術後補助抗がん剤治療には特有の困難さが存在する。それは既に原発巣切除を終えており、遠隔転移がなければ、抗がん剤の標的になるものが存在しないかもしれないということである。 見えない敵との戦いと言っていいかと思う。
乳がんや卵巣がん等でも術後補助抗がん剤治療は行われているが、骨肉腫の場合、過去のデータから、原発巣が発見された時点で80%の割合で遠隔転移があるとされている。転移先は殆どが肺で、稀に肝臓・骨・脳である。いずれにしても遠隔転移があるのであるからそれを退治しなければならない。自分は転移のない20%に入っていると確信している人は術後補助抗がん剤治療を行う必要はないが、あまり賢明な判断とは言えない。
現在の医療水準で捕捉できるがん細胞の最小単位は恐らく1mmではないかと思う。精密なCT画像と経験豊富な医師が読影してもこれが限度ではないかと思う。それでは、この1mmのがん細胞、正確に言うとがん細胞の塊にどれだけのがん細胞が集まっていると思うであろうか?100万個である。CTは平面なので1mmと表現したが、実際は1m㎥である。
1万個のがん細胞の塊は捕捉出来ない。しかし、放っておけばそれはやがて分裂して2万個になり、4万個になり、8万個になり、16万個になっていく。無限に分裂を繰り返していく。術後補助抗がん剤治療はそのような事態を防止しようとの試みである。しかし、上述したように、それは存在しないのかもしれない。そこが大変悩ましく、最後の最後まで、どこまで術後補助抗がん剤治療を行うべきか悩んだ。自分で結論を下したが、それが正しい判断だったのか否かは時間の経過だけが証明してくれる。現在のところ肺転移等は見られず、私の判断は正しかったこととなっている。しかし、1度転移が出れば、正しかったという仮の結論は完全に否定される。緊張感のある毎日である。
乳がんや卵巣がん等でも術後補助抗がん剤治療は行われているが、骨肉腫の場合、過去のデータから、原発巣が発見された時点で80%の割合で遠隔転移があるとされている。転移先は殆どが肺で、稀に肝臓・骨・脳である。いずれにしても遠隔転移があるのであるからそれを退治しなければならない。自分は転移のない20%に入っていると確信している人は術後補助抗がん剤治療を行う必要はないが、あまり賢明な判断とは言えない。
現在の医療水準で捕捉できるがん細胞の最小単位は恐らく1mmではないかと思う。精密なCT画像と経験豊富な医師が読影してもこれが限度ではないかと思う。それでは、この1mmのがん細胞、正確に言うとがん細胞の塊にどれだけのがん細胞が集まっていると思うであろうか?100万個である。CTは平面なので1mmと表現したが、実際は1m㎥である。
1万個のがん細胞の塊は捕捉出来ない。しかし、放っておけばそれはやがて分裂して2万個になり、4万個になり、8万個になり、16万個になっていく。無限に分裂を繰り返していく。術後補助抗がん剤治療はそのような事態を防止しようとの試みである。しかし、上述したように、それは存在しないのかもしれない。そこが大変悩ましく、最後の最後まで、どこまで術後補助抗がん剤治療を行うべきか悩んだ。自分で結論を下したが、それが正しい判断だったのか否かは時間の経過だけが証明してくれる。現在のところ肺転移等は見られず、私の判断は正しかったこととなっている。しかし、1度転移が出れば、正しかったという仮の結論は完全に否定される。緊張感のある毎日である。