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「音痴な分類」?

2015-11-07 07:27:00 | ノンジャンル
 10月21日の東京新聞のコラムに、文芸評論家の斎藤美奈子さんが「音痴な分類」と題するコラムを書いていらっしゃいました。全文を引用させていただくと、
「武雄市図書館(佐賀県)に続いて海老名市立図書館(神奈川県)が十月にオープン。民間に業務委託した『ツタヤ図書館』がなにかと話題だ。日本十進分類法(NDC)とは異なるユニークな分類が自慢らしい。ためしに公式サイトで蔵書検索をかけてみた。
 まず細井和喜蔵『女工哀史』。武雄には単行本の蔵書がなく、『日本プロレタリア文学集33』が見つかるが、ジャンルは『エッセイ』、所蔵場所は『ビジネス飾り棚』。海老名ではジャンルは『繊維工学』、所蔵場所は『技術』であった。
 山本茂実『あゝ野麦峠』はどうかな。武雄ではジャンルが『ノンフィクション』で、所蔵場所はなぜか『エンターテイメント飾り棚』。海老名ではジャンルが『人事労務管理』で、所蔵場所は『ビジネス』だった。
 どちらもジャンル分けが難しい本ではない。多くの図書館では『労働経済 労働問題』の『女性労働』に分類される(NDCでは366-3)。でもツタヤ図書館には労働問題という概念がないんだろうね。だから微妙に調子っぱずれなビジネスや技術の棚に入る。
 古めかしくてもNDCに宿る先人の知恵。『図書館は、基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することをもっとも重要な任務とする』(図書館の自由に関する宣言)。原点はやっぱそこでしょう」。
 ウィキペディアによると、NDCとは、「Nippon Decimal Classfication」の略で、「日本の図書館で広く使われている図書分類法である。最新版は新訂10版(2014年12月発行)」。同じくウィキペディアでその歴史をたどると、「明治時代前期に東京図書館の『八門分類表』が各地の図書館に普及したが、目録分類でしかなく、排架法を考慮していない(分類記号ももたない)ため、まもなく廃れた。明治末期から大正時代にかけて各地の図書館で次々と独自の図書分類法が制定され、1919年(大正8年)に全国府県立図書館協議会で日本初の標準分類表が定められた『山口県立図書館分類表』(100区分表までを採用)も、区分が不適当なところや簡単すぎる点から、独自に改訂を行う図書館が増え、事実上の標準分類表とはならなかった。そんな中、森清(もり・きよし)が1928年(昭和3年)に青年図書館員連盟の機関紙『図書館研究』第1巻第2号と同3号で『和洋図書共有十進分類法案』として発表、翌年大阪の間宮商店から発行したものが、日本十進分類法(NDC)である。青年図書館員連盟内に設立されたNDC研究会の協力の下、森自身の手で戦前に訂正増補5版までが行われた。戦後、社団法人日本図書館協会(JLA)が日本十進分類法を森清の個人著作から継承し、1950年(昭和25年)の新訂6版から日本図書館協会分類委員会によって改訂が行われている。新訂9版まで、森も分類委員会のメンバーとして改訂に携わっていた。新訂10版は、2004年の時点では2008年8月の刊行を目指していたが、改訂は大幅に遅れ、2015年1月下旬に発売されることとなった(発売日は2014年12月)。2014年1月までに0類から9類および情報分野の試案が発表されている」。
 そして10月27日の朝日新聞の夕刊に「図書館400館以上運営のTRC、ツタヤ側と関係を解消へ」と題する記事が載っていました。全文を引用させていただくと、「全国400館以上の公共図書館の運営を手がける図書館流通センター(TRC)が、レンタル大手『ツタヤ』が展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)に、図書館事業で今後新たに組むことはないと5日に申し入れていることがわかった。図書館に対する考え方の違いが原因で、共同運営する神奈川県海老名市の図書館事業も見直す意向だという。TRCとCCCは共同事業として海老名市から図書館運営を任され、1日に同市の中央図書館を改装オープン。愛知県小牧市でも新しい図書館計画の契約を交わしていたが、住民投票で建設計画が反対多数となり、契約解消を決めた。TRC広報部は『CCCの独自の図書分類は司書が本を探すのも非常に困難。図書館のあり方として、考え方に折り合いがつかなかった。海老名については、市も含め3者で今後協議していく』としている。一方、CCCは『申し入れがあったのは事実だが、海老名の運営は共同で行う認識だった』とコメントした。海老名市教育委員会の担当者は『まだ聞いていない』としている」。
 斎藤さんの見解が、このニュースを先取りしていた恰好になりました。拙速な図書分類は控えるべきだということでしょう。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/