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中原中也全詩集

2013-10-08 11:12:00 | ノンジャンル
 石井輝男監督・共同脚本の'73年作品『やさぐれ姐御伝 総括リンチ』をスカパーの東映チャンネルで見ました。女の壺振り師を池玲子が、彼女の味方のやくざを内田良平が、女陰を使ってヤクを運ばせている悪役を遠藤辰雄と名和宏が、先代の親分を嵐寛寿郎が写真だけで出演していました。カスバを思わせる迷路のような路地や、先代の親分の娘が入院させられる精神病院の道化師のような入院患者など、見どころ満載でした。


 さて、角川ソフィア文庫の『中原中也全詩集』を読みましたが、あの『サーカス』以外の作品は饒舌なものが多く、文字の配列を様々な置き方にするなど、実験的なものも中にはあったりもしたのですが、やはり『サーカス』の突出ぶりが目立っていました。ここで『サーカス』を再録しておきます。
「幾時代かがありまして
   茶色い戦争ありました

 幾時代かがありまして
   冬は疾風吹きました

 幾時代かがありまして
   今夜此処(ここ)での一(ひ)と殷盛(さか)り
     今夜此処での一と殷盛り

 サーカス小屋は高い梁(はり)
   そこに一つのブランコだ
 見えるともないブランコだ

 頭倒(さか)さに手を垂れて
   汚れ木綿の屋蓋(やね)のもと
 ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

 それの近くの白い灯が
   安値(やす)いリボンと息を吐き

 観客様はみな鰯(いわし)
   咽喉(のど)が鳴ります牡蠣殻(かきがら)と
 ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

      屋外(やぐわい)は真ッ闇(くら) 闇(くら)の闇(くら)
      夜は劫劫と更けまする
      落下傘奴(らくかがさめ)のノスタルジアと
      ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto