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広河隆一『パレスチナ 瓦礫の中のこどもたち』

2010-11-03 06:16:00 | ノンジャンル
 昨日の日本シリーズ第3戦、期待していた通り、渡辺俊介選手の素晴らしいピッチングでロッテの圧勝でした。しかも西岡、サブローに本来の当たりが戻り、完全に今シーズン本来のロッテの強さが取り戻したようです。千葉でのロッテ3連勝、ありだと思います。

 さて、朝日新聞の土曜日の特集記事「be」で取り上げられていた広河隆一さんの著書『パレスチナ 瓦礫の中のこどもたち』を読みました。豊富な写真とともにパレスチナの現在をルポルタージュした、土門拳賞を受賞した本です。
 まず、パレスチナ地方はヨーロッパとアジアとアフリカを結ぶ要所であるため、大昔からこの地を支配しようとする勢力が絶えまなく押し寄せ、その結果、宗教の違いを超え民族の違いも超えて共生する不思議な空間「パレスチナ」が現出したことが語られます。その象徴が「平和の街」を意味するエルサレムであり、そこにはキリスト教徒、ユダヤ教徒、イスラム教徒が現在でも平和裏に暮らしています。しかし第二次世界大戦後にイスラエルがパレスチナの地に建国され、それまでその地に住んでいたパレスチナ人は難民キャンプに押込まれることになりました。そこではテント村ができ、やがて何年かするとそれがバラックとなり、粗末なブロック造りの家々に変わって、しばらくするとそこがイスラエルによって爆撃され、焼け出された人々が再びテントを建て始めるというサイクルが繰り返されることになります。イスラエルによるパレスチナの占領は抵抗運動を生み、抵抗運動は弾圧を生み、弾圧はテロを生み、テロは報復テロを生むという悪循環が始まります。イスラエルは占領地を力で屈服させようとして、親イスラエル派を育てることに失敗し、パレスチハ人の抵抗は、子供たちまでが命をかけてイスラエル軍に向かって石を投げるという抵抗運動・インティファーダを生み、その結果一旦は和平が実現しかけたものの頓挫し、再びイスラエルによるパレスチナ人抹殺の動きが激烈化しているのが現状であることが語られますが、瓦礫が再び瓦礫に変えられていく毎日の中でもしたたかに生き、優しさを失わないパレスチナの子どもたちの存在が希望を与えてくれると広河さんは述べて本を締めくくっています。
 虐殺の悲惨この上ない写真の数々や、人、特に子供を標的にしたクラスター爆弾、黄リン爆弾の人体実験の場としてパレスチナが使われている記述など、イスラエル軍や右派民兵らの残酷さの記述もさることながら、この世の地獄の中で笑顔を失わないパレスチナの子供たちの美しいまなざしの数々にも魅せられました。パレスチナ問題に関心のない方にも、文句無しにオススメです。