北尾トロさんが推薦していた、清水義範さんのソノラマ文庫の一冊、'88年作品の『羽黒冥府道』を読みました。
諸戸征人(もろとまさひと)は叔父の諸戸貞夫とともに、霊媒師の許を訪れます。吉野大峯山の山中で、怪異に遭遇してからひと月近くが過ぎていました。その際、美少女美由(みゆ)の口を借りて語られた何者かの霊の言葉を反芻しました。それは、人間界と霊界との間にある〈壁〉が破れ、穴があいている、そしてその穴を通って、悪霊が正しくない輪廻、邪輪廻をしてこの世に甦っているという話、善霊と悪霊が戦っているという話でした。そしてその話の中には政界の黒幕、秦政二郎の名前も出ていました。霊媒師には悪霊が憑き、征人に「羽黒へ来い。生まれ変わる祝いに、その山の中で、貴様を殺す」という言葉を残して去っていきます。
病院では大峯山で雷に打たれケガをした霞の行者の看病を美由がしていました。美由の祖母は、彼女の母が育った東京に行ってもいいと言ってくれるのでした。
征人と貞夫はジャーナリストの宮家に秦政二郎のことを調べてほしいと言います。経歴から何から全て謎の秦に興味を持った宮家は、早速調査を開始します。征人と貞夫は悪霊が言っていた羽黒とは山形県の羽黒山であろうと推測し、征人は部活の先輩から護符をもらい、上京してきた美由と叔父とともに羽黒山に向かいます。大峯山で征人を殺そうとした大男、檜笠才蔵も、好奇心から彼らを追います。新幹線の中で、征人らは、霞の行者の話で、高名の修験者が羽黒山で全身に切り傷をつくって、高い杉の木の上のほうの枝にひっかかって死んでいたという事件のことをを話します。
彼らは霞の行者の紹介で、阿古屋の聖という行者を訪ね、彼に羽黒三山を案内してもらいます。そこには即神仏が多くある地域もありました。ある晩、美由に善霊が憑き、間もなく、この羽黒山に邪輪廻しようとしているものの名は亜死羅で、西補陀落(にしふだらく)と呼ばれる秘所で生まれようとしている、と予言します。一方、秦の邸宅の庭に侵入して様子を伺っていた宮家は、秦に見つかり、斬堕気(ざんだき)と呼ばれる悪霊に斬り刻まれ死にます。
阿古屋の聖は、征人らを東補陀落という奇岩のある場所に連れていきますが、西補陀落という場所は伝説となっていて、今はどこにあるか分からないと言います。征人は自転車に乗り、山々を巡ってその場所を探しますが、ある日トンネルに入ると、途中から幾つにも分かれ、やがて敵の罠にはまったことを知ります。しかし、そこに現れた摩天道人という名の老人に助けられます。湿原では地中から現れたミイラたちに襲われますが、檜笠が現れ、一緒に戦ってくれ、駆けつけた美由は指先から白光を放ってミイラたちを倒すのでした。
彼らに宮家の死のニュースが知らされます。そして彼らの前に摩天道人が現れ、彼らを西補陀落に連れていってくれます。そこにも奇岩がありましたが、空がみるみる暗くなり、無数の餓鬼玉とミイラと斬堕気が襲ってきます。征人は座禅を組んで呪文を唱えると、彼の体から白光が広がり、悪霊は退散します。そしていよいよ巨大な鬼の首が現れますが、征人の放つ白光の中で宙に跳んだ摩天道人が鬼の額に一撃を食らわすと、鬼の顔は2つに割れ、無数の破片に砕け散りました。その後に出て来た悪霊の本体は、「ここで生き返ることはあきらめるが、おれが生まれ変わる時の用意に、ここにある黄金はもらっておこう」と言うと、怪光が奇岩に当たり、奇岩が割れると、中から大量の金塊が現れ、それが宙に浮くと、北の空に飛んで行ってしまいました。征人は、秦という既に邪輪廻をしていう者もいるし、これからも決して油断はできない、あくまでも戦う、と心に誓うのでした。
ここに書いたのは、内容のほんの一部で、他にも面白いエピソードが満載で、ワクワクドキドキする小説をお探しの方には是非お勧めしたい本でした。この本はシリーズの2册目ということで、機会があれば、シリーズの他の小説も読んでみたいと思います。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)
諸戸征人(もろとまさひと)は叔父の諸戸貞夫とともに、霊媒師の許を訪れます。吉野大峯山の山中で、怪異に遭遇してからひと月近くが過ぎていました。その際、美少女美由(みゆ)の口を借りて語られた何者かの霊の言葉を反芻しました。それは、人間界と霊界との間にある〈壁〉が破れ、穴があいている、そしてその穴を通って、悪霊が正しくない輪廻、邪輪廻をしてこの世に甦っているという話、善霊と悪霊が戦っているという話でした。そしてその話の中には政界の黒幕、秦政二郎の名前も出ていました。霊媒師には悪霊が憑き、征人に「羽黒へ来い。生まれ変わる祝いに、その山の中で、貴様を殺す」という言葉を残して去っていきます。
病院では大峯山で雷に打たれケガをした霞の行者の看病を美由がしていました。美由の祖母は、彼女の母が育った東京に行ってもいいと言ってくれるのでした。
征人と貞夫はジャーナリストの宮家に秦政二郎のことを調べてほしいと言います。経歴から何から全て謎の秦に興味を持った宮家は、早速調査を開始します。征人と貞夫は悪霊が言っていた羽黒とは山形県の羽黒山であろうと推測し、征人は部活の先輩から護符をもらい、上京してきた美由と叔父とともに羽黒山に向かいます。大峯山で征人を殺そうとした大男、檜笠才蔵も、好奇心から彼らを追います。新幹線の中で、征人らは、霞の行者の話で、高名の修験者が羽黒山で全身に切り傷をつくって、高い杉の木の上のほうの枝にひっかかって死んでいたという事件のことをを話します。
彼らは霞の行者の紹介で、阿古屋の聖という行者を訪ね、彼に羽黒三山を案内してもらいます。そこには即神仏が多くある地域もありました。ある晩、美由に善霊が憑き、間もなく、この羽黒山に邪輪廻しようとしているものの名は亜死羅で、西補陀落(にしふだらく)と呼ばれる秘所で生まれようとしている、と予言します。一方、秦の邸宅の庭に侵入して様子を伺っていた宮家は、秦に見つかり、斬堕気(ざんだき)と呼ばれる悪霊に斬り刻まれ死にます。
阿古屋の聖は、征人らを東補陀落という奇岩のある場所に連れていきますが、西補陀落という場所は伝説となっていて、今はどこにあるか分からないと言います。征人は自転車に乗り、山々を巡ってその場所を探しますが、ある日トンネルに入ると、途中から幾つにも分かれ、やがて敵の罠にはまったことを知ります。しかし、そこに現れた摩天道人という名の老人に助けられます。湿原では地中から現れたミイラたちに襲われますが、檜笠が現れ、一緒に戦ってくれ、駆けつけた美由は指先から白光を放ってミイラたちを倒すのでした。
彼らに宮家の死のニュースが知らされます。そして彼らの前に摩天道人が現れ、彼らを西補陀落に連れていってくれます。そこにも奇岩がありましたが、空がみるみる暗くなり、無数の餓鬼玉とミイラと斬堕気が襲ってきます。征人は座禅を組んで呪文を唱えると、彼の体から白光が広がり、悪霊は退散します。そしていよいよ巨大な鬼の首が現れますが、征人の放つ白光の中で宙に跳んだ摩天道人が鬼の額に一撃を食らわすと、鬼の顔は2つに割れ、無数の破片に砕け散りました。その後に出て来た悪霊の本体は、「ここで生き返ることはあきらめるが、おれが生まれ変わる時の用意に、ここにある黄金はもらっておこう」と言うと、怪光が奇岩に当たり、奇岩が割れると、中から大量の金塊が現れ、それが宙に浮くと、北の空に飛んで行ってしまいました。征人は、秦という既に邪輪廻をしていう者もいるし、これからも決して油断はできない、あくまでも戦う、と心に誓うのでした。
ここに書いたのは、内容のほんの一部で、他にも面白いエピソードが満載で、ワクワクドキドキする小説をお探しの方には是非お勧めしたい本でした。この本はシリーズの2册目ということで、機会があれば、シリーズの他の小説も読んでみたいと思います。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)