海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

不幸な偶然か、それとも計画的暗殺か?スグレーナ記者の事件

2005年03月07日 | 国際政治
イラクの反政府組織に誘拐されていたイタリア人女性記者が解放されて、バグダッド空港に向かう途中、検問所でアメリカ兵に銃撃された事件について、ドイツの新聞『ツァイト』に掲載された記事。(スグレーナ女史は、『ツァイト』紙の特派員を兼ねていた。)
 ジュリアナ・スグレーナは、「自分を乗せた車列に対する銃撃は、アメリカ人の計画的な待ち伏せであった」とアメリカ軍に対して重大な非難の声を上げた。イタリアのテレビに対して、彼女は、「自分が攻撃の標的であったという可能性は否定できない」と述べた。誘拐者達は、彼女を解放する前に、「アメリカ人に気をつけろ」と警告した。その理由として、彼らは「お前が帰ることをアメリカ人達は望まないからだ」と言った。事件についての報告は矛盾している。アメリカ側の報道では、スグレーナを乗せた車がバグダッド空港に通じる道路上で検問所に向かって余りに速い速度で走っており、警告の信号を出したにもかかわらず、停車しなかったと言う。これに対して、スグレーナは、自動車は普通のスピードで走っており、射撃された時には運転手は、「俺たちはイタリア人だ」と繰り返し叫んだと言う。それ以前にアメリカ兵は何の警告も行わなかったと言う。
 更に、この悲劇的な事件がある検問所で起こったのか、それとも公道上で起こったのかという点も明らかでない。スグレーナによれば、事件は道路上で起こったと言う。彼女の車はパトロール中のアメリカ兵によって射撃されたと言う。このことは、他の生存者によっても裏書きされている。
 情報機関員のニコライ・カリパリは、事故現場で即死した。死因は、弾丸がこめかみを貫通したためである。彼に対しては、死後、勲章が授与され、国葬が行われる予定である。
 スグレーナの夫、ピエル・スコラーリは、アメリカに対して故意の殺害未遂だと主張している。「ジュリアナがアメリカ軍にとって危険になりうる情報を持っていたから、アメリカ軍は、彼女が生きて出てくることを望まなかったのだ。」
 56才のスグレーナがどうして解放されたかということの詳しい事情は、いまなお分からない。約1ヶ月前の誘拐の始めに、100万ドル(1億円)が身代金として要求された。イタリアのメディアでは、3月6日現在、600万ドル(6億円)が支払われたと言われている。イラク議会のキリスト教徒議員であるヨナダム・カンナによれば、100万ドルの身代金が支払われた。彼によると、誘拐したのは倒されたサダム・フセイン・イラク大統領の支持者である。
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