がん(骨肉腫)闘病記

抗がん剤治療、放射線治療、人工関節置換手術、MRSA感染、身体障害者となっての生活の記録を残します。

小児がん克服、働きたいのに 身長、体力…一部の人に合併症 NPOが職業訓練

2013年09月26日 | Weblog
2013年09月26日 01時18分09秒

http://digital.asahi.com/articles/TKY201307230582.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_TKY201307230582



「小児がんは治ったが、治療による合併症の影響で思うように働けない。そんな小児がん経験者の就労問題が明らかになってきた。新潟市内では支援活動も始まり、専門家は「全国で取り組みが必要だ」と話す。



 新潟市中央区のビルの1階に小さな喫茶店がある。5人の店員がてきぱきと注文を取り、飲み物をつくっていた。ビル内の会社に出前もする。

 「ハートリンク喫茶」は4月に正式にオープンした。5人はみんな、小児がんの経験者だ。

 山田陽子さん(28)は生後6カ月で血液のがん「白血病」になった。放射線や抗がん剤の治療で治ったが、その影響で身長が144センチまでしか伸びなかった。人より筋力がなく、疲れやすい。

 小児がんの治療に抗がん剤や放射線は欠かせない。ただ、治療の影響で一部の人には、体の発育が不十分になったり、脳の認知機能が低下したりする症状が出ることがある。「晩期合併症」と呼ばれる。

 山田さんは高校卒業の時、事務職などを探して約10社に応募したが、不採用だった。採用されたのは酒屋や土産物店など重い物を持ち上げる仕事ばかりだった。

 「同級生と同じように、とにかく働きたい」。そんな思いで就職したが、高いところには手が届かず、重い物も持てなかった。2週間で辞めることになった仕事もあった。

 喫茶店を開いたのはNPO法人「ハートリンクワーキングプロジェクト」。林三枝副理事長らはこれまで、小児がん経験者のための共済組合を運営してきた。活動の中で、就労に悩む当事者らを目の当たりにし、新たな法人をつくって就労支援を始めた。

 林さんによると、うまく人とコミュニケーションがとれない小児がん経験者もいるという。「学校生活などを通じて社会性を身につける時期に長期入院や療養をしていたため、社会経験が少ないからでしょう」と話す。

 このため喫茶を、就労の受け皿というより、コミュニケーション能力を磨く職業訓練の場と位置づける。「社会につながる『階段』にしたい。ここで社会で生き抜くのに必要な力を蓄えてほしい」

 就職に役立つよう資格取得の支援にも力を入れる。喫茶での就業時間内であっても、一定時間はカルチャーセンターなどに通うことを認め、月5千円ほどを補助する。

 国は2012年6月にまとめた「がん対策推進基本計画」で、がんになっても安心して働き、暮らせる社会の構築をうたう。だが小児がんに携わる医師らによると、小児がん経験者の就労支援の例はまだほとんどないという。

 林さんのもとには就労支援に取り組みたいとの相談もある。だが、5人の人件費だけで月60万円かかり、法人の会員約100人による会費などで運営費を賄っている。林さんは「行政の補助がないと、こうした取り組みはなかなか広がらないのでは」と話す。



 ■社会が支える態勢を

 小児がんは15歳までに診断されるがんの総称だ。日本では白血病が最も多く、ほかに脳腫瘍(しゅよう)や悪性リンパ腫などがある。

 小児がんが専門の米田光宏・大阪府立母子保健総合医療センター医師によると、日本で年間約2千~2500人が小児がんと診断される。かつては不治の病といわれたが、今では抗がん剤や放射線による治療の進歩で5年生存率は70~80%に向上したという。晩期合併症は、こうした治療が脳などに影響を与えたためとみられている。

 小児がん経験者でつくる「小児がんネットワークMN(みんな・なかま)プロジェクト」によると、治療後の問題が明らかになってきたのは1990年代の終わりに経験者のグループができ始めてからだという。小俣智子代表は「まず当事者が集まって声を上げ、社会的課題という認識が生まれてきた」と言う。

 厚生労働省の研究班は12年、合併症が就労に及ぼす影響について、小児がん経験者239人にアンケートした。学生を除く回答者は165人。合併症がある人は80人で、49人(29%)が「合併症が就職や仕事に影響がある」と答えた。33人(20%)は就職できていなかった。

 調査した石田也寸志・愛媛県立中央病院小児医療センター長は「医師らは治療成績を保ちつつ合併症を減らす努力を続けている。これと並行して、就労支援の仕組みも整える必要がある」と話す。

 (久永隆一) 」

がんによる損失、最大1.8兆円 厚労省研究班推計

2013年09月26日 | Weblog
2013年09月26日 01時15分02秒

http://www.asahi.com/national/update/0924/TKY201309230349.html



「【岡崎明子】がんにかかったことで、通院で会社を休んだり、仕事の生産性が落ちたりして、年間最大約1兆8千億円の労働損失が生まれている可能性が、厚生労働省 研究班の研究でわかった。こうした推計は国内で初めて。働く意欲のある患者を支援する動きもあり、研究班は「対策を取ることで損失を減らせるかもしれない」と指摘する。

 国立保健医療科学院 の福田敬・上席主任研究官らは2011年度の国の統計をもとに、20~69歳で働いている人ががんになった際の労働損失を推計。対象は最大40万人と見積もった。

 入院や通院で会社を休んだ場合など治療による直接的な損失は約4500億円。うち女性の乳がん は約550億円と最も多かった。乳がん は40~50代の働き盛りの年代で発症する人が多い上、術後も通院期間が長いことが理由として考えられる。

 治療日以外の労働状況についても、一般の人と同じ程度に働けるかどうか、仕事を辞めていないかなどの間接的な労働損失を推計。仮に全員が辞めてしまった場合の損失は約1兆3800億円となり、治療による損失と合わせると最大1兆8千億円になる可能性があるとした。」


埼玉県教委の委員長が辞意…教科書問題反発受け

2013年09月26日 | Weblog
2013年09月19日 22時14分16秒

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130919-OYT1T01146.htm



「埼玉県教育委員会の清水松代委員長(56)は19日、委員長を辞任する考えを表明した。



 同県教委は、国旗掲揚や国歌斉唱を巡って「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」と記述した実教出版(東京都千代田区)の高校日本史教科書を採択したが、県議会から反発の声が上がっており、こうした経緯が辞意表明につながった。

 同社の高校教科書「日本史A」「日本史B」については、県立高8校が7月上旬、県教委に使用希望を出し、県教委は8月22日に採択を決めた。これに対し、県議会文教委員会は今月13日、「『自国や郷土に誇りを持てる』という県の教育方針に沿わない」などとして、採択を再審査するよう求める決議を行った。

(2013年9月19日21時57分 読売新聞)」


明らかに強制してんじゃん。だから検定も通ってんじゃん。


埼玉県議会文教委員会の連中の決定的に駄目なところは、「自国や郷土に誇りを持たない」という考え方も、思想としては尊重されなければならないということが全然理解出来ていないところ。


県教育委員会の清水松代委員長の辞任が、県議会文教委員会の動きに対する抗議だとすれば、断然支持したいし、そういう人にこそ、教育行政のトップでいてもらいたい。

自国や郷土に誇りを持つのも自由。自国や郷土に誇りを持たないのも自由。


それが我々日本国民が、何百万人もの戦死者を出して、やっとの思いで手に入れたもの。


一つの価値観に染め上げるなんて、どこの国がやってるかよく考えろ、馬鹿。

教職員の国歌斉唱、見て確認を…大阪府教委通知

2013年09月26日 | Weblog
2013年09月19日 22時10分14秒

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130919-OYT1T00644.htm



「大阪府教委が、全府立校に対し、入学式や卒業式での国歌斉唱について、教職員が行っているかを目視で確認するよう求める通知を出していたことが分かった。



通知は9月4日付。

 府教委幹部は、チェックの対象になる行為について、「明らかにうつむいていたり、司会者として参列者の方を向いているのに歌っていなかったり、式の進行を妨げる事態を想定している」と説明。「誠意ある姿勢・態度をとっているかどうか」を確認するとしている。

 府教委の中原徹府教育長は19日、読売新聞の取材に対し、「厳粛な式を妨げていないかどうかで判断するべきだとの趣旨から通知した」と話した。

(2013年9月19日17時33分 読売新聞)」


馬鹿みたいとしかいいようがないな。


入学式や卒業式は何のために、誰のためにあんだよ。


教職員が国歌歌うためにあるわけじゃねえだろって。

9月は障害者雇用促進月間

2013年09月07日 | Weblog
2013年09月01日 21時34分30秒

毎年同様の記事で恐縮ですが、障害者雇用に力を入れている会社のサイトの紹介をしたいと思います。



1.ウェブ・サーナ URL http://www.web-sana.com/



2.アットジーピー URL http://work.generalpartners.co.jp/  



3.クローバーナビ URL http://www.clover-navi.com/  



4.テンプスタッフフロンティア URL http://www.tempfrontier.co.jp/index.html



5.アイエスエフネットジョイ URL http://www.joy-c.com/  



6.ランスタッド URL http://www.fujistaff.com/challenged/  



7.ぽじチャレ URL http://blog.pojichalle.com/



あと、やっとですが、ハローワークでも障害者の求人検索ができるようになりました。

URL https://www.hellowork.go.jp/



まだ法人名を伏せている所も多いですが、まずは第一歩です。


また、この時期、日曜日の新聞には、障害者求人特集が組まれることが多いので、日曜日の朝刊に目を通すのも、求職中の障害者にとっては有益と思います。



最後に、生活保護バッシングをしている人達にひと言。自分が勤務する会社、自分が経営する会社が法定の障害者雇用率を充たしているか否か確認してみてください。そして、障害者雇用率を充たしていないとわかったら、生活保護受給者を叩いている情熱の10分の1くらいのエネルギーで構わないので、障害者雇用率を充たすよう働きかけを行ってください。それができないなら、障害者も多く受給している生活保護のバッシングをやめてください。就労できない障害者が生きていけませんので。



あなた達の行為は、就労できていない障害者を殺そうとする試みです。


宇多田ヒカルさんの発言でメディアが考えるべき「精神の病」の問題

2013年09月07日 | Weblog
2013年09月01日 21時27分28秒

http://bylines.news.yahoo.co.jp/mizushimahiroaki/20130831-00027729/



水島宏明 法政大学教授・元日本テレビ「NNNドキュメント」ディレクター

2013年8月31日 16時49分



「藤圭子さんが自ら命を絶った。その出来事については、今もテレビのワイドショーや週刊誌などで「自殺の裏側」「隠された真実」などと称する記事が垂れ流されている。

藤圭子さんの自殺をめぐるテレビ報道の問題点については、前回の原稿で記した。

ここでは、その後に出た娘の宇多田ヒカルさんのコメントとそれをめぐる報道について書いてみたい。

宇多田ヒカルさんはブログに載せたコメントで、自分の母親が「精神障害」を持っていたことや家族として悩まされてきたことを告白している。 

http://www.emimusic.jp/hikki/from_hikki/

「彼女はとても長い間、精神の病に苦しめられていました。その性質上、本人の意志で治療を受けることは非常に難しく、家族としてどうしたらいいのか、何が彼女のために一番良いのか、ずっと悩んでいました。

幼い頃から、母の病気が進行していくのを見ていました。症状の悪化とともに、家族も含め人間に対する不信感は増す一方で、現実と妄想の区別が曖昧になり、彼女は自身の感情や行動のコントロールを失っていきました。私はただ翻弄されるばかりで、何も出来ませんでした。」


同じブログには藤圭子さんの元夫で、ヒカルさんの父親の宇多田照實さんもコメントを載せている。

「出会った頃から彼女には感情の不安定さが見受けられましたが、心を病んでいるというよりも、類い稀な「気まぐれ」な人としか受け止めていませんでした。僕にとっては十分に対応出来る範囲と捉えていました。

この感情の変化がより著しくなり始めたのは宇多田光が5歳くらいのことです。自分の母親、故竹山澄子氏、に対しても、攻撃的な発言や行動が見られるようになり、光と僕もいつの間にか彼女にとって攻撃の対象となっていきました。しかし、感情の変化が頻繁なので、数分後にはいつも、「ゴメン、また迷惑かけちゃったね。」と自分から反省する日々が長い間続きました。とても辛そうな時が多く見られるようなった際には、病院で診察を受け、適切な治療を受けるよう勧めたことも多々ありましたが、このアドバイスは逆に、僕に対する不信感を抱かせることとなってしまいました。結果、本人が拒絶し続けた治療が成されないまま、彼女の苦しみは年を追うごとに重症化したものと思われます。

直近の12年間は、好きな旅に思い立ったら出かけるという生活を送っていました。アメリカは一回の入国で最長5年間の滞在許可がもらえるビザを取得し、ニューヨークを拠点に、ヨーロッパ各国、米国各地、オーストラリアなどを気の向くまま、頻繁に旅していました。

そのような環境の中、光と僕には昼夜を問わず、予期せぬ時間に電話連絡が入り、「元気?」という普通の会話が交わされる時もあれば心当たりのない理由で罵声を浴びせられる時もあり、相変わらず心の不安定さを感じさせられてとても気がかりでした。」

根っこに横たわっていた「精神」の問題。

自殺という行為の直接の原因は分からないが、娘として、元夫として、藤圭子さんの精神状態の不安定さに苦悩してきたことが伝わってくる。

精神障害者を抱えた家族としての本心の吐露だろう。このことは、たまたま芸能人の家族に起きたというだけで精神障害者を身内に持った家族に共通する普遍的な問題だと私には感じられる。

ところがだ。

メディアは、こうした精神障害者を抱える家族の問題を詳しく報道しない。

特に週刊誌やネットメディアは、その後、藤圭子さんの実兄が宇多田照實さんを「血を分けた兄である私が、妹の遺体にも会えない」と非難するという“愛憎劇”を中心に報じている。


芸能人家族の内側を探る、読み物として面白いゴシップだからだろうか。そこにはジャーナリズム精神は見られない。

精神病に関しては、偏見や誤解、無知が今も根強い。

殺人事件の加害者として逮捕された人間が精神病患者である可能性がある場合、どこまで通院歴などについて報道するのか。実名で報道するのか匿名で報道するのか、ということは報道機関が毎回毎回、頭を悩まされる問題だ。明らかな精神錯乱というケースもあれば、2001年の大阪・附属池田小学校での無差別殺傷事件のように「詐病」であることが後になってから判明したケースもあり、判断は簡単ではない。そのつど慎重な判断が求められる。「通院歴」の有無が犯行に関係ないのにニュースでその事実を伝えてしまうと差別や偏見を助長する可能性があり、最悪の場合、精神障害だから人を殺した、というふうに単純に受け取られかねない。

「宇多田ヒカルさんの手記、とても他人事とは思えません」。


藤圭子さんの自殺報道の続報である宇多田ヒカルさんの手記のニュースを見て、2人の若者が私にメールをくれた。

子どもという立場で精神障害者の親と向き合っている人たちだ。

1人は父親が精神障害というケース。もう1人は母親が精神障害を持つケースだ。他にもテレビのディレクター時代に取材で知り合った人の中に、家族に精神障害者を抱える人は何人かいる。

50代の父親が精神障害を抱える娘のケースは、患者である父親は躁鬱病でときおり攻撃的になって家族にDVを振るう。

父親は毎日のようにかつての友人や知人に長い電話をかける。同じ話が多く、しかも、現実味のないほどの大金が動く空想的な仕事の話をする。根気よく聞き役に徹していても、いきなり怒鳴り出したり、時に暴力的になったりするので、友人は1人減り、2人減り、今ではつきあう人間もほとんどいない。当然ながら仕事も失ってしまった。いきおい、彼のストレスの発散口は家族に向かう。時々、家の中で物を壊し、激高して妻を殴る。妻と年頃の娘は暴力におびえ、妻は離婚して新しい生活に踏み出すかどうか数年間、悩み続けている。妻は大手企業の管理職で生活力があるため、離婚しても生活には困らないが、離婚すれば夫がとたんに路頭に迷ってしまうため踏み切れない。

宇多田ヒカルさんのケース同様に精神障害を抱える40代の母親を持った息子のケース。

精神状態が不安定でときおり息子を口汚く罵る。統合失調症による被害妄想がひどく、ありえない話で罵倒されて、息子はひどく傷つきながら、日々、母親に激しい変調がないか顔色をみて暮らしている。それでも家の外には病状をひた隠しにしている。家族は、患者本人の言動による攻撃を直接受けるため、激しく疲弊する。他方で、精神障害に対する偏見が強いため、悩みを家族以外の人に打ち明けられずに苦悶するケースは多い。

しかも、患者本人が病気であることを自覚している場合ならまだ良い。精神科医の治療を受け続けているのであればまだ・・・。

だが、上記の2つの事例では、一度は精神科に通院したり、入院したりしたものの、その後、本人が「自分は病気ではない」と治療を拒んでいた。そうなるともう地獄だ。

私自身にも精神障害の長い友人がいた。昔から話に大きなところがある少し変わったところがある人間だった。妄想のような話で毎日のように職場に「おい、ヒマか?」と電話をかけてきたり、毎週のように「元気か?」と職場にやってきたりと、「ちょっと変だな」と感じた時にはかなり病が進行していた。話している途中で急に怒鳴り出したり、ビール瓶を振り回して殴りかかってきたり・・・。あまりにも頻繁に巻き込まれてしまうので、こちらの仕事にも支障が出始めて携帯電話の番号を変えるなどして意識的に交遊を絶つしかなかった。

はたしてどうすれば良かったのだろうと、今も自問しているが、精神障害の最大の悲劇は、このように周囲も最終的には人間関係を切らざるえないケースが少なくないことだと思う。

宇多田ヒカルさん父子のブログを読む限り、藤圭子さんもそういう状態だったらしい。ただ、藤圭子さんがどんなに周囲との人間関係を壊してしまっても、芸能人、有名人ということで、この病気であることは外には隠さねばならず、家族としての苦労は並大抵ではなかっただろうと想像する。

こういう状態であったと分かったなら、本人の死後にメディアが行うべき仕事は“愛憎劇”を報じることではない。

精神障害者を抱える家族の悩みを表に出し、共有し、その負担を少しでも軽くする社会の仕組みを作る報道をすることだ。

残念ながら、そうした方向に全然進んでいないのはどうしたわけだろう。

精神障害者の苦悩など知りたくない、そうしたテーマは暗い話で難しい。番組を作っても見てはもらえない、書いたって読んでもらえない、というような判断が先に立ってしまうのだろう。

日々、目先のことばかりに追われる現在の報道現場では、精神障害を持つ患者や抱える家族の苦悩を取材したことがない記者やディレクターが圧倒的に多い。たとえば、統合失調症という病気について、どんな症状なのか、治療法はどうなのか、強制入院などの仕組みはどうなっているのか、などを勉強している記者やデスクはテレビにも新聞にも週刊誌にもネットにも、ごくごく少ないというのはまぎれもない事実だろう。

知らないものは世間話とあまり変わらないレベルでしか問題を意識し、報道することができない。

時に、一般の人と同じような偏見や誤解に満ちた、ゴシップ的な報道をしてしまう。

そんな報道姿勢だから、テレビは信頼を失ってしまうのだ。

あるいは、そうした問題に慎重な新聞は、ほとんど表面的なわずかな出来事しか報じない。

テレビは、その気になれば、精神障害を持つ人を抱えている家族の日常的な苦悩をリアルに伝えることができるはずだ。

彼らがどんなことに悩んでいるのか。

藤圭子さんの場合ー

周囲がどんなに病気だと感じていても本人が病気であることを否定し、精神科の治療を受けることを拒んだ時にどんな方法があったのか。

精神をめぐる医療・保健システムのどこに問題があるのか。

その問題に切り込む報道が本当は必要とされているはずだ。

たとえば、精神障害者を家族に抱える人たちによる、公益社団法人・全国精神保健福祉会連合会(みんなねっと)という団体がある。

ここのホームページには、家族会としてのアンケート調査の結果が掲示されている。

http://seishinhoken.jp/

http://seishinhoken.jp/attachments/view/articles_files/src/ab88b14e13206489b84095bea8ee4548.pdf

●居宅、つまり、入院していない患者の場合に、「本人が1か月以上、治療を中断したことがあるか」という質問への回答―

「ある」74.5%

「ない」25.5%

●「本人の病状の悪化により危機的状況になった際、家族としてどのような苦労や心配があったか」という質問への回答―

(複数回答)

「本人がいつ問題を起こすかという恐怖心が強くなった」64.8%

「家族自身の精神状態・体調に不調が生じた」58.7%

「仕事を休んで対応しなければならない」47.3%

「家族が身の危険を感じることが増えた」30.9% 

など。



●「治療の中断や病状が悪化したときに必要なこと」という質問への回答ー

(複数回答)

「精神保健・医療・福祉の専門職が訪問して本人に働きかけてくれること」66.1%

「どのように対応したらよいか24時間相談できること」57.0%  

などとなっている。

それだけ「訪問してくれる医療・保健サービス」への期待が高く、現状では不足しているということだろう。

全国精神保健福祉会連合会がホームページで家族を支援するシステムが必要だ、として具体例に挙げているのが、イギリスのバーミンガムで行われている「メリデン・ファミリーワーク」だ。

ときおり、専門スタッフが精神障害者を抱える家族を訪問し、家族全員に話を聞いてサポート方法をアドバイスする仕組みだという。イギリスでは病気の再発率を下げた、という。私自身は取材したことがないので、このシステムそのものの評価はできないが、少なくとも日本でも検討してみる価値はあるだろう。テレビも新聞も報道すべきことはこうしたシステムに関する紹介ではないのか。


藤圭子さんの自殺で浮かび上がった「精神障害者」と「その家族」の問題。

芸能人一家の人間関係がどうであったのか、などということにとらわれるべきではない。

”愛憎劇”などというが、精神障害がある人たちの周りの人間関係が「切れる」ことは、ある意味、当たり前のように起きていることなのだ。

そんな個々人がどうした、という話よりも、どういうケアがあるべきだったのか、という社会的な問題としてとらえるべきだろう。

藤圭子さんの場合にイギリスのような「訪問してくれる医療・保健サービス」があったなら事態はどうなっていただろうか。

宇多田ヒカルさんの後ろには無数の同じような患者家族がいるのだ。

手記を甘いBGM付きのナレーションで読み上げて、スタジオで「宇多田さん、つらかったのですね」と表面的に同情するだけなら、そんな放送はジャーナリズムなどではない。

メディアがやるべきことはほかにある。



水島宏明 法政大学教授・元日本テレビ「NNNドキュメント」ディレクター



1957年生まれ。東大卒。札幌テレビで生活保護の矛盾を突くドキュメンタリー 『母さんが死んだ』や准看護婦制度の問題点を問う『天使の矛盾』を制作。ロン ドン、ベルリン特派員を歴任。日本テレビで「NNNドキュメント」ディレク ターと「ズームイン!」解説キャスターを兼務。『ネットカフェ難民』の名づけ 親として貧困問題や環境・原子力のドキュメンタリーを制作。芸術選奨・文部科 学大臣賞受賞。2012年から法政大学社会学部教授。」

藤圭子さんの自殺 テレビのニュース報道は、国際的な「ルール違反」だらけ

2013年09月07日 | Weblog
2013年09月01日 21時18分52秒

http://bylines.news.yahoo.co.jp/mizushimahiroaki/20130823-00027482/



水島宏明 法政大学教授・元日本テレビ「NNNドキュメント」ディレクター 

2013年8月23日 8時19分





8月22日、テレビ各社は昼ニュースから夕方ニュース、夜のニュースまで、歌手の藤圭子さんの転落死を伝えるニュースをトップ扱いで報道した。

こうしたテレビ報道の多くが、実は自殺に関する「国際的な報道のルール」ともいうべきガイドラインに違反している。ところが、このガイドライン、一般的にほとんど知られていないばかりか、肝心のメディア報道に携わる記者やデスクらもほとんど理解していない。このため、有名人が自殺するというニュースのたび、同じようなルール無視の報道が繰り返されている。

■自殺に関する国際的なルールは・・・

「国際ルール」というのは、国連の専門機関であるWHO・世界保健機関が定めた報道のガイドラインのことだ。

少し長くなるが、辛抱強くお付き合いいただきたい。

WHOの報道ガイドラインについては内閣府もホームページで日本語に翻訳した文章を掲示している。

報道ガイドライン「WHO 自殺予防 メディア関係者のための手引き」 2008年改訂版日本語版だ。

http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/link/kanren.html

この「手引き」には報道関係者が自殺を扱う場合の「クィック・リファレンス」として11項目が掲げられている。

それらは以下の通りだ。(番号は便宜的に筆者がつけたもの。)

(1) 努めて、社会に向けて自殺に関する啓発・教育を行う。

(2) 自殺をセンセーショナルに扱わない、当然のことのように扱わない。

あるいは問題解決法の一つであるように扱わない。

(3)自殺の報道を目立つところに掲載したり、過剰に、そして繰り返し報道しない。

(4)自殺既遂や未遂に用いられた手段を詳しく伝えない。

(5)自殺既遂や未遂が生じた場所について、詳しい情報を伝えない。

(6)見出しの付け方には慎重を期する。

(7)写真や映像を用いる時にはかなりの慎重を期する。

(8)著名な人の自殺を伝える時は特に注意をする。

(9)自殺で遺された人に対して、十分な配慮をする。

(10)どこに支援を求めることができるのかということについて、情報を提供する。

(11)メディア関係者自身も、自殺に関する話題から影響を受けることを知る。

なぜ、これらがWHOによる国際的なガイドラインの主な項目になっているかといえば、自殺についての大量の報道が模倣自殺を引き起こしてしまうからだ。ガイドラインでは「自殺に傾いている人は、自殺の報道が大々的で目立つものであったり、センセーショナルであったり、自殺の手段を詳しく伝えられたりすることで、その自殺に追随するように自殺することに気持ちがのめりこんでしまう」という。

自殺についての情報の多さや露出の大きさは模倣自殺への影響と強い相関関係がある、というのは国内外の様々な研究で明らかにされている。事件後の「最初の3日間」に模倣自殺への影響のピークがあるという。1986年の岡田有希子さんや2011年の上原美優さんの自殺後に模倣自殺が増えた事実はあまりに有名だ。

「手引き」の(3)については、こう書かれている。

― 自殺に関する新聞報道は、第一面や、中のページの最上部に掲載されるよりも、中のページの最下部に掲載されるようにすべきである。同様に、テレビの報道番組においても、自殺の話題は、番組のトップではなく、番組の流れにおける最初の区切りか、2つ目の区切りの後に報道すべきである。

「手引き」の(4)について、

― 自殺既遂や未遂の方法を詳しく述べることは避けなければならない。なぜなら、それをひとつずつ順を追って述べることで、自殺に傾いているひとがそれを模倣するかもしれないからである。



(5)について、

― ある場所が、“自殺の名所”といわれるようになることがある。例えば、自殺企図が生じる橋、高いビルディング、崖、鉄道の駅や踏み切りなどである。センセーショナルな表現によって、あるいはそこでの自殺の件数を誇張するような報道がそういった場所を“自殺の名所”にしてしまうことがあるので、報道関係者は特に注意しなければならない。

(6)について、

― 見出しでは、“自殺”のことばを使うべきではないし、同様に自殺の手段・方法や場所についての言及も避けるべきである。

(7)について、

― 自殺の状況・現場の写真やビデオ映像は使うべきでなく、特にそれが自殺の生じた場所や自殺の手段・方法を読者や視聴者にはっきりと分からせるようなものであればなおさら使ってはならない。

― 自殺をした人の写真を報道に使うこともすべできはない。もし視覚的な画像を用いるのなら、遺族から正式な許可を得なければならない。それらの画像は、目立つところに掲載されるべきではなく、また美化するべきでもない。また、遺書も掲載するべきではない。

(8)について、

― 著名な人の自殺は、報道の対象になりやすいし、しばしば関心の対象となる。しかしながら、著名な芸能人や政治的に力をもつ人の自殺は、その人たちが崇敬の対象であれば特に自殺に傾く人に影響を与えてしまう。

それでは藤圭子さんの転落死あるいは自殺について日本のメディアはどのように報じたのだろうか。

実際の報道を見て、ガイドラインに照らしてセーフかアウトか検証してみよう。

■新聞は抑制的な報道

まずは新聞はどうだったろうか。

・読売新聞

「マンション13階の30歳代の知人男性宅から飛び降り自殺したとみている。」

・朝日新聞

「現場の状況から、現場前のマンションから飛び降り自殺したとみている。・・・(中略)・・・新宿署によると、藤さんは仰向けで倒れ、履いていたとみられるスリッパの片方が近くに落ちていた。知人が住むマンション13階の部屋のベランダに、もう片方が落ちていたという。」

・毎日新聞

「新宿署によると、藤さんは13階に住む30代の知人男性方のベランダから飛び降りたという。」

「ベランダから飛び降りて自殺した」という方法を伝えている点で、「手引き」の(4)に抵触する可能性があるものの、さほど詳しく伝えずに情報をあえて抑制的に伝えている印象だ。

■テレビ報道はアウト!?

では、テレビはどうだろう。


テレビ朝日の夕方ニュース「スーパーJチャンネル」はトップニュースだった。最初から「手引き」の(3)違反だ。しかも、スタジオ部分で「宇多田ヒカルさんの母 藤圭子さん(62)飛び降り自殺」という大きな字幕タイトル。これも見出しに「自殺」という言葉を使い、方法まで示していて(6)にも違反する。女性レポーターが「藤圭子さんはこちらの路上で倒れているのを発見されました」とまだ跡が残る路面を指し示し、「すぐ横のマンションから飛び降りたと見られていて」とレポート。交流のあった新聞記者が「寂しいと言っていた」などと証言している。かつての映像も多用し、(7)(8)にも触れる。

フジテレビは夕方の「スーパーニュース」で遺体が発見された現場マンション前から生中継した。レポートした記者は「藤さんは、13階の知人の30代の男性宅にいましたが、この男性が寝ている間に、ベランダから1メートル以上あるフェンスを乗り越え、飛び降りたものとみられています」と語り、「ベランダには、フェンスを乗り越える際に、踏み台にしたとみられるクーラーボックスがあり、フェンスの外にはスリッパが1つ、藤さんが倒れていた現場の近くにスリッパが1つあったということです」と続けた。その際、「ベランダには踏み台にしたとみられるクーラーボックス」と字幕が出て、自殺方法が詳細に説明された。

明確な(4)違反といえる。フジテレビは夜の「ニュースJAPAN」も同じ字幕が出た。

日本テレビは夕方ニュースの「news every.」でやはりこのニュースをトップニュースとして扱った。(3)の違反だ。クーラーボックスを足場に使って飛び降りた可能性と詳しく報じた。こちらも明確な(4)の違反だ。

日本テレビの深夜ニュース「NEWS ZERO」では見出しのテロップは「最新 宇多田ヒカルさんの母/藤圭子さん(62)転落死 “自殺”か」で、(3)と(6)に違反している。

スタジオでアナウンサーが「マンションのベランダの手すりを抜けて飛び降り自殺をはかったとみて調べを進めています」と伝え、早くもスタジオ部分で(3)(4)の違反。続くVTRでは自殺現場の地上からの映像とマンションを上空から撮影した空撮映像とが混じり、「28階建てマンションの13階から飛び降りたと見られる」という字幕が載る。地上で記者がレポート。(4)(5)(7)違反だ。

記者は臨場感を出そうと「亡くなった藤圭子さんはこちらの路上に倒れていた、ということです」と伝える。

その後で「藤さんが飛び降りたとみられる13階の部屋」の映像が字幕とともに映し出される。これは(4)(7)違反だ。

さらにCG映像でベランダとそこに置いてあったクーラーボックスが再現され、人が足場にしてベランダの柵を乗り越える様子を想像させる。「これを足場にして飛び降りた可能性があるという」とナレーションと字幕で報道。これは(4)違反。自殺のやり方を再現してしまうような、やってはいけない報道ではないか。このニュースを見た自殺に傾いている人はベランダを乗り越えるクーラーボックスなどの箱を探すに違いない。

NHKはどうだったか。「ニュース7」「ニュースウォッチ9」空撮映像でマンションの13Fベランダを映す。警察官が現場検証をしていて、転落した場所に黒いスリッパが置いてある様子が上からも見てとれた。このため、(7)には違反するが、日本テレビやフジテレビほど(4)に違反する度合いは大きくはない。

テレビ朝日は夜の「報道ステーション」で「藤圭子さん とびおり自殺」と断定的に報道。他の局が「転落死 自殺か?」などと字幕を出しているのに比べて冒頭から断定だ。

「こちらのマンションから・・・」女性レポーターがやはり臨場感たっぷりにレポートする。

藤圭子さんが音楽番組で歌っていた頃の映像をいくつか重ねて「1970年“怨歌”で一世を風靡/歌手・藤圭子さんが自殺」という字幕を出す。 

自殺した人間の歌をこれでもかと聞かせるのは「手引き」の(7)に違反するが、これは他の民放ニュースやNHKも似たり寄ったりだ。

VTRの後でキャスターが「つつしんでご冥福をお祈りします」と神妙な顔で締めくくったが、WHOの報道ガイダンスの存在は知っていたのだろうか。

■テレビ局ではガイドラインを記者やスタッフに教えないのか?

この「WHOによるメディアのガイドライン」を報道関係者はそれぞれの会社の中で、どう教えられているのだろうか?

あるいは教えられていないのだろうか?


昨年まで30年間、報道の現場で記者やディレクターの仕事をしてきた私の経験を振り返れば、WHOのガイドラインを知ったのは比較的最近のことだ。それも職場で教わったわけではない。教えてくれたのは、自殺者を減らすために様々な活動を行っているNPO法人「ライフリンク」代表、清水康之さんだ。東日本大震災が起きた後で清水さんと一緒に被災地を訪問していた時に、被災者が自殺する事件があって、詳しい自殺法まで詳しく報じていた新聞記事に彼が抗議する姿を間近で見て、そうしたガイドラインの存在を知ったという次第だ。だから、あまりほめられたものではない。ただ、10年近いヨーロッパで特派員生活で、駐在していたドイツやイギリスにおいては、たとえばアーティストや政治家の自殺事件などはあったが、日本の現状のように記者やレポーターが自殺の現場で「ここで**さんが発見されました。**さんは隣のマンションから転落してきたものと思われます」というような臨場感レポートは一切見なかった。自殺は、1つの死として努めて事務的に報道されていた。

「ライフリンク」代表の清水康之さんは藤圭子さんの死に関するテレビの報道について、「何ら必要性がないのに詳細に報じているという意味で、ガイドラインの精神から完全に外れた報道」と批判している。ガイドラインに沿っていないという点で「アウト」だと言う。

先に紹介した日本テレビの「NEWS ZERO」のクーラーボックスのCG映像を使った報道はその典型といえる。「NEWS ZERO」は以前、自殺防止の特集をキャンペーン的に報道していたことがある。日本テレビが季節的に行う報道キャンペーン番組「action!日本を動かすプロジェクト」の中でも「NEWS ZERO」の村尾信尚キャスターが「ZEROは自殺の問題を取りあげます」とぶち上げたこともあった。それなのにガイドラインをまったく意識しないような報道ぶりは一体どうしたことだろう。

テレビ画面では自殺防止に取り組まねばならない必要性を訴えながらも、記者や制作スタッフには自殺報道のガイドラインを周知していなかったということだろうか。だとしたら、ダブルスタンダードのご都合主義、うわべだけの報道キャンペーンだったと批判されても仕方ない。

そんな表面を取り繕った報道キャンペーンよりも大事なことがある。自殺報道のあり方を本格的に変えることだ。テレビ局が有名人などの自殺ニュースを伝える際、自殺した「現場」の映像を使わない、自殺の「方法」の情報も極力伝えない、さらに、感情的に伝えないように、「生前の本人」が歌ったり演じたりしていた映像も使わない。写真1枚だけで「**さんが死亡しました。自殺とみられます」と伝える自殺報道に踏み切ってはどうだろう。これを毎回続けるのは立派な報道キャンペーンになるはずだ。人気者、大物であり、影響力の大きい人物ほど、こと自殺に限っては無機質なほど地味に報道する。

「うちのテレビは自殺に関してはこういう方法で伝えます」と1つのテレビ局が徹底して行えば、いずれ他の局もついてくるに違いない。本当の意味での報道キャンペーンとはいざという時に放送局の哲学をこそ伝えるものだろう。

多少は減ってきたとはいえ、まだ年間3万人ほどの自殺者がいる日本。自殺対策基本法や自殺総合対策大綱などの枠組みも出来て、国や自治体、民間団体をあげて自殺対策を重要課題として取り組んでいるなかで、テレビ局を始めとする報道機関が、WHOのガイドラインの存在をよく理解できずに、旧態依然とした「リアルっぽく見える報道」に走る。日本新聞協会や日本民間放送連盟などの業界団体がWHOの報道ガイドラインに準じた自殺対策の報道ガイドラインを策定した、という話もついぞ聞かない。せいぜい「自殺や心中を美化しない」「一般私人の自殺は原則匿名」「著名人、被疑者、受刑者の自殺は原則実名」などの非常におおざっぱな指針がある程度だ。こんなレベルではテレビ局が自殺者削減のための報道に力を入れている、などとは言えない。

自殺に関する報道について、報道機関が国際的な指標であるWHOの報道ガイドラインを守るべきことを述べてきた。私はさらに進んで視聴者・読者の側も、もっと賢明に放送局などメディアに対して意思表示をした方が良いと考える。

もし有名人が自ら命を絶った場合に、故人が自殺に追い込まれた理由を詮索したり、あるいは、自殺の手段を微に入り細に入り伝える報道があったりすれば、視聴者はテレビ局に「ルール違反だ」と指摘する電話をかけてもよい。「おたくの会社ではWHOのガイドラインをちゃんと記者に守らせているのか」と尋ねてみても良いだろう。もし電話に出た人間がガイドラインなどは知らないというならば、内閣府のホームページに書いてある、WHOの報道ガイドライン「自殺予防 メディア関係者のための手引き」の11項目を読み上げてやればよい。

テレビニュースなど報道機関にかかわる人間が守るべきガイドラインについて、長々と書いてきたが、もう朝になれば、各局のワイドショーなどで、藤圭子さんの死について「自殺の背景は?」などと詮索する報道がどんどん流れ、レポーターが訳知り顔で「このマンションの13階からこのようにして身を投げたのです」というように、自殺の方法を微に入り細に入りの実演するレポートを行うのだろう。

それらはみんなアウト! 

国際的なルール違反!!

それを知らない放送局は恥ずかしいこと!!!

そんな叫びを一緒にあげてみようではないか。


藤圭子さんが命を落としてはや丸一日が過ぎた。WHOが指摘する模倣自殺への影響がピークとなる3日間は、まだあと2日もある。」



水島宏明 法政大学教授・元日本テレビ「NNNドキュメント」ディレクター



1957年生まれ。東大卒。札幌テレビで生活保護の矛盾を突くドキュメンタリー 『母さんが死んだ』や准看護婦制度の問題点を問う『天使の矛盾』を制作。ロン ドン、ベルリン特派員を歴任。日本テレビで「NNNドキュメント」ディレク ターと「ズームイン!」解説キャスターを兼務。『ネットカフェ難民』の名づけ 親として貧困問題や環境・原子力のドキュメンタリーを制作。芸術選奨・文部科 学大臣賞受賞。2012年から法政大学社会学部教授。


軽自動車税の増税は「弱いものイジメ」と感じる=スズキ会長

2013年09月07日 | Weblog
2013年08月29日 14時17分27秒

http://t.topics.jp.msn.com/t/news/economy/%e8%bb%bd%e8%87%aa%e5%8b%95%e8%bb%8a%e7%a8%8e%e3%81%ae%e5%a2%97%e7%a8%8e%e3%81%af%e3%80%8c%e5%bc%b1%e3%81%84%e3%82%82%e3%81%ae%e3%82%a4%e3%82%b8%e3%83%a1%e3%80%8d%e3%81%a8%e6%84%9f%e3%81%98%e3%82%8b%ef%bc%9d%e3%82%b9%e3%82%ba%e3%82%ad%e4%bc%9a%e9%95%b7-2



「[東京 29日 ロイター] - スズキ<7269.T>の鈴木修会長は29日、自動車取得税の廃止に伴う代替財源として軽自動車税を増税するとの議論が浮上していることについて「弱いものイジメと感じる」と指摘した。」



今更って感じだけど、その通り。



この国の制度は徹頭徹尾弱い者いじめの思想で貫かれてるから。



そうじゃなきゃ消費税率引き上げなんてしないでしょ。



社会保険料も上がり続けてるし、医療費の窓口負担も上げるし。なおかつ消費税率引き上げだからね。



病気になるような奴が悪いんだって言われてる気がするよ。