海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「スンニー派アラブ人も投票所へ」と題する『ロサンゼルス・タイムズ』紙の記事。

2009年02月02日 | イラク問題
バグダッド発:アブ・ムジャヒードは、先月、米陸軍のハムヴィーを攻撃し、二人のアメリカ兵を負傷させたことを自慢している。今は彼はスンニー派の候補者を応援し、治安の重要性について当たり前のようにしゃべっている。
「これは休戦協定のようなものだ。選挙は、安全な環境で実行されるだろう」とアブ・ムジャヒードは言う。彼は、スンニー派アラブ人のグループである「1920革命防衛隊」の活動的なメンバーだ。「われわれは人々に投票を許し、彼らに他のグループからの圧力なしに決定させたいのだ。」
片足は政治的プロセスにつっこみ、他方の足は、しっかり、暴力行為に根ざしながら、アブ・ムジャヒードのような戦士は、過去5年間のスンニー派コミュニティの進化をかいま見させてくれる。イラクの増大するシーア派多数派と背景にいる米国に対してゲリラ戦争を遂行していた状態から、選挙による政策を一時的に採用するまで。
アブ・ムジャヒードの曖昧な態度は、イラクの傷つきやすい民主主義に対して賭けようという決断がどれほど殆どひっくり返りやすいかを物語っている。銃は、変化を結果するための、有効な道具だとまだ見られている。
「米軍が撤退し、彼らが選挙を通じては、前進できないと感じ、米国がシーア派指導者達に武器を供与したら、彼らはまた、暴力行為に返るだろう」と「国際危機グループ」のイラク専門家のヨースト・ヒルターマンは言う。「彼らにとっては、イラクのアイデンティティとその中での自分たちの役割が大事なのだ。彼らは閉め出されることは受け入れないだろう。」
住民の態度は、県によって異なっているが、武装したスンニー派アラブ人のグループの概観は、2005年に行われた国民投票とは大きく変化している。あのときは、武装勢力は、投票すれば殺すぞとスンニー派のコミュニティを脅していた。バグダッドでは、以前の武装勢力は、スンニー派と一緒に候補者名簿に登録した。スンニー派の反乱と同義語だったバクバやサマラでは、武装勢力は、候補者を支持した。
スンニー派武装勢力が参加する事態に警告されて、シーア派政治家達は、好戦的な連中が、政府部内の職を取りたがっていることを心配している。なぜなら、彼らはこの国の新しい秩序を壊すかもしれないからだ。(後略)
[訳者の感想]宗派の対立は余り緩和されたように、見えませんね。米軍が撤退した後で内戦が始まる可能性さえあります。サウディ・アラビアなどは、スンニー派を支持するでしょう。
コメント
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