がん(骨肉腫)闘病記

抗がん剤治療、放射線治療、人工関節置換手術、MRSA感染、身体障害者となっての生活の記録を残します。

想像以上に自民が勝ったね

2012年12月17日 | Weblog
2012年12月17日 00時07分45秒

まだ参院はねじれてるから丁寧な国会運営をとか言ってるけど、そんなわけないよね。



自公で3分の2を超えるから、再議決が可能だからね。



これから4年間は政府・自民党が通したいと思った法律案は全て成立することを我々国民は覚悟しないといけないね。



国民の選択の結果だから、受け入れるしかないけど、おかしな法律が成立しないことを4年間は祈るばかりだね。



ブログでぶつぶつ言っていくのは変わらないけど、330~340議席持った与党が通そうと思った法律案を止めることは出来ないからね。



怖い4年間がはじまるよ。

少数意見の尊重はなぜ必要か

2012年12月16日 | Weblog
2012年12月15日 00時05分35秒

現在担当している中学3年生の期末テストの社会(公民)で次のような問題が出題された。



問題:民主政治では、最終的に多数決で決定されることが多いが、その場合は、少数意見を尊重することが求められる。その理由を、「反対の意見」の語句を使って書きなさい。



模範解答:反対の意見を持つ少数の人は、多数の意見に従わなければならないから。




中学生のお子さんがいればご存知かと思うが、中学校では、教科書に関連した問題集(ワーク)というものが配られ、定期テストでは、その中から問題が出されることが多い。



上記の問題もワークに載っていた問題で、私が教えている生徒も予めそのワークを勉強していた。しかし、この模範解答に納得できなかった私は、正しい考えが何かわかるのであれば、そもそも多数決をする必要はないこと、憲法は価値相対主義という考えを採っていること等をホワイトボードに色々と書きながら教えた。



そう教えられた我が生徒は、上記問題に対し、期末テストで、「多数派の意見が正しく、反対の意見が間違っていると決まっているわけではないから。」と解答した。



私が採点者なら○だが、学校の先生は×を付けた。他にも4人、我が生徒とほぼ同じ内容の解答をして×をもらった生徒がいたらしく、皆で、学校の先生になぜ×なのか聞きに行ったらしい。そこでの先生の回答は「ワークの模範解答のように解答して欲しかった。」とのことだったそうである。



伝聞であるので、本当に学校の先生がそう説明したのかはわからない。しかし、本当にそう説明したのであれば、先生として適格性に問題が生じるように思う。



×なら×で構わないが、先生であればなぜそれが×なのかを説明出来なければならない。模範解答の正しさを噛み砕いて説明出来なければならない。



私は後日、「君の解答は間違っていなかったと思うよ。(それは即ち私の説明が間違っていなかったとの弁明でもあるのだが。)」と以下の判決文をコピーして生徒に渡した。




昭和53年05月24日 札幌高等裁判所判決



 「議会制民主主義は、全国民の意思を代表する議会が三権分立主義を基調とする国家統治機構の中で、他の機関の行為の準則を定める立法権を行使する政治体制を指称するが、議会は、多数決の原理によつて運営され、右原理に基いて決定された議会の意思が政治的には国民多数の意思であるとされ、法的には国家意思とされる。国民多数の意思としての議会の意思は、その時々の歴史的、社会的状況に応じて一定の選択を採る。しかし一つの選択への固執は許されない。一つの選択への固執は各個の国民が個人として尊重されるべきことと矛盾する。多数の名においてある一つの選択への固執がなされたとき、仮令それがいかなる目的、いかなる動機のもとになされるにせよ、民主主義は終焉する。民主主義が生きていると言い得るためには、異なつた選択への可能性が常に留保されていなければならない。今日の少数意見は明日の多数意見となる可能性を秘めるものであり、異つた選択の可能性を保障するものである。民主主義のもとで少数意見が尊重されなければならない根本理由はここに在る。少数意見の尊重されない民主主義は真の民主主義ではない。」( http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/D0363A2D441A7E2449256CFA00060690.pdf )


PC遠隔操作:「認識不足が要因」誤認逮捕で検証結果公表

2012年12月16日 | Weblog
2012年12月14日 23時55分24秒

http://mainichi.jp/select/news/20121215k0000m040110000c.html



毎日新聞 2012年12月14日 21時57分(最終更新 12月14日 23時37分)



「パソコン(PC)の遠隔操作などで犯罪予告が書き込まれた事件で4人が誤認逮捕された問題で、警視庁、大阪府警、神奈川・三重の両県警は14日、検証結果を公表した。神奈川県警は「無実の少年をことさらに困惑させた可能性がある」と不適切な取り調べを認めた。警察庁は一連の誤認逮捕に共通の要因として、遠隔操作の可能性についての認識不足があったと指摘。捜査員の知識の底上げなどを全国の警察本部に指示した。

 神奈川県警は検証結果で、誤認逮捕された男性(19)が再聴取に対し、「否認をしたら検察官送致されて、『院(少年院)』に入ることになる」などと取り調べで言われたと話したことを明らかにした。そのうえで、「取調官の言動は、不安を助長させ、自供を強いられているように受け止められた可能性がある」と問題点を認めた。

 警視庁は、男性(28)の供述に「秘密の暴露」に当たる自白がなかったことや、供述内容の変遷があったことに言及。「自白の真偽を慎重に検討すべきだった」とした。大阪府警は「男性(43)の供述に対する掘り下げが十分とは言えなかった」とし、三重県警も「男性(28)を犯人でないとする方向性の検討を十分に行わなかった」と認めた。

 また4都府県警はいずれも、遠隔操作による犯罪予告事件の前例が国内でなかったことから、その手口を想定せず、第三者の犯行であることを見破れなかったことを認めた。

 検証結果を受け、警察庁は(1)IPアドレス(ネット上の住所)を過大に評価し、他の証拠による裏付け捜査が徹底されなかった(2)捜査部門と情報通信部門の連携が不足していた(3)不自然な供述の信用性に十分な検討がなかった--などの反省点を指摘。捜査員のサイバー犯罪に関する知識の向上や、部門間の情報交換、犯行の可能性を吟味する捜査などを指示した。また神奈川県警に誤認逮捕された男性が少年であることを踏まえ、「容疑者が少年の場合、精神的に未熟であるため、不安や困惑に陥りやすいことにも注意する」とした。【村上尊一】」



ほとんどの国民が知ってる通り、こんなのは氷山の一角で、毎日毎日無辜の国民が密室で犯罪者に仕立て上げられている。



知識を向上させるとかさせないとかの問題じゃないんだよ。



人権教育のされていない、人権感覚の備わっていない警察官・検察官が密室で取り調べてるのが問題なんだよ。



自白しないと身柄を拘束し続ける人質司法が問題なんだよ。簡単に勾留延長を許可する裁判所が問題なんだよ。


経団連会長、安倍氏に謝罪 「全面的に経済政策を支持」

2012年12月16日 | Weblog
2012年12月13日 13時58分30秒

http://www.asahi.com/politics/update/1213/TKY201212130295.html



「「全面的に安倍総裁の経済対策を支持している」

 自民党の安倍晋三総裁の経済政策を批判していた経団連の米倉弘昌会長が12日、一転して安倍氏に電話で支持を伝えた。衆院選で優勢とされる自民党に財界トップが異例の「おわび」を入れた形だ。安倍氏が記者団に明かした。

 米倉氏は10日の記者会見で、安倍氏がテレビ番組で消費増税に慎重と受け取れる姿勢を示したことに「自民党総裁としては、ふさわしい発言だったのか」と批判していた。安倍氏によると、米倉氏は電話で「真意は批判ではない。迷惑をかけて申し訳ない」と謝罪。安倍氏は「選挙中でもあり、慎重にご発言いただきたい」と応じたという。

 米倉氏は11月26日にも安倍氏の金融緩和策を「無鉄砲」と批判。安倍氏は翌日、経団連幹部が謝罪したことを明かし、「間違った認識は正しておく必要がある」と語っていた。 」



どこどう読んだって批判だったじゃねえか。節操ねえな。



次期総理が濃厚な安倍に取り入って、利益を得ようって魂胆だよね。



金儲けのためには、信念なんか持たないことが大事っていうことを教えてくれるよね、米倉センセイは。



こんな奴に政治家を批判する資格があるのかね。

〈障害があっても:4〉2氏に聞く

2012年12月16日 | Weblog
2012年12月11日 00時13分17秒

http://digital.asahi.com/articles/TKY201212070132.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_TKY201212070132



朝日新聞デジタル配信記事



「日本の障害者雇用制度の課題はどこにあるのか。長く障害者の調査をしてきた松為信雄・神奈川県立保健福祉大教授と、SMBCグリーンサービス顧問で、社長時代に障害者雇用を約200人に倍増させた丸物正直氏に聞いた。(聞き手・石山英明)

■雇用率の決め方、見直しも/SMBCグリーンサービス顧問・丸物正直(まるものまさなお)さん

 日本には少なくとも750万人の障害者がいる。個人も企業もみんなで支えていかなければならない。ただ、障害者を受け入れる企業には、対応しなければならない多くの課題がある。

 たとえば来年4月から法定雇用率が1.8%から2.0%に上がる。これは簡単に対応できるものではない。

 我々の会社は、親会社の三井住友銀行から手形・小切手帳の作成などを受託している。親会社とグループの一部で従業員3万人として、0.2ポイントアップは60人分の障害者を新たに雇う必要があるということだ。仕事はどうするか。どこで受け入れるか。新しい建物を作るなら最低3年は必要になる。受け入れ準備には時間がかかるのだ。

 いま、議論の進んでいる精神障害者の雇用義務化には、反対の企業が多い。精神障害者を雇うノウハウがなく、法定雇用率がさらに引き上げられる心配もあるからだ。

 精神障害者の求職者の急増を考えると、将来的に、法定雇用率の決定方法の見直しも必要になるのではないか。「働きたい障害者がこれだけ増えたから法定雇用率もこれだけ上げます」という今の決め方では、いずれ企業の採用にも限界がくる。

 精神障害者を雇う時に直面する問題は、体調に波があることだ。長時間の勤務が難しい人も多く、離職率も高い。

 私の会社で、週30時間働いていた精神障害者が体調を悪くした時に、25時間勤務にしたら、0.5人分の雇用とみなされてしまった。たとえ20時間未満しか働けなくなっても雇い続けたいが、今の制度では、ゼロ人になる。果たしてこれでいいのだろうか。もっと柔軟な考え方も必要なのではないか。

 薬が良くなり、体調の波は小さくなったと障害者から聞く。信頼できる主治医や支援機関の人がいる障害者は波が小さい。この点は重要だ。これは主治医などと長年つき合っているかを聞くことでわかる。課題は多いが、ノウハウを蓄積し、1人でも多くの障害者に長期就労を目指してもらい、自立させたい。(談)

     ◇

 三井住友銀行から特例子会社のSMBCグリーンサービスに移り今年6月まで社長。現在、全国重度障害者雇用事業所協会副会長兼専務理事など。

 

■支える側、継続して育成を/神奈川県立保健福祉大教授・松為信雄(まついのぶお)さん

 日本の障害者雇用の取り組みと成果は、控えめに言っても世界の中で「先進国以上」というのが私の評価だ。

 法定雇用率制度が日本ではうまく機能している。終身雇用や年功序列はだいぶ崩れたとはいえ、雇った以上は何とか育てようという昔ながらの日本の企業風土が、根本ではまだ残っているからだ。

 加えて、特例子会社の存在がある。親会社の雇用率に合算できるこの子会社は、中小企業と同じようなきめ細かな雇用管理をできるところに最大のメリットがある。

 昔は中小企業が障害者雇用の中心だった。お互い顔の見える人間関係。俺が何とか育ててやるという情の深いおやじのような社長。じっくり人の面倒を見るノウハウを、大企業に持ち込んだのが特例子会社という見方すらできる。

 だが、大企業の宿命として、グループ内の人事異動がある。特例子会社を立ち上げた初代や支えた人材は、ものすごく熱い思いがあった。後を継ぐ人たちに、当初の思いをどう継承するかが大事だ。

 障害者のキャリアも真剣に考えるべき時期だ。係長、課長とポジションが上がる一般的なキャリアだけでは、障害者はうまくいかない。

 そこで、1人でいろいろな仕事をこなせる多能工化と、同じ職種での専門性向上による中核的な仕事へのステップアップの二つも評価して待遇を良くすることが考えられる。そして、それを親会社も含めたキャリアの中に位置づけることが重要だ。そうした取り組みを始める企業も出てきた。

 今後、精神障害者の雇用が義務化されると、医療機関が患者を雇用に結びつける必要がある。世界の潮流は、医師らが患者の住む地域にチームをつくって出て行って支援する方法をとることだが、日本の今の診療報酬体系では金が出ず、問題だ。

 障害者雇用はマンパワーで解決しないといけない部分がある。精神障害者は長期の支援が必要だし、発達障害は個人差が大きい。支える人材の育成と拡充も極めて重要であり、急務だ。(談)

     ◇

 東京福祉大教授などをへて現職。社会福祉学科長を務める。労働政策審議会障害者雇用分科会委員。日本職業リハビリテーション学会の前会長。

 

■キーワード

 法定雇用率 障害者雇用促進法は、企業に対して、従業員のうち一定の割合を障害者にするよう義務づけている。働くことを希望している障害者の数を考慮して、少なくとも5年に1度見直される。障害の重さや労働時間によっては、障害者1人を雇っても、ゼロとカウントされたり、0.5人分や2人分と見なされたりする。 」



丸物正直氏の考え方には極めて残念な思い。



『「働きたい障害者がこれだけ増えたから法定雇用率もこれだけ上げます」という今の決め方では、いずれ企業の採用にも限界がくる。』



随分簡単に諦めるんだね。利益は飽くなく追求するのにね。



被用者が60人増えるだけで、新しい建物が必要になるかね。極めて疑問。(小さな企業が60人雇用を増やすわけじゃないからね。天下の三井住友銀行の特例子会社だからね。)




法定雇用率の決定方法の見直しは必要ない。「働きたい障害者がこれだけ増えたから法定雇用率もこれだけ上げます」という今の決め方でいい。これが障害者側である私の意見。



米倉経団連会長、安倍氏にかみつく 消費税増税への慎重発言に「自民党総裁としてどうか」

2012年12月11日 | Weblog
2012年12月10日 22時04分50秒

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/121210/biz12121017540011-n1.htm



「経団連の米倉弘昌会長は10日の会見で自民党の安倍晋三総裁が9日のテレビ番組で消費増税に対し「何がなんでも上げるというわけではない。景気動向をみたうえで」と消極姿勢をみせたことに「自民党総裁としてふさわしい発言か」と苦言を呈し、「もっと力強く、消費税を上げて経済も活性化するんだという意気込みを見せてほしい」と注文した。

 また環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉への参加表明をしていない野田佳彦首相にも「日本だけがモタモタしている。がんばってもらいたい」とエールを送った。

 各世論調査で衆院選で自民党が過半数を占めるという結果が出ていることには「コメントは差し控えたい」としている。

 また北朝鮮が「人工衛星」と主張する長距離弾道ミサイルの発射予告期間が始まったことについて「残念でしかたがない。国家として国際ルールは守るべきだ」と強く非難した。そのうえで「(人工衛星といわれているが)実態的にはそうじゃない可能性が強いので(発射は)慎むべきだ」と強調した。」



「何がなんでも上げるというわけではない。景気動向をみたうえで」



この発言に限って言えば、安倍が完全に正しいでしょ。(他はほとんど間違ってるんだけど。)



「もっと力強く、消費税を上げて経済も活性化するんだ」



不況下で増税して経済が活性化した国でも知ってるのかね。是非ご教授願いたいね。



こういう精神性の奴等が、竹槍でB29と戦えとか言うんだよな。気合で出来ることと出来ないことがあんだよ。



じゃあ、お前等も気合で法人税90%で欧米企業と戦えよ。もっと力強くよ。



馬鹿ばっかり言ってんじゃねえよ。


政治とは“政策本位”で選挙後に対話 米倉経団連会長

2012年12月11日 | Weblog
2012年12月06日 01時51分46秒

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/121205/biz12120519170023-n1.htm



2012.12.5 19:15



「経団連の米倉弘昌会長は5日、徳島市内のホテルで会見し衆院選について「各党の主張は微妙に違うが選挙後に本音の世界に入ると思うので政策ごとに、平仄(ひょうそく)が一番一致する党をサポートしていきたい」と述べ、政治とは選挙後に政策本位で対話し、考え方の筋道が合う政党を支援していく考えを示した。

 エネルギーの安定供給や経済連携協定の推進などを要望し、成長戦略の実施では「野田佳彦政権が策定した日本再生戦略は制度設計や規制改革などの行程表があり閣議決定もしている。次期政権も実行に移すべきだ」と改めて強調した。

 金融緩和をめぐり自民党の安倍晋三総裁が「米倉会長にはもっと勉強してもらいたい」と述べたことについては「私は金融緩和を考えるにしても財政規律はきちんとやるべきと申し上げたつもりだった」と弁明。「安倍総裁もそういうことならとおっしゃっておられるので問題は解決した」と語った。米倉会長は安倍総裁が「建設国債を日銀が引き受ける」と発言したことに「無謀すぎる」と懸念を表明。安倍総裁は「日銀は毎月市場から国債を買っている」と反論していた。

 一方、会見に同席した四国経済連合会の常磐百樹会長は自身が会長を務める四国電力の料金値上げについて「値上げ幅はまだ固まっていないが値上げを回避できないので検討を開始した」と原発停止で燃料調達費がかさんでいる現状を説明。「原子力規制庁はできるだけ早く(原発再稼働に関する)安全基準のルールをつくってほしい」と要望した。」



「各党の主張は微妙に違うが選挙後に本音の世界に入ると思うので政策ごとに、平仄(ひょうそく)が一番一致する党をサポートしていきたい」



これだけ政治家を、選挙を、議会制民主主義を、つまりは国民を愚弄する発言を堂々とする経済人というのは、おそらくはじめてじゃないかね。



政治家・政党は選挙では本音を言わないので、選挙という馬鹿馬鹿しいセレモニーはとっとと済ませて、自分の平仄、つまりは自らの金儲けに一番フィットする策謀を出してくる政治家・政党と話がしたいと。平たく言えば、そういうことだよね。



こんなのを経済界のトップにしておいていいのかね。



日本の経済界はそんなもんか。


雇用支える知恵と経験〈障害があっても:3〉

2012年12月11日 | Weblog
2012年12月05日 17時45分22秒

http://digital.asahi.com/articles/TKY201211300399.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_TKY201211300399



朝日新聞デジタル配信記事



「専門機関が頼り/適材を紹介、電話相談も

 【石山英明】横浜市の工業団地にある塗装・めっきメーカー「大協製作所」。正社員の半数を超える37人が障害者だ。

 塗装のラインにつり下げられた高さ約1メートルの鉄の柵に、100個前後のフックが規則正しく並ぶ。軽い知的障害のある落合弘二朗さん(24)が同僚の障害者数人と自動車部品を一つ一つフックにぶら下げ、すぐ次の柵にとりかかった。柵は専用の機械に運ばれ、塗装される。

 落合さんは高校の実習で訪れたことをきっかけに、6年前に入社した。午前8時15分から午後5時5分まで働く。塗装のラインを担当し、新入社員の教育もする。「責任のある仕事を任されていて、やりがいがあります」

 会社は50年以上前から障害者を雇っている。創業者である父親の後を継いだ栗原敏郎社長が、障害者が職場で頼りにされているのを知り、すべての工程を見直して障害者が担当する範囲を増やした。機械化も同時に進めると、生産性は上がり、利益も増えた。

 障害者を雇うノウハウはたまった。障害者は同じ職場に複数いないと孤立しがち。障害者同士で教えあうと上達は早い。助成金などの制度も活用できる。栗原社長は「情報を集め、知恵を絞れば戦力になる。経験やノウハウがなくて採用をためらう企業は多い」と話す。



 日本の企業が障害者を雇う割合は、大企業ほど高い。「特例子会社」という制度があるからだ。特例子会社は、親会社と労働条件を変えて、障害者にあった仕事を、障害者にあった仕方で任せることができる。その障害者の数を、親会社は雇用率に合算する。特例子会社同士の情報交換も活発だ。

 中小企業の場合、障害者雇用に関心はあっても、二の足を踏む場合が多い。支援機関などが企業のノウハウ不足を補う必要がある。

 東京都内に飲食店8店舗を展開する「ティー・ワイ・エクスプレス」は、昨年12月に初めて障害者を採用した。

 アルバイトを含めて従業員は約300人。障害者雇用を検討していたが、どうしたらいいか分からない。

 ハローワークに相談し、障害者のいる職業能力開発センターを見学。「通勤は自分でできるのか」などの疑問を一つ一つ解消した。ハローワークの担当者に2週間に1回程度来てもらい、仕事内容を説明。相性のよさそうな人を紹介してもらった。

 管理チームの瀬川和浩マネージャーは「漠然とした不安が最初はあったが、支援のおかげで踏み出せた」と話す。今年も新たに2人を雇った。

 全国約160店舗で保険の無料相談にのる「保険見直し本舗」(東京都渋谷区)も今年、2人採用した。来年さらに3人雇う。

 過去に身体障害者を雇ったこともあったが、長続きしなかった。困ってハローワークに相談すると、精神障害者の雇用を勧められた。学校などを見て回って、採用を決めた。大塚功一総務人事部長は「自力では難しかったが、ようやく道が見えてきた」。



 問題は障害者雇用を支える機関の人手不足だ。

 神奈川県藤沢市の湘南障害者就業・生活支援センター。「出社する気が起きない。どうすればいい」。小川菜江子センター長(41)は月曜日の朝になると、スタッフとともに、就職した障害者からの電話の対応に追われる。起きられない人にモーニングコールをかけるときすらある。

 障害者就業・生活支援センターは、都道府県の指定を受けて、主に社会福祉法人が運営する。生活、就業、定着など担当分野は幅広い。地域で障害者雇用を支える要だ。

 相談に訪れるのは、毎年150人近い。約1時間半の面接を3回程度して、本格的に仕事を探し始める。ハローワークにいっしょに行って仕事を探し、採用面接に同席することもある。

 それだけではない。すでに就職した人は200人以上。平日の夜や土日には、こうした人が職場に定着するよう支援活動をする。

 ところが、湘南のセンターの職員は常勤4人、非常勤2人。ここ数年、毎年のように精神障害者や発達障害者の相談が倍増している。丁寧なケアが必要で、これまで以上に時間がかかる。小川センター長は「我々の役割がさらに重要になる。でも、時間も人手もとても足りず、人材の育成に手が回らない」と訴える。 」


ゆるキャラから支援の手 埼玉・深谷市、福祉基金を創設

2012年12月11日 | Weblog
2012年12月05日 16時27分12秒

http://www.asahi.com/special/chara/TKY201212030752.html



「【馬場由美子】障害者手帳を持たず、福祉制度の支援対象になりにくい障害児らに手を差し伸べるため、深谷市は「市ふっかちゃん子ども福祉基金」を創設する。開会中の12月市議会に条例案を提出した。市によると、市のゆるキャラの名前を冠した基金は全国的にも珍しいという。

 ふっかちゃんは今年のゆるキャラグランプリで県内最高の全国5位になった人気者。意匠の使用は無料で、市による営利目的のデザイン使用承認数はこれまで403件、文具や食品パッケージなどの関連商品は228件に上る。

 市は今後、キャラクターの使用者に対し、任意で寄付を依頼する方針。個人や企業から市に寄せられた3100万円の寄付金と合わせて福祉基金を立ち上げ、成長段階で高額な補聴器の買い替えを余儀なくされている児童への補助金として活用するという。

 小島進市長は「市民に愛されているふっかちゃんを上手に活用させてもらい、障害児支援を充実させたうえ、将来的には子育て支援へと発展させたい」と話している。」


ヘイズ:日本企業の三分の二以上が改正障害者雇用促進法に準拠

2012年12月11日 | Weblog
2012年12月04日 21時28分05秒

http://www.asahi.com/business/pressrelease/JCN201212030005.html





ヘイズ・ジャパンが200社以上を対象に行った調査結果より

Tokyo, Dec 3, 2012 - (JCN Newswire) - 人材紹介会社のヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役兼アジア地区オペレーション・ディレクター:クリスティーン・ライト、以下ヘイズ・ジャパン)の調査によると、日本企業の三分の二以上は障害者を採用しており、平成25年4月から実施される障害者雇用率引き上げに伴い、この数はさらに増加するものと回答企業の人材採用担当者が予想していることが分かりました。

障害者雇用促進法の改正に伴い、来年4月から障害者雇用率が引き上げられ従業員50人以上の民間企業は障害者雇用率を現行の1.8%から2%以上とすることが義務化されます。

ヘイズ・ジャパン代表取締役兼アジア地区オペレーション・ディレクター、クリスティーン・ライトは次のように述べています。「当社の調査によると日本の民間企業の三分の二以上にあたる67%の企業がすでに障害者を雇用しており、人材の多様化に積極的に取り組んでいることがうかがえます」。

79%の企業は政府の基準を満たしており、11%は障害者の採用数を今後増やすと述べています。このことから大多数の企業は障害者雇用促進法の改正について理解しており、適切に対応していることがわかります。

「職場の人材のスキル、知識、仕事に対する考え方、将来の展望などを尊重し、正しく評価することが人材の多様性の促進につながります。職場の人材の多様性とは、単に異なるターゲット層から人材を採用することではなく、人材の様々な意欲、ライフスタイル、信念、要望などを統合し管理することです」。

本調査によると、回答企業の79%が最高で30名の障害者を雇用しており、採用されている障害者の70%が総務部門で働いていることがわかりました。また23%は、採用した障害者の職種について、運転手、管理人、在庫・倉庫管理開発、エンジニア、販売などと回答しています。

「障害者は採用候補者として見逃されがちですが、企業で重要な役割を担う人材となり得るのです。企業が障害者を採用候補者リストに加えることで、選択肢が広がり、求めるスキルを持つ人材の採用が容易になります」。

「人材の選択基準を制限する企業は、人材不足が進む今、必要な人材採用が困難になってしまいます。企業が真剣に人材多様化に取り組んでいる姿勢は、社員、採用候補者に人材採用の強いメッセージを発信することとなり、効果的な人材採用が可能となります」。

障害者の採用において、社内で対応すべきことがいくつかあります。例えば、本調査で車いすを用意できると回答した企業は30%にすぎません。

障害者の採用についてヘイズ・ジャパンからのアドバイスは次のとおりです。

-- 採用後の困難や課題よりも、候補者のスキルや企業への貢献度を考慮すべきです。

-- 障害者の面接には理解と適切な面接技能が求められます。面接時に差別的な態度をとり就職を躊躇させてしまうようなことを避けるために、面接担当者の障害者に対する理解を高めるトレーニングが有効です。

-- 入社時には、職場導入プランを確実に実施することが重要です。管理職、上司、同僚は職場で必要とされる調整や変更について自前に説明を受ける必要がありますが、必ずしも障害の詳細を知る必要はありません。

-- 同僚の中からサポートができる社員を選定しておくことも採用後しばらくの間有効です。

-- チーム・ミーティング、社員行事、トレーニングなどへの参加の可否について勝手に判断せずに、本人と話し合い、必要な調整をおこなってください。

「障害者の採用実態調査」では、200社以上の企業の人材採用マネージャーから回答をいただきました。

本調査は「職場の人材多様性・リーダーシップ」について実施した第一回調査に続くシリーズ二回目の調査です。第一回調査では人材多様性の中でも特に女性にフォーカスを当てています。調査結果はこちらをご覧ください。 http://www.hays.co.jp/press-releases/HAYS_043400JP

ヘイズ・グループについて

ヘイズ・グループは、グローバルな人材サービスを提供するスペシャリストの人材紹介会社です。世界33の国と地域*、245の拠点において、およそ7,800人の従業員が経験とスキルを備えた人材サービスをグローバルに提供しています。

ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン株式会社について

ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン株式会社は、ヘイズ・グループの日本法人として2001年に東京で設立されました。同社は日本で唯一、東京赤坂本社、新宿支店、大阪支店の3つの国内拠点を擁する外資系人材紹介会社です。「経理・財務」、「金融」、「ファイナンス・テクノロジー」、「人事」、「ヘイズ・リース・マネージメント」、「IT」、「保険」、「法務」、「ライフ・サイエンス」、「オフィス・プロフェッショナル」、「不動産関連」、「セールス&マーケティング」、「サプライチェーン」の13の専門分野に精通したコンサルタントが豊富な知識と経験をもとに、正社員から契約・派遣社員まで、企業の人材採用や個人のキャリアアップを支援しています。

* 日本、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、チリ、コロンビア、中国、チェコ共和国、デンマーク、フランス、ドイツ、香港、ハンガリー、インド、アイルランド、イタリア、ルクセンブルグ、マレーシア、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ポーランド、ポルトガル、ロシア、シンガポール、スペイン、スウェーデン、スイス、アラブ首長国連邦、イギリス、アメリカ

本件に関するお問い合わせ先:
ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン株式会社
朝倉 03-3560-2813



Hays PLC





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昨日の橋本五郎氏の発言について

2012年12月10日 | Weblog
2012年12月01日 14時12分29秒

橋本五郎氏は、昨日、11党首を前にして、「こんなに多くの政党が存在したことはなかった」、「その責任は誰にあるのか」と野田首相に詰問したわけだが、それは誰の責任でもく、また、批判の前提としている「政党が多く存在することは悪である」という価値判断も全く個人的・主観的なものであって、総理を詰問する根拠となるものではない。



氏は、政党は3つなり4つなりが良いと意識的にか無意識的にかは別として考えていて、その自分の価値判断と離れた現状を厳しく批判した。



しかし、国民にとって、、選択肢が多様であることは「悪」ではなく、また、百歩譲って、「政党が多く存在することは悪である」とするなら、政党要件を厳しくするとか、小政党が存立し得ない選挙制度を採用すれば良い。



しかし、それが国民にとって望ましい状態か。そこの所をよく考えず、55年体制を前提としたしか思えない発想で記者クラブを代表して発言することは、いかがなものか。



善意に解釈して、氏が、政党が余りに多く存在すると、国民が政党間の政策の違いを把握出来ず、投票に迷いが生じてしまうとの危惧から発言したと考えてみる。



しかし、それも私からすると、国民を愚弄した「上から目線」の発想としか思えない。10程度の政党の政策の違いは判断できるし、国民も、主権者としてその程度の努力はする。(しない、したくない人は元々投票に行かない。)



氏の発言を聞いていると、政党は2つないし3つあればよく、それが小選挙区制を主体とする現行選挙制度の要求する所であると聞こえる。



個人的にそう考えるのは自由だが、それがさも客観的な正義であるかのように発言することは間違っている。



私個人としては、死票が余りに多く出てしまう現行選挙制度は、比例代表を主体とする選挙制度に変えた方がよいと考えている。余りに多くの政党が出てきてしまい政権が安定しないというのであれば、ドイツのように5%阻止条項を盛り込めばよい。(しかし、これとて私の単なる主観である。)



大事なことは、そのことに自覚的であるか否かである。



小選挙区比例代表並立制が「善」だと決まっているわけではない。政党数が多いことが「悪」だと決まっているわけではない。



氏がジャーナリストを自称するのであれば、そのことにもっと自覚的でなくてはならない。ある特定の価値観を「絶対」としてはならない。なぜといって、憲法は価値が相対的なものであることを前提としているからである。


並立制・併用制・連用制(下) 大屋雄裕

2012年12月10日 | Weblog
2012年12月01日 14時08分38秒

http://synodos.livedoor.biz/archives/1895925.html



「さて、選挙制度に関する知識を確認したところで、それをどう評価すべきかという議論に移ろう。何よりも重要なのは、名前がよく似ていて非常に混同されやすいにもかかわらず、並立制と併用制・連用制のあいだには大きな性質の違いがあるということだ。

■並立制と併用制・連用性のあいだ

まず、小選挙区制であれば二大政党制を基礎として与野党の入れ替わりという政権交代が実現するのに対し、比例代表制では中小政党が数多く分立するので連立政権が原則になり、連立の組み換えという形でゆるやかな政権の移行が基本になることを確認しておこう。並立制は単純に小選挙区制と比例代表制を折衷したものであり、選挙結果も両者の中間になる。


現在の我が国が採用しているのは衆参ともにこの並立制であり、両者を折衷した結果として日本政治の現状が生まれたことになる。つまり、小選挙区部分を基礎として大政党は二つに限られるが、比例代表部分からそれなりの議席を持つ小政党が複数生き残っているし、「大政党」といっても単独で他を圧倒するような議席数は確保できないので連立に依存するしかなく、小政党の意向で政権が揺らぐことになる。要するにそれは、大胆な政権交代と広範な民意の反映という両制度の良いところを兼ね備えたと言ってもいいし、悪いところを合併して政策の方向性が不連続なうえに政権が不安定になっていると評価することもできるようなものである。

これに対し併用制・連用制は実質的な比例代表制であり、結果として実現する政治の性質も比例代表制のもの(小党分立と連立政権)になると予想される。「並立制か、連用制か」というのは、表現から得られる印象のような同じ枠組みのなかの技術的な対立ではなく、小選挙区制を基礎にするか比例代表制に転ずるかという根本的な対立なのだ。

念のために言えば、《どちらをより高く評価するかはここまでとは別の問題である》。私としてはただ、なんにせよ評価を試みるならそれぞれの制度の違いを正確に認識してからにするべきだと主張しているに過ぎない。だが、以下の二点については指摘しておくべきだろう。

■連用制と政治の「巻き戻し」

第一に、連用制を採用することは選挙制度改革以前へと日本政治の基本的な構造を巻き戻すことを意味する。

一選挙区で3~5人の議員を選出する中選挙区制は、有力政党数を5前後に調整する機能を持っていた。そこで実現していた自民党の長期一党支配についても、実際には内部での離合集散が頻繁に起きており、派閥を単位とする連立政権と理解したほうが適切であることについては、すでに井上達夫が指摘している。相対的に少数の政治勢力からも相当数の議員が選出されていたこと、一党支配と言われていたわりには政権が不安定だったことなども含め、比例代表制に近いコンセンサス型政治の特徴を備えていたと理解した方がよい。

これに対し、比例代表制部分を残すことによって中小政党に配慮しつつ、基本的には小選挙区制へと転換することによって二大政党による政権交代を目指そうというのが1994年選挙制度改革の狙いだったとまとめることができる。であるとすれば、連用制の導入によって実質的に比例代表制を基礎とするという提案は、《改革を否定してそれ以前へと戻る狙いを持っている》ということになるだろう。

再度念のために言えば、それが悪いと主張しているわけではない。現在の並立制とそれに基づく政治が成功していると胸を張って言い切る人も多くはないだろうし、連用制に懐疑的な自民党にしても中選挙区制の再導入などに言及しているところを見ればやはり「巻き戻し」に肯定的かとも思われる。だが、現状の日本政治の問題の一部が「決定力不足」にあること、つまり対立する意見のいずれかが採用された結果として採用されなかった側が不満を覚えるという以前に《そもそも特定の意見の採用決定まで話が進まない》(従って懸案の処理は一向に進まないし、与野党いずれの意見が正しかったのかも、そもそもどちらも実現していないので決着がつかない)という点にあることを考えると、現状の憲法体制・議会制度のまま選挙制度を巻き戻せばこの問題がさらに悪化するだろうとは予想される。

自民党長期一党支配の時代には、第一に自民党内の各派閥が「党内では争っても野党に対しては団結する」という態度を持っていたことが多く、そのため一応は政権の政策実現に協力して決定力を確保していた。また社会党も国会での抵抗を通じて実質的な妥協を獲得することが目的で、政権獲得への意志をかけらも持たず、多くの分野で最終的には自民党の政策実現を許容していた。

だが、その当時に日本政治の決定力を確保していたこれらの要素は、もはや存在していない。55年体制を支えていた「幸福な偶然」が失われており、そこに戻ることができないとすれば、逆に二大政党制を支える小選挙区制へのシフトをより明確にすることによって決定力を回復すべきではないかとも考えられる(憲法改正などを通じて「ねじれ国会」現象の原因である両院の権限配分などを根本的に見直すことによって決定力を確保し、選挙制度は比例代表制にシフトするという可能性を排除するものではない)。

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■政権交代の終焉?

第二に、比例代表制を基礎としたシステムへの移行によって、政権担当者が完全に入れ替わるという意味での「政権交代」は二度と起きなくなると予想される。もちろん、連立政権を構成する政党は入れ替わるだろうし、それによって政策の方向性が緩やかに変化することもあるだろう。だが、総選挙により信任された政権に数年間の大きなフリーハンドを与え、その結果を次の総選挙で審判し、国民が不適切だと考えれば下野させるという、まさに民主党の鳩山元総理がそうあるべきだと主張したような政権交代のあり方は、失われることになる。

再び、それをどう評価するかは予測自体とは別の、次の段階の問題である。私自身は、たとえば公明党の支持者が連用制を高く評価することは極めて合理的だと考える。仮に小選挙区制に統一するような改革をすれば同党の獲得議席数は大きく落ち込み、政治的なパワーを失うことが予想されるだろう。これに対し、比例代表制では支持者数に応じて相当の議席が得られるし、自民・民主のいずれかと連立することによって政策実現を図ったり、離脱の可能性によって政権の死命を制することができるからである。

他方、民主党の支持者が連用制を高く評価するとすれば、それは一面において不合理であり、一面においては理解できるということになろう。不合理だというのは、小選挙区制ベースなら同党は1/2くらいの確率で強いフリーハンドを持つ政権政党の地位に立てるのに対し、比例代表制ベースだと公明党・社民党などの中小政党に掣肘されることになるだろうからである。

■政権交代の食い逃げ?

だがこのような評価は、民主党が次の選挙でも勝つか、負けたとしても次の次の選挙で復活する可能性がある場合の話だというのもまた事実である。仮に同党が国民からの支持をまったく失っており、次の総選挙で壊滅的な敗北を喫し、その次の総選挙でも立ち直れないような状況が予想されているとすれば、なるほどいまのうちに弱者にも優しい比例代表制ベースの選挙制度に飛びついておこうというのも理解できないことではない。だがこれは、いわば政権交代の食い逃げとでも呼ぶべき事態ではないだろうか。

そのような予想と意図から現在の議論が進んでいるのかどうか、私自身は詳らかにしない。ただここでは、かつて「政権交代のある政治」の実現を呼号した人々が併用制・連用制の導入を支持するとすれば言動の首尾一貫性が破綻しているだろうということと、ここでの選択が《漢字二文字の与える印象よりはかなり大きな意味を持っている》ということを指摘しておきたいだけなのである。

■本日の一冊

比例代表制―国際比較にもとづく提案 (中公新書 615)
著者:西平 重喜
販売元:中央公論新社
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参議院への比例代表制導入を前にした時期に書かれたものであり、連用制のような新しい制度提案についてはもちろん扱われていない。しかし、比例代表制という選挙制度の性質や具体的なシステム、並立制と併用制という極めて混同されやすい制度間の違いといった基本的なポイントはすべて十分に説明されており、この本をきちんと読んで理解していれば大御所先生も産経新聞も間違いを犯さずに済んだだろうと思われる。その水準が一般的なものにならないまま刊行後20年が経過したということでもあるのだが。

大屋雄裕(おおや・たけひろ)/記事一覧
1974 年生まれ。名古屋大学大学院法学研究科准教授。専門は法哲学。情報化とグローバル化によって 国家・法・政治などのシステムがどう変化するか、またそれが我々の人格や個人といった制度に及ぼす影響を最近のテーマとしている。著書に『法解釈の言語哲 学』(勁草書房)、『自由とは何か:監視社会と「個人」の消滅』(ちくま新書)。」

並立制・併用制・連用制(上) 大屋雄裕

2012年12月10日 | Weblog
2012年12月01日 13時31分29秒

http://synodos.livedoor.biz/archives/1895920.html#more



「今は昔のことだが、大御所先生が当時刊行したばかりの憲法の教科書で勉強していたところ、小選挙区比例代表並立制と併用制の区別がまったくできていない記述に出くわして仰天したことがある。政権交代から選挙制度改革へとまさに進んでいる時期だったにもかかわらず、というのは選挙制度というのが所詮は技術的な問題に過ぎないと軽視されていたということなのか、それだけこのあたりの違いがややこしいということなのか(その後の版では修正されている)。最近は衆議院の定数是正にからんで小選挙区比例代表連用制の導入という話題が出ているが、相変わらず制度の中身を理解せずに議論している人があちらこちらにいるのを見ると、やはり後者なのかもしれない。


■連用制ここがおかしい?

というのは産経新聞が前回総選挙のデータを基礎にした試算を公表し、連用制では一票の価値に大きな格差が生じ、法の下の平等にも反する懸念があると主張しているからである(「連用制ここがおかしい!?」『産経新聞』2012年2月2日)。同紙によれば、現行方式(並立制)の下で民主党は比例代表制11ブロックで2984万票を獲得し、合計87議席を得た。だが比例定数を80減らして連用制を導入するという提案で試算すると獲得議席はわずか3になる。前者の1議席あたり得票が34万票なのに対し、後者では995万票に激増する。

他方、現行制度で123万票を獲得し、21議席を得た公明党は、連用制なら比例代表制から34議席を得ることになり、議席あたり得票は23万7千票で民主党との格差が42倍になるという。全体的に連用制は「選挙区で議席を得た政党の比例票が極端に圧縮され、公明、共産両党などが『漁夫の利』を得るなど比例代表選挙での『投票価値の平等性』を著しく損なう制度だといえる」というのが、同紙の見解である。だがこれは端的に、小選挙区比例代表連用制という制度、さらには並立制と併用制・連用制の違いについての無知に起因するものに他ならない。

■並立制と併用制

まず教科書的な知識を再確認しておこう。

並立制はもっとも単純で、議院の定数を小選挙区部分と比例代表部分に分割し、それぞれで異なる方式による選挙を実施する方法である。現在この制度を採用している我が国の衆議院の場合、定数480のうち300議席を小選挙区制、180議席を比例代表制に割り振っている。有権者は小選挙区制・比例代表制のそれぞれに投票する(合計2票)。制度ごとに開票・集計が行なわれ、両制度の得票が相互に関係することは一切ない。

併用制は多少複雑になるが、全体の議席分布を比例代表制によって決定し、誰がそれぞれの政党から実際に当選する候補者になるかを決める際に小選挙区制部分の勝敗を優先する制度と考えるのがよい。まず、有権者は小選挙区制・比例代表制のそれぞれに投票する(合計2票)。小選挙区制の票はそれぞれの選挙区ごとに開票・集計し、当選者が決まる。つまり衆議院の現在の配分を例に取れば、この時点で300人の当選者が確定することになる。

次に、比例代表制を開票・集計し、それぞれの政党の獲得議席数を決める。この際、配分の対象となる議席数は(総議席-小選挙区制の議席)ではなく、総議席(衆議院なら480)である。そのあと政党ごとに獲得した議席数を埋める具体的な候補者を決めることになるが、その際、すでに小選挙区制で当選した候補者をまず数え、余分があれば候補者リストの上位から選んでいく。たとえばA党が比例代表制で150議席を獲得し、小選挙区で当選した候補者が120人だった場合、30人が候補者リストから補充されることになる。

問題は、比例代表制で獲得した議席数より小選挙区で当選した候補者が多い場合、そして小選挙区で無所属の候補者が当選した場合である。併用制を採用している代表的な例であるドイツ連邦議会の場合、いずれの場合にも小選挙区での当選が優先されるので、「超過議席」と呼ばれるものが生じる。たとえばB党が比例代表制では20議席しか獲得できなかったが小選挙区で30人を当選させた場合、総議席数を10増やすことで対応するのである。この結果、ドイツ連邦議会は法定の定数より多い議員数になっていることが非常に多い。

■連用制

連用制は、併用制を基礎としながらこの超過議席の問題を解決しようとしたものである。まず、有権者が小選挙区制・比例代表制にそれぞれ1票を投じ(合計2票)、小選挙区制を開票・集計して当選者を決定する。この段階までは併用制と共通だが、そのあとの、比例代表制部分で議席を割り振る仕組みにポイントがある。

比例代表制において、各政党の得票に応じた議席数を算出するために広く使われている方法が、ドント式である(我が国も採用している)。この方式では、まず各政党の得票を1、2、3……と順に自然数で割っていった商を並べたリストを作る。その上で、その商の数字が大きい順に配分すべき議席数までを獲得議席と決めるのである。たとえば以下のようにA・B・C党がそれぞれ140票・90票・60票を獲得した場合、3議席を配分するならA党2議席・B党1議席・C党0議席、5議席を配分するならA党3議席・B党1議席・C党1議席、7議席ならA党4議席・B党2議席・C党1議席というように決めていくことになる。


連用制において、比例代表制により割り振る議席数は並立制と同じ(総議席-小選挙区制の議席)である。これを比例代表制における各党の得票に応じて配分するが、ドント式などの計算を行なう場合に、すでに小選挙区制で獲得した議席数で割った商までを無視することにしている。

たとえば上記の例で、小選挙区制でA党がすでに2議席、C党が3議席を獲得していたとしよう。5議席を配分する場合、A党の÷1の商が無視されるので1位はB党の÷1の商(90)、2位はA党の÷2の商(70)・C党の÷1の商(60)を無視してA党の÷3の商(46.7)、3位はB党の÷2の商(45)、4位はA党の÷4の商(35)、5位はC党の÷2の商(30)が無視されるのでタイであるB党の÷3の商(30)が選ばれることになる。獲得議席数はA党2議席・B党3議席・C党0議席、小選挙区制と合計するとA党4議席・B党3議席・C党3議席である。

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■それぞれの方式はどう違うか

同じ状況を併用制で計算してみよう。割り振るのは全体の10議席なので、ドント式によりA党5議席・B党3議席・C党2議席になる。しかし小選挙区制でC党はすでに3人の当選者が確定しているので、割り振られた議席数との差(1議席)についても当選を認め、議会の定数を増やして対応することになる(超過議席)。他方、小選挙区制5議席・比例代表制5議席の並立制だったとすると、小選挙区の結果であるA党2議席・C党3議席と、比例代表制の結果であるA党3議席・B党1議席・C党1議席を単純に合計し、A党5議席・B党1議席・C党4議席という配分になる。

ここからわかるのは、第一に併用制と連用制はよく似た結果になるが後者には超過議席の問題がないこと、第二に全体的に広く薄い支持があるが特定の小選挙区で勝てるほどではない政党(B党)にとっては《並立制が圧倒的に不利》であることだ。逆に言えば、全体的には弱い支持基盤しか持っていないが特定の小選挙区では圧倒できるような政党(C党)には、どちらでもそれほど大きな影響は出ないということでもある。

■産経新聞ここがおかしい?

産経新聞は、連用制にすると支持に地域的な偏りのある政党に不利だと主張している。それは前回選挙のデータを元にした試算としては正しいかもしれないが理論的にはあまり根拠のない話であるし、特にドイツのように全国単位で比例代表制の計算を行ない・得票率5%以下の政党を議席割り振りから除外するような規定(阻止条項)を持っている場合には、併用制による小選挙区部分がないと地域政党など存在できなくなることを無視した議論でもある。

また同紙の主張は、並立制と併用制・連用制ではそれぞれの方式に投じられる票の性質が異なっていることを無視している。すでに説明した通り、並立制では小選挙区制部分と比例代表制部分は独立であり、有権者はまったく異なる二つの制度にそれぞれ投じる票を持っていることになる。これに対し併用制・連用制では、最終的な議席分布を決めるのは基本的に比例代表部分で投じられた票であり、小選挙区部分の票は、比例代表で各党が獲得した議席を実際に占めるのが誰になるかを決める機能が中心となる。無所属候補が小選挙区で当選する場合など、小選挙区部分の票が独自の意義を持つ場合が考えられなくはない。しかし《国民の意見の分布を議席数にどう反映するか》という機能の面で見れば、それはほぼ完全に比例代表制なのである。

逆に、一票の価値の平等を金科玉条とするならば大量の死票の問題がある小選挙区制は擁護しづらいし、並立制も同様の問題を逃れられない。さらに言えば、全国一選挙区の比例代表制の場合には一票の価値の格差がほぼ生じなくなるし、複数の選挙区に分割した場合でも選挙区内では格差が自動的に調整されるのに対し、併用制・連用制では小選挙区制部分での当選者を優先する結果としてこの自動調整機能が損なわれていることに注意すべきだろう。併用制・連用制は、産経新聞が問題視するのとはむしろまったく逆の性質を持っていることになる。

そもそも、同紙による「現行は各党が獲得した比例票に応じて議席をドント式で割り振るが、連用制では『選挙区議席数プラス1』で各党の得票を順にわり議席配分する」という解説から、上述したような両制度のしくみと特徴を理解することができるだろうか。あるいは、書いた記者自身が正確な知識を持っていると感じられるだろうか(連用制も上位の商を無視するだけでドント式に変わりはない)。不勉強なまま「ためにする議論」を展開するために数字をこねくり回したとしか言いようがないというのが、筆者の率直な感想である。

大屋雄裕(おおや・たけひろ)/記事一覧
1974 年生まれ。名古屋大学大学院法学研究科准教授。専門は法哲学。情報化とグローバル化によって 国家・法・政治などのシステムがどう変化するか、またそれが我々の人格や個人といった制度に及ぼす影響を最近のテーマとしている。著書に『法解釈の言語哲 学』(勁草書房)、『自由とは何か:監視社会と「個人」の消滅』(ちくま新書)。」


報道ステーション視聴中

2012年12月10日 | Weblog
2012年11月30日 22時00分13秒

冒頭の橋本五郎の質問がおかしいよね。



11党乱立の責任が誰にあるかって詰問してるけど、11党あって何がいけないの?どこに問題があるの?



質問が筋違いだよね。記者クラブの人間ってなんでこう根拠の薄弱な、つまらない質問するのかな。



自分がつまらない人間だからかな。