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周防正行監督『終の信託』その1

2013-10-19 10:05:00 | ノンジャンル
 周防正行監督・脚本の'12年作品『終の信託』をWOWOWシネマで見ました。
 川の堤防に花束を置く折井(草刈民代)。コート姿の彼女は検察庁に行き、呼び出し状を示して待合室に通されます。彼女を待たせておけと言う塚原検事(大沢たかお)に、助手は「どうして3年も経ってから告発したのですか?」と聞きます。検事に「主治医の先生が言うので、仕方がないと思った」と語る江木の妻。
 診察を受ける江木(役所広司)は詳細に喘息日誌をつけています。江木の主治医の折井は、江木が1月に一度は発作を起こし、今年に入って2度も入院していることから、慢性になってきていると告げます。吸入ステロイドだけでなく、副作用の強い経口ステロイドも飲まなければならないのでしょうか?と聞く江木に、効果と副作用のバランスを考えながらやっていきましょうと答える折井。
 夜の病室に折井が入ると、医師の高井(浅野忠信)が後ろから抱きしめ、二人はベッドの上で愛し合います。ホノルルの学会に行くという高井に、せめて見送りをしたいと折井が言うと、高井は誰かに見つかったらどうする?と言います。トイレの鏡で化粧を直していた折井は江木の発作を知らされ、急行します。落ち着いた江木は「恥ずかしいです」と折井に言うと、折井は「何も考えずゆっくり休んでください」と言います。
 折井は高井を飛行場で見送りに行きますが、高井には見知らぬ派手な女が同行していました。帰国した高井に女のことを追及する折井は、逆に「俺、結婚するなんていったっけ?」ととぼけられます。その夜、当直だった折井は体調がすぐれないと言って当直室で休みますが、酒と睡眠薬を飲み、自殺未遂を起こします。目覚めた折井に高井は「俺を病院から追い出すつもり? 本当にどうするの?」と言われます。
 江木を診察する折井は、もう退院できそうだと言うと、江木はこのCDのオペラの6曲目が素晴らしいので是非聞いてみてくださいと言ってCDを貸します。それは『私のお父さん』という曲で、江木が書いた訳詞を読みながら曲を聞いていた折井は泣き出します。CDの件で江木に礼を言う折井に、江木は「あの曲は悪党のお父さんから結婚資金をふんだくるために娘が歌う喜劇の曲だ」と教えます。
 検察庁の待合室で待たされる折井。塚原検事は約束の時間を30分過ぎても、聴取を始めようとしません。
 雨の日。江木は満州で育ち、ソ連が攻めてきた時、妹が撃たれ、痛くて泣き叫んでいた妹の声が段々弱くなり、いよいよ死を迎えると、早く楽になれるようにと母が子守唄を歌っていたことを最近よく思い出すと折井に語ります。人が死ぬ時、最後まで残るのが聴覚だと言い、自分が死ぬ時に例の子守唄を歌ってほしいと折井に頼みます。
 退院した江木が土手を散歩しているのに偶然会った折井は、CDを貸してくれた時、自殺つもりではなく、ただ全てを忘れて眠りたかったと言うと、江木は土手に沿って空と水が一緒になるところまで行くと、そこは子供の頃の満州で、自分が溶け込んで無になれる気がすると言い、長く看病してもらった妻にこれ以上辛い思いをさせたくないし、子供たちにもこれ以上苦労をかける訳にいかないと言い、妻にしてやれるのは介護から解放させてやること、治療費を抑えて金を残してやることだとして、「その時が来たら早く楽にしてください。ただ生かしておくために体中チューブにつながり、肉の塊として生かされたくない。僕は先生を信頼している。先生に決めてほしい、僕が我慢しなくていい時を」と言うと、折井は「分かりました。でも江木さんがいなくなったら、私どうしたらいいんですか? あなたがいてくれたから、私はここまでやってこれた」と答えます。
 土手で倒れているところを発見された江木は心肺停止の状態で病院に担ぎこまれますが、折井の心臓マッサージで血圧は戻ります。人工呼吸器をつけ、バイタルも落ち着きますが、意識は戻らず、自発呼吸も1分に1回か2回しかされません。無酸素状態が長く続いたので脳に損傷を受けていると妻に説明する折井。妻は夫が最近薬も飲まず、寒い中1人でなぜ土手などに行ったのだろうか?と言います。(明日へ続きます‥‥)

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto