東京ナイト

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「江戸のセンス」

2010-01-13 21:40:09 | 
本は「江戸のセンス」(集英社新書)



浅草の老舗扇子屋の主人、荒井修さんの「江戸っ子の生き様」を、いとうせいこうが聞き語りで案内した本。

本を読むということは、これまで知らなかった他人の考え方や生き方を知る、と言う事が喜びのひとつだと思うのですが、まさにこの本には、「江戸っ子のセンス」という新しく、でも同時になんだか懐かしい発見がつまっていました。

『江戸人が一番大切にしているのは、「小」とつくこと。「小体な」っていうでしょ。小体な小料理屋で、小粋な女が小鉢に入ったつまみを持ってきてくれて、お酌をしてくれるのが一番いいんですよ。大きいっているのは野暮につながっちゃう』。
「粋」と「野暮」と「品」。なんとなく分かるようで分からない、微妙なセンスを実感として、飄々と語る著者の語り口は、まさに「江戸」そのもの。
短いセンテンスで具体的な事例を多く取り上げていて分かりやすいし、なんとも小気味いい本でした。

僕は多摩の生まれなのですが、縁あって深川祭りのお神輿を担がせてもらっていて、お祭りの度に下町の人たちの「江戸的センス」にはいつも感銘を受けています。同じ東京でも、生き方や考え方がだいぶ違うんだろうなと言うことを、なんとなく気がついていましたが、この本を読んで、「なるほど」と思いました。

あと、「江戸のセンス」で大切なのが「見立て」と言うこと。全部見せるんじゃなくて、少しだけ見せたりすることで、奥行きや広がりを表現できると言うもの。
読んでいて、「手ぬぐいナイト」にご出演いただいた豊田満夫さんのお話を思い出しました。
手ぬぐいの豊かな世界も、まさに「江戸のセンス」が凝縮した世界。今更ながらに贅沢なお話だったなと思います。また、豊田さんをお招きして、その辺りをお伺いするイベントを開きたいなと思ったりしました。

と言うわけで、なんだか読んでいるだけで、気風が良くなるような一冊。オススメです!

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2 コメント

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Unknown (総代ちゃん)
2010-01-14 09:40:56
こないだ根付の研究会に行って講演を聞いたのだけれども、三人の美女でもって劉備、関羽、張飛を見立てたり、面白い実例をスライドで見せてもらいました。
見立ての他に「留守模様」ってのも面白いです。
これは恵比寿や大黒をあらわすのに、当人たちは描かずに釣竿や小槌をさりげなく置いておく、という手法です。
蒔絵の世界でよく使われるみたいで、牛車だけを描いて光源氏を表現したり、とか。
江戸文化と言えるかどうかわかりませんが、根付のモチーフにはよく使われるみたいです。
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Unknown (サイトウ)
2010-01-15 07:25:52
根付も奥が深そうですよね。
前に写真集を見たことがあって、圧倒されました。
留守模様ですか。初めて聞きましたが、方向は同じですね。おもしろいな~。
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