を聞いているから、あたしの反応がもどかしかったんだろうと思う。


去年の鉄道整備さん、そして、そのあとお呼びした方すべてに共通しているのは、あたしが「この人の話は絶対にいい、みんなに聞かせたい!聞いたら絶対に元気になる!」という確信。
自分が誰よりもその人、その話にほれ込んでいなければお薦めなんかできない。


親会社のボランティアツアーでお世話になっているご縁で、CSR推進室にご紹介/仲介いただいて、多田さんにお話しいただくことになった。


この仕事にどう向き合っていくか、あたし自身、ものすごく葛藤した。


やれ、と言われてやっている仕事でもあり、おぢAが言うような「お前らもっとがんばれ」にはどうにも違和感があったし、どんなメッセージを伝えればいいのか、悩みに悩んだ。


自分ごとにしないとできない。
「てきとーに喋ってください」でもそこそこな場はできたんだと思う。けど、相手はガチに復興支援に関わっている人。そして、その先には被災し、そこから復興に向けて行動している人たちがたくさんいる。自分ごとにしないと、多田さんと対峙できないと思った。多田さんに対して、被災地の皆さんに対して失礼だと思った。


遠野まごころネットに個人ボランティアとして行ったのは、そんな理由からです。上司に「行ってきたい」と言ったら(ちょうど親会社のボランティアツアーで遠野にお世話になるコースがあって、よかったら参加しませんか?とおっしゃっていただいたりもした)、
「気持ちはわかるし、そうしたいと思う気持ちは至極自然だとも思う。けど、行かない/行けない自分たちだからこそ、聞ける話もあるんじゃないか?」とアドバイスしてくれた。ガチガチになっていたあたしの気持ちをほぐしてくれた、ホントありがたいです。


それでも、やっぱり行ってみないことには始まらないような気がしたから行ってきた。


そのほかにも、復興に関わる活動、イベントにはできる限り足を運んだ。いろいろ調べたりもした。まだまだ不十分だけど、そうやって自分ごとにしていくことで、多田さんの活動や思いに近づけたし、実際にお話しをお聞きして、人柄に触れて、これは絶対に聞いて欲しい!と強く強く思った。


企画者側としては思惑もたくさんあったわけです。
愚直に活動すること、ひとつひとつの作業は点でも全部繋がっている、それは仕事も一緒で、いかに線や面を意識するか、が大事。どんなことにも当事者意識を持って取り組むこと…そんなメッセージを伝えようとしていた。


今回は親会社のCSR推進室のモリトミさんに多田さんとの仲介や、当日の進行、そのほかいろいろな資料の提供などなど全面的にご協力いただいたんだけど、これがなかなかに厄介で。とーぜん、多田さんにとっては講演よりも「現地」なわけでお忙しいわけだから、打ち合わせなど事前準備は最低限の労力にしたいわけです。でもなかなかアポも取れない・・・モリトミさんにとっても、彼は復興支援担当なので仕事でもあるわけだけど、関連会社のイベントなわけで、そりゃー優先度は下がるわけです。しかも3・11もあり、みんな現地に行ったり、イベントがあったりしたわけでさらに忙しい。


実際に多田さんにお目にかかったのは、本番の10日前。ひやひやです。
そのあとは超濃縮。モリトミさんと、あーでもないこーでもないと進行の打ち合わせをしたり、ムービーを作ったり、資料やデータをもらいに行ったり。まさに夜討朝駆けな状態www


多田さんのお人柄、いろいろな場面で語られるコトバ。もう既にあたしの中では、何を話してくれても絶対に伝わる!という確信があったので、講演そのものはそんなに心配はしていなかった。


当日。
多田さんは、その時に一番話したいこと、伝えたいことをお話しになるスタイルなので、多少の脱線はあったけど、震災直後に被災地に入ったときのリアリティのあるお話しや、福島のことなど、突っ込んだ話、現地ならではのエピソードをお聞きすることができた。


多田さんのお話しで印象的だったこと。

「この状況をチャンスだと思って、進んでいくしかない。」

そんなに前向きに捉えられる人ばっかりじゃないかもしれない。それでも、こうもおっしゃっていた。「日本の課題の縮図が東北にある。」
誤解を恐れずに言うと、震災があろうとなかろうと東北も日本も瀕死なことには変わりなくて、そこからどう立ちあがるか、は手なりの生活をしている中ではなかなか踏み出せない。東北だけの、被災地だけの問題じゃない、日本全体が抱えてる問題なんだ。だから、被災地のこと、と思うのではなく、これは自分自身のことなんだ、と思って行動できるかどうか、ただそれだけなんだと思う。


そして、
「やるかやらないか、ではなく、どうやるか」
ドゥエック先生の言うところのしなやかマインドセットだ。How Can I do it? これはどんなことにも共通だと思う。


昨日のうちに集まった感想レポートは参加者の3割程度。これからメールでも受け付けるのでまだまだたくさん集まってくると思うけど、ホント、読みながら泣きそうになった。


  「何のために、誰のためにやっている活動なのかを考えることが大事
 がれき撤去が復興につながる、点の作業も線に、すべてつながっている
 これは自分たちの仕事(経理、総務などのバックオフィス業務)にも
 同じことが言えると思う」

と自分たちの仕事に投影して感想を述べていたり、


  「やるかやらないかではなく、どうやるか
 この状況をチャンスと考えて、先に進むしかない」
 
という多田さんの言葉に感動し、勇気をもらったという感想

 
  「小さなことでも何かできることはあるはず
 何か自分ができることをやろう、と思うきっかけになった」

と、“踏み出す”後押しになったという感想などなど…


えげつない言い方すると、こちらが想定していた以上に、狙っていた気付きや感想が引き出せた。
でもね、あらためて思った。もちろん、企画者としては意図はあるし、こういうメッセージを伝えたい、というのはある。そのために活動紹介のDVDを流したり、ここは絶対に喋って欲しいことを引き出す/仕向ける質問を設定したり、最後に「今わたしたちができること」と題したボランティアツアーに参加した親会社従業員の感想をコピーワークしたムービーを上映したりといろいろ仕込んだ。そこまでやる?くらいに仕込んだからこそ、だったのかもしれない。それでもまだ、あれやっておけばよかった、これも準備しておけばよかった、とおもうことはたくさんある。
けど、場は生きているし、受け取り方は人それぞれ。多田さんのお人柄、場、エピソード、そういったものがすべて融合して、いろんな気づきがそれぞれに生まれたんだと思う。


昨日、第4部(というマネジャー中心の送別懇親会があってそこにも参加していた)が終わってからカイシャに機材を持ちかえって、残務しつつ、アンケートの抜粋を添えて多田さんや関わってくださった方お礼のメールをお送りした。


今朝、多田さんからステキなお返事をいただいた。

  
  御社のチームワークの良さは、ひめさんの努力が礎となっているのだと思います。
  私のような者の話でお役に立てるかどうかと思いましたが、そのように受け取っていただき光栄に思います。


そこまでやる?と言われるくらいやってちょうどよい。特に今回のようなテーマには、そのくらいの覚悟と気概で臨んでちょうどよい。


もちろん、ネガティブな感想や反応もたくさんあった。そのこと自体はあたしを十分に凹ませる。それでも、”復興”は東北だけのことじゃない、自分ごとなんだ、とあらためて気づけたことは意味があったと思う。


集まってきた感想レポートには、何かやらなくちゃ、というコメントが非常に目立った。多田さんからのお返事を読みながら、この「何かやらなくちゃ」をそのままにしちゃいけない、と思った。昨日のできごとを「いい話が聞けた、何かやろうと思います」で終わらせちゃダメだ。何か行動しないと。ひとりではできないかもしれないけれど、図々しくあたしが声を上げることでできることもあるかもしれない。


今、いちばんだいじだと思うことを真剣にやる。それしかない。それしかできない。
コメント (1)
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