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ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督『複製された男』その1

2015-11-25 08:22:00 | ノンジャンル
 WOWOWシネマで、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の’13年作品『複製された男』を見ました。
 「アダム、お母さんよ。新しい部屋を見せてくれてありがとう。今のままで不安はない? また電話してね」。ベッドに座る裸の妊娠女性。「カオスとは未解読の秩序である」の字幕。鍵。独房の扉が開けられる。アランが出てくる。女の痛がる声。多くの男たちの見守る中、女が運んできた皿には蜘蛛が乗っている。それを踏み潰す女。
 都会。「支配がすべて。それは独裁者の関心事。遊びに集中させたり、情報や知識を限定させたりして行う。そのためには教育を制限したりする。これは何度も繰り返されてきたこと」と大学で授業するアラン。
 帰宅し、妻とキスし、食事し、セックスするアラン。
 先程の授業を繰り返すアラン。歯磨きをし、セックスするアラン。
 同僚「映画を観るか?」アラン「そんなに観ない。外出も少ない」「家でも観られるしな。『道は開かれる』は良かった。このカナダの映画だ」。
 貸しビデオ屋で選ぶアラン。
 妻「酔ったみたい。寝ましょ」アラン「採点を終わらせてから」。アラン、DVDを最後まで見る。朝方、寝ている妻に迫るアラン。「止めて」「どうした?」「明日電話する」。
 ホテルのフロント。赤いドレスの女。ボーイ役のアラン。
 目覚めるアラン。DVDを先送りすると、さっき夢で見たホテルのシーン。「まさか!」。
 アラン、教室に入ってきて、「遅刻した。今日はヘーゲルの話だ。世界的に重要なことは二度起きる。今は前世紀の繰り返し。記憶は感情に支配されている」。
 DVDの静止画面。そこにあった“フレイザー・アッシュ”の名前をパソコンで検索。“ケヴィン・~”も検索。すると自分の画像が出てきて、“身長183cm 体重72kg 目は青”“ボルガ事務所 ダニエル・センクレア”“出演作品『道は開かれる』ホテルのボーイ役」”と書かれている。
 DVD屋で「『電話して』と『切符なき上客』を」と言うアラン。
 DVDを見て、自分の写真と照合するアラン。パソコンで再度調べ、“お問合せ”“ボルガ事務所 トロント キャラハン通り74”と書き写す。
 サングラスを買い、トロントの事務所へ。ビルの中に入ると、「アンソニー? 久しぶりだ。ヒゲで分からなかった」と警備員に声をかけられる。「今日は誰もいないよ。土曜日だから」「郵便を受け取りに来た」「これをどうぞ」。車に戻って封を開けると、“親展 アンソニー・クレア ラスバーン通り3650”と書いてある。
 自宅へ帰り、電話するアラン。「センクレアさんと話したい」「私よ。何のマネ?」「人違いです。センクレアは映画での芸名ですよね?」「今留守にしてます。あなたは誰なの?」「彼は私を知らない。じゃあまたかけ直します」。
 頭を抱えるアラン。
 再び電話すると、アンソニーが出る。「さっき奥さんと話した」「今回は警察に知らせるぞ」「お願いだ。一言話してくれ。そう、まったく同じ声だろ?」。電話が切れる。すぐにまたかけ直す。「君の映画を3本見た。瓜二つだ。奥さんも間違えた。頭が混乱している。僕はアダム・ベル。歴史の教員だ。会いたい」「二度と電話してくるな」。アンソニーの妻「誰?」アンソニー「例の男だ。ストーカーみたいな奴だ。ファンと言って会いたがってる」「まさか。冗談ばっかり」「ヘレン、嘘なんかじゃない」「またあの女に会ったの?」「食事しただけだ。もうこの話は止めてほしい。散歩してくる」。妊娠中のヘレン。
 アンソニー、“アダム・ベル 歴史の教師”で検索。ヘレンは寝つかれない。紙片をジャケットのポケットに入れるアンソニー。
 無人の教室に現れるアダム。キャンパスに現れるヘレン。アダムに電話。アンソニー「俺だよ」「来ると思ってた」「会いたい。日曜1時に連絡する」。ヘレンはアダムのそばに座る。アダム「やあ、大丈夫? 何か用? 子供は何カ月?」「六カ月」「それは素晴らしい。そろそろ講義に行かないと。予想外の一日だった。それじゃあ」。ヘレン、電話をする。「どうした、ヘレン?」。
 自宅。アンソニー、ジョギングから帰り、一人でしゃべる。無視するヘレン。
 「どうした?」「行ったの。あの人に会いに」「なぜ? 危険じゃないか」「知りたくて」「大丈夫か?」「同じ声で瓜二つ。どういうこと?」「何を言いたい?」「知ってるはず」。ヘレン、泣き出す。
 廊下を逆さになって進む昆虫の頭の女性。夢から目覚めるアンソニー。
 “親展”と書かれた紙。車を降りるアラン。アンソニーの部屋へ。「誰か?」。隣の部屋に明かりと人の影。扉が開く。「同じ顔だろ?」。近づくアンソニー。「手を見せろ」「どうして?」「兄弟なのかも」「いいや」「どうして? もしかして胸に傷跡が? こんなの、やっぱりあるんだな? 誕生日は?」「これは良くないことだ。間違ってる。事務所に行ったら、この封筒を渡されて。申し訳ない。悪かった」。アラン、急いで去る。(明日へ続きます……)

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西加奈子『トロフィー』

2015-11-24 09:08:00 | ノンジャンル
 2010年4月に刊行された『スタートライン 始まりをめぐる19の物語』に収録された、西加奈子さんの『トロフィー』を読みました。
 鍵を閉めるのを忘れた、と思ったときには、もう遅かった。お勝手まで走ると、ちょうど男が、扉を開けて入ってくるところだったのだ。私は、「泥棒!」と、叫んだ。ご近所の皆さんが、わらわらと、お勝手に集まってきた。お勝手は、台所に通じている。つまり私は、台所で、泥棒の男と対峙していて、コンロには、たくさんのおネギと煮た鰯が、くつくつと、良い音を立てていた。私は恐怖のあまり、皆に、「トロフィーを!」と、叫んだ。誰が持ってきてくれたのかは覚えていないが、私は左手に渡されたそれで、思い切り、泥棒の男の頭を殴りつけた。がす、という音を立てて、トロフィーはそれでも立派だったが、泥棒の男は頭から血を流して、倒れた。私は、泥棒の男が動かないように、ガムテープで、泥棒の男の体を、台所のリノリウムの床に、ぺたりと貼り付けた。受話器を取ると、ボタンを押していないのに、すぐに警察につながった。「泥棒がいるんです。今、台所の床に貼り付けておきました。」「台所の床に? 分かりました。すぐに向かうからね。」私はほっとしたが、警察の男の人が、私の住所も名前も、何も聞かなかったことを思い出して、不安になった。泥棒の男のことが気になって、台所に戻ると、ちょうど、たくさんのおネギと鰯の煮付けが、いい頃合になっている。夕飯が楽しみだ。
 居間の赤いソファで、私は、小さな男の子の頭を膝に乗せている。「どうして、あんなことをしたの?」私が聞くと、男の子は、「わかんない。」と言った。傷口はすっかり乾いて、赤茶色になっていた。「かさぶた、はがしていい?」と、私が聞くと、「いいよ。」と言ってくれたので、私はそれをはがした。めり、めり、と音をたてて、かさぶたがはがれると、その下から、黄緑色の、綺麗な皮膚が現れた。男の子は、すっかり小さくなって、いまや、私の膝の上に、すっぽりと収まるサイズだ。それで、男の子の体は、黄緑色で、ざらざらとしていて、小さな、きらきらしたうろこがあって、きちんと、イグアナだった。
 鍵を閉めるのを忘れた、と思ったときには、もう遅かった。お勝手まで走ると、ちょうど男が、扉を開けて入ってくるところだったのだ。「泥棒を、捕まえに来たぜ!」夜勤明けの警察の男の人は、靴も脱がないで、ずかずかと、私の家にあがってきた。たくさんのおネギと鰯の煮物は、台無しになってしまうだろう。お勝手には、必ず、ご近所の皆さんが集まってくる。「トロフィーを!」そう叫ぶと、もちろん、私にそれを渡してくれた。私は、今度は右手で、思い切り、夜勤明けの警察の男の人を殴った。がす、と音がして、夜勤明けの警察の男の人は、床に倒れたが、トロフィーは、やっぱり、ずっと、立派だった。
 私はもう、もう、誰も、ガムテープで、床に貼り付けるようなことはしない。イグアナは、どこかへ行ってしまった。私は、指の中に残った、かさぶたの一部を舐めた。苦い味がした。そして、自分が、このトロフィーをもらったとき、どんなにやせっぽちで、脚が速くて、愛されていたかを、聞いてもらいたくて、熱心に、夜勤明けの警察の男の人が、目を覚ますのを待った。トロフィーは、私が生まれて初めて、もらったものだ。金色で、ぴかぴかしていて、ずっしりと重くて、誰を傷つけても、へこたれない、立派な、私のトロフィー。

 句点を多用し、繰り返しの多い文章は、とても不思議な味わいで、楽しませてくれました。

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デヴィッド・クロネンバーグ監督『マップ・トゥ・ザ・スターズ』他

2015-11-23 09:15:00 | ノンジャンル
 WOWOWシネマで、デヴィッド・クロネンバーグ監督の’14年作品『マップ・トゥ・ザ・スターズ』を見ました。
 若い女性のアガサは、ツィッターで知り合ったキャリーの脚本を手伝うため、フロリダからロサンゼルスにやってきて、俳優兼脚本家の青年と知り合う。女優のハバナ(ジュリアン・ムーア)は、カルト女優ながら焼死した母の映画のリメイクに、母が演じた役で出演したいと思うが、他の女優に取られてしまう。また子役出身の青年ベンジーは、ヤク中から立ち直っている最中で、難病の少女を病院に見舞い、その少女の話を映画にすると約束するが、その娘は急死してしまう。
 それ以来、ベンジーはその娘の幽霊に悩まされるようになり、ハバナも母の幽霊に脅かされるようになる。ハバナはアガサを個人秘書に雇うと、やがて母の映画のリメイクに出演する予定だった女優の息子がプールで溺死してしまい、母の役が自分に回ってくる。
 ベンジーの前にアガサが現れると、それはベンジーの姉だった。アガサは自分とベンジーの両親が兄妹だったことを知り、自分もベンジーと結婚することを望み、それがかなえられないと分かると、ベンジーに眠り薬を飲ませ、火をつけて心中しようとした過去を持ち、両親から病院に送られ、フロリダでリハビリを続けていたのだった。アガサがベンジーの前に現れたことを知った父は、アガサにすぐ立ち去るように言うが、アガサは償いをしたいと答える。俳優兼脚本家の青年と肉体関係を結ぶアガサ。
 ベンジーはおいしいところを持っていく子役に嫉妬し、トイレで問いただすが、その子役は病院で死んだ娘に姿を変える。激昂したベンジーは娘の首を絞め、殺すが、気がつくと、子役の子が気を失っている。急いでその場を立ち去るベンジー。
 ヤクでヘベレケになっているところを発見されたベンジーは、病院に収容される。アガサは母の元を訪ね、償いをしたいと言うが、そこに現れた父に暴行を受け、家から追放される。アガサに結婚指輪を取られたことに気付く母。
 ハバナは俳優兼脚本家の青年をドライバーとして雇い、彼がアガサと肉体関係にあることを知ると、自分と寝てくれと頼む。カーセックスをする2人を扉の陰から見るアガサ。帰宅したハバナは、アガサが臭うと言い、立ち上がったアガサがソファに血の染みをつけていることに激昂し、アガサに侮蔑の言葉を投げる。アガサはトロフィーを手にして、ハバナの頭を殴り、血まみれになりながら身を震わせるハバナを見ると、何度もトロフィーで殴りつけ、撲殺する。
 そこに病院から抜け出したベンジーが現れると、アガサは自分が母の結婚指輪を盗んだことを教え、ベンジーも父の結婚指輪を盗ってくるように言う。
 帰宅したアガサとベンジーの父は、妻を呼ぶが、妻はプールの脇で炎に包まれている。あわてて手押し車で妻をプールに押し出すベンジーの父。そこにやってきたベンジーは、茫然自失の父から結婚指輪を盗む。
 アガサとベンジーは致死量のヤクを酒で飲み、結婚指輪をお互いにはめて、結婚の誓いを述べる。仰向けに並んで横たわる2人の姿をカメラは真上からとらえ、カメラが上昇すると映画は終わる。
 ベンジーが子役を失神させる辺りから、悲劇的なラストシーンへと雪崩を打っていく様子は、見応えがありましたが、画面構成や編集、演出に関しては凡庸だったように思います。

 またWOWOWプレミアで、井口奈己監督・脚本・編集の’14年作品『ニシノユキヒコの恋と冒険』を見ました。海岸沿いのオープンレストランで、恋人である母に連れられてきたミナミに犬の分銅を贈るニシノユキヒコ(竹野内豊)。彼は松葉杖の知人の女性が倒れたのに駆け寄ろうとし、トラックにはねられて死にます。そして成長して女子学生になったミナミの前に幽霊となって現れるユキヒコ。ミナミはユキヒコに導かれて彼の葬式に向かい、そこでユキヒコの恋人だった女性(阿川佐和子)に出会い、ユキヒコの女性遍歴を教えられます。会社の上司だったマナミ(尾野真千子)、恋人関係を引きずるカノコ(本田翼)、隣に住む昴(成海璃子)、その同棲相手のタマ(木村文乃)。そして死んだら会いに行くと約束していたミナミの母に、ミナミを通じて会ったユキヒコは、あの世へと旅立っていくのでした。大胆な省略、固定カメラからの長回し、場面転換でインサートされる風景のショット、盛んに現れる坂(そしてその応用としての階段)と犬や猫などの動物が印象的な映画でした。

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三崎亜記『街の記憶』&三羽省吾『1620』

2015-11-22 07:20:00 | ノンジャンル
 2010年4月に刊行された『スタートライン 始まりをめぐる19の物語』に収録された、三崎亜記さんの『街の記憶』と三羽省吾さんの『1620』を読みました。
 『街の記憶』で、僕は取引先への出張帰り、思ったより早く打合せが済んだので、見知らぬ街を歩いてみるのも面白いと思い、タクシーを停めてもらう。雨傘をコンビニで買った後、そのコンビニがあることを知っていたことに気付き、以前この街に住んでいたことを思い出し、自分の住んでいた部屋を訪れるものの、やはりそこには住んでいなかったと思う。僕はたまたま、降りるはずのない場所でタクシーを降りてしまったから、僕が歩んでいたかもしれない人生を、垣間見てしまったのではないだろうか。さっきまであれほど鮮明だったこの街での記憶が、次第に薄らいできていることに、僕は気付いていた。踏切の遮断機が上がり、僕の横を通り過ぎていく、見知らぬ顔、見知らぬ顔、そして……。思いよりも先に言葉が出た。「郁美……さん?」「あの、失礼ですが、どこかでお会いしましたでしょうか?」「あ……すみません。人違いでした」「そうですか。でも、名前まで同じなんて、偶然ですね」僕が言葉につまり、彼女の笑顔を見つめて立ち尽くしていると、警報機が鳴り出した。踏切の中央で話していた僕たちは、あわてて、それぞれの進む方向へと分かれた。「郁美……」彼女は、この街に住んでいた僕の、恋人だった。彼女の左手の薬指には、指輪があった。そして、それは僕も同様だった。もしこの街で暮らしていれば、僕たちは結ばれ、二人でこの街に住んでいたのかもしれない。その思いを引き裂くように、電車が横切った。遮断機が上がると、もう、彼女の姿はなかった。目の前には、見知らぬ、そしてどこにでもある街の風景が広がっていた。いつの間にか、雨は上がっていた。僕は傘をたたんで、駅に向けてゆっくりと歩き出した。
 『1620』で、我が家の浴室は1620タイプ、つまりユニットが幅1.6メートル×奥行2.0メートルある。大人でも浴槽で脚を伸ばせるサイズだ。「家族揃って、でっかい風呂に入るのが夢なんだ」夫のその言葉で、マンションを買う時に浴室の広さだけは譲らなかった。夫の夢は叶ったが、僅か二年ちょっとで終わった。離婚の原因は一つや二つではない。でも、私が彼の希望を受け入れられず働き詰めだったことが一番大きかったと思う。マンションは私の名義になり、アツシの親権も私が貰った。そして三年が経った。私、三十二歳。ますます仕事に励む今日この頃。アツシ、六歳。ただいまマジレンジャーに夢中。離婚直後、私は自分でも驚くほど解放感に満ちた気分だった。同時に、アツシに寂しい思いをさせてはいけないと強く思うようになった。
 大出クンは大学時代の後輩だった。二年前、サークルの同窓会で再会した。「先輩、変わりましたよね。なんて言うか、男前になりました」そんな冗談を言う彼だから、頻繁に食事し、何でも話す間柄になるまで時間はかからなかった。「自分ら、ちゃんと付き合わないッスか?」だから、ちっとも飾りのない大出クンのその言葉は、無防備だった私の胸にダイレクトで突き刺さった。
 「お母さん、どうしたの?」浴槽で膝を抱えていた私を見て、アツシが心配そうに訊ねた。私は少し考えて、答えた。「あのね、実はお母さん、マジブルーなんだ」「うそ!」マジレンジャーには赤・青・黄・桃・緑の五人がいて、青はマジブルーという。しかも女性。「本当にマジブルー?」「うん、かなり重度のマジブルーだね」「どんな敵と戦ってるの?」「冥獣ダジャレカチョーとかセクハラブチョーとか」「変な名前。強い?」「そいつらはたいしたことないけど、冥府神オーイデって奴がけっこう手強い」「うそ、ウルザードくらい強い?」「うん、ツキアワナイッスカっていう卑怯な魔法を使うんだ」「ふーん。そいつ、巨大化する?」「えぇと……たぶん、するね。部分的に」アツシはどこまで分かっているのか不明な笑顔を見せると、ぽつりとこう呟いた。「お母さんがホントにマジブルーだったらねぇ、未来予想が出来る筈だよ」
 一年が経った。アツシは小学生になった途端にマジレッドを手放した。同時に、たまにしか私と一緒にお風呂に入ってくれなくなった。私の方は相変わらず、未来予想も出来ないまま、大出クンとは付かず離れずの関係を続けている。だけど、臆病になっていることを認めたあの日から、少なくともマジブルーであることだけはやめることが出来たような気がする。一人で入るようになって尚更広く感じる1620で、温めのお湯に包まれながら、私はまんざら悪い気分でもない今日この頃だ。

 どちらも10ページ足らずの分量ながら、独特の味わいのある作品でした。

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ウェス・アンダーソン監督『グランド・ブダペスト・ホテル』その2

2015-11-21 07:41:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。
 “ジョプリング私立探偵”の名刺を見せる男(ウィリアム・デフォー)はセルジュの姉に会いに行く。
 グスタヴからホテルのスタッフへの手紙では、ホテルを皆の手に託すと書いてあった。
 給食係をするグスタヴ。仲間は脱獄計画を持ち掛ける。
 アガサの話。“1カ月前”の字幕。「3回目のデートでプロポーズして受け入れられる。グスタヴはアガサの品定めをする」。
 ドミトリーはコヴァックスの元を訪れ、重要書類がなくなっていると言って、コヴァックスの猫を窓から投げ落とす。
 “ペルシャ猫(死亡)”を受付で受け取り、路面電車にコヴァックスは乗るが、バイクが付いてくるのを見て、“次の駅 美術館”で降りる。“閉館15分前”の看板の前を通り過ぎるコヴァックス。“14分前”の看板の前を通り過ぎるジョプリング。“立入禁止”と書かれた部屋に入ったコヴァックスは“出口”から出ようとして扉に指をかけるが、靴を脱いだジョプリングに捕まり、閉められたドアで指が4本切断される。
 コヴァックス事務所から警察に奇妙なメモが届く。“ミーティングを延期してほしい。永遠に”。
 “第19拘置所 倉庫”の看板。“3日後”の字幕。脱獄するグスタヴら。“看守寝室”でベッドの下を匍匐前進したり、ベッドを飛び越えたりして、外に出て、グスタヴはゼロと合流する。香水を忘れてきたと言うゼロをグスタヴはののしるが、「自分は戦争で家族を殺された難民だ」とゼロが言うと、前言を翻し、同情する。
 「50キロ圏内に検問を」などと指示する警官。そこにジョプリングが現れると、「昨夜棺に入っているコヴァックスの遺体が美術館で発見された。遺体には指が4本なかった」と警官は言うが、ジョプリングは何も知らないと答える。
 グスタヴは雪原の中に立つ電話ボックスから、仲間のホテルの支配人に電話をかける。
 「パート4“謎の秘密結社”」の字幕。グスタヴの電話は、次々とホテルの支配人を経由してつながれる。
「ドミトリーとジョプリングは冷血非道だ。執事はゲイブルマイスター山の隠れ家にいる」と言って、香水を自分とゼロにかけるグスタヴ。
ドミトリーはジョプリングに「足が不自由なセルジュの姉と話せ」と言い、絵画が盗まれたことを知る。
“洗濯カゴから若い女性の頭部”の見出し。警官は「4時に電報が姉に届き、中身はありませんでしたが、郵便局に控えが残っていました。“荷造りしろ。隠れ家はゲイブルマイスター山。電報は破棄しろ。愛をこめて”です」との報告を受ける。カゴからセルジュの姉の首を取り出す警官。
“人里離れたゲイブルマイスター山”“正午 山頂の展望台”の字幕。そこからグスタヴとゼロはロープウェイに乗り、修道院に着き、懺悔室でセルジュと会うが、セルジュはすぐに殺されてしまう。スキーで逃げるジョプリングを橇で追うグスタヴとゼロ。“冬季大会”の旗。スキーコースに入り、旗をなぎ倒していき、ジャンプ台でジャンプする2人。“スタート”の旗。リュージュのコースに入る2人。“ゴール”の旗。ゼロは足だけ残して雪原に埋まり、グスタヴは崖の雪に何とか掴まるが、ジョプリングは雪を蹴ってヒビを入れる。グスタヴが落ちる直前にゼロはジョプリングを崖下に突き落とし、グスタヴを救う。グスタヴを追う警察が現れ、2人はバイクで逃げる。
 「パート5“2通目の遺言の2通目”」の字幕。「開戦は夜0時」。“24時間後”の字幕。メンドル氏からの差し入れのケーキを持ってくるアガサ。ホテルは軍人の兵舎となっている。「こんなホテルには2度と戻らない」とグスタヴ。ドミトリーが現れ、絵画を持ったアガサは逃げる。そこへやって来たグスタヴとゼロはドミトリーと対面し、銃撃戦となり、兵隊もそれに加わる。銃撃を止めさせ、「全員逮捕だ」という軍人。ゼロはアガサを追って“入室無用”と書かれた部屋に駆け込むが、その勢いで窓から飛び出してしまい、アガサとともにメンドルのトラックの荷台に落ちる。窓にひっかかった絵画の中には“極秘 私が殺された時のみ開封のこと”と書かれた紙。
 「全財産はグスタヴに。ルッツ城という豪邸と、数々の工場、ブダペスト・ホテルも」。“すべての嫌疑が晴れる”“殺された夫人の息子は失踪”の記事。「私は後継者に指名され、戦争中も第2の祖国に仕えた」。ゼロとアガサの結婚式。「2年後、幼い息子とともにアガサは殺された。プロイセン風邪に。今なら数日で治る病気だ。占領統治の21日目、独立国家ズブロフカが正式に消滅した朝、私たちはルッツへ旅に出た」。グスタヴ「私も最高のロビーボーイだった」。“11月17日ルッツ急襲開始”の字幕。3人の乗った列車は麦畑の真ん中で停車し、軍人が入ってきて書類の提出を求め、グスタヴが渡した“特別通行許可”を破り捨てる。乱闘。
「グスタヴは撃たれた。遺産は私に。ホテルは国の所有となったが、私はアガサのためにホテルを買い戻した」。作家「私は翌週南米へ。ここは魅力的な廃墟だ。しかし2度と見ることはなかった」。

 正面と真横からのショットだけからなる特異な作品でした。書き割りの背景、ナレーション・字幕の多用なども特徴的だったと思います。

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