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カレル・ゼマン監督『ほら男爵の冒険』

2010-11-19 06:21:00 | ノンジャンル
 カレル・ゼマン監督の'61年作品『ほら男爵の冒険』をDVDで見ました。
 ロケットで月に到着したトニークは、ジュール・ヴェルヌのロケットでやってきていた人々が既にそこに住んでいるのを発見します。彼らはトニークとともに祝杯を上げさせようとしますが、トニークは宇宙服が邪魔してできないため、男爵が彼を船に乗せて地球へ連れて行くことになります。スルタンの支配するトルコに着いた彼らに、海賊に捕らわれてそのままスルタンの城に幽閉されているビアンカ姫から助け出してほしいという手紙が届けられると、男爵が1万人の兵士たちと大立ち回りを演じている間にトニークが姫を助け出し、3人は赤い煙とともに追っ手が迫る中、馬で3日間逃げ続け、海へ至るとオランダの商船に乗せてもらいますが、トルコの大艦隊に包囲されてしまいます。男爵は積み荷のタバコを皆で吸って船を煙りで包み、相手を同士打ちさせますが、男爵と姫の乗った救命艇は巨大な魚に呑み込まれ、先客の海賊の船に迎えられると、世界中の海を魚の腹の中で巡ります。銛を打ち込まれて岸に流れ着いた魚から出て来た男爵と姫。蒸気船を作って待っていたトニークを発見すると、男爵との日々を忘れて彼の元へ駆け寄る姫を見て、男爵は巨大な鳥の足に乗って去ろうとしますが、思い直して海に落ち、海底を通って彼らの元に戻ります。3人は男爵の旧友が指揮を執る要塞に至り、戦争に巻き込まれますが、男爵は大砲の弾に乗って敵の偵察をするなどして、敵を撃退します。トニークは井戸に火薬を投げ込んで爆発させ、要塞の塔をロケットにして月に姫と戻ろうとしますが、指揮官にバレて逮捕されます。男爵はトニークが脱獄した後に井戸に点火し、トニークと姫は月に到達し、月の住人たちはこれからの月は彼ら恋人のためのものになると言うのでした。
 前作の『悪魔の発明』と同じく、お伽話のような手書きの背景の中で実写の人物が動くという映画になっていて、彩色モノクロの画面は夢幻的な雰囲気を醸し出すのに成功していたと思います。ジュール・ヴェルヌの小説が好きな方には特にオススメです。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto

東京・美術館めぐり

2010-11-18 05:17:00 | ノンジャンル
 昨日、東京へ3つの美術館をハシゴしに行ってきました。
 1つ目は、地下鉄千代田線乃木坂駅近くの国立新美術館におけるゴッホ展。生涯1つの作品も売れず、1890年37才で自ら命を断ったゴッホの作品を見に、たくさんの人が駆けつけている風景を見て、その絵の燃えるような美しさから受けた感銘もあって、つい泣いてしまいました。ゴッホの油絵は絵の具の盛り上がり方が半端ではないので、ライトの光を受けて本当にテラテラと光り輝いている作品があったり、写真では捕えきれない鮮やかな色彩があったりと、実物を自分の目で見ないと、ゴッホの本当のスゴさは分からないと思いました。12月20日までやっているようですので、V・V・ゴッホ(イニシャルまでカッコイイ!)ファンならずとも是非足を運んでいただいて、生のゴッホを堪能していただきたいと思います。
 さて、2つ目は、東京駅八重洲口近くのブリジストン美術館における「セーヌの流れに沿って 印象派と日本人画家たちの旅」という特別展。セーヌ川上流から下流に至る順番で、印象派以降の風景画を展示したものでした。収穫は、幻想的なアンリ・ルソー作『サン=ニコラ河岸から見たサン=ルイ島』(1888年頃)、まさにロシア・アヴァンギャルドそのものである蕗谷(ふきや)虹児作『挿絵原画(巴里の散歩)』('26)、ルノワールの『トリニテ広場』(1892年頃)、焦茶色の力強いタッチの佐伯祐三作『ロカション・ド・ヴォワチェール』('25)と同氏の活字を使ったコラージュ的作品『テラスの広告』('27)、モネの白を基調とした『雪のアルジャントゥイユ』(1875年)と赤い花が目を惹く『花咲く堤、アルジャントゥイユ』(1877年)、ウジェーヌ・ブーダンの細密画『トルーヴィル近郊の浜』(1863-66年頃)などの原画を見られたことでした。またこの美術館には過去の特別展の画像をパソコンの大画面で見られるコーナーがあり、そこでは1921年生まれの中国人ザオ・ウーキーの作品の素晴らしさに触れることもできました。
 そしてラストは京王線初台駅近くの東京オペラシティ・アートギャラリーにおける「ドミニク・ペロー 都市というランドスケープ」。フランスの建築家ペローによる現代建築の数々が、大きなスクリーンのビデオ映像で紹介されていて、しかもそれをふかふかのソファーに寝転びながら見ることができ、またその先のコーナーでは本人のインタビューもモニターで見られ、最後の大きな部屋では、設計に至るコンセプトの立案、模型、設計図、実際に完成した作品の写真や完成予想CG画像なども展示されていて、その見事な建築(これは実際に見てみてください。Googleで検索すれば画像はいくらでも見ることができます。)に完全にノックアウトされてしまいました。
 ということで、世界でもこれだけいろんな芸術作品を見ることができる都市は、東京を含めてあまりないのではないでしょうか? そう思えるほどの充実した一日でした。取り急ぎ、ご報告まで!

マキノ雅弘監督『清水港の名物男 遠州森の石松』

2010-11-17 04:17:00 | ノンジャンル
 先日、仕事のデイサービスの送迎をしている際、ある利用者の方に現役の時の仕事をお尋ねしたところ、何と外務省に務められていたというお答えでした。GHQ占領時の'49年に入省され、サンフランシスコ講和条約の3年後の'54年にはこれまた何と最初の赴任地としてイラクのバグダッドに行かれたのだそうです。その後も、ニューヨーク、ウィーンなど5ヶ国へ赴任されたとのこと。'54年のバグダッドはどんな感じでしたか、とお尋ねしましたが、言葉を濁されていらっしゃいました。調べてみたら、当時のイラクはイギリスによるハシーム王家の傀儡(かいらい)政権に統治されていたようです。機会があったら、是非当時のお話を詳しく聞かせていただきたいと思いました。

 さて、マキノ雅弘監督の'58年作品『清水港の名物男 遠州森の石松』をスカパーの東映チャンネルで見ました。
 森の石松(中村錦之助)は、次郎長から讃岐へ刀の奉納をしてくるように言われますが、道中、酒と博打は禁止、そしてこれまで惚れたことのない女と寝ることはいいという条件をつけられて、行くのを渋ります。そんな折り、次郎長の妻・お蝶とブタ松の法要が営まれ、そこに現れた近江の鎌太郎親分(志村喬)が香典を5両しか包んでいないのを知った石松は、勝手に25両と書いて張り出してしまいます。鎌太郎は、ありがたく20両は借りて行くと言って立ち去りますが、石松は自分のやった過ちの重大さに気付き、讃岐行きのために次郎長からもらった30両の中から20両を次郎長に渡し、讃岐へ旅立ちます。道中で出会った、後の小政(東千代之介)は「一人前になって一緒になるまでは死ねない、お藤という女性が自分にはいる」ことを語り、讃岐に至った石松は女郎ながら清楚な夕顔と恋仲になります。讃岐を去る前に彼女から手紙をもらう石松。帰途で近江の鎌太郎を訪ね、そこで字が読めない石松は、自分を慕ってくれている夕顔が書いた手紙の内容を知ると、彼女と一緒になるまでは死なない決心をします。次に知り合いの七五郎を訪ねると、そこには石松を仇と狙っている者たちの手が回っていました。祭りの夜、面を被った者たちの襲撃を受け、相手を次々に倒していく石松。しかしやがて傷つき、まげも切られた石松の片目はいつの間にか開いています。場面は一転して、陽光の中、嫁入り道中が進んで行くのをロングで撮られた画面で映画は終わります。
 小堀明男が次郎長を演じたマキノ監督自身による次郎長シリーズにおいて、石松を森繁久弥が演じた回の正確なリメイクとなっており、田崎潤の鬼吉、法印大五郎の田中春男のキャストも共通していましたが、ラストで石松の死が暗示されるだけで終わっているところが違っていました。一見、錦之助の独壇場といった印象を受けますが、最後の立ち回りの前に雷鳴が轟き、面を被った大勢の者たちがざわざわと蠢く異様さなどは、マキノ監督の面目躍如といった感じで、やはりすごいと思いました。マキノファンならずとも一見の価値ありです。

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鶴見川源流とことん巡り2010

2010-11-16 05:05:00 | ノンジャンル
 WOWOWでミュージアムピクチャーズ製作、城定秀夫監督の'10年作品『デコトラ★ギャル奈美~爆走!夜露死苦編~』を見ました。すべての画面の構図が奥行きがありキマっていて、主演の吉沢明歩さんも魅力的。単なるB級映画の傑作というレベルを超えた作品だと思いました。製作会社も監督さんの名前も撮影の田宮健彦さんの名前も初めて聞く方ばかりですが、どういった方々なのでしょう?

 さて、一昨日、NPO法人鶴見川源流ネットワーク主催のイベント「鶴見川源流とことん巡り2010」に参加してきました。東京都町田市の谷戸池公園を出発し、鶴見川の源流を尾根沿いにグルリと東回りに回るコースを、鶴見川に水を集める「いるか丘陵」の説明を受けながら歩くというイベントで、楽しい時間を過ごさせていただくとともに、すごく勉強になりました。
 町田市と八王子市と多摩市の3市境界点までは、「いるか丘陵」の治水と緑の保全に今まで力を尽くされ、現在も治水・緑地保全のためのボランティア活動の知的中として働かれている慶応大の岸先生が同行されたのですが、以前は度々横浜の河口近辺で氾濫を繰り返していた鶴見川(実際、岸先生は幼少時に家が川の水に浸かるという体験を何回かされたのだそうです)を、源流地帯の緑を保全し、日産スタジアムがある新横浜の巨大な遊水池などを造成するなどして、下流の流量をコントロールできるようになった経緯が語られ、その説明を聞きながら、実際にその緑や遊水池を目にするという貴重な体験をさせていただきました。また、レジ袋全廃を全国で最初に実施したスーパーに並ぶ人々の行列を見れたり、ヤマガラやモズの姿を双眼鏡で見れたり、山歩きも楽しませてもらい、多くの眺望も楽しませてもらい、またいろんな方とお話もさせていただけたりと、久々に休日を思う存分満喫させていただきました。また、町田駅の周辺は近未来都市のように店、店、店という商業地域なのですが、そこからバスで20分余りでこんなに自然に恵まれた田舎があるというのは、本当に驚きで、多くの方が同じような感想を述べられていました。
 今回のイベントもそうですが、鶴見川流域に関するNPO活動はとても活発に行われているようで、時間があれば主催側として参加してみたいなとも思いましたし、またそれらの団体に紹介されているウォーキングMAPもとても魅力的で、そのうち改めて行ってみたいとも思いました。また、ゴール地点だった小山田緑地公園も車で気軽にアクセスできて自然も満喫できる場所としてとても気に入ったので、冬の天気のいい午前中に山々の展望を求めて母と近々行こうかなとも考えています。東京都町田市から神奈川県横浜市へと流れる鶴見川、注目です!

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ロン・ハワード監督『天使と悪魔』

2010-11-15 03:34:00 | ノンジャンル
 今月の神奈川県厚木市の月刊広報に載っていたのですが、本厚木駅は乗り継ぎのない駅としては乗降客数全国一なのだそうです。ちょっとビックリしました。

 さて、ロン・ハワード監督・共同製作の'09年作品『天使と悪魔』をWOWOWで見ました。
 ローマ教皇が死去し、次の教皇を選ぶコンクラーベ開催中に新教皇の有力な候補者である枢機卿4人が誘拐されます。そして、犯人から届いた手紙には、1時間ごとに1人ずつ公開処刑し、その後スイスの研究所で盗まれた反物質でヴァチカンを爆破することが書かれていました。手紙に書かれていたシンボルを解き明かすため、ハーバード大学からロバート教授(トム・ハンクス)が呼ばれ、彼は、教会によって弾圧された科学者たちにより17世紀に結成されたイルミナディという秘密結社が起こした犯行であることを突き止めます。教会で説く四元素、土・空気・炎・水というキーワードと、ヴァチカンの記録保管所で得られた手がかりから、処刑現場を推理していきますが、一人目は地下でネズミに喰われ、二人目は肺に穴を開けられて高所から突き落とされ、3人目は火あぶりとなって殺されます。4人目のバッジオ枢機卿は溺死させらようとするところを何とか助けることができ、彼の証言から反物質のある場所が特定され、ロバートらはそこへ急行しますが、実行犯だったヴァチカン警察官は彼らの目の前で車とともに爆破されてしまいます。次の標的が教皇の代理を勤めているカメルレンゴだと知ったロバートらは、焼ごてで火傷を負ったカメルレンゴと共にいた、教皇を守る役目のスイス衛兵隊長を射殺し、その後、カメルレンゴは発見された反物質をヘリで上空に運んで、パラシュートで脱出するという曲芸技を見せて民衆の英雄となり、大衆の支持をバックに新教皇に選ばれることになりますが、衛兵隊長が残していた映像でカメルレンゴ自身が全ての陰謀の首謀者であることが明らかになり、彼は焼身自殺を遂げ、バッジオ枢機卿が新教皇に選ばれるのでした。
 終始暗い画面である上、話も複雑で、今一つ乗れませんでした。『ダ・ヴィンチ・コード』と本作ははっきり言って期待外れと言わざるを得ません。アメリカ以外の国でアメリカ人が活躍する映画を見たい方にはオススメかも。

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