がん(骨肉腫)闘病記

抗がん剤治療、放射線治療、人工関節置換手術、MRSA感染、身体障害者となっての生活の記録を残します。

逮捕状、共謀容疑は有効=日本で裁かれずと認定-疑惑銃撃で三浦元社長・ロス地裁

2008年09月27日 | Weblog
2008年09月27日 10時18分記載

時事通信配信記事(参照URL http://www.jiji.co.jp/jc/c?g=soc_30&k=2008092700050 )



「【ロサンゼルス26日時事】1981年のロス疑惑銃撃事件で、米自治領サイパン島で今年2月に逮捕され、拘置中の元会社社長三浦和義容疑者(61)=日本で無罪確定=の逮捕状取り消し請求に対し、ロサンゼルス郡地裁のバンシックレン裁判官は26日午後(日本時間27日午前)、殺人罪を無効とする一方、共謀罪は「日本で裁かれていない」として、有効とする決定をした。殺人罪については、同じ事件で再び罪に問われない一事不再理を適用した。
 検察は共謀容疑だけでも訴追手続きを進めるが、弁護側が上訴すれば、上級審で確定するまで予備審問などの訴追手続きに入れるか微妙で、攻防が長期化する可能性がある。検察は三浦元社長のロス移送手続きを進める意向だが、サイパンの弁護団は連邦裁判所で阻止を求めて徹底的に争う構えで、早期実現は不透明だ。(2008/09/27-09:22)」



時事通信配信記事(参照URL http://www.jiji.co.jp/jc/c?g=soc_30&k=2008092700126 )

記事タイトル:「失望だ」「闘い続ける」=ロス決定受け、弁護士会見・サイパン



「【サイパン27日時事】ロサンゼルス郡地裁で三浦和義元社長(61)の逮捕状で共謀罪が有効とされ、サイパンの代理人バーライン弁護士は27日午前(日本時間同)、当地で記者会見し、「決定に失望はしているが、あきらめたわけではない。移送阻止に向け、今後も徹底して闘い続ける」と述べた。
 29日午前にサイパンの連邦地裁で開かれる審理への影響について「きょうの決定を詳細に分析し、(ロスの)ゲラゴス弁護士ともよく話す必要がある」と慎重な姿勢をみせた。(2008/09/27-09:59)」



共謀共同正犯として日本で裁判を受けているのに、共謀罪に問うのは、私としては不当だと思うので、今後も注目して本件を見ていきたい。(まず間違いなく弁護側が上訴すると思うので。)

後期高齢者医療制度を廃止 厚労相、新制度を検討

2008年09月20日 | Weblog
2008年09月20日 17時42分掲載

参照URL http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080920/plc0809200041000-n1.htm



「舛添要一厚生労働相は19日、75歳以上の約1300万人が対象の後期高齢者医療制度について廃止に踏みきり、新たな制度の創設を検討する意向を固めた。年齢で区分しないことなどが柱で、1年以上かけて議論した上で関連法を改正し、新制度に移行する考え。

 関係者によると、次期首相就任が確実視される麻生太郎自民党幹事長も合意。福田内閣は24日に総辞職するが、次期政権の基本政策に盛り込まれるとみられる。

 舛添氏は年金からの保険料天引きへの高齢者の反発が根強いこともあり、衆院選をにらみ方針転換が必要と判断。同制度は4月に始まったばかりで、厚労相自ら不備を認めた格好だ。」



廃止自体は結構なことなんだけど、同じ事を厚生労働事務次官にも言わせてくれない?厚生労働大臣として責任を持って言ってるのか、来る総選挙に対する自民党議員としてのアドバルーンなのか、はっきりしないんだよね(というか、正直、アドバルーンにしか聞こえない)。

厚生労働事務次官も同席させて、公式の記者会見でも開いてくれれば厚生労働大臣として・言っているというのがわかるし、厚生労働省もその方向だと一応の確認が取れるから。



なお、民主党は、医療保険制度については、後期高齢者医療制度を廃止したうえで、一元化すると言っている。



政権取ったら絶対一元化してくれよ。



はじめてのオフ会

2008年09月16日 | Weblog
2008年09月15日 23時09分

今日はアメブロ仲間のナンクルさん(ブログURL http://ameblo.jp/okinawanankuru/ )とナンクルさんのお知り合いの方(こちらの方もナンクルさんと同じ病気での闘病を経験されています)と、「はじめてのおつかい」ならぬ、「はじめてのオフ会」を行いました。

初めてお会いしたナンクルさんの印象は、想像していたよりもずっとソフトなものでした。(ブログの文章から勝手にもっと厳しい感じの方を想像していました。)

3人とも悪性腫瘍闘病(しかもかなりきつめの)経験者ですが、あまりその点についての話はなく、ごくごく普通の飲み会といった感じで、近況などを語り合いました。

ナンクルさんとナンクルさんのお知り合いの方はエスニック料理がお好きで、エスニック料理の苦手なというか関心のない私に熱心にエスニック料理の素晴らしさを語ってくれました(笑)

また機会があったらお会いしましょうということで散会となりましたが、次回も絶対にエスニック料理のお店には行きません(笑)。ナンクルさんにこの場を借りて宣言しておきたいと思います(笑)。


ナンクルナイサ~p(^-^)q(この部分、ナンクルさんのパクリです・笑)



女性3人目の最高裁判事に就任した桜井龍子さん

2008年09月15日 | Weblog
2008年09月14日 23時35分記載

参照URL http://www.yomiuri.co.jp/komachi/news/mixnews/20080913ok07.htm  

「これから「番人」を務める日本国憲法とは同い年。桜井龍子さんは最高裁判事で初の戦後生まれだ。

 労働省(現・厚生労働省)の課長時代、旧育児休業法の制定に携わった。労使の妥協点を探り、難産の末、全17条の法律を誕生させた。「どの法律も、条文の裏には担当者の汗と涙が隠れている。人間味のある条文解釈に努めたい」

 「政策通で、竹を割ったような性格」というのが周囲の評。出向先の大阪府で阪神大震災に直面し、生活文化部長として災害対策に当たった。労働省を退官後、委員を務めた内閣府情報公開審査会では、薬害肝炎を起こした血液製剤「フィブリノゲン」の納入先の公表を厚労省に迫り、「医療機関の不利益になる」と反発する古巣を相手に、「国民の生命には代えられない」と押し切った。

 夫と、友人の拾ってきた猫と暮らす。モットーは「一所懸命」。趣味はスキーやキノコ狩り、陶芸と多彩で、自宅で使う茶わんや皿はすべて自分で作った。「会心の作は今まで一つもない」と笑うが、裁判で悩んだ時は、無心でろくろを回そうと思っている。(社会部 足立大) (2008年9月13日 読売新聞)」


「どの法律も、条文の裏には担当者の汗と涙が隠れている」って言ってるけど、法律を見る角度が違うんじゃない?

「条文の裏には担当者の汗と涙が隠れている」んじゃなくて、国民の切なる思い・願いが込められてるんじゃないの?育児休業法で言えば、労働者の、子の看護・養育に振り向けられる時間を確保したいという、この国では見過ごされがちな、人間として当たり前の、家族がともに暮らすという思い・願いをせめて子が小さい間だけでも実現するべく制定されたものと見るべきなんじゃないの?


制定者の側から見るか、制定された法に拘束される国民の側から見るかは、憲法の番人としての資質としては根本的な問題だと思うので、一言してみました。

私個人は行政官上がりの最高裁判事は不要だと思っているので、近く行われる総選挙での国民審査では×を付ける予定。ろくろ回して最高裁判決書かれてもね。(実際は調査官が調べてきた通りに書くんだろうけど。)



それともう1つ。「内閣府情報公開審査会では、薬害肝炎を起こした血液製剤「フィブリノゲン」の納入先の公表を厚労省に迫り、「医療機関の不利益になる」と反発する古巣を相手に、「国民の生命には代えられない」と押し切った」って武勇伝的に書かれてるけど、やってることは当たり前のこと。その当たり前のことが武勇伝的なエピソードとして書かれることが残念だし、寧ろその「医療機関の不利益になる」と反発したのが誰なのかを実名で告発してもらいたい。そういう人にこそ最高裁判事になってもらいたい。



古巣の覚えめでたく、順当に最高裁判事になるようじゃあね。



リンパ浮腫 治療用ストッキング

2008年09月13日 | Weblog
2008年09月13日 22時56分記載

参照URL http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20080720-OYT8T00251.htm  

「保険一部適用で還付金

 手足がむくむリンパ浮腫の治療に使う医療用の弾性ストッキングなどに今年4月から保険が適用されている。一度自分で購入してから払い戻しを受ける方式で、慣れないとわかりづらい。賢く制度を利用したい。

 リンパ浮腫は、リンパ液の流れが滞り、皮膚と筋肉の間にたまって起きる病気。がんの手術や放射線治療後に、リンパ管が傷ついて起きる場合と、生まれつきリンパ液の流れが悪い場合がある。全国で12万人もの患者がいると推定されている。

 根本的な治療法はなく、弾性包帯という特別な包帯を着用して運動したり、マッサージをしたりして、たまったリンパ液の流れを改善する。日常生活では、弾性ストッキング(腕の場合は弾性スリーブ)を着用して、たまるのを防ぐ。

 今回の保険適用の対象は、弾性ストッキング、スリーブなどだ。まず医師に指示書を書いてもらい、自費で購入。指示書と領収書を加入している健康保険組合(国民健康保険の場合は居住地の市区町村)に提出すると、自己負担分以外が現金で還付される。

 ただし、保険適用になるのは、1年に2回、1回につき2着までで、例えばストッキングだと、片足用で1着2万5000円までと価格の上限が設定されている。対象はがんの治療後に起きたリンパ浮腫の患者に限られ、生まれつきのリンパ浮腫には適用されない。むくみの程度が重い場合は、定期的に専門家にマッサージを受けるなどの治療が必要だが、保険は適用されていない。

 また、がんの手術の時に受けるリンパ浮腫のケアの指導も4月から保険適用になった。リンパ浮腫になりやすい子宮、卵巣がん、前立腺がん、乳がんが対象だ。

 リンパ浮腫の治療や、治療の専門家の育成に当たっている後藤学園付属リンパ浮腫研究所の佐藤佳代子さんは「一部ではあるが、健康保険が適用になったことは朗報。自分に合ったストッキングなどを正しく装着しないとかえって悪化することもあるので、医師などの専門家と十分相談してほしい」と話している。(2008年7月20日 読売新聞)」


病は癒えても リンパ浮腫

2008年09月13日 | Weblog
2008年09月13日 22時47分記載

参照URL http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/renai/20070226ik01.htm

「原因は8年前の手術

 東京都の会社員A子さん(56)は、1992年、不正出血が続き、子宮がんと診断された。手術を受け、3年間、定期検査に通った後、医師から「完治しました。もう来なくていいですよ」と言われた。

 だが、手術から8年たった2000年秋、右足首のむくみに気づいた。仕事が忙しく、痛みもないので、そのままにしていたが、むくみは徐々に両足全体に広がった。足が重い。

 血液の循環が悪いのかと思い、大学病院で検査を受けたが、心臓は正常。それでも、足のむくみはさらに悪化し、ズボンや靴がはけなくなった。

 02年、4軒目の病院で、ようやく診断がついた。皮膚の表面と筋肉との間(皮下組織)に、細胞から出た体液が過剰にたまる「リンパ浮腫(ふしゅ)」だった。

 体液の一部は、全身に張り巡らされたリンパ管に吸収され、足の付け根や腹部などにあるリンパ節で老廃物が除去されてから、静脈に戻る。だが、がんの手術でリンパ節を切除したり、放射線治療でリンパ節やリンパ管が傷ついたりすると、リンパ液がたまってむくみが起きる。手術後10年以上たって発症することも珍しくない。

 診断の際、「過去に手術を受けましたか」と聞かれても、すぐに思い出せないほど、子宮がんを患ったことすら忘れていたA子さん。「がん手術の際、リンパ節をとったことも、その影響も説明されなかった。まさかこんな後遺症が起きるなんて」。ショックは大きかった。

 「リンパ浮腫は一生つき合う慢性の病気です」という医師の言葉が、追い打ちをかけた。

 今は月2回、マッサージ師が治療を行う後藤学園付属リンパ浮腫治療室(東京・大田区)に通い、リンパ液の流れを良くするマッサージや、治療用の弾性包帯を巻く治療を受ける。

 浮腫の度合いは改善したが、それでも、右足の付け根の周囲は70センチ。パンツスーツは着られず、くるぶしまでの長いスカートや、テープで着脱する布製の靴をはく。趣味のスキーやダイビングも、サイズの合うウエアがなく、やめた。

 むくみを悪化させないためには、足を高くして横になるなど時折、足を休ませることが重要だ。だが、徹夜の立ち仕事が続いたり、急な打ち合わせで治療室に通えなかったりすると、症状がひどくなる。

 「変な靴をはいているわね」「その足、どうしたの」――かつてはそんな言葉に傷ついたが、今は「実はね」と切り出す。

 「私のように突然、リンパ浮腫を発症し、悩む人は少なくない。つらい症状が理解されず、『怠けているのでは』と誤解されることもあります。まず家族や職場の身近な人にリンパ浮腫を知ってもらうことが大切」とA子さんは話す。

 リンパ浮腫 原因が明らかでないケースもあるが、8割は手術や放射線治療が原因で起こる。女性は子宮がんや乳がん、男性は前立腺がんや陰茎がんの後遺症が多い。国内の患者数は10万人以上といわれる。(2007年2月26日 読売新聞)」



新総裁に「成長戦略の推進」など望む…読売の企業アンケート

2008年09月11日 | Weblog
参照URL http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080901-4146106/news/20080910-OYT1T00640.htm



「読売新聞は主要企業を対象に、自民党総裁選に関するアンケートを行った。新総裁に力を入れて欲しい政策課題では、足元の景気低迷を反映し、「成長戦略の推進」「景気テコ入れのための経済対策」が上位を占めた。

 総裁選の争点の一つとなっている「2011年度までに基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化させる」との政府目標については、「景気動向次第では修正もやむを得ない」(53・9%)が過半数を占め、景気に配慮した柔軟な対応を求める声が多かった。一方で「堅持すべきだ」(34・8%)も3分の1を占めており、「先送りし、景気回復を優先すべきだ」は2・2%にとどまった。

 消費税の見直しについては、「(税率を)早期に引き上げるべきだ」「将来的には、引き上げはやむを得ない」という「肯定派」が合わせて4割にのぼった。

 「政府部門の経費節減を徹底してから議論すべきだ」も46・1%を占め、予算などのムダの排除を求める声が強かった。

 調査は9月4日から10日にかけて主要企業103社に質問を送り、89社から回答を得た。(2008年9月10日22時12分 読売新聞)」


個人だけでなく、企業も消費税率引き上げ賛成は半数にも満たないんだから、「超少子高齢時代に必要な将来の社会保障予算は、消費税率を引き上げて確保する以外にないことは誰の目にも明らかだ。」(7月30日付社説)なんて誤った主張はもう二度としないでね、読売さん。


こう見てくると、消費税率引き上げにガムシャラなのは、政府と読売だけだね。


WBC「王監督しかいない」と渡辺会長=本人は固辞の姿勢-プロ野球

2008年09月11日 | Weblog
時事通信配信記事(参照URL http://www.jiji.co.jp/jc/c?g=spo_30&k=2008091001088  )



「巨人の渡辺恒雄球団会長は10日、来春開催される野球の国別対抗戦、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表監督について、「ワンちゃん(王貞治ソフトバンク監督)に頼むしかない。コミッショナー以下が土下座して頼むしかない」と語り、前回大会で日本を初代王座に導いた王監督の再登板を熱望した。
 渡辺会長は日本が北京五輪の直後に、「星野君のほかにはいない」と話し、北京五輪で指揮を執った星野仙一氏を推す考えを示していた。10日の発言について、2006年に胃がんを手術した王監督は「現在の体調では全うできないし、全うする自信がない。大変な仕事だし、あの連中を率いるには体が元気な人でないと」と改めて固辞する姿勢を示した。
 渡辺会長はこの日、「人間の中では星野が一番と言ったが、WBCや五輪には神様が必要。長嶋(茂雄)君は病気だし、いまや神様はワンちゃん一人だ。がんはおれもやった。ワンちゃんのがんなんて大したことない」と持論を展開。「今度はメジャーから選手に戻ってきてもらわんといかん。そういうことができるのはワンちゃんしかいない」と話した。 (了)(2008/09/10-22:55)」



お前馬鹿か、ナベツネ。胃がんがたいしたことないなんて、何を根拠に言ってる。



本人が体調が万全ではないと言ってるだろ。人の命をなんだと思ってる。



1リットルの涙

2008年09月09日 | Weblog
2008年09月09日 21時40分記載

2005年10月~12月にかけて放送されたテレビ番組で、現在、昼間再放送されている。



2005年の本放送時、自分は骨肉腫告知後1年半の時点で、また、最終クールの抗がん剤治療が終了して1ヶ月半の時点でもあり、闘病の記憶が生々しく残る時期であった。

その頃は、沢尻エリカ演じる主人公が満足に歩けない様子や、階段の昇り降りに苦労している様子、車椅子に乗っている姿、最終的には亡くなってしまうことが自分に重なるようで、あまり冷静には見られなかった。



現在は、告知後4年半経過していることから、少しは冷静に見られるようにはなったが、やはり自分と重なるようで、見ていて辛い。



第7話、第8話は、病気によって障害を抱えた人間の心情をよく表していると思う。自分の心情とも、とても重なる部分が多かった。



病を得るというとはこういうことなんだな、障害を抱えるということはこういうことなんだな、と今は亡き原作者である木藤亜矢さんに強く共感する。



9月8日付・読売社説-自民党総裁選 経済論議を深める好機だ

2008年09月09日 | Weblog
2008年09月08日(月)記載

参照URL http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20080907-OYT1T00661.htm



「難しい経済課題が山積する中で自民党総裁選が行われる。

 日本経済の閉塞()感を打ち破り、望ましい経済成長と将来不安の解消を実現するにはどうすればいいのか。経済政策について、突っ込んだ論戦を展開してもらいたい。

 まず、後退局面入りが確実となった景気の立て直しにどう取り組むかが問われよう。

 政府・与党は11・7兆円の総合経済対策を決めたが、食品や日用品に続いて、自動車や家電製品などにも値上げが広がり、家計はますます苦しい。倒産も増え、銀行は融資に慎重になっている。

 金利引き下げの余地は乏しく、財政事情も厳しい。貸し渋り対策や規制改革による企業活動の活性化、国際競争力の向上を目指した法人税改革など、さまざまなアイデアを出して論じてほしい。

 福田政権が積み残した宿題への回答も必要だ。

 経済対策に使う補正予算1・8兆円の財源は、まだ手当てがついていない。所得税・住民税の定額減税は今年度中に実施する方針だけが決まり、減税の規模や財源の論議は先送りされている。

 来年度予算では、基礎年金の国庫負担割合の引き上げに必要な2・3兆円を確保するメドが立っていない。こうした問題への解決策を示さねばなるまい。

 今回の総裁選では、財政健全化に対する姿勢の違いが、大きな争点となりそうだ。

 「ポスト福田」に名乗りを上げた麻生幹事長は、景気回復を優先し、積極的な財政出動に前向きな考えを示している。2011年度に基礎的財政収支を黒字化する財政健全化目標について、先送りもあり得るとしている。

 一方、対抗馬の一人である与謝野経済財政相は、大規模な財政出動に反対している。消費税率の引き上げなどで安定した財源を確保し、健全化目標を堅持すべきだと主張してきた。

 このほか自民党内には、構造改革で高い成長率を実現すれば、増税しなくても健全化目標は達成可能とする意見もある。議論を大いに深めるチャンスだろう。

 さらに、年金をはじめとした社会保障制度の改革について青写真を示すよう求めたい。

 特別会計にある「埋蔵金」を取り崩して財源にあてるのでは、単なる一時しのぎだ。

 安定的な財源を確保するには消費税率を引き上げるしかない。それをどのタイミングで具体化するか、明快に論じるべきだ。(2008年9月8日01時41分 読売新聞)」



しつこいというかなんというか。税金は消費税しかないような書きぶりだよね。政治家でも、政府の役人でもないのに、恐ろしいまでの消費税率引き上げに対する執着心だよね。



所得税の累進税率を引き上げたっていいし、相続税の課税ベースを拡大するとともに累進税率を引き上げたっていいし、法人税率を引き上げたっていいし、金融資産税を創設したっていいし。

他に方策は色々あるんだけどね。どういう意図で消費税だけにこだわってるんだろ。



怖いよ、読売の執着ぶり。



三浦元社長の逮捕状訴訟、ロス郡裁判所が26日に結論

2008年09月07日 | Weblog
2008年09月07日 16時09分記載

参照URL http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080906-OYT1T00221.htm



「【ロサンゼルス=飯田達人】1981年11月のロス疑惑「一美さん銃撃事件」を巡り、米自治領サイパンで拘置されている元輸入雑貨会社社長、三浦和義容疑者(61)(日本で無罪確定)が逮捕状破棄を求めた訴訟の第4回審問が5日(日本時間6日午前)、ロサンゼルス郡上級裁判所であった。

 スティーブン・バンシックレン裁判官は9月26日(同27日)の次回審問で、逮捕状が有効か無効かの決定を出すと述べた。

 この日の審問では検察、弁護側双方が最終的な陳述を行い、同裁判官は最後に「検討すべきことはたくさんあるが、(破棄の)可否を判断するだけでなく、後々まで残るものを示したい」とした。

(2008年9月6日10時29分 読売新聞)」

逮捕状が有効という結論でも、無効という結論でも、検察側・弁護側のいずれかが上訴すると思われるので、27日に最終的な結論にはならないかと思うが、「逮捕状は無効」との決定が出された場合、社説で「法的に何の問題もない」と宣った読売がどう宣うのか非常に楽しみである。バンシックレン裁判官の決定に対して、豊富な法的知識を使って仔細な批判を加えて頂きたい。(仮に、有効という結論の場合は、読売が正しかったことになり、その結論が確定すれば私が訂正文なり、謝罪文を書かなければならない。)

本ブログでは、三浦和義氏の身柄拘束について何度となく取り上げているが、それは以下の理由による。

人権は、自由権、参政権、社会権に大別され、人身の自由(=身体の自由)は自由権に分類される。
専制主義の頃、人身の自由は、不法な逮捕・監禁・拷問、恣意的な刑罰権の行使によって侵害されてきた。しかし、人身の自由の保障がなければ自由権そのもの(精神的自由権や経済的自由権)が保障されない。その意味で人身の自由は、人権の中でもとりわけ重要な、基礎的な人権と言える。そのため、日本国憲法は、18条及び31条以下に詳細な人身の自由を保障する規定を置いている。これには、大日本帝国憲法下での捜査官憲による人身の自由への過酷な制限の歴史も反映されている。
従って、人身の自由の重要性を理解・認識できているか否かは、人権・自由権の重要性を理解・認識できているか否か、戦前の捜査官憲による人権侵害の歴史を理解・認識できているか否かの1つの大きなメルクマールとなる。

そのような観点から見た場合、読売の記事や日本テレビのニュース リアルタイムは人身の自由の重要性に対する理解・認識を欠いているように私には思えたため、それらを批判する内容の記事を掲載している。(私には警視庁の元捜査一課長が報道番組にメインコメンテーターのような形で出演していることが理解できない。)

三浦和義氏個人については特に何の思い入れもないが、人身の自由という重要な人権を擁護する行為は、法治国家に暮らす者として、しないわけにはいかない。


参考記事-「ロス疑惑」逮捕状訴訟、本格審理…三浦元社長もネットで(参照URL http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080816-OYT1T00385.htm )



「【ロサンゼルス=飯田達人】1981年11月のロス疑惑「一美さん銃撃事件」を巡り、元輸入雑貨会社社長、三浦和義容疑者(61)(日本で無罪確定)が逮捕状の破棄を求めた訴訟の第3回審問が15日午後(日本時間16日午前)、ロサンゼルス郡上級裁判所であった。

 海外で無罪判決を受けた人物を米国で裁くことが、同じ犯罪で2度罪に問うことを禁じる「一事不再理」にあたるか否かを巡る本格的審理が始まり、検察側、弁護側双方が激しいやり取りを展開。スティーブン・バンシックレン裁判官は次回の日程を決めないまま審理継続を決めた。

 米自治領サイパンで拘置中の三浦元社長の姿もインターネット中継で初めて法廷内のスクリーンに映し出され、三浦元社長は、通訳の声を聞き取るため携帯電話を何度も持ち替えるなど落ち着かない様子だった。

 この日はロス郡検事局側の証人として、日本の法律に詳しいミシガン大学法科大学院のマーク・ウエスト教授が出廷。三浦元社長の逮捕状の罪名となった殺人罪と共謀罪のうち、共謀罪について、弁護側が「日本の刑法の共謀共同正犯と同じ概念で、日本ですでに審理されている」と主張している点に触れ、日本の共謀共同正犯は、カリフォルニア州刑法の共謀罪とは異なる概念と指摘した。

 これに対し、マーク・ゲラゴス弁護士は「日本の最高裁の英訳サイトでも、共犯を共謀罪と訳している」などと反論した。

           ◇

 【サイパン=山下昌一】三浦和義元社長は16日午前7時半(日本時間同6時半)すぎ、サイパンの拘置所の会議室に入り、インターネットを通じてロス郡上級裁判所の審問に参加した。

 サイパンでの弁護人、ブルース・バーライン弁護士らによると、会議室にはパソコンと小型カメラが設置され、同弁護士や北マリアナ司法省の検察官らの立ち会いのもと、三浦元社長は携帯電話を通して裁判官と人定質問の受け答えをしたという。

(2008年8月16日13時41分 読売新聞)」




本日20時より、NHK総合で

2008年09月06日 | Weblog
2008年09月06日 19時50分記載

「日本の、これから「とことん話そう 税金」 -第1部-」が放送される。



森永卓郎氏が出演するようなので、金融資産課税に言及してくれるか見てみようと思う。



他に竹中平蔵や伊吹文明も出演するようだが、これらの言いそうなことは見当がつくので興味はない。



重度身体障害者の支援…「自立」に介護不足の壁

2008年09月03日 | Weblog
2008年09月03日 17時49分記載

参照URL http://www.yomiuri.co.jp/iryou/kyousei/security/20080902-OYT8T00451.htm



 重い障害を持った人が、自宅で生活しながら社会参加を目指すケースが増えている。2006年度に施行された障害者自立支援法でも、必要な支援を行うことがうたわれているが、理念通りには進んでいない。(社会保障部 安田武晴)



介護移住



 高校時代、柔道のけいこで頸髄(けいずい)を損傷した木下昌(あきら)さん(21)は、今年4月、東京・目黒区のアパートで母親と暮らし始めた。首から下が動かず、人工呼吸器を付けている。ヘルパーによる訪問介護と母親の介護を受けながら、大学進学を目指して勉強している。

 受験勉強は、静岡県掛川市内の実家でするつもりだった。だが、夜間の介護を家族が引き受けることにして、昼間の介護に1日12時間の訪問介護を市に打診したものの、6時間程度しか認められそうにない。たとえ認められても、市内に必要なサービスを提供できる事業所がないことも分かった。

 自宅で自立した生活を送るには、長時間の介護が認められやすく、サービス事業所が多い都市部に行くしかないと思った。東京都内への引っ越しを決意し、最終的に、支援団体の拠点に近い目黒区を選んだ。

 引っ越しに先立ち、昨年秋ごろ、同区に対して24時間の訪問介護を打診したが、認められたのは17時間だけ。これだけでは自立は無理なことから、母親も一緒に上京し、毎夜、呼吸器の管理や尿のチェックなどをすることになった。

 その後も、脊髄(せきずい)損傷者の支援団体「日本せきずい基金」の支援を受けながら区側と交渉を続け、24時間の支給の実現を目指している。

 木下さんは、「こんなに時間がかかるようでは、障害者にとって負担が大きい」と話す。

 和歌山市の石田雅俊さん(40)は、ヘルパーの介護を受けながら一人暮らしをしている。生まれつきの脳性まひで首から下が動かず、生活全般に介護が必要だ。昨年10月、訪問介護が月約100時間も減らされ、377時間に。市との交渉が決裂し、今年5月、訴訟を起こした石田さんは「地域社会で暮らすという当たり前の権利を認めてほしい」と訴える。

 自立支援法は、障害者が自ら選択した場所に住み、自立した社会生活を営めるよう、市町村は必要な介護などを給付する責務があると明記している。

 介護の必要度には全国基準があるが、実際の給付は、市町村によってばらつきがある。特に、入浴やトイレ、外出時の介助など、ヘルパーから3時間以上の支援が受けられる「重度訪問介護」は、多額の費用がかかり、給付に消極的になりがちだ。

 サービス提供費用は、原則、9割が公費で賄われ、国が2分の1、都道府県と市町村は4分の1ずつの負担。24時間介護の場合、外出・夜間などの加算も含め、公費だけで1人年間約1800万円が必要で、市町村の負担は約450万円、国の負担は、本来ならば2分の1の約900万円になる。

 だが、介護の必要度によって基準額があり、実際に国から支給されるのは、最重度で一律約355万円。1日6時間分に過ぎず、これを超える長時間の利用者が多いと、市町村の持ち出しになることもある。

 重度訪問介護の利用者は、全国で約7000人に上る。日本せきずい基金によると、1日20時間以上の利用者がいる自治体は、基金が把握しているだけで88市区町にとどまっている。

 全国脊髄損傷者連合会など関係団体は、小さな自治体で24時間の利用者が現れても困らないよう、都道府県単位で費用負担を調整する仕組みを厚労省に提案している。大浜真副理事長は「今の仕組みだと、長時間介護を必要とする人は住みたい所に住めない」と話す。



サービス不在



 サービスが見つかりにくい状況も全国に広がっている。事業所が多いとされる都内ですら、ヘルパー派遣を80事業所に依頼し、すべて断られたケースもあった。

 多くの事業所が、厚労省が設定する重度訪問介護の報酬単価が安いことを理由に挙げる。利用者が最重度でも、日中で1時間平均1665円。介護保険の訪問介護(身体介護中心で4020円)に比べてかなり安い。

 事業者団体である全国自立生活センター協議会の中西正司代表は、「今の利用者にヘルパーを派遣するので精いっぱい。社会参加する重度障害者は、ほとんど増えていない」と明かすが、報酬単価の引き上げは、費用の増額につながるという問題もある。

 必要な介護が給付されず、当然の社会参加ができないのは、障害者本人だけでなく、社会にとってもマイナスだ。国は費用の確保に責任を持つべきだ。



欧米 専属ケアで権利保障



 欧米では、障害者が自立生活を送る権利を保障する制度が整備されており、参考になる点が多い。

 スウェーデンでは、障害者一人ひとりの心身の状態に応じたパーソナルアシスタントと呼ばれる専属の介護者が付く。費用は原則として市が賄うが、週20時間を超える場合は国が支出。市に過度な財政負担がかからないよう配慮されている。

 米カリフォルニア州では、重度の障害者は、専属介護者を1日最大9時間利用できるほか、必要に応じて追加的な介護・看護、夜間の緊急訪問などもあり、自立生活が送れるようになっている。専属の介護者制度は、英国やカナダにもある。

 このほか、米国には「障害のあるアメリカ人法(ADA)」という障害者差別禁止法があり、バリアフリー(障壁除去)が行き届いている。このため、介助なしでも車いすなどで移動できる場合が多い。同様の法律は、英国などにもある。



[プラスα] 社会参加の権利 条約にも



 重い障害があっても、地域で暮らし、社会参加する権利があることは、国連の障害者権利条約にもうたわれている。

 同条約は、障害者の基本的人権や尊厳の保護、促進を目的に、06年12月に国連総会で採択され、今年5月3日に発効した。前文と50条からなり、「教育」「労働・雇用」など項目別に、障害者への差別禁止を定めている。

 差別する気はなくても、「合理的な配慮」に欠け、実質的に権利を侵害する場合も差別と見なす。例えば、店の入り口に階段があり、車いすで入店できない場合、店主が入店を拒んでいなくても差別とみなされる。店はスロープを設置するなどの配慮をしなければならない。

 条約の批准国は、国内の法制度を整備し、差別を撤廃することが求められる。既に三十数か国が批准しており、日本政府も現在、批准に向け、障害者団体と協議を進めている。

3つの提案

・費用負担は都道府県単位で調整

・重度訪問介護の報酬引き上げを

・地域生活の権利、公的支援で保障(2008年9月2日 読売新聞)」



障害者の権利に関する条約(日本政府仮訳文)3

2008年09月03日 | Weblog
第三十四条 障害者の権利に関する委員会
障害者の権利に関する委員会(以下「委員会」という。)を設置する。委員会は、以下に定める任務を遂行する。
委員会は、この条約の効力発生の時は十二人の専門家で構成する。更に六十の国がこの条約を批准し、又はこれに加入した後は、委員会の委員の数を六人まで増加させ、最大で十八人とする。
委員会の委員は、個人の資格で職務を遂行するものとし、徳望が高く、かつ、この条約が対象とする分野において能力及び経験を認められた者とする。締約国は、委員の候補者を指名するに当たり、第四条3の規定に十分な考慮を払うよう要請される。
委員会の委員については、締約国が、委員の配分が地理的に衡平に行われること、異なる文明形態及び主要な法体系が代表されること、男女が衡平に代表されること並びに障害のある専門家が参加することを考慮に入れて選出する。
委員会の委員は、締約国会議の会合において、締約国により当該締約国の国民の中から指名された者の名簿の中から秘密投票により選出される。締約国会議の会合は、締約国の三分の二をもって定足数とする。これらの会合においては、出席し、かつ、投票する締約国の代表によって投じられた票の最多数で、かつ、過半数の票を得た者をもって委員会に選出された委員とする。
委員会の委員の最初の選挙は、この条約の効力発生の日の後六箇月以内に行う。国際連合事務総長は、委員会の委員の選挙の日の遅くとも四箇月前までに、締約国に対し、自国が指名する者の氏名を二箇月以内に提出するよう書簡で要請する。その後、同事務総長は、指名された者のアルファベット順による名簿(これらの者を指名した締約国名を表示した名簿とする。)を作成し、この条約の締約国に送付する。
委員会の委員は、四年の任期で選出される。委員は、一回のみ再選される資格を有する。ただし、最初の選挙において選出された委員のうち六人の委員の任期は、二年で終了するものとし、これらの六人の委員は、最初の選挙の後直ちに、5に規定する会合の議長によりくじ引で選ばれる。
委員会の六人の追加的な委員の選挙は、この条の関連する規定に従って定期選挙の際に行われる。
委員会の委員が死亡し、辞任し、又は他の理由のために職務を遂行することができなくなったことを宣言した場合には、当該委員を指名した締約国は、残余の期間職務を遂行する他の専門家であって、資格を有し、かつ、この条の関連規定に定める条件を満たすものを任命する。
委員会は、その手続規則を定める。
国際連合事務総長は、委員会がこの条約に定める任務を効果的に遂行するために必要な職員及び便益を提供するものとし、委員会の最初の会合を招集する。
この条約に基づいて設置される委員会の委員は、国際連合総会が委員会の任務の重要性を考慮して決定する条件に従い、同総会の承認を得て、国際連合の財源から報酬を受ける。
委員会の委員は、国際連合の特権及び免除に関する条約の関連規定に規定する国際連合のための職務を遂行する専門家の便益、特権及び免除を享受する。
第三十五条 締約国による報告
各締約国は、この条約に基づく義務を履行するためにとった措置及びこれらの措置によりもたらされた進歩に関する包括的な報告を、この条約が自国について効力を生じた後二年以内に国際連合事務総長を通じて委員会に提出する。
その後、締約国は、少なくとも四年ごとに、更に委員会が要請するときはいつでも、その後の報告を提出する。
委員会は、報告の内容について適用される指針を決定する。
委員会に対して包括的な最初の報告を提出した締約国は、その後の報告においては、既に提供した情報を繰り返す必要はない。締約国は、委員会に対する報告を作成するに当たり、公開され、かつ、透明性のある過程において作成することを検討し、及び第四条3の規定に十分な考慮を払うよう要請される。
報告には、この条約に基づく義務の履行の程度に影響を及ぼす要因及び障害を記載することができる。
第三十六条 報告の検討
委員会は、各報告を検討する。委員会は、当該報告について、適当と認める提案及び一般的な性格を有する勧告を行うことができるものとし、これらの提案及び一般的な性格を有する勧告を関係締約国に送付する。当該関係締約国は、委員会に対し、自国が選択する情報を提供することにより回答することができる。委員会は、この条約の実施に関連する追加の情報を当該関係締約国に要請することができる。
いずれかの締約国による報告の提出が著しく遅延している場合には、委員会は、委員会にとって利用可能な信頼し得る情報を基礎として当該締約国におけるこの条約の実施状況を審査することが必要であることを当該締約国に通報することができる。ただし、この審査は、関連する報告がその通報の後三箇月以内に提出されない場合にのみ行われる。委員会は、当該締約国がその審査に参加するよう要請する。当該締約国が関連する報告を提出することにより回答する場合には、1の規定を適用する。
国際連合事務総長は、1の報告をすべての締約国が利用することができるようにする。
締約国は、1の報告を自国において公衆が広く利用することができるようにし、これらの報告に関連する提案及び一般的な性格を有する勧告の利用を容易にする。
委員会は、適当と認める場合には、締約国からの報告に記載されている技術的な助言若しくは援助の要請又はこれらの必要性の記載に対処するため、これらの要請又は必要性の記載に関する委員会の見解及び勧告がある場合には当該見解及び勧告とともに、国際連合の専門機関、基金及び計画その他の権限のある機関に当該報告を送付する。
第三十七条 締約国と委員会との間の協力
各締約国は、委員会と協力するものとし、委員の任務の遂行を支援する。
委員会は、締約国との関係において、この条約の実施のための当該締約国の能力を向上させる方法及び手段(国際協力を通じたものを含む。)に十分な考慮を払う。
第三十八条 委員会と他の機関との関係
この条約の効果的な実施を促進し、及びこの条約が対象とする分野における国際協力を奨励するため、

専門機関その他の国際連合の機関は、その任務の範囲内にある事項に関するこの条約の規定の実施についての検討に際し、代表を出す権利を有する。委員会は、適当と認める場合には、専門機関その他の権限のある機関に対し、これらの機関の任務の範囲内にある事項に関するこの条約の実施について専門家の助言を提供するよう要請することができる。委員会は、専門機関その他の国際連合の機関に対し、これらの機関の任務の範囲内にある事項に関するこの条約の実施について報告を提出するよう要請することができる。
委員会は、その任務を遂行するに当たり、それぞれの報告に係る指針、提案及び一般的な性格を有する勧告の整合性を確保し、並びにその任務の遂行における重複を避けるため、適当な場合には、人権に関する国際条約によって設置された他の関連する組織と協議する。
第三十九条 委員会の報告
委員会は、その活動につき二年ごとに国際連合総会及び経済社会理事会に報告するものとし、また、締約国から得た報告及び情報の検討に基づく提案及び一般的な性格を有する勧告を行うことができる。これらの提案及び一般的な性格を有する勧告は、締約国から意見がある場合にはその意見とともに、委員会の報告に記載する。

第四十条 締約国会議
締約国は、この条約の実施に関する事項を検討するため、定期的に締約国会議を開催する。
締約国会議は、この条約が効力を生じた後六箇月以内に国際連合事務総長が招集する。その後の締約国会議は、二年ごとに又は締約国会議の決定に基づき同事務総長が招集する。
第四十一条 寄託
この条約の寄託者は、国際連合事務総長とする。

第四十二条 署名
この条約は、二千七年三月三十日から、ニューヨークにある国際連合本部において、すべての国及び地域的な統合のための機関による署名のために開放しておく。

第四十三条 拘束されることについての同意
この条約は、署名国によって批准されなければならず、また、署名した地域的な統合のための機関によって正式確認されなければならない。この条約は、これに署名していない国及び地域的な統合のための機関による加入のために開放しておく。

第四十四条 地域的な統合のための機関
「地域的な統合のための機関」とは、特定の地域の主権国家によって構成される機関であって、この条約が規律する事項に関してその構成国から権限の委譲を受けたものをいう。地域的な統合のための機関は、この条約の規律する事項に関するその権限の範囲をこの条約の正式確認書又は加入書において宣言する。その後、当該機関は、その権限の範囲の実質的な変更を寄託者に通報する。
この条約において「締約国」についての規定は、地域的な統合のための機関の権限の範囲内で当該機関について適用する。
次条1並びに第四十七条2及び3の規定の適用上、地域的な統合のための機関が寄託する文書は、これを数に加えてはならない。
地域的な統合のための機関は、その権限の範囲内の事項について、この条約の締約国であるその構成国の数と同数の票を締約国会議において投ずる権利を行使することができる。当該機関は、その構成国が自国の投票権を行使する場合には、投票権を行使してはならない。その逆の場合も、同様とする。

第四十五条 効力発生
この条約は、二十番目の批准書又は加入書が寄託された後三十日目の日に効力を生ずる。
この条約は、二十番目の批准書、正式確認書又は加入書が寄託された後にこれを批准し、若しくは正式確認し、又はこれに加入する国又は地域的な統合のための機関については、その批准書、正式確認書又は加入書の寄託の後三十日目の日に効力を生ずる。
第四十六条 留保
この条約の趣旨及び目的と両立しない留保は、認められない。
留保は、いつでも撤回することができる。
第四十七条 改正
いずれの締約国も、この条約の改正を提案し、及び改正案を国際連合事務総長に提出することができる。同事務総長は、締約国に対し、改正案を送付するものとし、締約国による改正案の審議及び決定のための締約国の会議の開催についての賛否を通報するよう要請する。その送付の日から四箇月以内に締約国の三分の一以上が会議の開催に賛成する場合には、同事務総長は、国際連合の主催の下に会議を招集する。会議において出席し、かつ、投票する締約国の三分の二以上の多数によって採択された改正案は、同事務総長により、承認のために国際連合総会に送付され、その後受諾のためにすべての締約国に送付される。
1の規定により採択され、かつ、承認された改正は、当該改正の採択の日における締約国の三分の二以上が受諾書を寄託した後三十日目の日に効力を生ずる。その後は、当該改正は、いずれの締約国についても、その受諾書の寄託の後三十日目の日に効力を生ずる。改正は、それを受諾した締約国のみを拘束する。
締約国会議がコンセンサス方式によって決定する場合には、1の規定により採択され、かつ、承認された改正であって、第三十四条及び第三十八条から第四十条までにのみ関連するものは、当該改正の採択の日における締約国の三分の二以上が受諾書を寄託した後三十日目の日に効力を生ずる。
第四十八条 廃棄
締約国は、国際連合事務総長に対して書面による通告を行うことにより、この条約を廃棄することができる。廃棄は、同事務総長がその通告を受領した日の後一年で効力を生ずる。

第四十九条 利用可能な様式
この条約は、利用可能な様式で提供される。

第五十条 正文
この条約は、アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語をひとしく正文とする。

以上の証拠として、下名の全権委員は、各自の政府から正当に委任を受けてこの条約に署名した。






障害者の権利に関する条約(日本政府仮訳文)2

2008年09月03日 | Weblog
第十九条 自立した生活及び地域社会に受け入れられること
この条約の締約国は、すべての障害者が他の者と平等の選択の機会をもって地域社会で生活する平等の権利を認めるものとし、障害者が、この権利を完全に享受し、並びに地域社会に完全に受け入れられ、及び参加することを容易にするための効果的かつ適当な措置をとる。この措置には、次のことを確保することによるものを含む。

障害者が、他の者と平等に、居住地を選択し、及びどこで誰と生活するかを選択する機会を有すること並びに特定の居住施設で生活する義務を負わないこと。
地域社会における生活及び地域社会への受入れを支援し、並びに地域社会からの孤立及び隔離を防止するために必要な在宅サービス、居住サービスその他の地域社会支援サービス(人的支援を含む。)を障害者が利用することができること。
一般住民向けの地域社会サービス及び施設が、障害者にとって他の者と平等に利用可能であり、かつ、障害者のニーズに対応していること。
第二十条 個人的な移動を容易にすること
締約国は、障害者ができる限り自立して移動することを容易にすることを確保するための効果的な措置をとる。この措置には、次のことによるものを含む。
障害者が、自ら選択する方法で、自ら選択する時に、かつ、妥当な費用で個人的に移動することを容易にすること。
障害者が質の高い移動補助具、装置、支援技術、生活支援及び仲介する者を利用することを容易にすること(これらを妥当な費用で利用可能なものとすることを含む。)。
障害者及び障害者と共に行動する専門職員に対し、移動技術に関する研修を提供すること。
移動補助具、装置及び支援技術を生産する事業体に対し、障害者の移動のあらゆる側面を考慮するよう奨励すること。

第二十一条 表現及び意見の自由並びに情報の利用
締約国は、障害者が、第二条に定めるあらゆる形態の意思疎通であって自ら選択するものにより、表現及び意見の自由(他の者と平等に情報及び考えを求め、受け、及び伝える自由を含む。)についての権利を行使することができることを確保するためのすべての適当な措置をとる。この措置には、次のことによるものを含む。

障害者に対し、様々な種類の障害に相応した利用可能な様式及び技術により、適時に、かつ、追加の費用を伴わず、一般公衆向けの情報を提供すること。
公的な活動において、手話、点字、補助的及び代替的な意思疎通並びに障害者が自ら選択する他のすべての利用可能な意思疎通の手段、形態及び様式を用いることを受け入れ、及び容易にすること。
一般公衆に対してサービス(インターネットによるものを含む。)を提供する民間の団体が情報及びサービスを障害者にとって利用可能又は使用可能な様式で提供するよう要請すること。
マスメディア(インターネットを通じて情報を提供する者を含む。)がそのサービスを障害者にとって利用可能なものとするよう奨励すること。
手話の使用を認め、及び促進すること。
第二十二条 プライバシーの尊重
いかなる障害者も、居住地又は居住施設のいかんを問わず、そのプライバシー、家族、住居又は通信その他の形態の意思疎通に対して恣意的に又は不法に干渉されず、また、名誉及び信用を不法に攻撃されない。障害者は、このような干渉又は攻撃に対する法律の保護を受ける権利を有する。
締約国は、他の者と平等に、障害者の個人、健康及びリハビリテーションに関する情報に係るプライバシーを保護する。
第二十三条 家庭及び家族の尊重
締約国は、他の者と平等に、婚姻、家族及び親子関係に係るすべての事項に関し、障害者に対する差別を撤廃するための効果的かつ適当な措置をとる。この措置は、次のことを確保することを目的とする。
婚姻をすることができる年齢のすべての障害者が、両当事者の自由かつ完全な合意に基づいて婚姻をし、かつ、家族を形成する権利を認めること。
障害者が子の数及び出産の間隔を自由にかつ責任をもって決定する権利並びに障害者が年齢に適した情報、生殖及び家族計画に係る教育を享受する権利を認め、並びに障害者がこれらの権利を行使することを可能とするために必要な手段を提供されること。
障害者(児童を含む。)が、他の者と平等に生殖能力を保持すること。
締約国は、子の後見、養子縁組又はこれらに類する制度が国内法令に存在する場合には、それらの制度に係る障害者の権利及び責任を確保する。あらゆる場合において、子の最善の利益は至上である。締約国は、障害者が子の養育についての責任を遂行するに当たり、当該障害者に対して適当な援助を与える。
締約国は、障害のある児童が家庭生活について平等の権利を有することを確保する。締約国は、この権利を実現し、並びに障害のある児童の隠匿、遺棄、放置及び隔離を防止するため、障害のある児童及びその家族に対し、包括的な情報、サービス及び支援を早期に提供することを約束する。
締約国は、児童がその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する。ただし、権限のある当局が司法の審査に従うことを条件として適用のある法律及び手続に従いその分離が児童の最善の利益のために必要であると決定する場合は、この限りでない。いかなる場合にも、児童は、自己が障害を有すること又は父母の一方若しくは双方が障害を有することを理由として父母から分離されない。
締約国は、近親の家族が障害のある児童を監護することができない場合には、一層広い範囲の家族の中で代替的な監護を提供し、及びこれが不可能なときは、地域社会の中で家庭的な環境により代替的な監護を提供するようあらゆる努力を払うことを約束する。
第二十四条 教育
締約国は、教育についての障害者の権利を認める。締約国は、この権利を差別なしに、かつ、機会の均等を基礎として実現するため、次のことを目的とするあらゆる段階における障害者を包容する教育制度及び生涯学習を確保する。
人間の潜在能力並びに尊厳及び自己の価値についての意識を十分に発達させ、並びに人権、基本的自由及び人間の多様性の尊重を強化すること。
障害者が、その人格、才能及び創造力並びに精神的及び身体的な能力をその可能な最大限度まで発達させること。
障害者が自由な社会に効果的に参加することを可能とすること。
締約国は、1の権利の実現に当たり、次のことを確保する。
障害者が障害を理由として教育制度一般から排除されないこと及び障害のある児童が障害を理由として無償のかつ義務的な初等教育から又は中等教育から排除されないこと。
障害者が、他の者と平等に、自己の生活する地域社会において、包容され、質が高く、かつ、無償の初等教育の機会及び中等教育の機会を与えられること。
個人に必要とされる合理的配慮が提供されること。
障害者が、その効果的な教育を容易にするために必要な支援を教育制度一般の下で受けること。
学問的及び社会的な発達を最大にする環境において、完全な包容という目標に合致する効果的で個別化された支援措置がとられることを確保すること。
締約国は、障害者が地域社会の構成員として教育に完全かつ平等に参加することを容易にするため、障害者が生活する上での技能及び社会的な発達のための技能を習得することを可能とする。このため、締約国は、次のことを含む適当な措置をとる。
点字、代替的な文字、意思疎通の補助的及び代替的な形態、手段及び様式並びに適応及び移動のための技能の習得並びに障害者相互による支援及び助言を容易にすること。
手話の習得及び聴覚障害者の社会の言語的な同一性の促進を容易にすること。
視覚障害若しくは聴覚障害又はこれらの重複障害のある者(特に児童)の教育が、その個人にとって最も適当な言語並びに意思疎通の形態及び手段で、かつ、学問的及び社会的な発達を最大にする環境において行われることを確保すること。
締約国は、1の権利の実現の確保を助長することを目的として、手話又は点字について能力を有する教員(障害のある教員を含む。)を雇用し、並びに教育のすべての段階に従事する専門家及び職員に対する研修を行うための適当な措置をとる。この研修には、障害についての意識の向上を組み入れ、また、適当な意思疎通の補助的及び代替的な形態、手段及び様式の使用並びに障害者を支援するための教育技法及び教材の使用を組み入れるものとする。
締約国は、障害者が、差別なしに、かつ、他の者と平等に高等教育一般、職業訓練、成人教育及び生涯学習の機会を与えられることを確保する。このため、締約国は、合理的配慮が障害者に提供されることを確保する。
第二十五条 健康
締約国は、障害者が障害を理由とする差別なしに到達可能な最高水準の健康を享受する権利を有することを認める。締約国は、障害者が性別に配慮した保健サービス(保健に関連するリハビリテーションを含む。)を利用することができることを確保するためのすべての適当な措置をとる。締約国は、特に、次のことを行う。

障害者に対して他の者に提供されるものと同一の範囲、質及び水準の無償の又は妥当な保健及び保健計画(性及び生殖に係る健康並びに住民のための公衆衛生計画の分野を含む。)を提供すること。
障害者が特にその障害のために必要とする保健サービス(適当な場合には、早期発見及び早期関与を含む。)並びに特に児童及び高齢者の間で障害の悪化を最小限にし、及び防止するためのサービスを提供すること。
これらの保健サービスを、障害者自身が属する地域社会(農村を含む。)の可能な限り近くにおいて提供すること。
保健に従事する者に対し、特に、研修を通じて及び公私の保健に関する倫理基準を定めることによって障害者の人権、尊厳、自立及びニーズに関する意識を高めることにより、他の者と同一の質の医療(例えば、情報に基づく自由な同意を基礎とした医療)を障害者に提供するよう要請すること。
健康保険及び国内法により認められている場合には生命保険の提供に当たり、公正かつ妥当な方法で行い、及び障害者に対する差別を禁止すること。
保健若しくは保健サービス又は食糧及び飲料の提供に関し、障害を理由とする差別的な拒否を防止すること。
第二十六条 リハビリテーション
締約国は、障害者が、最大限の自立並びに十分な身体的、精神的、社会的及び職業的な能力を達成し、及び維持し、並びに生活のあらゆる側面に完全に受け入れられ、及び参加することを達成し、及び維持することを可能とするための効果的かつ適当な措置(障害者相互による支援を通じたものを含む。)をとる。このため、締約国は、特に、保健、雇用、教育及び社会に係るサービスの分野において、包括的なリハビリテーションのサービス及びプログラムを企画し、強化し、及び拡張する。この場合において、これらのサービス及びプログラムは、次のようなものとする。
可能な限り初期の段階において開始し、並びに個人のニーズ及び長所に関する総合的な評価を基礎とすること。
地域社会及び社会のあらゆる側面への参加及び受入れを支援し、自発的なものとし、並びに障害者自身が属する地域社会(農村を含む。)の可能な限り近くにおいて利用可能なものとすること。
締約国は、リハビリテーションのサービスに従事する専門家及び職員に対する初期研修及び継続的な研修の充実を促進する。
締約国は、障害者のために設計された支援装置及び支援技術であって、リハビリテーションに関連するものの利用可能性、知識及び使用を促進する。
第二十七条 労働及び雇用
締約国は、障害者が他の者と平等に労働についての権利を有することを認める。この権利には、障害者に対して開放され、障害者を受け入れ、及び障害者にとって利用可能な労働市場及び労働環境において、障害者が自由に選択し、又は承諾する労働によって生計を立てる機会を有する権利を含む。締約国は、特に次のことのための適当な措置(立法によるものを含む。)をとることにより、労働についての障害者(雇用の過程で障害を有することとなった者を含む。)の権利が実現されることを保障し、及び促進する。
あらゆる形態の雇用に係るすべての事項(募集、採用及び雇用の条件、雇用の継続、昇進並びに安全かつ健康的な作業条件を含む。)に関し、障害を理由とする差別を禁止すること。
他の者と平等に、公正かつ良好な労働条件(例えば、均等な機会及び同一価値の労働についての同一報酬)、安全かつ健康的な作業条件(例えば、嫌がらせからの保護)及び苦情に対する救済についての障害者の権利を保護すること。
障害者が他の者と平等に労働組合についての権利を行使することができることを確保すること。
障害者が技術及び職業の指導に関する一般的な計画、職業紹介サービス並びに職業訓練及び継続的な訓練を効果的に利用することを可能とすること。
労働市場において障害者の雇用機会の増大を図り、及びその昇進を促進すること並びに職業を求め、これに就き、これを継続し、及びその職業に復帰する際の支援を促進すること。
自営活動の機会、起業能力、協同組合の発展及び自己の事業の開始を促進すること。
公的部門において障害者を雇用すること。
適当な政策及び措置(積極的差別是正措置、奨励措置その他の措置を含めることができる。)を通じて、民間部門における障害者の雇用を促進すること。
職場において合理的配慮が障害者に提供されることを確保すること。
開かれた労働市場において障害者が実務経験を取得することを促進すること。
障害者の職業リハビリテーション、職業の保持及び職場復帰計画を促進すること。
締約国は、障害者が、奴隷の状態又は隷属状態に置かれないこと及び他の者と平等に強制労働から保護されることを確保する。
第二十八条 相当な生活水準及び社会的な保障
締約国は、障害者及びその家族の相当な生活水準(相当な食糧、衣類及び住居を含む。)についての障害者の権利並びに生活条件の不断の改善についての障害者の権利を認めるものとし、障害を理由とする差別なしにこの権利を実現することを保障し、及び促進するための適当な措置をとる。
締約国は、社会的な保障についての障害者の権利及び障害を理由とする差別なしにこの権利を享受することについての障害者の権利を認めるものとし、この権利の実現を保障し、及び促進するための適当な措置をとる。この措置には、次の措置を含む。
障害者が清浄な水のサービスを平等に利用することを確保し、及び障害者が障害に関連するニーズに係る適当かつ利用可能なサービス、装置その他の援助を利用することを確保するための措置
障害者(特に、障害のある女子及び高齢者)が社会的な保障及び貧困削減に関する計画を利用することを確保するための措置
貧困の状況において生活している障害者及びその家族が障害に関連する費用を伴った国の援助(適当な研修、カウンセリング、財政的援助及び休息介護を含む。)を利用することを確保するための措置
障害者が公営住宅計画を利用することを確保するための措置
障害者が退職に伴う給付及び計画を平等に利用することを確保するための措置
第二十九条 政治的及び公的活動への参加
締約国は、障害者に対して政治的権利を保障し、及び他の者と平等にこの権利を享受する機会を保障するものとし、次のことを約束する。

特に次のことを行うことにより、障害者が、直接に、又は自由に選んだ代表者を通じて、他の者と平等に政治的及び公的活動に効果的かつ完全に参加することができること(障害者が投票し、及び選挙される権利及び機会を含む。)を確保すること。
投票の手続、設備及び資料が適当であり、利用可能であり、並びにその理解及び使用が容易であることを確保すること。
適当な場合には技術支援及び新たな技術の使用を容易にすることにより、障害者が、選挙及び国民投票において脅迫を受けることなく秘密投票によって投票する権利並びに選挙に立候補する権利並びに政府のあらゆる段階において効果的に在職し、及びあらゆる公務を遂行する権利を保護すること。
選挙人としての障害者の意思の自由な表明を保障すること。このため、必要な場合には、障害者の要請に応じて当該障害者が選択する者が投票の際に援助することを認めること。
障害者が、差別なしに、かつ、他の者と平等に政治に効果的かつ完全に参加することができる環境を積極的に促進し、及び政治への障害者の参加を奨励すること。政治への参加には、次のことを含む。
国の公的及び政治的活動に関係のある非政府機関及び非政府団体に参加し、並びに政党の活動及び運営に参加すること。
国際、国内、地域及び地方の各段階において障害者を代表するための組織を結成し、並びにこれに参加すること。
第三十条 文化的な生活、レクリエーション、余暇及びスポーツへの参加
締約国は、障害者が他の者と平等に文化的な生活に参加する権利を認めるものとし、障害者が次のことを行うことを確保するためのすべての適当な措置をとる。
利用可能な様式を通じて、文化的な作品を享受すること。
利用可能な様式を通じて、テレビジョン番組、映画、演劇その他の文化的な活動を享受すること。
文化的な公演又はサービスが行われる場所(例えば、劇場、博物館、映画館、図書館、観光サービス)へのアクセスを享受し、並びにできる限り自国の文化的に重要な記念物及び遺跡へのアクセスを享受すること。
締約国は、障害者が、自己の利益のためのみでなく、社会を豊かにするためにも、創造的、芸術的及び知的な潜在能力を開発し、及び活用する機会を有することを可能とするための適当な措置をとる。
締約国は、国際法に従い、知的財産権を保護する法律が、障害者が文化的な作品を享受する機会を妨げる不当な又は差別的な障壁とならないことを確保するためのすべての適当な措置をとる。
障害者は、他の者と平等に、その独自の文化的及び言語的な同一性(手話及び聴覚障害者の文化を含む。)の承認及び支持を受ける権利を有する。
締約国は、障害者が他の者と平等にレクリエーション、余暇及びスポーツの活動に参加することを可能とすることを目的として、次のことのための適当な措置をとる。
障害者があらゆる水準の一般のスポーツ活動に可能な限り参加することを奨励し、及び促進すること。
障害者が障害に応じたスポーツ活動及びレクリエーション活動を組織し、及び発展させ、並びにこれらに参加する機会を有することを確保すること。このため、適当な指導、研修及び資源が他の者と平等に提供されるよう奨励すること。
障害者がスポーツ、レクリエーション及び観光の場所へのアクセスを認められることを確保すること。
障害のある児童が遊び、レクリエーション、余暇及びスポーツ活動(学校制度におけるこれらの活動を含む。)への参加について均等な機会を享受することを確保すること。
障害者がレクリエーション、観光、余暇及びスポーツ活動の企画に関与する者によるサービスを利用することを確保すること。
第三十一条 統計及び資料の収集
締約国は、この条約を実現するための政策を立案し、及び実施することを可能とするための適当な情報(統計資料及び研究資料を含む。)を収集することを約束する。この情報を収集し、及び保存する過程は、次のことを満たさなければならない。
障害者の秘密の保持及びプライバシーの尊重を確保するため、法令によって定められた保護(資料の保護に関する法令を含む。)を遵守すること。
人権及び基本的自由を保護するための国際的に受け入れられた規範並びに統計の収集及び利用に関する倫理上の原則を遵守すること。
この条の規定に従って収集された情報は、適宜分類されるものとし、この条約に基づく締約国の義務の履行の評価に役立てるため、並びに障害者がその権利を行使する際に直面する障壁を特定し、及び当該障壁に対処するために利用される。
締約国は、これらの統計の普及について責任を負うものとし、障害者及び他の者が当該統計を利用可能とすることを確保する。
第三十二条 国際協力
締約国は、この条約の目的及び趣旨を実現するための自国の努力を支援するために国際協力及びその促進が重要であることを認識し、この点に関し、国家間において並びに適当な場合には関連のある国際的及び地域的機関並びに市民社会(特に障害者の組織)と連携して、適当かつ効果的な措置をとる。これらの措置には、特に次のことを含むことができる。
国際協力(国際的な開発計画を含む。)が、障害者を受け入れ、かつ、障害者にとって利用可能なものであることを確保すること。
能力の開発(情報、経験、研修計画及び最良の実例の交換及び共有を通じたものを含む。)を容易にし、及び支援すること。
研究における協力並びに科学及び技術に関する知識の利用を容易にすること。
適当な場合には、技術援助及び経済援助(利用可能な支援技術の利用及び共有を容易にすることによる援助並びに技術移転を通じた援助を含む。)を提供すること。
この条の規定は、この条約に基づく義務を履行する各締約国の義務に影響を及ぼすものではない。
第三十三条 国内における実施及び監視
締約国は、自国の制度に従い、この条約の実施に関連する事項を取り扱う一又は二以上の中央連絡先を政府内に指定する。また、締約国は、異なる部門及び段階における関連のある活動を容易にするため、政府内における調整のための仕組みの設置又は指定に十分な考慮を払う。
締約国は、自国の法律上及び行政上の制度に従い、この条約の実施を促進し、保護し、及び監視するための枠組み(適当な場合には、一又は二以上の独立した仕組みを含む。)を自国内において維持し、強化し、指定し、又は設置する。締約国は、このような仕組みを指定し、又は設置する場合には、人権の保護及び促進のための国内機構の地位及び役割に関する原則を考慮に入れる。
市民社会(特に、障害者及び障害者を代表する団体)は、監視の過程に十分に関与し、かつ、参加する。