杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

菊川の『チェンジ!』

2009-01-13 18:36:07 | アート・文化

 フリーランサーの性というのか身体に染み付いた癖なんでしょうか、やっかいな仕事が一つ二つ片付き、取材や打ち合わせのない日曜休日、判で押したように熱が出ます。11~12日は、2日間で30時間以上寝たんじゃないかな。こんなに寝だめしたの久しぶり。

 

 12日、宅配便の訪問で目が覚めて何が届いたかと思ったら、なんと電動歯ブラシ。前回のブログで歯肉炎のことを書いたら、オクラホマで看護師をしている妹が、Amazon経由で、全米の歯科医イチオシというPHILIPS社のsonicareを送ってきたのでした。値段を見たら、いつもドラッグストアの特売で買う歯ブラシよりゼロが2つ多いのにビックリ!「頭痛までするなら、歯茎が膿んでいるかもしれないからすぐに歯医者に行って抗生物質をもらいなさい」と注意書きがしてありました。…持つべきものは医療専門家の身内ですね(苦笑)。

 

 寝だめ&高額電動歯ブラシのおかげか、今朝は熱が下がり、歯痛がおさまり、化粧のノリがいつになくよく(やっぱり肌荒れ改善には睡眠です)、取材先の菊川まで少し時間をかけてゆっくりドライブ。県広報誌MYしずおかの特集で、今秋、静岡県下全域で開催される第24回国民文化祭しずおか2009についての取材です。

 

 

 国民文化祭(ちょっと名前がカタイよね)とは、国体の文化祭版のことで、一般の認知度というと、県の調査で07年度は13%、08年度は25・6%ほど。4人に1人ぐらいは浸透しているといったところでしょうか。

 

 私は、グランシップで上演されるという国文祭用のオリジナル演劇『ビューティフル・フジマヤ』の脚本家に、脚本採用のお祝いに地酒を贈呈する手配を頼まれたりもしたので、もちろん事前に知っていましたが、日頃から活動しているアマチュア劇団や文化サークルの作品発表会の規模の大きいヤツ、ぐらいにしか認識していませんでした。

 

 10月24日から11月8日までの期間中、県内全市町で何らかのプログラムが組まれており、たとえば浜松では音楽の街らしく市民オペラや演劇「三方原合戦」に吹奏楽フェスティバル、沼津では伊豆文学フェスティバル、伊豆の国市では演劇やオペラで郷土の偉人・江川太郎左衛門の生涯を紹介する…というように、各地域にちなんだ催事が企画されているようです。

 

 

2009011314180002  静岡らしく、お茶がらみの催事や発表会もいくつかの市町で企画されていますが、中でもユニークなのが菊川市。『お茶の波紋from菊川』と題した総合イベントは、駅前商店街をステージにした街道文化祭、中央公民館でのこども芸術祭、文化会館アエルでの演劇&体験イベントの3本立て構成で、街道文化祭ではお茶を使った創作新料理「きくがわガレット」や、ブラジル人居住者も巻き込もうとお茶とコーヒーの比較対決など、今までのお茶イベントにはない楽しそうな味わい体験メニューが組まれています。

 

 菊川市の担当者が熱を込めて推すのが、演劇『チェンジ』。菊川市出身の漫画家小山ゆうさんの原作を、小笠高校演劇部顧問の大庭久幸さんが台本化し、『丘の上から』の鈴木慎太郎監督が演出を手掛ける作品です。鈴木監督からこの話を事前に聞いていたので、実は今日は、この話を聞くのが一番の楽しみでした。

 

 内容は、夢を追う高校生の青春ファンタジー、とのことですが、あまり詳しくは聞きませんでした。なにせ、担当の笠原活世さんが、「小山ゆうさんの原作も素敵なんだけど、大庭先生の脚本が素晴らしくて素晴らしくて、もう、身ぶるいしちゃうくらい!」と力説するので、今、聞いてしまうのがもったいなくなったのです。笠原さん曰く、「小山ゆうさんの原作で、常葉菊川の野球部が舞台で、お茶のこともちゃんと絡んでくる、菊川市民の誰もが納得し、誇りに出来る作品!」だそうです。

 

 

 大庭先生というのは、鈴木監督がほれ込んであっという間に映画にしてしまった『丘の上から』の作者でもあります。「高校の演劇部顧問にしておくにはもったいない才能」という笠原さん。『丘の上から』を観た限り、私もまったくそのとおりだと思い、ますます『チェンジ』に期待が高まりました。

 

 本格的な稽古が始まるのはこれからだそうですが、これも何かの縁ですので、折につけ、経過報告が出来ればと思います。

 なお、菊川市の常葉美術館では、国文祭に合わせて小山ゆうさんの原画展も予定されています。『チェンジ』のほか、『あずみ』や『がんばれ元気』などヒット作品のカラー原画や原稿が展示されるそうですので、ファンはお楽しみに!

 

 それにしても菊川市というのは、『丘の上から』の映画化に全面協力した例をみても、芸術活動に理解のある市民が多いんだなと実感しました。

 

 帰り際には笠原さんから、「個人的に活動していますので、ぜひ応援してください」と、地元劇団の公演パンフレットをいただきました。ちょっとソソられる内容なので、仕事がなければぜひ行こうと思います。

 

Photo

◆ミュージカルシアターSTAGE21 第5回公演『ジュウシチネンゼミ』

日時/2月14日(土)18時(開場30分前)、15日(日)14時30分(同)

会場/菊川文化会館アエル大ホール

料金/当日1200円(前売り1000円)

問合/事務局 笠原さん TEL 0537-36-5519