アレクサンドル・ソクーロフ監督・共同脚本の'11年作品『ファウスト』をWOWOWシネマで見ました。
“ゲーテの原作を自由に翻案した”との字幕。雲の中を揺れる鏡。雲をすぎ、カメラは山々をとらえ、やがて山の裾の町へ降りていきます。臓物を引き出して死体を解剖し、魂や命の在り処を探すファウスト教授と助手のワグナー。死体の処理をワグナーに任せた教授は医師をしている父の許を訪ねますが、男の背骨を伸ばす拷問のような治療を行っていた父は、生きる意味など教えてやれんと言います。帰途、物取りに会う教授。鶴がいる庭で会社の所有者であると名乗るミュラーは、賢者の石を教授から買おうとしますが、ミュラーの声は教授には2重に聞こえます。生にも死にも価値はないと言う教授は、ミュラーから自分の著作へサインを求められます。聖セバスチャンの遺骨に言及する教授は、時間も金も使ってしまったと言います。“ヨハネの黙示録”の“はじめに言葉ありき”の部分を読む教授。自分が死んだら寂しいかと教授はワグナーに聞きます。
賢者の石を返しに来た男は毒ニンジンを飲んでも死なず、自分は悪魔だと言います。望遠鏡を覗き、月に猿を見る悪魔。彼は教授に知らないことを教えてやると言って、2人で町に出ると、洗濯女の集まる場所に行きます。そこでマルガレーテという娘を見初める教授。父に「失せろ」と言われた教授は、悪魔に羽が痛むと言われます。次に地下の酒場に繰り出すと、終戦を祝って若者たちが宴会をしていて、店の主人は教授に彗星はガスの塊だと教わります。若者といざこざを起こした悪魔は、棒を壁に突き立て、そこからワインが流れ出ると、その騒ぎに乗じて酒場を教授と逃げ出しますが、その際、教授は過って1人の青年を刺し殺してしまいます。その青年がマルガレーテの兄だと知る教授。兄の遺体は鹿がいる実家に運び込まれ、それを見ていた教授は悪魔に先に帰ってると言われます。悪魔はマルガレーテの母に貨幣を与えて慰め、葬列に教授も加わります。埋葬の際にマルガレーテの手に触れる教授と、それを受け入れるマルガレーテ。柩に野犬がまつわりつき、柩はすぐに埋葬されます。悪魔はマルガレーテの母と、教授はマルガレーテと森の中を帰りますが、森には熊がいます。死は存在し、学問は空しさを埋めるためのものだと言う教授。母は教授と一緒にいたマルガレーテを叱り、1人に許したら町中の男に狙われると言います。自分は清純で純潔だと語る悪魔。
人の心は懺悔を聞けば分かると悪魔に聞いた教授は、マルガレーテが毎日のように教会に来ると聞き、先回りして待ちます。母に添い寝するマルガレーテ。神父と悪魔は親し気に語り、ワグナーはマルガレーテに自分が本当のファウストで、その証拠に人工生命体の創造に成功したと言ってビーカーを見せますが、マルガレーテは逃げ出します。ビーカーが割れ、岩の上で呼吸する生命体。教会の懺悔室で「母を愛せない」と語ったマルガレーテに、教授も自分の母に嫌悪感を抱いていたと語ります。形見を握りながら40日間祈るのが過去の習慣だったと言うマルガレーテは、兄の形見を教授に渡し、教授は兄を殺したことを認めます。アヒルがいる中、ファウストの許をマルガレーテは訪ますが、教会の鐘が鳴ると去ります。教授が兄殺しであると母が気付いたと言うマルガレーテ。破産した者の抵当を運び出す悪魔。教授は悪魔に1晩だけでいいからマルガレーテと2人きりで過ごさせてほしいとネズミが這う部屋で言い、悪魔は魂が肉体を離れたらそれを引き渡すという契約書に血の署名をさせます。地下道を通ってマルガレーテの許へ向かう2人。池にいたマルガレーテを教授が抱き締めると、2人は池に沈んでいきます。マルガレーテがベッドに横たわる家に、まだ入るなと悪魔に言われる教授。時計は止まり、服は拘束服に代えられ、家を出ると、悪魔に鎧を着せられ、無理矢理馬に乗せられ、偉業をなすべき人間にされてしまいます。馬を降り、天国への階段だという岩場を登り、やげて流れの早い川に着くと、そこにいたワグナーにしがみつかれ、やっとふりほどいて先に進みます。魂をよこせと言う悪魔に、岩を投げつけ、押しつぶした教授は、悪魔に「どうやって出ていく?」と聞かれ、「どこへ行くの?」というマルガレーテの声が聞こえてきます。「あっちだ」と言う教授は氷河に向かって進み、カメラは上昇して映画は終わります。
幻想的であり、科白がやたら多く、黄色っぽい(ラストは白黒の)画面が特徴的な映画でした。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)
“ゲーテの原作を自由に翻案した”との字幕。雲の中を揺れる鏡。雲をすぎ、カメラは山々をとらえ、やがて山の裾の町へ降りていきます。臓物を引き出して死体を解剖し、魂や命の在り処を探すファウスト教授と助手のワグナー。死体の処理をワグナーに任せた教授は医師をしている父の許を訪ねますが、男の背骨を伸ばす拷問のような治療を行っていた父は、生きる意味など教えてやれんと言います。帰途、物取りに会う教授。鶴がいる庭で会社の所有者であると名乗るミュラーは、賢者の石を教授から買おうとしますが、ミュラーの声は教授には2重に聞こえます。生にも死にも価値はないと言う教授は、ミュラーから自分の著作へサインを求められます。聖セバスチャンの遺骨に言及する教授は、時間も金も使ってしまったと言います。“ヨハネの黙示録”の“はじめに言葉ありき”の部分を読む教授。自分が死んだら寂しいかと教授はワグナーに聞きます。
賢者の石を返しに来た男は毒ニンジンを飲んでも死なず、自分は悪魔だと言います。望遠鏡を覗き、月に猿を見る悪魔。彼は教授に知らないことを教えてやると言って、2人で町に出ると、洗濯女の集まる場所に行きます。そこでマルガレーテという娘を見初める教授。父に「失せろ」と言われた教授は、悪魔に羽が痛むと言われます。次に地下の酒場に繰り出すと、終戦を祝って若者たちが宴会をしていて、店の主人は教授に彗星はガスの塊だと教わります。若者といざこざを起こした悪魔は、棒を壁に突き立て、そこからワインが流れ出ると、その騒ぎに乗じて酒場を教授と逃げ出しますが、その際、教授は過って1人の青年を刺し殺してしまいます。その青年がマルガレーテの兄だと知る教授。兄の遺体は鹿がいる実家に運び込まれ、それを見ていた教授は悪魔に先に帰ってると言われます。悪魔はマルガレーテの母に貨幣を与えて慰め、葬列に教授も加わります。埋葬の際にマルガレーテの手に触れる教授と、それを受け入れるマルガレーテ。柩に野犬がまつわりつき、柩はすぐに埋葬されます。悪魔はマルガレーテの母と、教授はマルガレーテと森の中を帰りますが、森には熊がいます。死は存在し、学問は空しさを埋めるためのものだと言う教授。母は教授と一緒にいたマルガレーテを叱り、1人に許したら町中の男に狙われると言います。自分は清純で純潔だと語る悪魔。
人の心は懺悔を聞けば分かると悪魔に聞いた教授は、マルガレーテが毎日のように教会に来ると聞き、先回りして待ちます。母に添い寝するマルガレーテ。神父と悪魔は親し気に語り、ワグナーはマルガレーテに自分が本当のファウストで、その証拠に人工生命体の創造に成功したと言ってビーカーを見せますが、マルガレーテは逃げ出します。ビーカーが割れ、岩の上で呼吸する生命体。教会の懺悔室で「母を愛せない」と語ったマルガレーテに、教授も自分の母に嫌悪感を抱いていたと語ります。形見を握りながら40日間祈るのが過去の習慣だったと言うマルガレーテは、兄の形見を教授に渡し、教授は兄を殺したことを認めます。アヒルがいる中、ファウストの許をマルガレーテは訪ますが、教会の鐘が鳴ると去ります。教授が兄殺しであると母が気付いたと言うマルガレーテ。破産した者の抵当を運び出す悪魔。教授は悪魔に1晩だけでいいからマルガレーテと2人きりで過ごさせてほしいとネズミが這う部屋で言い、悪魔は魂が肉体を離れたらそれを引き渡すという契約書に血の署名をさせます。地下道を通ってマルガレーテの許へ向かう2人。池にいたマルガレーテを教授が抱き締めると、2人は池に沈んでいきます。マルガレーテがベッドに横たわる家に、まだ入るなと悪魔に言われる教授。時計は止まり、服は拘束服に代えられ、家を出ると、悪魔に鎧を着せられ、無理矢理馬に乗せられ、偉業をなすべき人間にされてしまいます。馬を降り、天国への階段だという岩場を登り、やげて流れの早い川に着くと、そこにいたワグナーにしがみつかれ、やっとふりほどいて先に進みます。魂をよこせと言う悪魔に、岩を投げつけ、押しつぶした教授は、悪魔に「どうやって出ていく?」と聞かれ、「どこへ行くの?」というマルガレーテの声が聞こえてきます。「あっちだ」と言う教授は氷河に向かって進み、カメラは上昇して映画は終わります。
幻想的であり、科白がやたら多く、黄色っぽい(ラストは白黒の)画面が特徴的な映画でした。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)