海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「金持ち中国のジレンマ」と題する『ツァイト』紙の記事。

2007年11月27日 | 国際経済
 少し前まで、中国は、安価な製品を製造し、輸出する世界の工場だと思われていた。中国が世界の金融大国であるとは誰も言わなかった。だが、あっという間に中国は金融大国になった。中国共産党のコンツェルン「中国石油」は、数年前にはまだ、落ちぶれた国家企業だった。初めて上海株式市場に上場すると、それは、アメリカの石油コンツェルン「エクソン」をしのいで、世界で最も株価価値のある企業になった。
 それから、中国中央銀行のシュウ・ジアンが来て、次のように言った。「基軸通貨としてのドルは、動揺している。ドルで表示された資産価値の信用価値は下がっている。」それは、ドルがユーロに対して記録的な下げを示した日だった。
 予想できなかったのは、為替の展開ではなくて、初めて中国人がこのような事柄について、一緒に語ったという事実である。中国共産党の幹部は、こういう言葉を述べて、ドルを下落させたのだ。
 だが、それでもって彼らは自分自身に損害を与えたかもしれない。なぜなら、彼らは、予想されなかった問題を前にしている。つまり、あまりに沢山のドルを持っているという事実である。「われわれはわれわれ自身の金を使えない」と北京の社会科学院経済研究所の経済学者ズオ・ダペイは不平を述べた。責任は、中国中央銀行にある。「それは外貨保有量をあまりに急速に増やしてしまった」とズオは言う。
 数年前から、中国中央銀行は、「人民元」をやすく保つために、ドルを大量に買った。人民元は、中国の通貨のことである。低い人民元は、中国の輸出経済を助けた。なぜならば、中国製の商品が外国人にとってはそれだけ安かったからである。こうして、中国は世界中で最も多くの外貨を保有することになった。
 二年前に、北京政府は、ドル・ペッグを少しゆるめた。元は一日に0.5%だけ上下してもよいということになった。それは理論的には平価切り下げに等しい。過去二年間に、中国通貨は、ドルに対して約5%だけ切り上げられた。これはあまり劇的には聞こえない。もし元が自由に取引されれば、ドルに対して、30%か40%切り上げられるだろう。だが、中国中央銀行にとっては、5%の切り上げでもかなりのものである。なぜなら、中国が保有する外貨を1兆ドル(108兆円)と見積もると、500億ドル(5兆円)の目減りを意味するからである。腐敗した共産党幹部でも、良心の呵責を覚えるだろう。
「われわれは、弱い通貨に対して強い通貨を優先すべきだろう」と北京の人民会議の常任委員会副議長である陳シウエイが言った。この言葉がきっかけで、先週、ドルはさらに下がった。(以下省略)
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