杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

フランケンシュタインとホビット

2014-03-30 21:22:11 | 映画

 年度末バタバタしている中、急に2日間ぽっかり空いたので、取材予定先の下見を兼ね、東京へ行ってきました。観たい映画や展覧会が目白押しでした。

 

 

 一番のお目当ては、日本橋の新名所・コレド室町2にオープンしたTOHOシネマズ日本橋で限定上映の『フランケンシュタイン』。ロンドンのロイヤルナショナルシアターで上演された舞台のライブシネマです(こちらをご参照を)。

 お気に入りの英国ドラマ『SHERLOCK』で現代版シャーロックホームズを演じたベネディクト・カンバーバッチと、米国ドラマ『エレメンタリー』でNY版シャーロックホームズを演じたジョニー・リー・ミラーが、ブレイクする前、怪物と博士を相互に演じて数々の演技賞を受賞した話題の舞台。後に同じ役をまったくテイストの違うドラマで演じるなんて面白いですよね。

 

 

 28日に観たのは、カンバーバッチが博士役、ミラーが怪物を演じたもので、二人の怪演に圧倒されっぱなしでした。演出は映画監督のダニー・ボイル。『トレインスポッティング』『普通じゃない』『ザ・ビーチ』『スラムダッグ$ミリオネラ』『127時間』と、この人の作品はよく観ていて、どの作品も人間の泥臭さを手痛く、かつスタイリッシュに表現しています(ロンドン五輪開会式の演出はやや大人しかったような気も・・・)。

 今回の舞台は、今まで映像化されてきたフランケンシュタインのイメージとは異なり、怪物も博士も若くてエネルギッシュでカッコいい。映画と違い、舞台のシンプルなセットのせいか、二人の存在感がよけいにビンビン伝わってきます。今更ながら、身ひとつで表現する舞台こそが、役者の真の力量を示すものだと解る。否が応でも本物の舞台を見たくなります、ホント。

 

 カンバーバッチが怪物を演じた回もスゴイみたいで、こちらは今週末の上映予定。残念ながらチケットは完売のようです。

 

 

 

 

 

 今回、間際にもかかわらず運よく入手できたチケット、TOHOシネマズ日本橋の巨大スクリーン“TCX”と最新音響システムDOLBYATMOSを装備したスクリーンでの上映で、今までにない臨場感で楽しめました。席は最後尾でしたが、スクリーンが壁一面のデカさで、アトモスというドルビーの革新的なシネマ音響によって、最後尾のハンディはまったくありません。

当初、映像で、舞台のナマの迫力がどこまで伝わるのか懐疑的でしたが、こういう映画館なら観る価値があるなあとしみじみ。観た後はどうしてもナマの舞台に行きたくなるし(ロンドンは遠すぎるけど)、舞台製作者にとってメリットは大きいはずですね。

 

 

 

 ちなみに、新規オープンのコレド室町2、1階にはヴィノスやまざきさんがワインショップを開店されていました。ワインだけかなと思ったら、店頭に堂々と静岡の地酒!・・・しかも磯自慢、開運、初亀、喜久醉、國香と実力銘柄がズラリ。日本橋のど真ん中で、実に誇らしいです。ヴィノスやまざきさんありがとうございます!

 

 

 

 

 翌29日には、ユナイテッドシネマとしまえんまで行って『ホビット~竜に奪われた王国』を観て来ました。大好きな『ロード・オブ・ザ・リング』3部作の60年前のお話で、童話として有名ですよね。映画化された『ホビット』も3部作で、『竜に奪われた王国』は2作目。1作目の『思いがけない冒険』を、IMAXシアターのHFR3D版上映のある湘南まで観に行った話はこちらで紹介しました。

 

 『竜に奪われた王国』も、通常の2D版は静岡で観たのですが、TOHOシネマズ日本橋で新しい映像装置の素晴らしさを体感した後だっただけに、やはりIMAXシアターのHFR3D版を観たくなり、ネットで調べたら都内でも数館しかなくて、朝9時10分から上映するユナイテッドシネマとしまえんまで遠征することに。

 

 1作目もIMAXとHFRのスゴさを堪能できたけど、2作目は激流の川下りやら巨大竜との戦いなど“規格外”のアクションシーン満載で、よけいにIMAXとHFRのよさが発揮されたと思いました。進化する映像技術をいかんなく活かす映像表現・・・映画監督には途方もない空間デザイン力が求められる時代になったようです。

 

 

 ちなみにホビット3部作の主演は、『SHERLOCK』でワトソンを演じるマーティン・フリーマン。ワトソンは実にはまり役ですが、ホビットの主役ビルボ・バギンズは彼以外に想像できない、ベスト・オブ・はまり役!。非日常なシチュエーションを、常識的な表情やしぐさで自然にさりげなく、でもちゃんと観ている者にビルボの内面が伝わるように演じきるプロフェショナルです。ホームズ役のカンバーバッチが、ホビットでは悪の巨大竜をモーションキャプチャーで演じ、マーティン演じるビルボと対決するのがこれまた面白いのです。監督のピーター・ジャクソンは絶対にドラマSHERLOCKのファンなんだろうなあと思いました。

 

 5月から、NHK BSプレミアムで、SHERLOCK第3シリーズが始まるようです(こちらを)。たぶん放送前にはSHERLOCK第1シーズン、第2シーズンの再放送もあると思いますので、見逃した方にはぜひおススメします。