がん(骨肉腫)闘病記

抗がん剤治療、放射線治療、人工関節置換手術、MRSA感染、身体障害者となっての生活の記録を残します。

11月26日付・読売社説-国会延長問題 首相は態勢を立て直す時だ

2008年11月26日 | Weblog
2008年11月26日 09時47分記載

参照URL http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20081125-OYT1T00770.htm



「臨時国会の会期は延長しても、補正予算案は提出しない。わかりにくい対応である。

 麻生首相は、第2次補正予算案は年初召集の通常国会に提出すると言明した。

 つまり、首相が、10月末の記者会見で示した追加景気対策の裏付けとなる補正予算案の国会提出は、先送りされた。

 これには、首をかしげる人が少なくあるまい。首相は、現在の経済状況を「百年に一度の暴風雨」と形容して強い危機感を示し、追加対策は「迅速」な実行が肝心としていたからだ。

 しかし、補正予算案を延長国会に提出したとしても、民主党が頑迷に抵抗すれば成立は難しい。

 補正予算審議の引き延ばしはしない、と民主党は言っているが、政府・与党にすれば、福田前政権以降、何度も煮え湯をのまされてきた。とても「信」を置けないということなのだろう。

 民主党は、インド洋での給油活動継続のための新テロ対策特別措置法改正案、金融機関の資本に公的資金を予防的に注入する金融機能強化法改正案について、参院での採決を拒んでいる。

 安全保障や金融危機対応に不可欠の法案だ。衆院で再可決・成立させるため、与党が今国会会期を延長するのは当然のことだ。

 ただ、ここまで与党の国会運営を窮屈にした一因に、首相自身の失策もあったのではないか。

 一つは、定額給付金の問題だ。首相は当初、「全世帯に給付」としながら、やがて所得制限の必要性も認め、決定し切れないまま、扱いを地方に丸投げした。

 この迷走劇は、会期延長によって補正成立を期すというシナリオを事実上、崩壊させたようだ。

 その後、首相は、「医師は社会的常識がかなり欠落している人が多い」と舌を滑らせ陳謝した。

 道路特定財源の一般財源化に伴う地方への配分や、日本郵政グループの株式売却の問題でも、発言が揺らいだ。これらは与党内からも批判や反発を呼んでいる。

 首相は、12月は、2009年度予算編成と税制改正に全力を挙げたい、と語った。首相は、これらの作業にあたり、今こそ、態勢を立て直さなければならない。責任ある態度を保持し、政策の実をあげる必要がある。

 首相と民主党の小沢代表が、国会の外でお互い誹謗(ひぼう)しあっている姿は見苦しい。国会の党首討論がようやく開催されるという。両党首は、そこで真正面から大いに論じ合ってもらいたい。

(2008年11月26日01時52分 読売新聞)」

こんなに総理に優しい新聞ないよね。

「補正予算案を延長国会に提出したとしても、民主党が頑迷に抵抗すれば成立は難しい」って、予算案なんて、いつもみたいに強行採決しちゃえば成立させられるじゃない。

「ここまで与党の国会運営を窮屈にした一因に、首相自身の失策もあったのではないか」とも書いてるけど、「一因」が「失策」じゃないよ。「全て」が「失政」だよ。
二次補正は出さない。地方にはいくらがどういう形で渡るのかわからない。公務員改革は進まない。二重行政廃止も進まない。喋れば失言。

「責任ある態度を保持し」って、国民に支持されない定額給付金の問題を市区町村に丸投げする総理のどこに「責任ある態度」が伺えるんだか。是非ご教授願いたいね。


11月23日付・読売社説-裁判員制度 混乱なくスタートできるのか

2008年11月23日 | Weblog
2008年11月23日 09時45分記載

参照URL http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20081123-OYT1T00069.htm



「裁判員制度が始まるまでに、国民が抱いている不安を少しでも取り除くことが、何よりも重要であろう。

 裁判員制度のスタートまで半年を切った。来年5月21日以降に起訴された殺人など重大事件の裁判が対象となる。

 無作為に選ばれた裁判員候補者に、近く、「名簿記載通知」が発送される。約29万5000人、20歳以上の約350人に1人が候補者となる。来年はその人たちから裁判員が選ばれる。

 地方裁判所は裁判員裁判を開く際、50~100人の候補者を呼び出し、6人の裁判員を決める。いつ呼び出しがかかるのか。仕事を抱え、気をもむ人も出るだろう。候補者に与える心理的負担は決して小さくはあるまい。

 裁判員法は、候補者本人が選ばれた事実を不特定多数の人に知らせることを禁じている。家族や職場の上司など、最小限の人にしか伝えてはいけないという規定だが、周知不足は否めない。混乱やトラブルは生じないだろうか。

 裁判長は、裁判員の辞退を認めるかどうかを決める。裁判員に対して争点などを分かりやすく解説するのも重要な役割だ。裁判長によって対応にばらつきが生じないよう再点検が必要である。

 裁判員は、有罪か無罪か、死刑か無期懲役かといった難しい判断を迫られる。国民の参加意識の低さが指摘されてきたが、法律的知識を持たない一般の人が、被告を裁くという重責に尻込みするのも無理からぬ面がある。

 凄惨(せいさん)な現場の状況を聞いたり、写真を見たりして、精神的ショックを受ける裁判員もいるだろう。量刑などを決める評議の内容を口外すれば罰せられることへの重圧も抱え続けねばならない。

 最高裁は、裁判員の心のケアのため、24時間対応の電話相談窓口を設置するが、きめ細かな体制整備が欠かせない。

 裁判員制度のスタートに備え、分かりやすく迅速な裁判の実現が図られてきた。初公判前に、裁判官、検察官、弁護人が争点を絞り込む公判前整理手続きが導入されたのは、その典型だ。

 だが、簡略化、迅速化を優先するあまり、審理がおざなりになってはなるまい。公判前整理手続きの検証も実施すべきだ。

 最高裁の新長官に、裁判員の制度設計にかかわってきた竹崎博允・東京高裁長官が就任する。裁判員制度を無事スタートさせ、軌道に乗せることができるか。手腕が問われる。

(2008年11月23日02時23分 読売新聞)」

裁判員裁判なんてやめればいいんだよ。何のためにこんなことやんの?

「ほとんど絶望的」(平野龍一先生)と言われた「精密刑事司法」から「核心刑事司法」への転換を図りたいなら、取り調べ過程の全面可視化が絶対に必要で、今予定されているような裁判員裁判を実施するなら、「核心司法」の実現どころか、「拙速・厳罰・冤罪司法」が実現することは必至。なんで捜査当局が取り調べ過程を全面可視化しないか考えてごらんよ。

誰がこんなことやろうとしてんのかな。松尾浩也先生もどうしちゃったかな(「裁判員」の名付け親といわれている。ちなみに、私が大学生時代のクラス担任で、松尾先生の刑事訴訟法も履修している)。


平野龍一先生、田宮裕先生が生きていたらどう言ったかな。極めて残念。


共生社会-(下)自立支援法の1割負担で応酬

2008年11月16日 | Weblog
2008年11月16日 19時18分記載

YOMIURI ONLINE配信記事(参照URL http://www.yomiuri.co.jp/iryou/kyousei/saizensen/20081112-OYT8T00462.htm )



「 障害者「包みこみ」テーマに討論会



 助け合う社会の未来を探る「福祉のトップセミナー」(社会福祉法人南高愛隣会、読売新聞社共催)が8、9日、長崎県島原市で開かれた。今回のテーマは「『包みこむ社会』の可能性を探る」。障害者自立支援法のあり方を中心に議論が行われた後、長崎アピールが採択された。(安田武晴)



理念と傷跡

 

 自立支援法は、障害者へ介護や就労支援などを公的に提供するための法律で、2006年に施行され、来春、見直される予定だ。討論ではまず、同法への評価が話し合われた。

 法制定にかかわった前自民党衆院議員、八代英太さんは、「地方自治体を中心に、向こう三軒両隣の精神で、障害者の自立を支えるという理念はすばらしい」と強調。一方、民主党衆院議員の山井和則さんは、「理念は良いし、福祉が前進した部分もあるが、多くの障害者が自己負担で苦しみ、ヘルパーなど支える人たちの待遇も悪くなった。傷跡は大きい」と反論した。

 南高愛隣会理事長の田島良昭さんは、「いろいろ問題はあるが、障害者福祉の向かうべき方向が見えてきた。60点ぐらいではないか」と分析。慶応大学教授の浅野史郎さんも、「『悪いところは指摘してくれ』というメッセージ付きの法律。施行は時期尚早という意見もあるが、じっくり考えていては、いつまでたっても走り出せない。小さく生んで大きく育てるべきだ」と話した。



財源確保



 自立支援法では、介護などを利用する際、費用の原則1割を自己負担(応益負担)しなければならない。山井さんは、「障害者の尊厳を守るという福祉の理念に反する仕組み。民主党は昨年、応益負担廃止法案を国会に提出した。所得に応じた『応能負担』を軸とした仕組みに変える」と力を込めた。

 これに対し、浅野さんは、「応益負担を導入したからこそ、在宅支援への公費支出を国と自治体に義務づけることができた」と指摘。「介護保険の受給年齢を引き下げ、若い障害者にも介護保険から介護を提供する案が実現していれば、もっと財源が確保できたはずだ」と話した。

 田島さんは、民主党の応益負担廃止法案について、「介護保険の利用者も高齢の障害者なのに、こちらは応益負担のままでいいのか。自立支援法で介護を受ける64歳と、介護保険を使う65歳とは、どこが違うのか。介護保険の対象拡大など、もっと大枠の議論をすべきではないか」と持論を展開した。

 八代さんは、「自立支援法を検討していた頃、介護を受ける障害者を対象に1人月3万円の支給を提案したが、議論は中途半端に終わってしまった。所得保障がしっかりしていないと自己負担は難しい」と話した。



 長崎アピール2008骨子

・社会的な排除をなくす支援を

・年齢問わず使える介護保険に

・支援法充実で地域生活を推進

・受刑後の支援センターの充実

・受刑後の受け皿に公的支援を

・成年後見、公費で利用を促進

・実効ある所得保障制度の検討

・住む場所の確保に施策を強化



政治の責任



 討論では、政治への信頼についても厳しい意見が相次いだ。田島さんは、「自民、民主関係なく、政治家は国民から信頼されていない。政治への信頼がなければ、国民に負担を求めることはできない。これでは、福祉の将来は見えてこない」と強調。浅野さんも、「財源を考えない施策はない。財源をいかに確保するかは、まさに政治の仕事だ」と話した。

 山井さんは、「財源はあるが、今の政治では、選挙で票になる道路や公共工事に使われてしまう。障害者福祉が軽視されないよう、皆さんと力を合わせて、メッセージを発していく」と決意を語った。(2008年11月12日 読売新聞)」

共生社会-(上)助け合う従業員 障害は関係なし

2008年11月16日 | Weblog
2008年11月16日 18時48分記載

YOMIURI ONLINE配信記事(参照URL http://www.yomiuri.co.jp/iryou/kyousei/saizensen/20081111-OYT8T00462.htm )



「 孤立を防ぎ自立促す

 障害者福祉の新しいあり方として、「包み込む社会」が注目されている。問題を解決するカギは、障害ではなく、社会的に孤立していることにあるとする考え方だ。障害者が働く現場を取材すると、包み込む意味が見えてくる。(安田武晴、写真も)



10人中3人



「いらっしゃいませ!」



「またお越し下さい!」



 東京都調布市にあるたい焼き店「夢ある街のたいやき屋さん西調布店」。約26平方メートルの小さな店内に、知的障害のある西岡奈保子さん(41)の元気な声が響く。

 障害者就労支援施設の経営コンサルティングなどを手がける「福祉ベンチャーパートナーズ」(東京都千代田区)が、「障害者が地域で普通に働ける社会を」と、昨年9月に開店した。従業員10人のうち3人は、知能や精神に障害がある。

 西岡さんは週3日、午前10時から午後3時半まで働く。主な仕事は、つぶあん作りだ。障害のない他の従業員に小豆の量などを確認してもらいながら、壁に張られた工程表を頼りに作業を進める。「だいぶ慣れてきました。ミスがないよう心がけています」と、目を輝かせる。

 就労経験はなかったが、3年ほど前、父親が定年退職したのを機に働いてみようと決意。同店に開店当初から勤めている。時給は770円。川合澄枝店長(41)は、「西岡さんは、一度にたくさんの仕事をするのが苦手だが、その点を配慮すれば能力を発揮できる。つぶあん作りは彼女が一番上手」と話す。

 障害のない7人の従業員のうち、川合店長以外は、障害者と接した経験がほとんどない。だが、丸沢明子さん(39)は、「誰にでも得意、不得意はある。不得意なところを把握して、必要な支援をすれば、何の問題もなく一緒に働ける」と話す。

 冬場の週末ともなると、1日に1000個、売れることもある。売り上げは月平均約200万円で、目標額をクリアし続けている。ベンチャーパートナーズでは、今後5年間で計50人の障害者を雇用する計画で、2号店の開店に向け準備中だ。

 

ともに働く



 障害者など、一般の労働市場で働くことが難しい人を雇用するために作った企業が注目されている。「社会的企業」(ソーシャルファーム)などと呼ばれ、1970年代以降、イタリア、ドイツ、イギリスなどで設立が相次いだ。

 日本でも近年急増し、NPO法人や民間企業などが運営するものを中心に数百社あるとされる。対象は障害者だけでなくニートと呼ばれる若者、ホームレスなどへと広がっており、仕事も、農業、畜産業、森林管理、リサイクルなど多様だ。

 支援をする側とされる側が明確に分かれている福祉施設と違い、ソーシャルファームは、ともに働く従業員という関係性が特徴だ。互いに助け合って働くことで、社会的弱者の孤立と、社会からの排除を防ぐことにつながる。

 炭谷茂・学習院大学特別客員教授によると、働きたくても働けない人は、女性や高齢者も含めると、全国で2000万~4000万人はいる。「ソーシャルファームは、その人たちの有力な受け皿のひとつ。欧州に約1万社あり、人口比を考えると、日本でも2000社は必要」と炭谷教授は話す。

 炭谷教授は来月、ソーシャルファームの設立や経営を支援する任意団体「ソーシャルファームジャパン」を設立する。商品開発、販路拡大、資金調達などのノウハウを助言できる経営者らのネットワークを作る。

 12月7日、東京・新宿の戸山サンライズで、設立記念の集会が開かれる。関心のある人は誰でも参加できる。参加は無料。問い合わせは、事務局の環境経営戦略総研((電)03・3265・2974)へ。

                            

              包み込む社会

 長期失業、ホームレス、若年無業者(ニート)などを、社会的孤立の問題としてとらえ、社会の一員として暮らせるよう地域で支えることで解決を図る考え方。「ソーシャル・インクルージョン」と呼ばれる。1980年代後半の欧州で、失業者や貧困層の急増を背景に浸透。日本でもここ数年、格差社会の深刻化に伴い注目されるようになった。年齢や障害、性別にかかわらず、誰もが能力を発揮できる共生社会(ユニバーサル社会)とも共通する。(2008年11月11日 読売新聞)」


マスコミに報復してやろうか=厚労行革懇の会合で-奥田座長

2008年11月12日 | Weblog
時事ドットコム配信記事(参照URL http://www.jiji.co.jp/jc/c?g=pol_30&k=2008111201089 )



「政府の「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」の奥田碩座長(トヨタ自動車相談役)は12日に首相官邸で開かれた会合で、厚労省に関するテレビなどの報道について、「朝から晩まで年金や保険のことで厚労省たたきをやっている。あれだけたたかれるのは異常な話。正直言ってマスコミに報復してやろうか。スポンサーでも降りてやろうかと」と発言した。
 奥田座長は「ああいう番組に出てくるスポンサーは大きな会社ではない。地方の中小とかパチンコとか」とも述べた。
 これに対して、委員の1人である浅野史郎前宮城県知事は「スポンサーを降りるぞとか言うのは言い過ぎ」ととりなした。 
 同懇談会は今年8月、年金記録問題や薬害肝炎問題などで国民の不信を招いた厚労行政の改革を議論するために設置され、来月に中間報告をまとめる。(了)(2008/11/12-21:31)」



降りたらいいんじゃない、奥田さん。どうぞご自由に。



地方の中小企業やパチンコ業界を蔑視した品性下劣な発言。



奥田さんみたいな人にはわからないだろうけど、年金の問題や保険の問題は、多くの国民にとっては重大な問題なんだよ。朝から晩までやっても足りないくらいに。



本日の定期検診結果のご報告

2008年11月07日 | Weblog
2008年11月07日 21時19分記載

お陰様で再発・転移は見られず、感染症の徴候もありませんでした。

これで、告知から約4年7ヶ月、退院から約3年3ヶ月、また一歩完治へと近付いたと感じています。



自分の中では「既に完治」と見なしているので、定期検診結果の報告をもう書く必要はないかなとも思うのですが、一方で、当ブログのアクセス解析を見てみると「骨肉腫」や「骨肉腫 闘病記」等のワード検索でアクセスしてくださっている方々が多くいらっしゃるので、「骨肉腫になっても生きている人間がいますよ。」「もしもこれから骨肉腫の闘病に入るとしても、生存の可能性がないわけではないですよ。」というメッセージを伝えるために、今後も書いていきたいと思います。


社会保障国民会議:最終報告 増税地ならし先行 改革全体像示せず

2008年11月05日 | Weblog
2008年11月05日 10時23分記載

毎日jp配信記事(参照URL http://mainichi.jp/select/seiji/news/20081105ddm002010124000c.html )



「社会保障国民会議は消費税を含めた増税への地ならし役が狙いだった。最終報告に「必要な税率」が盛り込まれたのも、そのためだ。だが、今や限られた税財源をどの分野に重点投入するかを決め、社会保障制度の全体像を描かなければならない時期に来ている。増税に見合う青写真こそ求められているのに、示されたのは抽象的な「社会保障機能の強化」程度で、報告は肩すかしだった。【吉田啓志】

 最終報告に、具体的な税率を書き込むことは、財務、厚生労働両省の悲願。麻生太郎首相が3年後の消費税引き上げを表明し、税制抜本改革に関する中期プログラム策定に着手したタイミングと重なり、必要税率の明記にこぎつけた。

 しかし、最終報告は肝心の社会保障改革の方向性を明示できたとは言えない。負担増を強いられる国民にとって、「何を選択すればどんな見返りがあるのか」という点こそ大事なのに、さっぱり伝わってこないからだ。

 基礎年金の財源は今の保険料主体を続けるのか、全額税で賄う税方式か--。この古い課題の答えも出せなかった。年金記録漏れ問題がネックになり、「制度の抜本改革による信頼回復」を唱える税方式論者を説得できなかったためだ。

 最終報告の言う6%の消費税増税は、「現行年金制度の修正+医療改革」の場合の試算で、4%は医療改革分。一方、「税方式+医療改革」なら13%。消費税は今の5%と合わせ18%になる。

 「18%など非現実的。税方式にすれば医療に回す4%分は確保できないことを示唆した」(厚労省幹部)と言うが、役人が勝手な思惑で政策を進める時代ではとうにない。

 その医療改革も「あるべき姿」を描いたと自負するが、入院日数短縮と在宅医療の強化という厚労省の旧来の主張を並べたに過ぎない。最終報告では「財源配分の見直し、診療・介護報酬体系の検討が必要」と指摘しながら、試算にそうした改革を反映させることもなかった。

 改革の具体的メニューが見たい。「金が必要だから出せ」では国民の理解は得られない。

毎日新聞 2008年11月5日 東京朝刊」



同じ報告を読売が評するとどうなるか。



YOMIURI ONLINE 配信記事(http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20081104-OYT1T00790.htm )



記事タイトル:社保会議報告 超党派で協議する場を作れ(11月5日付・読売社説)



「社会保障改革の道筋が次第に見えつつある。

 年金、医療、介護そして少子化対策を充実するために何が必要か、全体でどれだけ費用がかかるのか。政府の社会保障国民会議が最終報告をまとめた。

 政府は従来、社会保障を現状のレベルで維持した場合の将来予測を示すことはあった。

 だが、今回の報告は、超少子高齢時代の社会保障制度のあるべき姿を検討し、いくつかの選択肢を示した上で、追加負担の必要額を具体的に試算している。

 社会保障費の機械的抑制路線の転換を促す内容だ。年金、医療、介護、少子化対策をトータルで見た将来見通しという点でも、これまでにない報告書である。

 財源については明確な表現を避けたものの、必要費用を消費税率に置き換えると何%になるかを示した。現実的に見て消費税以外に財源はないとの前提に立ち、どこまで税率引き上げを許容できるか議論を提起したと言えよう。

 必要税率は、年金改革を社会保険修正方式とするか、全額税方式とするかで大きく変わる。

 社会保険修正方式は読売新聞の提言に近い改革を仮定している。その場合、医療・介護・少子化対策に要する費用を含めても2015年度に3%台、25年度に6%の税率引き上げで収まる。全額税方式では15年度に6~11%、25年度に9~13%を要する。

 最終報告は、どれを選択すべきだと踏み込んではいない。歯切れの悪さを否めないが、この先は政治が結論を出すべき領域だ、ということだろう。

 麻生首相は、追加景気対策とともに3年後の消費税率引き上げを表明した。国民会議が示した選択肢をもとに、どれを採用し、どう実現するのか、まず政府・与党が工程表を示す必要がある。

 国民会議は報告の基礎データをすべて公開している。これを用いて各層各界、何より各政党が知恵を出し合うべきだ。野党も本気で政権を目指すならば、耳に心地よい漠然とした公約ではなく、現実的で精緻(せいち)な社会保障政策を練ってもらいたい。

 いずれにせよ、社会保障改革は政治が超党派で取り組まなければ前へ進まない。与野党が同じテーブルについて議論する場を、早急に設けるべきだろう。

 医師不足をはじめ、さまざまな問題が噴出している医療・介護制度の改革は、とりわけ緊急を要する。臨調を設置してただちに動き出すことを重ねて提言したい。

(2008年11月5日01時56分 読売新聞)」

読売がどっち向いて記事書いてるかは明らかだね。

番組告知

2008年11月03日 | Weblog
2008年11月03日 18時26分記載

本日22時からテレビ東京系列の「カンブリア宮殿」という番組で次のタイトルのプログラムが放送される。



「障害者に働く喜びを」

ゲスト:大山泰弘(おおやま・やすひろ)氏

     日本理化学工業 会長



以下は番組HPからの引用(参照URL http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/next/index.html )



「不況にあえぐ中小企業にあって、社員の幸せを考えつづけている会社がある。神奈川県川崎市にある「日本理化学工業」だ。そこで働くのは知的障害者たち。この会社の従業員は74人のうち54人が知的障害者だ。しかも重度の人が半数以上を占めている。障害者の雇用を積極的に進める企業の中でも、草分け的な会社だ。
日本理化学工業が知的障害者を雇用することになったのは昭和34年。養護学校の教師が卒業を控えた15歳の女子生徒の就職を頼みにきたことから始まった。「最初は同情からだった。しかし、彼らと共に働くうちに彼らから教わることの方が多かった」そう語るのが会長の大山泰弘(75歳)だ。最初は2週間だけの研修として2人の少女を受け入れた大山だが、一生懸命働く2人の姿に心を打たれ、次第に障害者を雇用するようになったという。
人間の幸せとは「人にほめられる」「人の役に立つ」「人に必要とされる」こと。いずれも「働く」ことで得られる喜びだ。しかし養護学校卒業後に障害者施設に入ると「働く喜び」はなかなか得られない。働きたい気持ちがある障害者たちに道を開こうと、日本理化学工業は障害者雇用を続けている。
日本理化学工業が作っているのは、主に学校で使われるチョーク。粉の飛びにくいチョークで国内シェア30%を占める。大山は、工場の生産ラインを障害者の動きやすいように工夫し、作業効率を高めるようにしている。
しかし、日本理化学工業を取り巻く環境は厳しい。少子化の影響、ホワイトボードやパソコンの普及でチョークの使用量が減っているのだ。そこで日本理化学工業では、クレヨンとチョークとマーカーの利点を組み合わせた“新しいチョーク”≪キットパス≫を開発。売り込みに奔走している。


障害者雇用促進法の施行により、従業員56人以上の企業は1.8%の障害者を雇用することが義務付けられている。大企業を中心に障害者の雇用は年々増加しているものの、1.8%の障害者雇用率を達成している企業は4割程度と今なお現実は厳しい。
番組では、ゲストに大山泰弘会長を迎え、日本理化学工業の50年の歩みと障害者雇用の現実と問題点をあぶりだしていく。 」



より多くの人にご覧頂きたい。



独占 初の知的障害者刑務所 社会に壁…受刑者の苦悩

2008年11月02日 | Weblog
2008年11月02日 21時20分記載

10月22日、日本テレビの「NEWS ZERO」で掲題の特集が放送された。

以下は番組HPからの引用。(参照URL https://al.ssl.dai2ntv.jp/blog/zero/tokushu/ )



「毎年刑務所に新たに収容される受刑者はおよそ30,000人。
このうち知的障害がある受刑者は実に7,000人近くにのぼり、全体の2割以上を占めている。
彼らはこれまで他の受刑者と同じ指導を受けていた。
しかし彼らの社会復帰には専門の教育プログラムが必要との判断から、新しい試みを始めた日本初の刑務所を取材した。」



累犯障害者の問題が日本にあることは知っていたが、毎年新たに刑務所に収容される人間の22%が知的障害者だとは知らなかった。毎年新たに刑務所に収容される人間の4分の1にも迫ろうかという数字で衝撃を受けた。



番組では、再犯を含め、知的障害者が行う犯罪の多くは窃盗・詐欺であることも紹介されていた。理由はシンプルで、就労場所が無いため、お金が無く、食べ物を盗んだり、無銭飲食をしてしまうということであった。



上記参照URLにアクセスすると、放送内容の一部を動画で見ることが出来るので、是非ご覧頂きたい。



貧困・社会的排除が、累犯障害者の問題の主要な原因であることが理解出来るかと思う。



貧困・社会的排除の解決が、様々な分野の問題の解決に必要であるが、このことは累犯障害者の問題の解決にも妥当する。