がん(骨肉腫)闘病記

抗がん剤治療、放射線治療、人工関節置換手術、MRSA感染、身体障害者となっての生活の記録を残します。

東京電力株式会社が行う原発事故被害者への損害賠償手続に関する会長声明

2011年09月19日 | Weblog
2011年09月19日 20時04分12秒

http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2011/110916.html



※赤字強調は当ブログ管理人



「東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)は、本年9月12日から、福島第一、第二原子力発電所事故被害者の内、仮払金支払者に対し、補償金請求にかかる書類一式の発送を行っている。今回の請求書式は個人向けのものであり、中小企業、個人事業者向けのものについては、今月中にも発送されるとのことである。


当連合会は本年9月2日付け会長声明において、東京電力の損害賠償基準に関する問題点を既に指摘しているが、今回、被害者に送付された請求書式及びその請求手続については、さらに以下のとおり問題がある。


第1に、この請求書自体が、居住していた土地・建物等が、放射性物質の汚染によって居住できなくなり、そのため財産として価値が減少している場合の補償等、「中間指針」においても賠償の対象とすることとされている最も重大な損害について、請求できる書式となっていない。仮に今回の請求に対する賠償提示に合意した場合、これらの損害がどのように取り扱われるかも明確ではない。この問題については、最終的な判断が不可能でも、暫定的な対応は可能であり、最も重大な問題を先送りした上で、手続を進めること自体が大いに疑問である。少なくとも合意書には、この点の損害賠償が除外されていることを明記すべきである。


第2に、請求書式は、分量としても約60ページ、さらに説明書類は約160ページに及ぶものであり、被害者にとっての書きやすさより、東京電力側の負担を軽減することを念頭に置いて作成されており、また、その記入に多大な時間、労力及び注意力を要する非常に煩雑な様式になっている。


このような書類に被害者とりわけ高齢者、障がい者自らが全てを記載し、疎明資料を集めて漏れなく申請することは著しく困難であり、適切な代理人ないし助言者なくしてこれだけの複雑かつ大量の書式に記入することを求めるのは現実的ではないといわざるを得ない。より簡便な方式の提案を求めるとともに、その他の方式による請求も受理すべきである。


また、疎明書類の原本をホチキス止めで提出することを求め、原本が請求者の手元に残らない方式とされているが、今後、他の救済機関を利用する場合に支障を生ずる危険性がある。さらに、疎明資料がない場合についても、東京電力の窓口への相談などを求めるのみであり、明確な代替証明手段を示しておらず、このような煩雑な方式をとることにより、請求を断念して泣き寝入りする被害者が発生することも懸念される。


第3に、請求時の同意書において、損害が「地震あるいは津波による損害ではなく、本件事故による損害であること」の確認を求めている。しかし、被害者の損害の中には、地震・津波と本件事故の両方に関連する損害が多く含まれていると考えられ、請求すべき損害は、本件事故と関連があれば足りるのであり、「地震あるいは津波による損害ではない」ことを求めるのは、被害者をミスリードして賠償可能な損害を請求から落としてしまう危険性が大きい。


第4に、事前に承諾書として、非常に高度なレベルの個人情報といえる診断書、カルテ、検査記録等までを損害賠償の相手方である東京電力に開示・提供することを求めている。しかし、不法行為の加害者が、被害者のプライバシー情報を取得することを当然と考えるような請求手続は、今回の事故の実情に照らせば、被害者の理解を得られないと考える。これらの資料は今後、政府が設立している原子力損害賠償紛争解決センターや裁判所において、東京電力が支払を拒むための資料として使用される可能性があり、行き過ぎである。診断書などの疎明で不足すると東京電力側で考えた場合に、事情を説明して個別に同意を求めるのが適切である。


したがって、当連合会は、東京電力に対してこれらの請求方式について被害者本位のものに見直し、以下のような問題点について、被害者に対し周知徹底することを求める。


そして、被害者の方々に対しては、以下の諸点を考慮された上で、慎重な行動を取られることを切望する。


第1に、このような複雑な書式に記入して東京電力に対する請求書を出す場合は、過去の記録、記憶を十分に確認の上、請求漏れがないよう、慎重にも慎重を期する必要があり、弁護士等専門家の助言なくして記入しそのまま提出することは予期しない不利益を被ることがあることを理解いただき、不十分な理解のまま書いて提出するのは絶対に避けていただきたいこと。


なお、当連合会のホームページに各弁護士会が作成している「原子力災害被災者・記録ノート」を掲載している(下記URL参照)ので、まだお手元にない方についても、今からでも入手の上、過去に遡って記録を付けることをお勧めしたい。

(http://www.nichibenren.or.jp/activity/human/higashinihon_daishinsai.html#fukushima )


第2に、損害賠償を受けるためには、このような煩雑な請求書を作成して東京電力に請求する方法だけではなく、より簡便な申立書式による申立てを認めている原子力損害賠償紛争解決センターに申し立てることが可能であること。


第3に、東京電力に対する請求書を出しただけで他の救済手段が採れなくなるわけでは必ずしもないが、合意書に署名すると、少なくとも賠償対象期間の損害については、他の救済手段が採れなくなるという法的効果をもたらすことになる。したがって、賠償額に不満あるいは疑念があるときには、安易に合意書に署名せず、原子力損害賠償紛争解決センターへの申立てや裁判所に対して訴訟を提起するなど他の手段も検討していただきたいこと。


第4に、今後、各地の弁護士会において説明会が開催される予定なので、そこに参加していただくか、全国各地で被害救済のための弁護団が結成されつつあるので、不明な点があれば是非弁護士に相談いただきたいこと。

 
当連合会及び全国の各弁護士会においても、原発事故被害者の方々が迅速、公正かつ適正な補償を受けられるよう、その態勢を整えてきたが、今後も賠償請求の支援態勢のより一層の充実のために全力を尽くす所存である。

2011年(平成23年)9月16日

日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健児」



要するに、「金払ってやるから証拠きっちり揃えて持ってこい、ただし、原発事故の損害だけだぞ、地震のとか津波のとか含めんなよ!」ってこと。とても加害者が言うセリフじゃない。



被害に遭われた方には、なんで被害者がそこまでしなくちゃならないのかとの思いもおありかと思うが、各地域の弁護士会に相談してから請求書を出すことをお勧めしたい。間違っても法律家の助言なしに合意書を交わすことのないよう注意して頂きたい。



復興財「埋蔵金」に期待 民主税調、臨時増税の議論本格化

2011年09月19日 | Weblog
2011年09月19日 15時25分06秒

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110918-00000003-fsi-bus_all



フジサンケイ ビジネスアイ 9月19日(月)8時15分配信



「民主党税制調査会(藤井裕久会長)は今週から、東日本大震災の復興財源をまかなう臨時増税についての議論を本格化する。16日に示された政府税制調査会の増税素案では、5年間の復興費を13兆円と試算。このうち5兆円を政府保有株の売却や特別会計の見直しなどの税外収入でまかない、増税額を圧縮するとした。だが、民主党の前原誠司政調会長は「税外収入などは5兆円よりも、さらに上積みを目指したい」との考えで、党内では特別会計の「埋蔵金」への期待が強まっている。

 民主党の財源検証小委員会では、国債整理基金に積んだ国債償還資金や為替介入の資金を扱う外国為替資金特別会計の積立金について「復興財源に使ってよいのではないか」との意見が上がっている。背景には、特会の積立金が膨れあがっていることがある。2009年度決算処理後の積立金の合計は182兆4000億円にも達した。

 これに対し、政府側は特会の見直しによる財源確保には慎重だ。特会の積立金のうち約8割は主に保険料を財源として将来の年金などの支払いに備えるために積み上げており、復興への流用は負担の先送りにつながる懸念が強いためだ。

 国債整理基金の残高約10兆円の取り崩しについても、政府側は「将来の国債償還資金が不足することになり、国債市場の信任を損なう恐れがある」と反論。外為特会の積立金約20兆円の活用には「超円高で外貨資産の評価損が膨張して外為特会は約19兆円の赤字状態にあり、財務の健全性をさらに悪化させかねない」と難色を示している。

 政府税調の素案でも、特会の見直しによる税外収入はエネルギー対策特別会計の500億円と財政投融資特別会計の8000億円にとどまった。

 しかし、こうした政府の消極姿勢を問題視する見方もある。 富士通総研の米山秀隆上席主任研究員は「特会全体で毎年、20兆円を超える剰余金が発生し、多くが次年度予算に繰り入れられるが、繰り入れた年度もほぼ同額の剰余金が発生し、翌年度に繰り入れられ滞留している」と指摘する。

 「繰り越し分から、実際に使われる前年度の歳出繰り越しや債務の支払い分を引くと、剰余金の半分程度に当たる8兆~10兆円前後が毎年遊んでいる計算になる」といい、無駄を徹底的に見直して復興財源に活用する余地はまだ十分にあると主張している。(本田誠)」



金がない・財政が破綻するって言いながら182兆も積み立ててんだから、わけがわからねえよな。年金給付なんて税金と保険料で賄ってんだから、年金積立金なんていらないんだよ。

9月は障害者雇用支援月間

2011年09月19日 | Weblog
2011年09月19日 00時35分24秒

遅ればせながら、障害者雇用支援月間のお知らせです。



以下に障害者雇用支援に力を入れている会社が運営しているサイトを紹介しますので、就労を考えている障害者の方は利用してみたら如何でしょう。



Web Sana ( http://www.web-sana.com/ )



クローバーナビ( http://www.clover-navi.com/ )



アットジーピー( http://work.generalpartners.co.jp/ )



ジョイコンサルティング( http://www.joy-c.com/index_job.html )



テンプスタッフフロンティア( http://www.tempfrontier.co.jp/ )




八ツ場ダム 石原知事「私、非常に怒っています」 前原政調会長に苦言

2011年09月19日 | Weblog
2011年09月16日 23時40分37秒

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110916/lcl11091618400006-n1.htm



「八ツ場(やんば)ダム(群馬県)建設が代替案より優れているとする国土交通省の検証結果に民主党の前原誠司政調会長が不快感を示したことについて、東京都の石原慎太郎知事は16日の定例会見で「国交省の検証結果に基づいて、国交大臣がこれを判断すると言っていたのに、前言を翻すようなバカなことをいう。私、非常に怒っています」と述べた。

 石原知事は、政府が八ツ場ダム建設の要否を前原政調会長らが参加する「政府・民主三役会議」で最終判断する可能性に言及したことに、「自分の意に沿わないから、俺たちで決めると言い出すことは僭越(せんえつ)というか、自己矛盾というか、うぬぼれ」と苦言を呈した上で、「国は国の結論を出したんだからそれに従えばいい」と結果を尊重するよう求めた。」



馬鹿言えよ。「国の結論」は国民・住民から選ばれた政治家がするものであって、官僚がするものじゃない。



じゃあ、お前は財務省なり厚労省なりが、都に新たな財政負担を強いたら黙って従えよ。



官僚が自分達に都合のいいようにデータを作出するのはお前もよく知ってんだろ。だからお前官僚嫌いなんだろ。お前こそ自己矛盾だろ。



そっか。築地移転でデータ作出してるから、官僚の気持ちがわかるようになったのか。



原発事故半年で保安院が謝罪 原子炉冷却の信頼性を確認へ

2011年09月19日 | Weblog
2011年09月11日 21時39分03秒

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110911-00000533-san-soci



「福島第1原発事故の発生から半年がたった11日、会見した経済産業省原子力安全・保安院の森山善範原子力災害対策監は「多くの皆様が厳しい避難生活を送り、放射線に不安を抱いている。保安院として、改めて心より深くおわびします」と謝罪した。

 また、森山原子力災害対策監は、福島第1原発周辺からの避難住民が帰還する前提となる原子炉の「冷温停止状態」を判断するため、同原発で現在稼働し、原子炉冷却の中核を担っている循環注水冷却システムの中期的な信頼性を確認すると発表した。

 早ければ今月中に、東京電力に対して信頼性の確認に必要な事項を示し、報告を求める。政府と東電が作成している事故収束に向けた工程表では、今年7月のステップ2の開始から3~6カ月程度で冷温停止状態の実現を目指しており、森山原子力災害対策監は「(冷温停止状態は)まず保安院で技術的に判断し、最終的には原子力災害対策本部で確認する」と話した。」



忘れてはいけないことは、こいつらにとっては所詮他人事だということ。半年だ、1年だと言えば、義務的に謝罪の言葉を出すが、責任を取って辞職することもないし、退職金を辞退することもないし、給与の何割かを被災地に送ることもないし、被災者の気持ちを体感するために避難所で肩身の狭い思いをしながら暮らすこともしない。ただ、声帯を震わせて無意味な音を伝えているに過ぎない。そこには空気の振動以外の何物もない。



こういうリスクも不利益も被らない連中が、停電にもならない都心で、自分達の経済的利益だけを追求している。



そういう連中に原子力などという人類を破滅に導くものを扱わせてはいけないということを、我々は今回の福島第一原発の事故から学び、記憶し続け、行動し続けていかなければならない。




asahi.com配信記事( http://www.asahi.com/politics/jiji/JJT201109090114.html ) 2011年9月9日19時6分



私に責任の一端=原発事故で元経産次官



「元経済産業事務次官の望月晴文氏は9日、都内で講演し、東京電力福島第1原発事故に関し、2001年の原子力安全・保安院設立に携わった経緯を踏まえ、「私に安全問題の責任の一端がある」と語った。その上で「残念でならない。安全は共通認識だったが、きちんと具体化できなかったのは非常に悲しい」と述べた。

 一方、新興国への原発輸出については「世界水準の安全技術を渡す意味で日本企業の役割は大きい。日本が責任を果たせるかどうか世界レベルで考える必要がある」と指摘した。

 また、今後の中長期のエネルギー政策策定に当たっては(1)安定供給(2)経済性(3)環境の三つを軸に需要と供給の両面から検討する必要性を強調。「広範な視野で幅広いコンセンサスを得ながら進めてほしい」と注文を付けた。 



[時事通信社] 」


原発に潜むリスク:フクシマから半年/1 /福井

2011年09月19日 | Weblog
2011年09月11日 20時47分23秒

毎日jp配信記事( http://mainichi.jp/area/fukui/news/20110911ddlk18040450000c.html )



「東京電力福島第1原発事故の発生から半年。各原発では津波による全電源喪失に備えて緊急対策は施されたが、原子炉が空だきになったメカニズムはいまだ解明されず、根本的な安全対策には至っていない。この半年で顕在化した原発に潜むリスクを、津波、活断層、老朽化、使用済み核燃料プールから考える。



 ◇甘かった過去の津波検証 高さの想定、見直し急務



 福島第1原発の構内にどす黒い津波が押し寄せ、タンクなど重要設備をさらう衝撃的な映像から半年。若狭湾にも、大津波が押し寄せた過去があるのでは---。そんな危機感から今月2日、鯖江市の福井高専の一室に、県内の6人の研究者が集まった。

 地質学、歴史学などそれぞれの専門分野を生かし、若狭湾岸の津波被害を洗い直そうというプロジェクトだ。古文書の記述や地域伝承を調べ、ボーリング調査で津波の痕跡を探す。発起人の一人、外岡慎一郎・敦賀短大教授(日本中世史)は「福島のような事故が起きてからでは遅い」と、研究の意義を語る。

 高さ約15メートルの津波が襲ったとされる福島第1原発。事故以前に、岡村行信・産業技術総合研究所活断層・地震研究センター長が、貞観地震(869年)での被害を考慮すべきと指摘していた。しかし東電は「十分な情報がない」と対策を先送りした。

 事故後、福井県は津波の史料について自治体に問い合わせ、情報を集めている。天正大地震(1586年)で若狭湾に大津波が押し寄せ、死者多数の被害があったことを示す文献が複数見つかった。関西電力など3事業者も、津波の有無を調べるために三方五湖で掘削調査をする。

 県内の原発敷地は、21メートルの高速増殖原型炉「もんじゅ」を除けば低い。敦賀1号機の3メートルは全国一低く、美浜、高浜原発も3・5メートルだ。経済産業省原子力安全・保安院によると、建設時に津波の具体的な高さ想定がなかったという。電力事業者は、土木学会津波評価部会が02年にまとめた「原子力発電所の津波評価技術」で、高さを算出する。過去に同じ場所で繰り返し発生した記録が残る地震を基にモデルを作成し、シミュレーションするため、県内ではおおむね1~2メートルの高さにしかならない。

 同部会委員の河田恵昭・関西大教授(社会安全学)は、「この方法では、過去の記録がしっかりと残っていなければ算出方法に反映されず、疑わしき情報は切ってきた。原発を作る側に都合のいい評価方法だったのではないか」と指摘する。

 福島の事故後、保安院は各電力事業者に対し、従来の想定に一律9・5メートルを加えた高さの津波に対する緊急安全対策を求めた。だが現状は「津波で全電源を喪失しても、高台に設置した電源車などで一時的に電源を確保できる」(保安院)状態で、押し寄せる津波は原発構内に入り込むものとしている。

 関電や日本原子力発電は防潮堤の設置を予定しているが、10メートルを超える津波に対策ができるのかは「検討中」とし、詳細は明らかにしていない。【柳楽未来】毎日新聞 2011年9月11日 地方版」

首都圏壊滅の危機感 菅前首相に聞く 2011年9月6日 07時09分

2011年09月19日 | Weblog
2011年09月06日 14時14分23秒

東京Web配信記事( http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011090690070913.html )



「2日に退任した菅直人前首相が5日、本紙の単独インタビューに応じ、東京電力福島第一原発の事故発生当初に原子炉の状態が把握できず、水素爆発が相次ぐ中で「東京に人っ子一人いなくなるような事故に拡大するかもしれない」と、首都圏壊滅の危機感を持ったことを明らかにした。事故の体験から「日本の技術なら大丈夫」との考えが変わり、7月の「脱原発依存」宣言につながった。

 菅前首相は、事故四日後の三月十五日に東電本店に乗り込んだ理由を「午前三時ごろ、海江田万里経済産業相(当時)から『東電が第一原発から撤退の意向を示している』と言われた」ためと明言。「(第一と第二で)十基の原発と十一個の核燃料プールを放置したら、何時間か何十時間の間に原子炉とプールの水は空になり、どんどんメルトダウン(炉心溶融)する」との危機感から、本店に政府と東電の対策統合本部を設けたと述べた。

 その上で「撤退したら今ごろ、東京に人っ子一人いなくなっていたかもしれない。まさに日本が国家として成り立つかどうかの瀬戸際だった。(旧ソ連)チェルノブイリ事故の何倍、何十倍の放射性物質が出ていたかもしれない」と説明。こうした体験から「日本の技術なら大丈夫」との考えを改め、原発に依存しない社会を目指そうと思ったという。

 五月六日に中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の運転停止を要請した理由は「東海地震が発生する確率が非常に高いとの研究結果があり、事故が起きたら完全に東京と大阪の間が遮断されて、日本の経済、社会に極めて大きな影響を及ぼすから」と話した。

 九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の再稼働目前に新たな安全検査の導入を決めた理由は「(経産省原子力安全・)保安院は、私の知らないところで、保安院だけで再稼働を判断する従来のやり方を取ろうとした。それでは国民の理解を得られないと言った」と述べ、経産省の対応を批判した。太陽光などの再生可能エネルギーについては「産業的にも可能性があるが、電力業界と経産省が三十年前から抑え込んできた。それをどう突破するか。私も頑張ってやろうと思う」と述べた。

 高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)の運転再開や核燃料サイクルは「技術的に極めて難しい。根本的に再検討する時期にある」との見方を示した。(東京新聞)」



組員104人が生活保護申請…愛知県、5年間で

2011年09月19日 | Weblog
2011年09月04日 20時57分51秒

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110904-OYT1T00199.htm



「厚生労働省が暴力団構成員に対する生活保護不適用の徹底を求めた通知を出して以降の5年間について、愛知県内の市町村に受給を申請していた構成員の数を県警が集計したところ、計104人に上ることがわかった。

いずれも各市町村から県警への照会で組員らと判明したケースで、全て申請の却下や支給停止の措置が取られている。一方、照会件数は、全体の申請者や受給者に比べ、ごく一部にとどまり、県警幹部は「発覚したのは氷山の一角とみられ、積極的に照会を」と呼びかけている。

 生活保護の受給者や申請者について、各自治体は個別に地元警察へ相談や確認をしていたが、愛知県と名古屋市は昨年、暴力団構成員として登録されているかどうかを照会し、情報の提供を受ける協定を県警と結んだ。岐阜県は2007年、三重県も08年に同様の協定を締結。県警への照会で構成員と判明した人数は、岐阜県は集計を始めた07年度から昨年度までで15人、三重県は昨年度までの3年間で8人だった。

(2011年9月4日12時04分 読売新聞)」


厚労省の通知を受けての運用がどうなっているのかを知らないのだが、全件都道府県警への照会をしていないのだろうか。水際作戦とかやっている暇があるなら、全件照会してもらいたい。


これから受給申請があったものはもちろん、現在受給している人についても、暴力団の構成員か否かの照会をしてもらいたい。


ピンピンした働く気もない暴力団構成員が受給することによって、病気や重い障害で働けない人の受給が抑制されたりしてはたまったものではない。


「強きを助け、弱気をくじく」我が国行政機関には、断固とした態度で暴力団構成員に対応してもらいたい。


「別人の血液型」検出、開示せず…東電OL事件

2011年09月19日 | Weblog
2011年09月04日 17時51分43秒

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110903-OYT1T00877.htm



「東京電力女性社員殺害事件で無期懲役が確定したネパール国籍のゴビンダ・プラサド・マイナリ受刑者(44)の再審請求審で、捜査当局が事件当時、女性の胸からマイナリ受刑者とは異なる血液型がO型の唾液を検出しながら、弁護側に証拠開示していなかったことがわかった。



捜査当局は、マイナリ受刑者とは別の人物が犯行時間帯近くに女性と会っていた可能性を示す証拠を把握しながら、その存在を伏せていたことになり、当時の対応が問題となりそうだ。

 東京高検は2日までに、公判段階で弁護側に開示されていなかった、この唾液を含む物証約40点のDNA鑑定を実施する方針を東京高裁と弁護側に伝えた。

 関係者によると、唾液は事件発生直後に採取され、血液型が判明していたが、検察側は弁護側に開示せず、証拠申請しなかった。微量だったため、DNA鑑定は行われなかったという。

(2011年9月4日03時06分 読売新聞)」

原発事故後の政府の対応からもわかる通り、我が国政府は情報隠蔽政府。

収集した証拠を開示せずに犯罪者を創り上げている。そのうえ、裁判員制度を導入し、国民に冤罪創出に関与させている。とんでもない政府。


手持ち証拠は開示しない。取り調べは密室で行って、調書は創り上げる。こうなるともう、「不公正司法」「アンフェア司法」どころか、「ペテン司法」「詐欺司法」「犯罪司法」。

記事末尾で「微量だったため、DNA鑑定は行われなかったという」などと、捜査当局側の言い訳にもならない言い訳をわざわざくっつけてやるマスコミも同罪。


微量だったらDNA鑑定できないのか?じゃあ、これから何をやるんだよ?DNA鑑定をやるんだろ。鑑定するに足るだけの量があるんだろ。ふざけんなよ。

朝日がん大賞に山下俊一さん 被曝医療に貢献

2011年09月19日 | Weblog
2011年09月02日 14時33分43秒

asahi.com配信記事( http://www.asahi.com/national/update/0831/TKY201108310495.html )



「日本対がん協会(垣添忠生会長)は、今年度の朝日がん大賞と対がん協会賞の受賞者を1日付で発表した。大賞には長崎大学大学院教授で、7月に福島県立医科大学副学長に就任した山下俊一さん(59)が選ばれた。チェルノブイリ原発事故後の子どもの甲状腺がんの診断、治療や福島第一原発事故による福島県民の健康調査や被曝(ひばく)医療への取り組みが評価された。2日に鹿児島市である「がん征圧全国大会」で表彰する。

 日本対がん協会賞を受賞した個人と団体は次の通り。(敬称略)

 【個人】医療法人西山医院理事長、西山順三(72)▽神奈川県予防医学協会常務理事、井出研(80)▽青森県総合健診センター前理事長、吉田豊(81)▽結核予防会放射線技師協議会顧問、赤松暁(70)▽鹿児島県医師会前会長、米盛学(78)▽町立辰野総合病院前院長・元長野県医師会消化器検診検討委員長、松崎廉(69) 」



果たしてこの授賞は妥当だったのか。大いに疑問がある。以下に、「山下俊一」で検索して引っ掛かった記事をいくつか載せておくので、多くの人にその妥当性について考えてみてもらいたい。



垣添忠生日本対がん協会会長が一番話が通じそうなので、垣添会長に抗議文を出そうかと思っている。




毎日jp配信記事( http://mainichi.jp/area/fukushima/news/20110830ddlk07040155000c.html )



東日本大震災:山下氏解任求め、署名を県に提出--3市民団体 /福島



「◇低線量被ばく過小評価と

 県内の保護者らで作る「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」など3市民団体が29日、県庁を訪れ、県放射線健康リスク管理アドバイザーと「県民健康調査のあり方を検討する有識者委員会」の座長を務める山下俊一氏の解任を求める署名6662通を提出した。同ネットの中手聖一代表は「山下氏は低線量被ばくの影響を過小にみている」と説明している。

 これに対して県は「山下氏は放射線に深い知見を有している」として、解任には応じない姿勢を示した。

 山下氏は長崎大大学院教授だったが、7月には長崎大を休職して県立医大副学長に就任した。【種市房子】

毎日新聞 2011年8月30日 地方版」



YOMIUI ONLINE配信記事( http://www.yomiuri.co.jp/feature/eq2011/hibaku/20110322-OYT8T00758.htm )



ヨウ素剤配布で混乱、誤った服用指示も



「東京電力福島第一原子力発電所の事故で、各地で比較的高い放射線が観測されていることから、福島県内では国の指示を待たずに住民に安定ヨウ素剤を配布する自治体が出始めていることが、読売新聞社の調査で分かった。

 各地で観測されている放射線レベルでは健康には問題がないが、国と自治体の方針が一致せず、混乱が広がっている。

 ヨウ素剤は医療関係者の立ち会いのもと、避難時に服用するのが原則だが、「自分の街は大丈夫か」という不安が住民をヨウ素剤入手に駆り立て、その要求に自治体側も応じている。しかし、必要がない人まで服用してしまう可能性があるほか、事前に備蓄を消費してしまうと、いざという時に必要量が確保できない恐れがある。

 独自判断で安定ヨウ素剤を配布していたのは、同原発の20キロ・メートル圏内で避難指示が出ている富岡町、20~30キロ・メートル圏内で屋内退避になっているいわき市、圏外に位置する三春町。これら3自治体では、少なくとも15万7000人分を配布。三春町では住民の服用も求めていた。

 同町内の50歳代の女性はすぐ服用するよう指示されたため、息子に飲ませたという。しかし、この時点で服用する必要がなかったことを聞くと驚き、「すぐに飲めば効果があると期待して飲んだのに……。これが無駄だったと思うと、ひとまず安心した気持ちをどこにぶつければいいのだろう」と語った。

 こうした混乱が起きているのは、国と県の情報交換が不十分で足並みがそろわないのが原因だ。

 原子力安全・保安院の西山英彦審議官は19日夜、「16日朝に20キロ・メートル圏内からの避難者にヨウ素剤を投与するように県に指示した」と説明した。しかし、15日昼過ぎには、避難は完了していた。県の担当課長は「今更、服用させても効果がないと判断し、実施を見送った」と話した。これに対し、同院は「予防的な措置として投与を決めたが、結果として対象者がいなかった」と釈明した。

 19日には、世界保健機関の緊急被曝医療協力研究センター長の山下俊一・長崎大教授が県の災害対策本部を訪れ、報道陣に対し「放射能のリスクが正しく伝わっていないが、今のレベルならば、ヨウ素剤の投与は不要だ」と話した。(2011年3月22日 読売新聞)」


ゲンダイネット配信記事( http://gendai.net/articles/view/syakai/130385 )


山下俊一(長崎大教授)のトンデモ発言

「福島県の子供の命を左右するキーマン


●親たちはカンカン!
 文科省が決めた小中学校の屋外活動制限の線量基準(年間20ミリシーベルト)に対し、福島県民の戸惑いは広がるばかりだ。平常時の基準(年間1ミリシーベルト)を20倍に引き上げ、さらに大人と子供を同じ基準にするというのだから、保護者から不安が出るのは当然だ。
「原発労働者でさえ、年間20ミリシーベルトも被曝(ひばく)する人はほとんどいません。その“異常基準”を子供に当てはめるのだからムチャクチャです。校庭の土を入れ替えれば済む話ではありません」(科学ジャーナリスト)
 福島県の子供たちは本当に大丈夫なのか。カギを握るのが、3月に県から「放射線健康リスク管理アドバイザー」を委嘱された山下俊一・長崎大大学院教授だ。
 山下教授は長崎大医学部卒で、米UCLA客員教授、長崎大医学部教授などを歴任。福島県によると、「福島医科大と長崎大は親交があり、山下教授は放射線医学の世界的な権威であるためアドバイザーをお願いしました」(担当課)という。
 ところが、この山下教授に県民がカンカンになっている。
「連休中の3日に福島県二本松市で開かれた山下教授の講演内容にはビックリしました。出席者が『将来、子供たちに何か影響があった場合は責任が持てるのか』と質問すると、山下教授は『将来のことは誰も予知できない』『皆さんに基準を提示したのは国。国民のひとりとして国の指針に従う義務がある』とノラリクラリだったからです」(県民のひとり)

●「放射線はクヨクヨしていると来る」だって
 山下教授は3月21日の福島市の講演でも「放射線の影響は、実はニコニコ笑ってる人には来ません。クヨクヨしてる人に来ます」と発言して県民を呆れさせている。
「年間20ミリシーベルト」に対しては、各国からも「子供の発がんリスクを高めるもので、このレベルの被曝を安全と見なすことはできない」(米国の医師の会)との懸念が出ている。やはり基準を見直すべきではないのか。
「山下教授は4月に文科省の『原子力損害賠償紛争審査会』の委員に選ばれたばかり。うがった見方をすれば、立場上、文科省が決めた線量基準を『安全ではない』と断じることができないのではないか」(前出の科学ジャーナリスト)
 県民の怒りが爆発するのも時間の問題である。 」

東京新聞Web配信記事( http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2011072802000047.html )


福島の大学を舞台に親原発勢力が巻き返し?


「原発事故に直撃された福島県で今月、脱原発団体が批判する学者や機関と県内の大学との連携の動きが相次いだ。福島大学は独立行政法人・日本原子力研究開発機構(原子力機構)と連携協定を締結。福島県立医大では「年間一〇〇ミリシーベルトの被ばくまで安全」と講演した山下俊一・長崎大教授が副学長に就任した。地元では「大学の権威で、被害の訴えが封じられるのでは」と、懸念する声も漏れている。 (出田阿生、中山洋子)」


小児がん征圧キャンペーン 闘病経験者ら70人、キャンプで交流 /福岡

2011年09月19日 | Weblog
2011年09月02日 13時10分35秒

毎日jp配信記事( http://mainichi.jp/select/wadai/ikiru/news/20110821ddlk40040221000c.html )



「◇仲間と元気に楽しむ

 九州各地で暮らす小児がん経験者が1泊2日のキャンプをして交流を深める「にこにこスマイルキャンプin九州」が20日、八女市星野村の「池の山キャンプ場」で開かれ、闘病経験者17人と、医療関係者らスタッフの計約70人が参加した。

 九州がんセンター(福岡市南区)と久留米大の医師や小児がん経験者ら15人でつくる実行委(委員長、白石恵子・同センター臨床心理士)主催。昨年3月に初めてデイキャンプを開き、今回も1年かけて寄付を募るなどして準備を進めてきた。実行委は、毎日新聞社会事業団が取り組む「小児がん征圧募金」の配分団体の一つ。

 小児がんは、治癒後も復学や就職に対して不安を持つ経験者が多いとされ、キャンプは仲間との親交を深め、悩みを相談したりするのが目的。この日、参加者はスタッフと一緒に宝探しや野外炊飯、キャンプファイアなどを楽しんだ。

 熊本市から参加した小学5年の松村恵佑君(10)は「初めて会う仲間やスタッフとも仲良くなれた。明日も楽しみ」とにっこり。

 小児がん経験者で今キャンプリーダーのスタッフ、古嶋研史さん(23)は「経験者は病気で心と体のバランスが保てないことも多く、経験者同士で悩みを打ち明ける機会も少ない。仲間と元気に遊んで、年上の経験者とも交流してほしい」と話していた。【土田暁彦】〔筑後版〕」



「過労死、再発防止を」 企業名公開訴訟が結審 大阪地裁

2011年09月01日 | Weblog
2011年08月31日 22時45分09秒

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110712/trl11071223440023-n1.htm



「大阪労働局が過去に過労死認定した企業名を開示しなかったのは不当として、「全国過労死を考える家族の会」代表、寺西笑(えみ)子(こ)さん(62)=京都市伏見区=が国に不開示処分の取り消しを求めた行政訴訟の最終口頭弁論が12日、大阪地裁(田中健治裁判長)であった。寺西さんが「公表されれば企業が猛省し、再発防止を尽くす第一歩になる」と意見陳述し、結審した。判決は11月10日。

 寺西さんは平成21年3月、大阪労働局に対し、管轄する労働基準監督署が作成した過労死事案の資料にある企業名を明らかにするよう、情報公開請求した。

 請求したのは企業名のみで個人名を含んでいなかったが、大阪労働局は翌月、「個人を識別できる情報が含まれている」と判断して不開示を決定。寺西さんは、弁護士らでつくる「大阪過労死問題連絡会」の協力を求め、21年11月に提訴していた。

 寺西さんは、15年前に飲食チェーンで店長を務めていた夫、彰さん=当時(49)=を過労自殺で亡くした。意見陳述では「過労死を出した企業の多くは労働基準法に違反しており、就職活動をする上でも企業名は重要な情報。公表することで社会に監視される仕組みが必要だ」と訴えた。」



公表できる法的根拠がないのかな?だったら、そういう規定を法律に盛り込んじゃえばいいのに。別に個人名まで出せと言ってるわけじゃないんだから、問題ないと思うんだけど。障害者雇用率の未達成企業名も公表されてるわけだし。



「個人を識別できる情報が含まれている」って言うなら、そこは省けばいいじゃない。行政って出来ない言い訳ばっかりするよな。



企業は公表されるのを嫌がるから、有効な抑止力になると思うんだけど。



http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110831/trl11083113060004-n1.htm



社員死亡は長時間労働原因 朝日ソーラー提訴 上司「売り上げ上げるまで帰ってくるな」



「太陽熱温水器メーカー「朝日ソーラー」(大分市)の社員、金沢吾郎さん=当時(36)=が昨年死亡したのは長時間労働が原因として、妻めぐみさん(37)ら遺族が31日、同社に約1億3780万円の損害賠償を求める訴訟をさいたま地裁に起こした。

 訴状によると、金沢さんは2008年2月に入社、川越支店(埼玉県川越市)に配属され、温水器などの訪問販売に従事。昨年3月、業務中に倒れ虚血性心疾患で死亡した。遺族側は、亡くなるまでの2年間の時間外労働時間が毎月178時間を超えていたと主張、同社が安全配慮義務を怠ったとしている。遺族側代理人によると、川越労働基準監督署は今年3月、金沢さんの死亡を労災と認定した。

 めぐみさんは提訴後に記者会見し「売り上げが低いと、上司に『上げるまで帰ってくるな』と言われていた。同じような被害者を出してほしくない」と話した。」



178時間も時間外労働させるなら、もう一人雇えばいいのに。そういうインセンティブが働くように、時間外労働に対しては、150%増しとか200%増しの給料を払うように法改正しちゃえばいいんだけど、絶対やらないんだよな。25%増しとか30%増しじゃ、その人をこき使おうとしちゃうよな、経営者は。



そういう経営者にも勿論問題はあるんだけど、もう一人雇った方が遥かに安くつくっていう方向に政策誘導してもらいたい。ワークシェアも進んで、より人間的な社会になると思うんだけど。(言うのは簡単で、行われるのは難しいっていうのはよくよくわかってはいるんだけどさ。)



死ぬまで働かなきゃならない社会っていうのは明らかにおかしいんだよね。


過労死認めた逆転勝訴確定 心臓疾患障害者の労災訴訟

2011年09月01日 | Weblog
2011年08月31日 21時27分54秒


http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110722/trl11072212240005-n1.htm



2011.7.22 12:24



「心臓障害を抱えて愛知県豊川市の家電量販店で働き、2000年に死亡した小池勝則さん=当時(37)=の妻が、遺族補償年金を不支給とした国の処分取り消しを求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(宮川光治裁判長)は22日までに、国側の上告を受理しない決定をした。過労による労災と認めた原告逆転勝訴の二審判決が確定した。21日付。

 1審名古屋地裁は「心臓疾患の危険が増えるとされる時間外労働の1カ月45時間を下回っている」と平均的労働者の労災基準を基に請求を棄却。しかし2審名古屋高裁は「身体障害者への労災適用の判断基準は平均的労働者ではなく、個別の事情を考慮すべきだ」と指摘。医師に禁じられた月33時間の時間外労働があった点などから「過重業務による疲労、ストレスの蓄積で死亡した」と判断した。」



「菅氏とは首から上の質が違う」 経団連会長、手放しで歓迎

2011年09月01日 | Weblog
2011年08月29日 20時49分33秒

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110829/biz11082919430017-n1.htm



「経団連の米倉弘昌会長は29日、民主党の新代表に野田佳彦財務相が選出されたことについて、「お若いのでもう少し待たなくてはと思っていた。ジャパンドリームの実現だ」と手放しで歓迎し、「民主党の先生方は最終的に非常にいい結論を出された」と評価した。

 米倉会長は野田代表について「かねてから税制・社会保障に通じた非常に安定した行動力のある政治リーダーだと思っていた」と明かした。菅直人前代表との違いを聞かれ、「要するに首から上の質が違う」と言及、野田氏はきちんと政策を立案し、野党とも協議していける人物との見方を強調した。

 ねじれ国会の下での政策運営について、米倉会長は「大連立でも緩やかな協調でも、どんな形でもいいから挙国一致体制で望んでもらいたい」と注文。野田代表に「1年以上、最終的には次の選挙まで務めきってほしい」と要望した。

 個別政策では「まずは早期の震災復興だ。できる限り本年度予算の組み替えをやり、不足する場合には期限を区切って復興国債を発行し、財源には経済的なインパクトがニュートラルな消費税を使ってやっていくべきだ」と語った。」



公にする表現としては如何なものかね、「要するに首から上の質が違う」って物言いは。こき下ろしている相手は、国民の代表者が選んだ内閣総理大臣だよ。



法人税を下げて消費税を上げろと主張し、社会保険料を負担せず、物品費で賄えるからという理由で、正社員を絞るだけ絞って、非正規社員を使い捨ててきた経団連が喜ぶということは、企業経営者でもない国民にとっては、要警戒ってことだね、野田政権は。



泉南石綿訴訟第一審判決(この判決が先日覆されました)

2011年09月01日 | Weblog
2011年08月28日 21時32分47秒

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20100603171941.pdf



平成18(ワ)5235 損害賠償請求事件 平成22年05月19日 大阪地方裁判所



「主文


1 被告は,別紙「認容額等一覧表」の「原告氏名」欄記載の各原告に対し,各原告に係る同一覧表の「認容額」欄記載の金員及びこれに対する同一覧表の「遅延損害金起算日」欄記載の各日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。


2 同一覧表記載の各原告のその余の各請求並びに原告3,原告4及び原告8の各請求をいずれも棄却する。


3 訴訟費用は以下のとおりとする。
(1) 原告3,原告4及び原告8に生じた費用と被告に生じた費用の10分の1を同原告らの負担とする。
(2) その余の原告らに生じた費用と被告に生じた費用の10分の9について,これを2分し,その1を同原告らの,その余を被告の各負担とする。


4 この判決は,第1項に限り,本判決が被告に送達された日から14日を経過したときは,仮に執行することができる。


事実及び理由


第1章請求


被告は,別紙「請求額等一覧表」の「原告氏名」欄記載の各原告に対し,各原告に係る同一覧表の「請求額」欄記載の金員及びこれに対する同一覧表の「遅延損害金起算日」欄の各日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。


第2章事案の概要


本件は,大阪泉南地域のアスベスト(石綿)工場の労働者であった者及びその家族並びにアスベスト工場の近隣で農業を営んでいた住民(相続人を含む。)である原告らが,被告に対し,アスベスト(石綿)粉じんにばく露し
たことによって健康被害を被ったのは,被告が規制権限を行使しなかったためであり,国家賠償法1条1項の適用上違法であるとして,同項に基づき,健康被害あるいは死亡による損害の賠償を求める事案である。


第3章前提事実(争いのない事実並びに括弧内の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定することのできる事実)


第1節原告ら
原告らは,大阪泉南地域のアスベスト(石綿)工場の元労働者ないしその相続人,労働者の家族(原告2)並びにアスベスト工場の近隣で長年農作業に従事していた亡Bの相続人である。


第2節石綿の物性及び工業的用途(甲ア5・13ないし42頁)(省略)


第3節大阪泉南地域における石綿製造業の概要と石綿紡織業疾病等の発生状況(省略)


第4節石綿関連疾患の特徴及び症状(現在の医学的知見等)(省略)


第5節石綿による業務上の疾病等に係る認定基準の概要(省略)


第6節労働関係法制における石綿粉じんばく露防止に関する法規及び行政の対応状況(省略)


第4章争点


第1 被告の国家賠償法上の責任の有無


1 労働関係法における省令制定権限の不行使を理由とする国家賠償責任の有無(争点1)


2 環境関係法における規制監督権限の不行使及び立法不作為を理由とする国家賠償責任の有無(争点2)


3 毒劇法(毒物及び劇物取締法〔昭和25年法律第303号〕)における規制監督権限の不行使を理由とする国家賠償責任の有無(争点3)


4 情報提供権限の不行使ないし情報提供義務違反を理由とする国家賠償責任の有無(争点4)


第2 各原告との関係における被告の責任及び損害


1 各原告との関係における被告の責任(争点5)

2 損害(争点6)


第5章当事者の主張の要旨(省略)


第6章当裁判所の判断その1(認定事実)(省略)


第7章当裁判所の判断その2(被告の国家賠償法上の責任の有無)


第1節規制権限不行使の違法


国又は公共団体の公務員による規制権限の不行使は,その権限を定めた法令の趣旨,目的や,その権限の性質等に照らし,具体的事情の下において,その不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認めら
れるときは,その不行使により被害を受けた者との関係において,国賠法1条1項の適用上違法となるものと解するのが相当である(最高裁昭和61年(オ)第1152号平成元年11月24日第二小法廷判決・民集43巻10号1169頁,最高裁平成元年(オ)第1260号同7年6月23日第二小法廷判決・民集49巻6号1600頁,最高裁平成13年(受)第1760号同16年4月27日第三小法廷判決・民集58巻4号1032頁参照)。
原告らは,被告の規制権限として,労働関係法における省令制定権限,環境関係法における規制監督権限(立法を含む)及び毒劇法における規制監督権限を挙げ,被告のこれらの権限の不行使が原告ないし石綿粉じんばく露の被害者との関係において国賠法1条1項の適用上違法である旨主張するので,以下,労働関係法,環境関係法及び毒劇法の順に,各権限の根拠及び同権限不行使の違法の有無について検討する。


第2節労働関係法における省令制定権限の不行使を理由とする国家賠償責任の有無(争点1)


第1 労働関係法における省令制定権限の根拠及び同権限行使の方法(省略)


第2 石綿関連疾患についての医学的又は疫学的知見の集積時期並びに被告が石綿粉じんばく露による被害の実態及びそれへの対策の必要性を認識した時期(省略)


第3 昭和35年の時点における石綿肺防止のための被告の省令制定権限不行使の違法性の有無(省略)


第4 昭和47年の時点における被告の省令制定権限不行使の違法性の有無


1 昭和47年までに新たに獲得された医学的又は疫学的及び工学的知見をまとめると以下のとおりである。


(1) 前記第2のとおり,石綿粉じんばく露と肺がん及び中皮腫の発症との間に関連性があるという医学的又は疫学的知見(ただし,中皮腫が低濃度ばく露によっても発症するとする点は除く。)は,昭和47年におおむね集積されたということができる。


(2) 粉じん測定機器については,デジタル粉じん計及びろ過材をグラスファイバーとするろ過捕集法のほか,メンブランフィルター法も実用化されており,研究者ないし測定の専門家により用いられる場合だけでなく,一般の事業場において日常的に用いられる場合においても,粉じん全体から石綿粉じんのみの濃度を計測できるだけの知見が成立していた。


(3) 粉じん測定方法について,昭和40年に個人用のサンプラーが開発されて,ばく露濃度の測定についての知見が確立し,昭和46年の旧特化則の制定時において,環境濃度の測定方法についての知見も得られていた。


(4) 粉じん濃度の評価指標について,昭和40年に日本産業衛生協会が定めた,じん肺(石綿肺)を対象とする許容濃度は,1㎥当たり2mgとされており,また,昭和43年のBOHSの勧告を受けた,英国のアスベスト産業規則は,クロシドライト以外の石綿粉じんの規制値を1㎤当たり2繊維又は1㎥当たり0.1mgとし,クロシドライトの規制値を1㎤当たり0.2繊維又は1㎥当たり0.01mgとしていた。


2 このような状況のもとで,昭和46年5月1日に旧特化則が施行された。

旧特化則は,肺がんや中皮腫の危険に着目したもので,石綿粉じんが発散する屋内作業場における当該発散源への局所排気装置の設置を義務付け(4条),またその性能要件として抑制濃度(1㎥当たり2mg)を採用す
るなど,具体的な規制措置を定めたものである。また,昭和47年10月1日に安衛法,安衛則及び特化則が施行され,上記の規定はおおむね引き継がれるとともに,定期自主検査や健康管理手帳制度の創設等新たな措置を定めた。


3 原告らは,昭和47年の時点において省令制定権限を行使すべきであるのにしなかった点を以下のとおり列挙するので,逐次,検討する。


(1) 石綿製品の禁止


昭和47年の時点において,被告(労働大臣)が,石綿製品の使用又は製造を禁止することを正当化するに足りる医学的又は疫学的知見があったことを認めるに足りる証拠はなく,同時点において,被告が石綿製品の使用又は製造を禁止しなかったとしても,許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠いたものということはできない。


(2) 局所排気装置の設置にかかる,密閉・機械化


原告らは,工程ごとに,可能な限り機械化を進め,これを密閉した上,密閉が極めて困難な部位に局所排気装置のフードを設置するという方法をとるよう義務付けるべきであったと主張する。
確かに,前記(第3,5)のとおり,昭和35年の時点で局所排気装置の代替措置として発散源の密閉化をも使用者に義務付けるべきであったというべきである。そして,原告らが指摘するように,可能な限り機械化してこれを密閉することが労働者の石綿粉じんばく露を回避できる効果的な措置であるということはできる。
しかし,機械化や密閉を優先的かつ一律に事業者に義務付けることは現実的ではない(だからこそ原告らも「可能な限り」と主張している。)。したがって,「事業者は(中略)粉じんを発散する屋内作業場においては(中略)発散源を密閉する設備,局所排気装置又は全体換気装置を設ける等必要な措置を講じなければならない」(安衛則577条)という規定の仕方による義務付け以上の規定を設けることは困難であったというべきである。したがって,原告らの主張するような措置を義務付ける省令を制定しなかったことが許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠いたものとまではいえない。


(3) 全体換気装置への除じん装置の設置


全体換気装置への除じん装置の設置は,作業場外の一般環境への石綿粉じんの排出を防止する措置であり,これは,近隣住民の石綿粉じんばく露を避けるために必要な措置であることはいうまでもない(労働省も,旧特化則施行に当たり,通達〔昭和46年5月24日付け〕において,有害物質含じん気体の大気中への放出が公害をもたらす危険性があることに言及している。)。しかし,これは,労働者の健康,風紀及び生命の保持を行うことを目的とする安衛法に基づく省令制定権限の問題そのものではなく,この関係で違法性を論ずるのは適切ではない。


(4) 防じんマスクの備え付け


前記(第3,5(2)ウ)のとおり,防じんマスクは,粉じんばく露防止措置としては,補助的な手段に位置づけられるものである上,被告は,安衛則(593条,596条)及び特化則(43条,45条)において,呼吸用保護具等の保護具の備付けを義務付けているのであり,被告に省令制定権限の不行使があったとはいえない。


(5) 保護作業着保管


前記(第3,5(2)オ)のとおり,保護作業着の保管は,職業性ばく露の問題そのものとはいえないし,労働者の作業場外における石綿粉じんばく露の防止という観点においても,これを省令において義務付けることの必要性やその効果が明確とはいえないというべきであるから,これを省令で義務付けなかったことが違法となるとはいえない。


(6) 基準値の法定と定期測定の結果報告


ア旧特化則においては,じん肺(石綿肺)を対象とする抑制濃度を,1㎥当たり2mgとしたが,この値は,前記1(4)の英国のアスベスト産業規則(クロシドライト以外の石綿粉じんの規制値を1㎤当たり2繊維又は1㎥当たり0.1mgとし,クロシドライトの規制値を1㎤当たり0.2繊維又は1㎥当たり0.01mgとする)と比較して大幅に高い。しかも,石綿粉じんへのばく露による肺がん及び中皮腫の発症に関する医学的又は疫学的知見が集積されており,特に中皮腫については,低濃度の石綿粉じんばく露によっても罹患するおそれのあることが指摘されていたのであるから,なおさら適切さを欠いたといわざるを得ない。

しかし,従来より,このような基準値は,省令により定められてきたわけではなく,労働省の告示や通達によるものである。また,告示ないし通達による内容の違法性を検討するとしても,肺がんや中皮腫についての個人のばく露限界については統一的な基準や知見があるわけではないから,その数値の設定が他国の基準よりも緩和されていたとしても直ちに違法であると評価を下すことはできない。したがって,基準値を更に厳格に改定(法定)しなかったことが違法であったということはできない。


イ一方,特化則においては,石綿を製造し,又は取り扱う屋内作業場について,6か月以内ごとに1回,定期に,石綿粉じん濃度を測定し,記録を保存することが義務付けられたが(36条1項),その測定結果の報告は義務付けられなかった。しかし,石綿粉じん濃度を測定して労働環境のモニタリングをすることは,石綿粉じん被害を予防するための前提として,また,その後の労働安全行政に活用するために極めて重要であるから,そのような意義を有する測定が実行されることを担保する措置を講ずることもまた極めて重要である。そして,測定結果が抑制濃度を超える場合にはその改善を義務付ける措置を講ずることもまた重要である。前記のとおり,石綿粉じんばく露によって肺がんや中皮腫に罹患することが医学的又は疫学的に明らかになった時期であったから,なおさらである。したがって,測定結果の報告及び改善措置を義務付けることは測定を義務付けることとともに必要であり,また,そのような報告義務,改善義務を課することにさほどの障害があったとは認めがたいところである。そうすると,これらの措置を義務付けなかったことは,許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くものであったというべきである。


(7) 特別教育の実施


前記(第3,5(2)キ)のとおり,特別教育は,粉じんばく露防止措置としては,補助的な手段に位置づけられるものであり,これを義務付ける省令を制定しなかったことが,許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くものとはいえない。


(8) その他,原告らは,粉じん測定法を定めなかったこと,石綿の危険性の表示及び危険性情報の開示を義務付けなかったこと,小規模零細事業への考慮を欠いていること等を理由として省令制定権限不行使の違法を主張するが,いずれも,その義務付けを省令において規定すべきであった根拠が明らかではなく,採用の限りではない。


4 まとめ
昭和47年において,前記3(6)イのとおり,屋内作業場の石綿粉じん濃度の測定結果の報告及び抑制濃度を超える場合の改善を義務付けなかったことは,石綿粉じんによる被害が石綿肺に止まらず,肺がんや中皮腫にも及ぶことが明らかになった段階にあっては,著しく合理性を欠いたもので違法であったというべきである。



第3節環境関係法における規制監督権限の不行使及び立法不作為を理由とする国家賠償責任の有無(争点2)(省略)


第4節毒劇法における規制監督権限の不行使を理由とする国家賠償責任の有無(争点3)(省略)


第5節情報提供権限不行使ないし情報提供義務違反を理由とする国家賠償責任の有無(争点4)(省略)


第8章当裁判所の判断その3(各原告との関係における被告の責任及び損害)


第1節各原告との関係における被告の責任(争点5)


第1 労働者以外の者との関係での違法性


原告らは,亡Bが,石綿工場の近隣で農業を行っていて石綿粉じんにばく露したと主張し,また,原告14,原告23及び亡H(相続人原告18)は,経営者として石綿工場で稼働した際に,石綿粉じんにばく露したとして,被告に対し,省令規制権限の不行使を理由とする国家賠償の請求をする。
しかし,石綿粉じんの規制権限を省令に委任した旧労基法42,43条等の安全衛生に関する規定及び安衛法22条等の健康障害防止措置に関する規定は,いずれも,職場における労働者の安全と健康を確保する趣旨の規定である。

したがって,上記法令によって与えられた省令制定権限の不行使が違法とされるのは,旧労基法及び安衛法の保護の対象である労働者との関係においてであるといわざるを得ない。したがって,亡B並びに使用者としての原告14,原告23及び亡Hは,被告に対し,省令制定権限不行使の違法性を問うことはできないというべきである。


第2 省令制定権限不行使の違法と石綿粉じんばく露による損害との間の因果関係


1 前記(第7章,第2節,第3及び第4)のとおり,被告(労働大臣)が,旧じん肺法の成立した昭和35年(同法の施行日は同年4月1日)以降の時期において,省令制定権限を行使して局所排気装置等の設置を義務付けな
かったために,また,昭和47年以降の時期に,屋内作業場の石綿粉じん濃度の測定結果の報告及び抑制濃度を超える場合の改善を義務付けなかったために,それぞれ,その後の石綿粉じんばく露による被害の拡大を招いたというべきである。


2 被告の違法と原告8の石綿粉じんばく露との間の因果関係について証拠(甲(9)の4,原告8)によれば,原告8は,大正15(1926)年11月13日,現在の韓国の慶尚南道山清郡丹城面で出生し,昭和26年10月ころから昭和34年9月ころ,大林石綿,金沢石綿及びその他小規模の石綿事業所に勤務したこと,原告8は,平成18年12月27日,じん肺管理区分管理2・要療養との認定を受け,続発性気管支炎と診断されたことが認められる。
そうすると,原告8は,被告の旧労基法又は安衛法に基づく省令制定権限不行使の違法が認められる昭和35年以降の時期に,石綿事業所に勤務しておらず,また,同年以降に石綿粉じんにばく露したことを認めるべき証拠もないというほかはないから,被告の上記省令制定権限不行使の違法と原告8の石綿粉じんばく露による健康被害との間に因果関係を認めることはできず,原告8の被告に対する国家賠償の請求は,理由がない。


3 他方,上記の省令制定権限不行使の違法と,昭和35年以降の時期において石綿粉じんにばく露し石綿関連疾患に罹患した労働者である後記原告ら又はその被相続人ら(原告8のほか,原告2,亡Bを除く。)の損害との
間には,相当因果関係があるものと認められる。なお,昭和35年から昭和47年までの時点では,石綿粉じんばく露と肺がん,中皮腫及びびまん性胸膜肥厚の発症との間に関連性があるという医学的又は疫学的知見は集積されておらず,また,昭和47年以降も,石綿粉じんばく露とびまん性胸膜肥厚との間に関連性があるという医学的又は疫学的知見は集積されていたと認めるに足りる証拠はないのであるが,各疾病が昭和35年以降の石綿粉じんばく露により生じたと認められる場合には,被告の省令制定権限不行使を理由とする違法と,これらの疾病との間の相当因果関係は肯定すべきものと解する。なぜならば,いずれの疾病も石綿粉じんの職業ばく露,すなわち長期又は多量のばく露によって生ずるものであり,量-反応関係にあって,その粉じんばく露防止対策は,ばく露抑制という点で共通であるから,その対策に対応する,被告における被害の予見の内容も,職業ばく露(長期又は多量のばく露)による健康被害というもので足りるのであり,病名,病態のそれぞれについて予見するには及ばないと解するからである。



第3 原告らの石綿粉じんばく露と健康被害との因果関係


1 原告2,亡Bを除く原告ら又はその被相続人らの健康被害は,後記(第2節,第2)のとおり,石綿粉じんのばく露により生じたものと認められる。


2 原告2(省略)


3 亡B(省略)


第2節損害(争点6)


第1 請求の方式の適否及び損害額の算定方法


1 包括一律請求について


原告らは,各石綿関連疾患による被害を受けたと主張する者につき,生存している者と死亡した者のそれぞれにつき,その被害全てを総体として把握し,それに対する慰謝料及び弁護士費用として一律の請求をする(個
々の損害項目を合算する方式による請求はしないとするものであって,他の損害項目の請求はしないという意味での全部請求であると解される。)。
本件のように,石綿粉じんばく露による被害が相当広範な範囲に発生し,被害者,さらには訴訟当事者が多数に及ぶ訴訟においては,個々人の損害(積極損害,逸失利益等の消極損害)を個々に積み上げていく方式では,
立証が困難である上に煩瑣であり,審理が長期化して紛争の解決が甚だしく遅延することとなるおそれが大きい。また,原告らは,石綿工場での石綿粉じんへのばく露という共通の原因により,石綿肺,肺がん,中皮腫又
はびまん性胸膜肥厚という石綿関連疾患に罹患したものであり,被害内容をある程度類型化することが可能である。その上で,個別に損害額の増減をして(これ自体も類型的とならざるを得ないが)調整することとすれば,
加害者側にとっても,類型化された損害の評価についてある程度の防御をすることも可能であるし,個別の減額要因の主張立証も可能である。以上の諸点を考慮すると,事案によっては,包括一律請求も許されるものと解
する。そして,本件における原告らの請求方式は,前記のとおり,石綿工場等における石綿粉じん被害について,被害者一人ひとりの被害の全てをそれぞれ包括的に把握し,それを慰謝料及び弁護士費用として金銭評価し,全体請求として類型別に一律の額を請求するというものであるから,上記の点に照らし許されるものと解する。そして,当裁判所は,認定した原告ら又はその被相続人らの被害について,慰謝料額を算定するに当たり,類型別に一律評価をした上で,個別の減額事由の有無を考慮することとする。


被告は,国家賠償法による損害賠償請求をする際には,個々具体的な損害の内容を摘示し,各損害項目ごとに損害額を明示すべきものであり,原告らは,請求原因事実として主張立証責任を負う事実について,その責任
を果たせない旨の弁解をしているにすぎず,本件では,結局,具体的な損害の立証がないというべきであると主張するが,上記のとおりであって,被告の主張は採用することができない。


2 石綿関連疾患による精神的苦痛及びその金銭評価


(1) 石綿肺は,前記(第3章,第4節,第1,2)のとおり,一般に,最初に労作時の息切れ,咳,痰等の症状があらわれ,病状が進行すると,咳,痰が激しくなり,続発性気管支炎等の合併症を併発することもあるほか,拘束性の肺機能の低下が著明になると,換気障害を生じ,合併症や急性心不全により死に至ることもある。
また,肺がんは,前記(第3章,第4節,第2,2(3))のとおり,浸潤性増殖を生じ,血痰,慢性的な激しい咳,喘鳴,胸痛,体重減少,食欲不振,息切れ等の症状を引き起こすほか,全身の臓器に転移をするおそれがあり,5年生存率を15%以下とする調査結果もあるなど,非常に予後の悪い疾患である。中皮腫も,前記(第3章,第4節,第3,2)のとおり,息切れ,胸痛及び咳のほか,胸膜浸潤による胸水の貯留を引き起こすおそれがあるが,標準的といえる治療法はなく,診断確定からの生存期間は7か月から17か月までとされ,やはり非常に予後の悪い疾患である。
びまん性胸膜肥厚も,前記(第3章,第4節,第4,2)のとおり,咳と痰,喘鳴,胸痛及び反復性の呼吸器感染などの症状を引き起こし,進行すると,拘束性の換気障害を生じて著しい肺機能の低下を来すこともある。


(2) そして,石綿関連疾患に罹患した者は,後記第2で認定する原告ら又は被相続人らの置かれた状況にもあるとおり,息切れ等の症状に始まり,次第に肺機能障害等が重篤化していき,そのため,ついには,仕事を断念せざるを得ず,また,家族の援助・看護がなければ日常生活を送ることができないようになり,さらには,酸素吸入を必要とするようになったり,安眠ができなくなったり,呼吸困難の発作が生じ,入退院を繰り返すようになるのであり,甚大な肉体的苦痛と精神的苦痛を被るようになることが認められる。また,石綿関連疾患に罹患した者は,不可逆的な進行性の疾患であることに一様に精神的衝撃を受けるだけでなく,周囲の親族・同僚等の罹患者が次々と悲惨な最期を遂げていく状況を目の当たりにして,更に将来に強い不安を抱き,また,家族にかける精神的,経済的,肉体的負担に対する深い負い目にも苛まれていると認められる。

(3) このような,石綿関連疾患の罹患者の被る精神的苦痛を金銭評価するにあたっては,同疾患によって受ける精神的苦痛が,おおむね石綿肺等の疾患の亢進具合に相関すると考えられるから,じん肺法が定める管理区分に応じた基準慰謝料額を定めるのが相当と解する。なお,上記石綿関連疾患への罹患による精神的苦痛は,現実に療養を必要とする段階にならなくても,石綿関連疾患全体の進行性,不可逆性といった特質に照らせば,将来の不安自体であっても軽度のものとはいえないから,石綿肺が管理区分管理2で合併症がない場合であっても相応の慰謝料額を認めるのが相当である。


(4) 肺がん及び中皮腫への罹患による精神的苦痛については,上記のとおり,肺がん及び中皮腫の予後が極めて悪く,発症後長年の生存が期待できない疾患であり,進展時の肉体的苦痛も又大きい者であることに照ら
せば,じん肺において,著しい肺機能の障害があると認められる場合である管理4と同等のものと認められる。
びまん性胸膜肥厚により労災認定を受けた者の当該疾患への罹患による精神的苦痛についても,びまん性胸膜肥厚による認定の基準として,著しい肺機能障害が必要とされていることに照らせば,やはり,管理4と同等のものと認められる。


(5) 以上の各事情にかんがみると,原告らあるいは被相続人らについて,基準慰謝料額を以下のとおりとするのが相当である(以下,この金額を「本件基準慰謝料額」という。)。
① 管理2で合併症なし1000万円
② 管理2で合併症あり1200万円
③ 管理3で合併症なし1500万円
④ 管理3で合併症あり1700万円
⑤ 管理4,肺がん,中皮腫又はびまん性胸膜肥厚2000万円
⑥ 石綿関連疾患による死亡2500万円


3 損害賠償額の修正要素


(1) 被告の賠償責任の範囲


前記(第1節,第2)のとおり,省令制定権限行使しなかった違法(局所排気装置等設置の義務付けあるいは屋内作業場の石綿粉じん濃度の測定結果の報告等の義務付けを定めなかった違法)とと原告ら又はその被相続人ら(原告8,原告2及び亡Bを除く。)の石綿関連疾患に罹患したこととの間に相当因果関係があると認められる。
ところで,被告は,労働環境における労働者の危害防止及び安全衛生に配慮すべき義務に関しては,使用者又は事業者(以下「使用者ら」という。)が第一次的かつ最終的責任を負担するものであり,仮に,本件において,被告が損害賠償責任を負うとしても,被告の責任は,当該石綿作業場を経営する企業が当該労働者に対して安全配慮義務違反に基づく損害賠償責任を負うことを前提として初めて認められる,二次的,補充的な責任にとどまるとして,賠償義務は,使用者等のそれに比して相対的に低い割合に限定されるべきである旨主張する。
しかし,被告と使用者らとの責任は,いわゆる共同不法行為(民法719条)の関係にあるというべきであるから,被告の責任の範囲を減縮するには,同法719条1項後段を適用するか,類推適用して,被告の責任の範囲を減縮すべき事情を立証すべきであると解する。しかるに,被告の責任の範囲を減縮すべき具体的事情を認めるべき的確な証拠はないというほかはない(原告らの請求は,前記のとおり,包括一律請求として慰謝料の支払を求めているのであり,他の財産上の請求をしないことを前提とするものであるから,慰謝料額自体についてさらに補充的な責任を根拠とする減額をすることは,かえって公平に反する。)。したがって,被告の上記主張は採用することができない。

(2) 慰謝料額を減額すべき個別的事由


ア労災保険法に基づく保険給付及び石綿健康被害救済法に基づく給付について


被告は,原告らの一部は,労災保険法に基づく休業補償給付や遺族補償給付等,又は石綿健康被害救済法による救済給付や特別遺族給付金等(以下「労災保険給付等」という。)を受領しているところ,これらの原告については,慰謝料額を算定する当たり,労災保険給付等を受領していることが一要素として考慮されるべきであると主張する。
確かに,一部の原告らに対して労災保険給付等が支給されたことが認められる(争いのない事実,甲(5)の7等)。しかし,前記(第1,1)のとおり,原告らの請求は,生存する者と死亡した者のそれぞれにつき,その被害全てを総体として把握し,それに対する慰謝料及び弁護士費用として一律の額の請求をするものであり,慰謝料以外の財産上の請求はしないというものである。そして,上記の受給分は,法律的には本件の損害の填補となるものではない。したがって,上記の受給分があるからといって,このことを慰謝料額の算定につき斟酌すべき事由とするのは相当でないというべきである。


イ肺がん罹患者で喫煙歴のある原告らについて


被告は,肺がんを発症した原告らのうち,喫煙歴を有する者については,その肺がん発症につき,石綿粉じんばく露による影響よりも,当該原告の長年の喫煙の影響が相当強く及んでおり,損害額の算定に当たっては,上記事情が適切に考慮されるべきであると主張する。
そして,喫煙は有意に肺がんの発症に影響し,喫煙歴も石綿粉じんばく露歴も無い人の発がんリスクを1とすると,喫煙歴があって石綿粉じんばく露歴がない人では10.85倍,喫煙歴が無く石綿粉じんばく露歴がある人では5.17倍,喫煙歴も石綿粉じんばく露歴もある人は53.24倍になる(乙132・4頁)。
このように喫煙が肺がん発症のリスクを相当程度高めているという事情を考慮すると,被告に肺がんによる損害の全部を賠償させるのは公平を失するというべきであるから,喫煙歴のある肺がん患者の損害賠償額を定めるについては,民法722条2項の類推適用により,喫煙歴のあることをしん酌するのが相当である。ただし,喫煙量及び喫煙期間と肺がん発症との具体的な相関性までは認めることができないので,減額は控えめに,かつ,一律にするのが相当であり,損害額の10%を減額することとする。


ウ使用者らであった原告らについて


前記(第1節,第1)のとおり,使用者(ないし事業者)として石綿粉じんばく露により健康被害を被ったことについて,被告に対し省令制定権限の不行使を理由とする国家賠償請求をすることはできないというべきであるが,労働者としても石綿粉じんにばく露した者については,その限りで,被告に対し上記を理由とする国家賠償請求をすることができる。この場合には,使用者として石綿粉じんにばく露した期間等を考慮して損害賠償額を定める(減額する)こととする。


第2 各原告の損害(省略)


第3 弁護士費用


本件事案の内容,審理の経過その他一切の事情を考慮し,別紙「認容額等一覧表」の「原告氏名」欄記載の各原告が本件訴訟の提起・追行のために要した弁護士費用のうち,同一覧表「弁護士費用」欄記載の金額の限度
で,被告に負担させるのが相当である。


第9章結論
以上によれば,別紙「認容額等一覧表」の「原告氏名」欄記載の各原告の請求は,同一覧表の「認容額」欄記載の金員及びこれに対する訴状送達の日の翌日である同一覧表の「遅延損害金起算日」欄記載の各日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度でそれぞれ理由があるから認容し,同原告らのその余の請求並びに原告3,原告4及び原告8の各請求は,いずれも理由がないから棄却することとし,仮執行免脱宣言については,相当でないからこれを付さないこととして,主文のとおり判決する。


大阪地方裁判所第2 2 民事部
裁判長裁判官小西義博
裁判官井上善樹
裁判官浅井隆彦は,転補につき,署名押印することができない。
裁判長裁判官小西義博」



※この判決を覆した控訴審判決全文がまだ見付けられていないので、見付けられ次第紹介します。どちらの判断が妥当なのか比べてみてもらいたいです。