がん(骨肉腫)闘病記

抗がん剤治療、放射線治療、人工関節置換手術、MRSA感染、身体障害者となっての生活の記録を残します。

バリアフリー法施行一年

2007年12月19日 | Weblog
2007年12月19日 22時08分記載

バリアフリー法とは、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」の俗称である。昨年12月に施行された。

バリアフリー法は、その名前から想像が付くかと思うが、ホテルや公共交通機関のみならず、生活に関わるあらゆる場所での障壁を除去するよう義務付けたり、努力するよう求める法律である。その第1条には、目的として以下のことが掲げられている。

「この法律は、高齢者、障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保することの重要性にかんがみ、公共交通機関の旅客施設及び車両等、道路、路外駐車場、公園施設並びに建築物の構造及び設備を改善するための措置、一定の地区における旅客施設、建築物等及びこれらの間の経路を構成する道路、駅前広場、通路その他の施設の一体的な整備を推進するための措置その他の措置を講ずることにより、高齢者、障害者等の移動上及び施設の利用上の利便性及び安全性の向上の促進を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。」



時間や費用がかかることは承知しているが、上記、法の目的が達成された社会が成立することを切に願う。(もちろん願うだけではなく、自らが出来ることはしていく。)



私自身入院中は車椅子に乗っていたので、今の日本社会では、車椅子を利用している人が生活していくのが難しいことは容易に想像がつく。実際、街中で車椅子に乗った人を見掛けることは殆どない。



心のバリアフリーというのも勿論大事だろうが、ハード面でのバリアフリーも同じ程度に重要である。

車椅子に乗ったお年寄りや車椅子に乗った障害者が、同じ人間として、同じ社会の中で暮らすことで、心のバリアフリーも進んでいくのだろうと思う。施設・設備のバリアフリーと心のバリアフリーは、いわば車の両輪で、両方揃って初めて、「高齢者・障害者も含めた『人間』が暮らす社会」という車が前に動くのだと思う。



健康で五体満足な人間だけが『人間』ではない。日本社会が『人間』の暮らす社会となることを願う。



「人間は社会的動物である。」(アリストテレス)

社会性を持ってこそ『人間』である。あらゆる人が社会と繋がりを持てる社会をこそ実現したい。



大腿骨を原発とする骨肉腫に対して行われる手術について

2007年12月19日 | Weblog
2007年12月18日 23時16分記載

骨肉腫の約7割が大腿骨遠位部(わかり易く言うと膝辺り)を原発巣とし、自らも当該箇所に発症したため、大腿骨遠位部に発症した骨肉腫に対し行われうる手術について自らの知る範囲で記したい。肩、体幹部といった他の箇所に発症した方々に対しては申し訳ないがご自分で調べてもらいたい。



まず、肢を残せるか否かで大きく分かれる。腫瘍が大きすぎる等で肢を残せない場合は、切断ないしは離断をすることになる。離断とは、関節の所で切り落とすことであり、足首・膝関節・股関節のいずれかで切り落とすことになる。切断とは、関節以外の所で肢を切り落とすことである。医師は「アンプタ」と言ったりする。amputation(切断)の略である。



次に、肢を残せるとなった場合、様々な種類の手術から最も適する手術が選択されることになる。



最もポピュラーなのは人工関節置換術ではないだろうか。自分もこの手術を受けている。(人工関節置換術については本ブログテーマ「手術」を参照されたし。)



人工関節置換術以外には、ローテーション(回転形成術)というものもある。漫画「リアル」の主人公である戸川清春が受けた手術がこれに当たる。ローテーションの場合、見た目がかなりショッキングな感じになる。漫画「リアル」では、作者である井上雄彦の絵のうまさもあって、それ程ショッキングな感じで描かれてはいないが、実際の写真・VTRを見ると、かなりショッキングである。しかし、この手術法の良い点は、神経や下肢動脈の切断を回避することが出来る点である。離断・切断した場合、下手をすると一生強い幻肢痛に悩まされることになるので、それを避けるためには、ローテーションを選択した方がいいだろう。



ローテーションに似た手術法としては、turn up法(ターンナップ法)というものがある。ローテーションと違うのは、足首から先を切り落とす点であるが、医師が言うには、大腿や膝関節で切断・離断するよりも、幻肢痛が出る可能性が低いそうである。私は、次回、感染症になった場合、この方法を選択するつもりでいる。



その他に、金沢大病院等が実施している骨移動術がある。(参照URL http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/saisin/20071207-OYT8T00477.htm )



金沢大病院では、カフェインを併用した抗がん剤投与等、先進的な医療に取り組んでいる。その姿勢自体非難するつもりはないが、効果だけでなく、副作用等もしっかり説明してもらえるようお願いしたい。

これは金沢大病院に限った話ではないのだが、医療情報は、どうも良い方の側面だけが伝えられがちな感じがしている。裏に潜んでいるマイナスの要素も忘れずに説明してもらえるよう願いたい。(確たるエビデンスに基づく感染確率やカフェインを併用することにより眠れなくなるという副作用が出る等。)



腫瘍が出来る場所、大きさ、抗がん剤の効果等により、受けうる手術が決まってしまうことが多いかと思うが、複数選択可能な場合は、受ける手術により得られる利益と当該手術に潜むリスクを冷静に比較考量し、自らにとってベストな選択をしてもらいたい。