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井上淳一監督『誰がために憲法はある』

2019-05-09 05:38:00 | ノンジャンル
 神奈川県厚木市の「アミューあつぎ」で、井上淳一監督の2019年作品『誰がために憲法はある』を観てきました。
 映画は渡辺美佐子さんらが主に広島で毎年行ってきた、原爆についての朗読劇を描いたドキュメンタリーで、映画の最初と最後に渡辺さんによる日本国憲法の前文の朗読が行われるのですが、ここではその前文をまず書いておこうと思います。(文語は口語に直してあります。)

「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないように決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、この福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基づくものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免がれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると信ずる。
 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う。」

また、前川喜平さんがこの映画に言及して述べた内容をレジメの形で下に記しておきたいと思います。

・日本国憲法は70年以上(1947.5.3から72年間)
大日本帝国憲法は60年弱(1890.11,29から55年間)
・日本国憲法は戦争の記憶が生々しいうちに生まれ今日まで風雪に耐えている
・憲法前文冒頭の「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意」
・米国の押し付け憲法論に反論 
米、英、仏、独など世界中の血が流れている
 全世界の願いが入っている
人類普遍の原理(前文)、永久の権利(97条) 
 イギリス 1215年 マグナ・カルタ(大憲章)法外な一時金と税、
厳しい税の取り立て、法や慣習無視に諸侯が団結、内戦に。王は圧力に屈し要求項目を認める。王による重税や財政的搾取を戒め専制に縛り。
 1688~89年 名誉革命 立憲君主制の政体樹立
 議会制度と国教会制度 権利の章典 
フランス 1789年 人権宣言 近代憲法 
多くの自由を国民に保障、「人権」の歴史上最初の姿
第1条(自由・権利の平等)人は自由かつ権利において平等なものとして
生まれ、生存する。社会的差別は共同の利益に基づくものでなければ設
けられない。
第3条(国民主権)すべての主権の淵源は本質的に国民にある。
いかなる団体もいかなる個人も国民から明示的に発しない権威を行使す
ることはできない。
 ドイツ 1919年 ワイマール憲法 基本的人権の生存権、教育権、
労働基本権など「社会権」が初めて規定された 
14年でナチスによって消滅
 日本
  五日市憲法などの自由民権運動
  1945.12.26 憲法研究会「憲法草案要綱」がGHQ案の下敷き 
高野岩三郎、馬場恒吾、杉森孝次郎、森戸辰男、岩淵辰雄、室伏高信、
鈴木安蔵
国民権利義務 国民は健康にして文化的水準の生活を営む権利を有す
・9条のルーツ
  1914年 第1次世界大戦
1928年 不戦条約 戦争の違法化
第1条 締約国は、国際紛争解決の為戦争に訴ふることを非とし、
且其の相互関係に於て国家の政策の手段としての戦争を放棄すること
を其の各自の人民の名に於て厳粛に宣言す。
  (中略)
  1945.10.24の国際連合憲章
   第2条 すべての加盟国は、その国際紛争において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。
・25条(生存権、国の社会的使命)は米国憲法にはない、ワイマール憲法にある 森戸辰男(帝国憲法改正案委員)が強く主張
・理想の実現は教育基本法に待つ 06年に教育基本法の改悪 改憲の前段階
・個人の尊厳(13条)
・自民党の改憲案
  個人より天皇、国家、民族の尊重 
家、親子の縦の関係重視、親を敬え
・立憲主義について 憲法は権力者が守るもの
・教育力の再認識 
憲法に基づく人権教育、市民教育 (後略)