東京ナイト

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「日本の若者は不幸じゃない」

2011-03-24 22:36:40 | 
本は「日本の若者は不幸じゃない」(ソフトバンク新書) 。



タイトルに興味を持って読んでみました。
著者はアキハバラで地下アイドルのライブステージを運営する会社の社長さん。
東京芸大出身のまだ二十代の女性です。
彼女の周りで活動する「日本の若者」を通して考察する等身大の若者像、といった感じです。
まあ、範囲がアキハバラおよびその周辺に限られているので、どこまで一般性があるのか分かりませんが、なかなか示唆に富んだ内容でした。

特に気になったのは、「日本の若者が不幸だ」という人は、その比較対象として日本がもっと豊かだった時代の若者と比べて不幸だ、と言っているが、実は今の若者は物心ついたころから「不況」の時代に生きてきて、その状況にとっくに適応済みだということ。
背伸びもしない代わりに、豊かな存在に対するルサンチマンもないと言う指摘。
著者は「不況ネイティブ」と名付けています。

この不況ネイティブは、おたくカルチャーと結びついて、それぞれの嗜好に合った人たちとゆるく結びついて(クラスター)それなりに充足しているし、その中から従来の考えに縛られない新しい発想の若者達も出てきている、と著者は言います。
というか、独自の「学園祭ビジネス」をひょんなきっかけから運営している彼女自身がそんな新しい若者の一人なのでしょう。

じっさい僕がここ数年、様々な場面で会った若者達もなんだかとてもフレキシブルな発想を持っていて驚くことが何回もありました。
従来の価値観に縛られず、大胆な行動とつながり力で前に進んでいます。

今回の震災によって、そうした感覚はますます磨かれるような気がします。
もう「バブルの頃は良かった・・・」というおじさんの感慨は新しいアクションへの阻害要因にしかならず、むしろ「不況ネイティブ」たちが次の時代を作る頃なのかもしれません。
もっとも、しょうじきあんまり大きな発展は望めない気もします。
でも、それが身の丈にあった彼らの流儀なのかもしれません。
僕も後ろを振り返らずに、今の時代に適応していかなくちゃ。