わくわく記録帳

一日に見聞きすることをすべて記録すると文庫24冊になるらしい。
そんなに!?
記録しておかないのはもったいないよね。

オンラインでは「偶然の出会い」がない⁉ 「勇気の世界史」7回+アンコール2曲が終わったよ

2020-05-26 07:09:35 | オトナの学び


ステイホームが始まったころ、フリーランス塾主宰の田中先生と塾生によるオンラインセミナー「勇気の世界史」7回シリーズも始まりました。4月25日が最終回のはずが、なんとなんとアンコールが2曲(2回)! 日経新聞の「経済で見る絵画十選」の連載最終回の翌日に、アンコール2曲目が演奏され、惜しまれつつも幕を閉じたのであります。このセミナーの内容については、孫子女子勉強会の岩山さんがめちゃくちゃ深い考察&振り返りをブログに書かれているので、そちらをお読みいただくことにして(え?)、わたしは、「勇気の世界史」を受講しながら感じたオンラインでの学びあれこれについて、ちょこっと考えたことを書き記しておこうと思う。あ、いつもながらにだらだらと思考を垂れ流すよ。


「勇気の世界史」7回+アンコール2曲、本当に楽しかったし、ものすごーーーーく学んだ気がする。
世界史は好きな科目であったけれど、受験が終わっちゃえば細かいことは覚えてなくて、旅行に行くときにちょろんと予習をするくらい。今回もきっと絵の名前や画家の名前、その時々の王様や貴族の名前は忘れちゃうんだろうなーとは思う。(おいおい)
けど、「学ぶ」ってどういうことなのか?「歴史から学ぶ」とはどういう意味があるのか?ってことは忘れないと思う。


新しいことを知るのは楽しいし、これまで点でしかなかった知識が繋がっていく感覚はぞくぞくするほどわくわくする。それだけでも十分に学びだ。
田中先生が紹介するエピソードはそれだけで「へええええー!」「そんなことが!!!」と単純におもしろく、新しいインプットである。でも、それだけではない。
例えば、なぜ中世ヨーロッパ人は海路を押さえようとしたんだろう?こんなに回り道なのに?陸路の方が早くね???という純粋な疑問を持つ。フツウだったら、そうか海路を制圧することがヨーロッパの覇権を握ることなのね、と事実を覚えて満足しちゃう。ここが違う。そうか、陸路は直線距離は短いけれど、アルプス山脈を越えるから大変なのね、そりゃー荷物も運べないわなー、と気が付く。
なんでイタリア画家の絵がイギリスにたくさんあるんだろう?という疑問から、グランドツアーというイギリスのお坊ちゃまたちの修学旅行で、お土産に巻物状の絵を持ち帰ったからだ、当時のイタリアは憧れの国だった…というエピソードにたどり着いたり・・・。そうやって素朴な疑問をそのままにせず探求していくことが学びなのだってことだ。
興味や疑問をそのままにせず、なんで??と調べて行くこと、これが歴史を学ぶってことの意味であり、価値であるんだなぁ。


オンラインでの学びについて。
3月からこっち、たくさんのオンラインイベント、オンラインセミナー、オンラインワークショップに参加したり、自分でも運営してきた。オンライン化は今の状況下では有効なことで、学びをとめない!的な号令のもと、オンライン化が推進されている感もある。もちろんオンライン化によって、いいこともメリットもたくさんある。移動のコストがなくなり、地方に住んでいてもたくさんのイベントに参加することができる。一方でツールや通信環境の問題もあって、すべての人がオンライン化のメリットを享受できているわけではない。


・オンラインは〇〇には向いているけど、▽▽には向いていない
・オンラインでの学習は集中力が続かない
などなどいろいろなことが言われていて、この黎明期にたくさんの人がたくさんのトライをしてきているから、いろいろな感想もあるだろう。
ここでは、わたしが約3か月いろんな場を体験して感じたことを、「勇気の世界史」と合わせてつらつらと書き記しておきます。


オンラインでの学びの体験を通じて、概ねこんなことをつらつらと考えていました。
・オンラインだと集中できる⁉
・偶然の出会いってオンラインでもできるの?
・場づくりやしつらえはオンラインだからこそ


まず学習者としてのわたしから。
オンラインだとめっちゃ集中できる!インプットの質がいい!先生の話と画面に集中できるのがいい。ほかの人の顔色伺う必要もなく(それこそ先生に対する反応も気にしなくていい)、話に集中できるのがいい。オンライン化が進んでからの方がグラレコする機会が圧倒的に増えていて(グラレコ、というよりも、ノートをグラレコ風味でとる、と言った方が正解)、グラレコしながら聴くことで、より集中できる。
もちろんコンテンツのおもしろさや先生の話のうまさによるところは大きいけれど、コンテンツに集中できる、というのはオンラインのよさかもしれない。


オンラインのワークショップや講座を開催するときに、よく言われるのが「オンラインだと集中力が続かないから緩急つけたプログラムにした方がいい」的なこと。それはリアルな対面の講座でも一緒であって、オンラインだからことさら、ってのはないような気がする。ブレイクアウトルーム使って対話したり、チャットコメントを使って見たり、投票機能を使ってみたり、そういう小手先の技に頼りすぎていませんか?と問いたい。自戒を込めて。
「勇気の世界史」では、田中先生のお話しが1時間ちょっと、少し休憩を入れて、ゲストのお話しが15分くらい、最後に田中先生が軽くまとめておしまい。という流れが基本形。回が進むにつれ、休憩時にピアノの生演奏が流れたり(それもその回のトピックに関連した曲を即興で弾いてくださる!)、終わった後に残れる人でブレイクアウトルームでおしゃべりしたり、というオプションが付け加わったけれど、本編は基本「聞く」だけ。完全な導管型学習。それでもまったく受け身にならないのは、もちろん興味のあるテーマだからというのもあるし、田中先生の繰り出すコンテンツだから、というのもあるけれど、新しい知識をインプットし、それを自分と対話することで咀嚼し、理解する(つまり、リフレクション)…というプロセスが参加者の中で暗黙裡に共有されていたからなんじゃないか。そう、そして、ただただ知識をインプットするというのは極めて贅沢なことなんだ、ということにも気づいた。


オンライン、バーチャル上では「ちょっと知り合う」「偶然に出会う」ということが難しくなる。たまたまその場に居合わせて親しくなる、隣の席に座って「お隣の人と対話してください」攻撃を受けて親しくなる、なんてこともなくなる。それはちょっと寂しいなぁと思っていたけれど、「勇気の世界史」では、この「ちょっと知り合う」「偶然に出会う」ということができていたように思う。


なんでだ?
それはコミュニティがあったから。「勇気の世界史」は田中先生が主宰するフリーランス塾の塾生たちが、登壇もし、運営もしていた。この運営が極めてよかったのですよ!
初回が始まる前に、Facebookグループが立ち上がり、少しずつ予告がなされていきます。回が始まってからは、毎回、ゲスト講師からの「リフレクションのお題」が出されます。そう、このリフレクションのお題が絶妙で、投稿はあたかも「今日のお礼」のような顔をしているのに、「みなさんの〇〇教えてください!」とついつい書き込みたくなるようなお題が出されるのです。で、まんまとみんなが書き込む(笑)しかも、みなさんのコメントがどれも「!」があふれていて、そのコメントを読むだけでまたひとつお利口さんになれる。
この繰り返しを数回にわたって行うことで、自然とコミュニティが生まれる。実際にはお会いしたことのない方でも、コメント欄でお名前を拝見しているとなんだか知り合いのような気がするし、距離は間違いなく縮まる。


そこにきて、回の後半からは「終わった後に、残れる人は残ってブレイクアウトルームでお話ししましょう」となる。すると初めて会った方でも「あ!コメント拝見してました!」「チャットコメントでお名前拝見してました!」とバーチャルから一気にリアルな関係性に移行する。これが「勇気の世界史」が授けてくれた「偶然の出会い」。おそらく、このコミュニティがない状態でブレイクアウトルームでお話ししても研修のグループワークのようなやらされ感や「誰からお話ししましょう?」なお見合い状態に陥ってしまって、「偶然の出会い」だとは思えなかったと思う。
いつかきっとリアルにお会いできたら、懐かしいおともだちに再会したときのような感覚になるんだろうなーと、今からそのときが楽しみに思えるほど。


オンラインだからといって、必要以上に作り込んだり、いろいろなツールを導入する必要はないってことを「勇気の世界史」に参加したことで知った。伝えたいことがあって、伝えたい人がいるから場をつくる。そして、きちんと届けられるように尽くす。物理的な場を作ることや、仕掛けを作ることに心を砕くのではなくて、伝えたいことをシンプルにすること、な気がする。ついつい盛り込みすぎちゃう自分への戒めでもある。

(個人的には、このオンライン化=web会議システムを使っての講座やミーティング に乗り切れない人、その輪の中に入れない人が気になっている。ツールや環境だけではなく、マインドだったりいろんな状況が相まって、これまでできていた学びができなくなっちゃうのは悲しいし、寂しい。何かフォローできることってないのかなーと日々日々考えている。Zoomの使い方を教えればいいってもんじゃないでしょ。答えは出ないけど、ずっと考えていきたい。)


あらためて、田中先生、フリーランス塾のみなさん、いつもいつもすばらしいまとめと考察のブログを提供してくださった岩山さん、終わると即メモを公開してくださったPanさん、ご一緒したみなさん、ほんとうにありがとうございました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする