がん(骨肉腫)闘病記

抗がん剤治療、放射線治療、人工関節置換手術、MRSA感染、身体障害者となっての生活の記録を残します。

続・頂いたコメントについて1

2007年07月16日 | Weblog
2007年1月23日記載

前回に続き今回も頂いたコメントについて言及する。(頂いたコメントは以下のとおり。)

「ありがとうございます

こんなに具体的に、わかりやすくアドヴァイスしてくださって本当にありがとうございます。

正直に言って、「彼女」という立場で、家族ではないため、詳しいことがわからないことも多々あります。ただ、抗がん剤はこれ以上ないというほど効き、腫瘍は本当に小さくなっていたみたいです。

彼の効果判定を直接聞いていないので、CR、完全寛解という言葉は聞いていませんが、三ヶ月に一回の検査で大丈夫、二年再発がなければそれから先まず再発はなく、十年で本当に安心できるようになるとのことです。

私から病気のことについて触れることはありません。検診の前は不安が大きくなるようで、情緒不安定になり、その時だけは色々話し合います。といっても彼の話を聞くだけですが。

家族でもないし、具体的にできることなんて何もなく、「彼女」として何ができるんだろうとばかり考えていましたが、そばにいる事はできるんですよね。彼自身のためだけではなく、自分のためにも、彼にはこれからも一緒に生きていってほしいから。見えない敵との戦いへの不安はありますが、これからの時間どう過ごしていくか、二人で考えていきたいと思います。

このブログで色々学ばせてもらっています。これからも更新お願いします☆」


上記のコメントを頂いて、私としても安心した。腫瘍に詳しい良い医師に巡り会っていると推測出来るからである。

まず、3ヶ月に1度の定期検診でいいというのは全く正しい。なぜなら、CTで捕捉出来る大きさまで腫瘍細胞が大きくなるには3ヶ月かかるからである。また、CT撮影は単純X線撮影の20倍の放射線を浴びる。必要のない放射線は浴びないに越したことはない。以上2点の理由から、定期検診は3ヶ月に1度で良い。事実私も3ヶ月に1度定期検診を受けている。

次に、「二年再発がなければそれから先まず再発はなく」の点についてであるが、ここは、正しくは「3年転移がなければ」という表現が正しいと考える。彼の癌が何なのかわからない状態なので、推測でしか物が言えないが、彼の行ってきた治療、彼の年齢、医師の判断、医師の話しぶり等を総合考慮すると、彼の癌は骨軟部腫瘍の1種ではないだろうか。

骨軟部腫瘍では原発巣切除手術からどれだけの期間転移が出ないかが重要である。完全な私見であるが、1年で70%、2年で85%、3年で99%の生存率であると考えている。ここで、勘違いしてはいけないのは2年経ったとしても、3年経ったとしても転移が見つかる場合があることである。しかし、それは取り切れる確率が非常に高い。万一転移が出たとしても諦めてはいけない。

3年後、4年後に転移が出るのには細胞分裂の分裂周期が大きく関係していると考えられている。細胞分裂周期の細かな説明は省略するが、分裂を行わない、冬眠したような細胞がまれに存在し、時間が経って冬眠から目覚めるように細胞分裂を始めることがある。それが転移となって現れる。しかし、それは特殊な細胞であって、他にも散らばっているということは少ない。従って、手術で取り切れる可能性が高い。抗がん剤は分裂活動の活発な細胞に良く作用する。しかし、分裂をしない細胞にはあまり効かない。そのような理由で、冬眠しているような細胞には効かず、後になって姿を現すことがあるのである。

最後に、「十年で本当に安心できるようになる」との点についてであるが、これも全く正しい。一般に、癌は5年経てば完治と見做されるが、骨軟部腫瘍は10年で完治と見做される。ちなみに乳がんは20年である。


骨軟部腫瘍に詳しい医師が少ない我が国で、彼は良い医師に巡り会えたと思う。あとはただただ時の経過を待つばかりである。ただ、繰り返しになるが、万一転移が出たとしても決して諦めてはいけない。彼は原発巣切除から少なくとも1年は経過していると思う。彼の年齢を考えると、転移が出るなら既に出てておかしくないはずである。若いうちは細胞分裂が盛んだからである。それが出ていないということはかなり完治に向かっていると思う。私の主治医の言葉であるが、「1年経つとかなり安全圏なんだよね」と言われたことがある。彼もかなり安全圏に入っていると思う。私は根拠のない話は全く信用しないが、私の主治医は40年の経験があり、また、根拠のないことを言う人物ではない。上記の「1年経つとかなり安全圏なんだよね」と言われたのは、私が原発巣を切除してから1年経ったときに聞いた言葉だが、その言葉を聞いた私は原発巣切除後2年6ヶ月経っている現在、転移・再発ともに見られない。彼も希望を持っていい状態であると推測する。



私も定期検診の前には結構ナーバスになる。ブログを読んでもらっていればおわかりだと思うが、比較的冷静で、客観的なものの見方をする30代の私でもそうなのであるから20歳の彼が不安定になるのも止むを得ないと思う。そばで話を聞いていてあげて欲しい。聞いてもらうだけでも十分救いになっていると思う。



頂いたコメントについて1

2007年07月16日 | Weblog
2007年1月22日記載

掲題の件について私見を述べたい。 まず頂いたコメントを引用する。(コメントの形で頂いたので、公開したが、公開されることを望まない場合は、メッセージの形でその旨ご連絡頂きたい。即座にコメントおよび本記事を削除する。)

「■始めまして★

ずっとブログ読ませていただいていましたが、コメントをまとめることができず、今に至ります。

私は二十歳です。一昨年、同じ年の彼が「癌」と診断され、5クールの抗がん剤治療の後、手術でとった腫瘍に癌細胞がなかったということで、術後すぐに退院し、今は定期健診に通っていますが、再発はしていません。

治療は本当につらいもので、私は見ていることしかできませんでした。今でも常に再発の不安があります。私は当人ではないけれど、それでもやっぱり不安でいっぱいです。

私には何が出来るのだろうといつも考えますが、結局できることなんて無いんです。

見えない敵との戦いをしている彼をどう支えていけばいいのか、何かできることはないのか、よかったら、周りの人間ができることをアドヴァイスお願いします。

なんだかまとまらないけど、、このブログを見て色々考えさせられます。拙い文で申し訳ありません。もし、御気分を害されるようなことがあれば削除してください。失礼します。」




私であればまず極力客観的に事実を把握しようと試みる。なぜなら、不安は不確実性を1つの根拠としていると考えるからである。

まず、彼が罹患した癌はより具体的に言うと何だったのであろうか。そしてその進行度はどれだけのものであったのであろうか。

そしてその癌に5クールの抗がん剤治療が行われたということであるが、それはどのような抗がん剤がどれだけの量投与されたのであろうか。抗がん剤の効果判定は何であったのであろうか。その辺りの情報が欲しい。現在、個人情報保護法が施行されているので、請求すれば自分の診療情報は開示されるはずである。(実費はかかるが。)

次に、「手術でとった腫瘍に癌細胞がなかったということで、術後すぐに退院し」とあるが、この記述からすると、術前の抗がん剤治療がこれ以上ないというほど効いて、その後の抗がん剤治療が必要ないと判断されたのではないかということが、1つの可能性として予想される。

抗がん剤の効き方には4つの分類がなされるのが一般である。良い方からCR,PR,SD、PDである。(違う呼び方をする場合もある。)

CRとはcomplete responseの略で、完全寛解ともいう。腫瘍細胞が完全に消失し、その状態が4週間以上継続することである。

PRとはpartial responseの略で、部分寛解ともいう。腫瘍細胞が50%以上消失し、新しい腫瘍細胞の出現が4週間以上見られない状態である。

SDとはstable diseaseの略で、不変ともいう。腫瘍細胞の状態がほとんど変わらない状態である。

PDとはprogressive diseaseの略で、進行ともいう。腫瘍細胞が増大または転移した状態である。

術後に抗がん剤治療を行わないという選択を出来るのはCRの時だけである。その他の場合で術後補助抗がん剤治療を行わないという選択はまず採られない。そんな医者がいたら余程のやぶである。彼の効果判定がCRであったことを切に願う。


周囲の人間が出来ることについてであるが、私なら病気のことには一切触れず、病気がなかったころのように振る舞って欲しい。それが難しいことは重々承知しているが、過酷な治療をした人間からすると、その事は一切思い出したくない。その頃の記憶が消し去れたらどれだけいいだろうと思う。病気だとか病院だとか忌まわしい記憶に繋がるものは極力遠い距離に置いておきたい。

そういう思いでそばにいてあげたらいいのではないだろうか。1つ言っておきたいのは、彼のことをそこまで心配し、そばに居てくれる貴女がいることが彼にとってはとても幸福なことであるということである。

自分のことを心から心配してくれる人間はそうはいない。彼を心から心配しているだけで、それは何ものにも変えがたい価値のあるものである。貴女はその自負とともに、彼との時間を自然な振る舞いとともに共有してもらえたらと思う。20歳の女の子には大変なことかもしれないが、出来ればそうしてあげて欲しい。


本ブログについて

2007年07月15日 | Weblog
本ブログは、他のブログサイトで私が作成した記事を抜粋して掲載しているものである。冒頭の日付は元となっているブログに掲載した日付を表している。そうしている目的は、本ブログの内容をより多くの方に知ってもらいたいと思ったからである。

個室生活

2007年07月15日 | Weblog
2007年01月21日
私は入院期間中ずっと個室に入院していた。大きな病院の個室料金はいくらくらいだと皆さんは想像されるだろう?私が入院していた病院は1泊3万円であった。1ヶ月で90万円である。 国立がんセンターも3万円、聖路加も同じくらいだったと思う。べらぼうに高い。「だったら大部屋に入院すればいいじゃないか」とお思いの方もおられると思うが私には出来なかった。私が入院した病院の整形外科は骨軟部腫瘍専門であったので、ほとんどの人が悪性の骨軟部腫瘍患者であった。骨軟部腫瘍の治療はとても厳しいものである。 ほとんどの人が大変厳しい抗がん剤治療を受けている。吐き続けるのは当たり前で、吐き過ぎで粘膜を痛めて血を吐く人も居る。それでもまだ治ればいいが、効果もなく亡くなっていく人はいくらでもいる。まさに生き地獄である。その中で精神の安定を保てる自信が無かった。贅沢だという批判は甘んじて受けたいと思う。

自分が将来がんに罹るかもしれないと考え、個室に入院しようと考えているのであれば相当充実した内容の保険に入っておくか、高額の預金を持っておいた方がいい。経験者からの提言である。