杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

「同情」と「共感」の違い

2009-10-24 21:15:20 | NPO

 この週末、静岡ではいろんなイベントが重なって、どれもちょっとずつご縁があるので顔を出さなきゃと思っているのですが身一つではなんとも・・・。できれば開催日、分散してほしかったなぁ。

 

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 まず静岡市駿河区のツインメッセで昨日(23日)から開催中の『しずおか新産業技術フェア2009』。静岡県商工会連合会のブースで、このブログでも紹介した田中造園(浜松市)の竹粉末の土壌改良剤「混ぜる竹(まぜるだけ)」を展 示即売しています。地元の孟宗竹を微粉末化し、乳酸発酵させた自然100%の改良剤。これを使ったおかげで甘みがグ~ンとのったミニトマトやさつまいもの試食も行っています。

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 同ブースでは、私が過去ネーミングや広報物を手掛けた静岡県産フルーツゼリー『ふじやまさんちのいつかちゃん』、静岡の酒と肴の玉手箱『つまんでごろーじ』も紹介しています。

 

 

 

 また、富士川町の菓子店さんが、清水の手作りみその老舗・木嶋こうじ店の白みそを使った『みそみそプリン』という新商品を展示即売しています。木嶋こうじ店(清水区袖師・旧国道沿い)は、駆け出しライターだったころ、手作りみ そやしょうゆの老舗を取材リサーチしていたとき、祖母の実家(昔、清水区高橋でみそ醸造してました)に紹介してもらって取材して以来、20年来愛用しているみそ屋さん。「木嶋さんのみそでプリン?」とびっImgp1545 くり感激し、おいしく試食させてもらいました。

 

 それから過去ブログでも紹介した、やまと興業さん(浜松市浜北区)のカテキン微粉末茶の紹介や、静岡油化工業さん(静岡市駿河区)の芋焼酎「磯五郎」の注文予約も、会場内で出来ます。しずおか新産業技術フェア2009は明日25日(日)までの開催ですが、お時間の許せる方はぜひ。

 

 

 

 

 今日(24日)は他に、中日新聞全国新聞大会特集で紹介した井川の本山熟成茶お茶壺道中や藤枝地酒まつりにも行きたかったのですが、お天気がイマイチだったこともあり、午後からふじのくにNPO活動センターのセミナーに参加しました。

 

 『NPOプレゼン力アップ講座~“プレゼン力”が会員・寄付金を集める!』という興味をそそられるセミナーで、講師は日本人で初めて非営利経営修士号を取得されたという経営コンサルタント・明治大学公共経営学科兼任講師の坂本文武さん。プレゼンテーション能力ってコピーライティングにも通じるものがあるし、目下、映画制作資金不足の身としては寄付金集めのテクニックがあるなら是が非でも身につけたいところ。クレバーで歯切れのよいImgp1548 坂本さんの解説に聞き入り、3時間の講義があっという間でした。

 

 

 内容的には、企業なら企画社員や営業社員研修などでフツウに教えるイロハだったようですが、改めて相手に自分の意図を理解してもらう、共感してもらう、行動を起こしてもらうために何が必要か、私のように一匹狼のフリーランサーには整理して考える機会がなかったので、とても新鮮でした。

 たとえば、プレゼンの場で相手に伝わりやすい言葉の使い方は、ワンセンテンス7~10秒。「起承転結」ではなく、「結」を最初に持ってくる。・・・うん、これはCMやポスターのキャッチコピーを作る時も無意識にそうしてますね。

 相手に自分のメッセージを伝えるには、相手に好かれようとする恋愛トークと同じで、共通の話題を(無理してでも)見つけるとか、自分の土俵を相手に近づけることが肝要。試しにセミナー参加者(初対面)同士で、全員の共通項を挙げるというゲームをしたのですが、坂本さんから「6人のグループなら20ぐらいは共通項が挙がるはず」とプレッシャーをかけられました。

 

 

 

 プレゼンのときって、ついつい自分の思いを伝えたいあまり「オレオレトーク」に陥りがちなんですが、坂本さんは「相手が聞きたい話をしなきゃだめ。そのためには相手を具体的に想像し、慮り、絞り込む。マーケティングでいえば消費者を擬人化(ペルソナ)する。そうしないと相手との接点を見つけにくい」と言います。

 Imgp1551  最高の「接点」=「共通項」とは、わかりやすくいえば「目標」。でもNPOの場合、「子どもが生き生きと育つ社会づくり」とか「高齢者が生きがいを持つ社会」とか、私なんかでいえば「静岡に酒文化が育つように」というように、表現が“定性的”なんですね。これを定量化することが大事。坂本さんが挙げた例では、職場で社員がどことなく覇気がない。そこで社員を元気にさせよう!という定性目標を立てた。で、具体的に何をしたかといえば、「会社の玄関にスピードガンを、社内に騒音計測器を置いた」。社員が出勤するとき、重い足取りか、軽快な足取りかを数値化する。あるいは社内がシーンと静まりかえっているか、会話が活発に交わされているかを数値化して示す、というわけです。

 現実離れした例かもしれませんが、誰が、何を、いつ、どのレベルまで達成するか、政治でいうマニフェストを作るというのは、事を進展させる上で大事な原動力になるなと思いました。

 

 

 「同情」と「共感」はきちんと分けて考えなければいけません。自分のことでいえば、「酒造りのドキュメンタリー映画を自主制作したい」と言い出したとき、“特定のスポンサーや後ろ盾なしで、映画作りですって”“マユミさんもそういう目立つことを次々とやっていかないとタイヘンなのねぇ”と、冷やかし&同情半分の人もいたと思います。なんやかんやで20年以上酒の世界に関わってきたので、おつきあいで、と寄付してくれた人が大半だったと思います。

 それはそれで、目標資金の半分強は集まったのですが、「同情」や「つきあい」はこれが限度なんですね。・・・この先は、このプロジェクトに真の意味で「共感」してくれる人を発掘していかなければ。

 

 

 坂本さんによると「同情なら1000円、共感した人は1200円寄付する」そうです。事実、吟醸王国しずおか映像制作委員会にも、最初は普通会員一口で、しばらくして「少し飲み代を貯えたから」と本醸造会員、吟醸会員に、と寄付金をUPしてくれた人がいます。その人は静岡の酒造りの映像化に深く共感してくださったのだと思い、そんな人が一人でもいるなら、やる価値はあるんだと強く励まされました。

 真に共感し、目標を認識して行動を起こしてくれる人を、一人でも増やしていく・・・そのためにも定量化目標をきっちり立てることが必要だと自分に言い聞かせました。

 

 とても実のある3時間のセミナー。しかも無料!。次回は12月5日(土)13時30分~16時30分、同じく坂本文武さんが「NPOリーダーの条件」について解説してくれます。直接NPO活動はしていなくても、何らかの組織やグループで運営上の悩みを持つ人はとてもタメになると思います。

 お問い合わせはふじのくにNPO活動センターまでどうぞ!

 電話054-274-2996 

 メールwebmaster@fuji-npo.jp

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