がん(骨肉腫)闘病記

抗がん剤治療、放射線治療、人工関節置換手術、MRSA感染、身体障害者となっての生活の記録を残します。

和解案受諾、28日表明=与野党が了承、B型肝炎訴訟-政府

2011年01月29日 | Weblog
2011年01月28日 19時25分07秒

時事ドットコム配信記事( http://www.jiji.com/jc/zc?key=%a3%c2%b7%bf%b4%ce%b1%ea&k=201101/2011012700985  )



「政府は28日、集団予防接種をめぐり国の責任が問われたB型肝炎訴訟で、札幌地裁が提示した和解案(所見)の受け入れを正式に表明する。
 原告側も受諾を決めており、双方は近く同地裁に意向を伝える。3月にも基本合意を締結、係争中の全10地裁で和解が成立する。
 政府は和解案に基づき、特別の財源を確保した上で、和解金を支払うための基金設置などを柱とした枠組みを定め、与野党に説明。27日までに各党からおおむね合意を得た。
 それによると、1948~88年に受けた予防接種による感染者が救済対象で、具体的な対象者は裁判所が認定する。死亡や肝がんは3600万円、慢性肝炎は1250万円、未発症者には50万円の給付金や定期検査費用を支払う。
 国の試算では、未提訴の患者らを含む約43万人を救済すれば、今後30年間の財政支出は最大で約3兆2000億円に及ぶ。財源確保が最大の課題だが、今国会の会期末までに各党協議に委ねることとした。(2011/01/27-21:15)」



30年で最大約3兆2千億円てことだから、年換算すると、約1067億円。



さて、この財源をどう賄うかってところだけど、こういうことに使うのにうってつけの金が我が国にはある。それは米国債。



米国債は、一気に売るわけにはいかないが、長い時間かけてちょびちょび放出するにはうってつけの資産。そんなうってつけの金が我が国にはなんと約70兆円もある。



こんな時のために、あんな紙くずみたいな、マーケットで売るに売れない米国債を買っていたんだね!たまには国民のためになることもするね、我が国政府も!(もちろん嫌味ね。)



70兆も塩漬けになってる資産があるんだから、1000億ぐらいどうってことないでしょ、菅総理。



そうそう。スタンダード・アンド・プアーズ(格付け会社)によると、米国の格付けはAAA(トリプルエー)だから、AA-(ダブルエーマイナス)の日本が米国債売っ払ったって、なんの問題もないでしょう。有難く、AAAの米国債様をお売りさせて頂きましょう。増税なんかしないで。


国債格下げ「消費増税の催促」=与謝野経財相

2011年01月29日 | Weblog
2011年01月28日 19時12分49秒

時事ドットコム配信記事(URL http://www.jiji.com/jc/zc?key=%cd%bf%bc%d5%cc%ee%b3%be&k=201101/2011012800004 )



「与謝野馨経済財政担当相は27日夜、BSフジの報道番組に出演、米国の格付け会社が日本国債の長期格付けを引き下げたことについて、「(消費増税を)早くやれという催促だ」と語った。同相は「日本の消費税はたった5%。スウェーデン25%、ドイツも20%。(日本には)まだ消費税という使ってない武器があると(世界の人は)今まで思っていた」と指摘、財政再建に向け消費税率引き上げが必要との考えを示した。(2011/01/28-00:06)」



さすが、国民の信任を得ずに議席を確保した「平成の議席ドロボー」。



国民の願いは叶えないが、一民間企業の願いは叶えてあげるらしい。



リーマンショックまでサブプライムローンに高い格付けを付与していた格付け会社に何がわかるのかわからないが、自分に都合よく解釈し、上っ面の数字を並べるとは、さすが「平成の議席ドロボー」である。



「日本の消費税はたった5%。スウェーデン25%、ドイツも20%」とのたまうが、その5%で税収の何%を賄ってる?スウェーデンやドイツが食料品や日用雑貨に高い付加価値税を課しているのか?仮に、消費税率を25%にしたら、スウェーデンと同じ社会保障を実現できるのか?



適当なこと言ってんなよ、議席ドロボー。


参院問責決議 民主も反省して新たな慣例を(1月24日付・読売社説)

2011年01月29日 | Weblog
2011年01月24日 22時43分24秒

URL http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110123-OYT1T00695.htm



「参院での問責決議可決による閣僚の辞任が恒常化すれば、日本の政治は機能不全に陥る。

 与野党が話し合ってルール作りを進める必要があるが、それには民主党がまず、野党時代の言動を厳しく反省・総括する必要があろう。

 民主党の岡田幹事長が先週、野党側に国会運営のあり方に関する協議を申し入れた。参院が問責決議で閣僚辞任を迫ることは「妥当とはいえない」と指摘し、一定の仕組みを作るよう呼びかけた。

 憲法が定めるのは、衆院による内閣信任・不信任決議のみだ。野党が政府・与党攻撃の手段として用いる参院の問責決議には、何ら法的根拠はない。

 しかし、衆参ねじれ国会の下では、野党が「問責した首相や閣僚の審議には応じられない」との態度を取れば、政府・与党も決議を無視するのは難しい。結果として問責決議が、衆院での不信任決議と似た効力を持つことになる。

 今回、問責決議を受けた仙谷由人・前官房長官らが辞任を余儀なくされた。これが定着すると、衆院の優越を定めた憲法の理念に反し、参院に衆院とほぼ対等の権能を与えることになってしまう。

 岡田氏が指摘する通り、与野党で乱用防止の仕組みを築くことが望ましい。

 だが、1998年に参院で問責決議を可決させ、当時の額賀福志郎防衛長官を辞任に追い込んだのは、菅首相が党代表時代の民主党である。福田、麻生両元首相に対する問責決議も可決させた。

 問責決議を乱用し、参院を「政局の府」にしたのは民主党にほかならない。そのことを棚に上げて「良識の府に戻ろう」と呼びかけても、自民党が応じるはずがなかろう。岡田氏の申し出も、野党側は「ご都合主義」と一蹴した。

 もっとも自民党も、与党時代は参院問責決議の法的効力に疑問を示していた。所変われば主張も変わる、では困る。民主党が真摯(しんし)に反省の姿勢を示すなら、与野党協議に応じるべきではないか。

 2大政党による政権交代が定着すれば、衆参ねじれ下の国会運営の難しさは、各党に共通した課題となる。与野党の立場を超えて知恵を出し合うことが大切だ。

 岡田氏は、衆参で議決の異なる時に開かれる両院協議会が形骸化している現状の見直しや、国会開会中に首相や閣僚が海外出張しやすくすることも申し入れた。

 これらを実現する上でも民主党は、感情的なもつれを解きほぐすことに汗をかかねばなるまい。

(2011年1月24日01時11分 読売新聞)」

「与野党で乱用防止の仕組みを築くことが望ましい」とあるが、乱用防止が必要なのではなく、使用自体を禁止しなければならない。憲法上与えられていない権限を参議院に行使させてはならない。


「1998年に参院で問責決議を可決させ、当時の額賀福志郎防衛長官を辞任に追い込んだ」ともあるが、これは、額賀氏が勝手に辞めたのであって、実際、問責決議を突きつけられた福田、麻生両元首相は、それを理由としては辞めていないし、それでいい。


参議院が院として問責決議をしたいなら勝手にすればいいが、それが憲法上も、そして政治上も意味を持つものにしてはならない。なぜなら、政治が憲法を踏み越えることは立憲民主政の破壊そのものだからである。


他の点については概ね賛成だが、であれば、先般の仙谷氏及び馬淵氏に対する問責決議を疑問視する報道をもっとするべきだった。

年金支給年齢引き上げと今回の改革は「別」与謝野氏が強調

2011年01月29日 | Weblog
2011年01月23日 23時24分00秒

URL http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110123/plc11012321210231-n1.htm



「与謝野馨経済財政担当相は23日、政府の新成長戦略実現会議で「年金支給年齢の引き上げも検討すべきだ」と発言したことに関連し、「税と社会保障の一体改革ではやらない。別の課題としてやらなきゃいけないだろう」と述べ、6月までに取りまとめる一体改革の政府・与党案に盛り込まない考えを強調した。都内で記者団に語った。」



詭弁もいいとこ。年金制度を語るのに、支給開始年齢の話が外せるわけがない。



与謝野としては年金支給開始年齢を遅らせたいと考え、その本音を話したが、思いのほか世論の反発が強く、慌てて「別の課題」と言い繕ったもの。



こういう詭弁を弄する奴がいじくるから、政府の社会保障「改革」は信用できない。


自白調書、誘導で確認 大阪地検支部検事、知的障害者に

2011年01月29日 | Weblog
2011年01月22日 17時05分26秒

asahi.com配信記事(URL http://www.asahi.com/national/update/0119/OSK201101190170.html  )



「大阪府警に現住建造物等放火などの容疑で逮捕・送検された男性(29)に知的障害があり、物事をうまく説明できないのに、男性が取り調べで詳細な犯行状況や謝罪の言葉を述べたとする「自白調書」を大阪地検堺支部の男性検事(41)=当時=が作成していたことがわかった。朝日新聞が事件関係者を通じ、同支部が取り調べの様子を撮影・録画したDVDを分析。何度も説明に詰まる男性に対し、検事が調書の内容に沿うように事実上誘導しながら確認する場面が残されていた。

 検察側は昨年1月に男性を起訴したが、補充捜査で自白調書の信用性に疑いが生じたとして、同11月に起訴の取り消しを求める異例の措置をとり、約11カ月間勾留していた男性を釈放した。この調書について、複数の地検幹部は朝日新聞の取材に「検事が男性の言葉をまとめすぎた」として不適切だったことを認めており、郵便不正事件の捜査で浮き彫りになった調書作成の在り方が改めて問われる。

 男性は2009年12月、大阪府貝塚市内の長屋に侵入し、ライターですだれなどに火をつけたとして昨年1月5日に府警に逮捕され、地検堺支部に送検された。

 関係者によると、問題の自白調書は起訴5日前の同21日に作成され、A4判11枚にわたり「ライターを取り出すと、利き手の右手に持ちました」「(住宅の)窓の右下隅あたりの木か何かや紙のようなものに近づけました」「ライターの炎であぶるようにすると火が燃え移りました」などと書かれ、男性が取り調べで犯行状況を細かく説明した内容になっていた。被害者にも「火をつけたことに間違いなく、償いをしなければいけない」と謝罪の言葉を述べたと記されていた。



しかし、検事が読み聞かせた調書を確認する場面が録画されたDVDには、「火がどうなるところまで見たのかな」と尋ねる検事に対し、男性が「……え、と……」とうまく答えられない場面や、男性が検事の言葉をおうむ返しにする状況が映っていた。

 火が広がった状況についても男性は当初、「見てなかった」と答え、これに対して検事が調書内容に合うように「見てたんか」「見てたのでいいのかな」と繰り返し質問。男性が「はい、見てた」と翻す場面も残っていた。

 一方、自白調書には、男性の事件への関与の有無を確認するために、検事が送検後の男性に「君が火をつけたのではないのではないか」と質問したと記載されていた。この質問方法について、地検の補充捜査で意見を求められた警察庁科学警察研究所の技官が「男性の障害を考慮すれば二重否定の質問は不適切だ」と指摘したという。

 起訴前に男性の障害を検察側に伝えていたという弁護人の荒井俊英弁護士は「調書は検事が誘導し、作文された疑いがある」とし、取り調べ状況を録音・録画する可視化の全面導入を訴えた。大島忠郁(ただふみ)次席検事は「捜査自体は違法ではなく、起訴当時の判断には問題はなかった」として男性検事を処分していない。(板橋洋佳、野上英文) 」


yomiDr. 医療大全 最新の医療ルネサンス・医療解説

2011年01月29日 | Weblog
2011年01月22日 00時00分29秒

URL http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=35592  



重い費用負担(1)高額新薬 「命は金次第か」



「「私が死ねば、家族が楽になる」

 慢性骨髄性白血病を患う新家幸子さん(51)は2009年1月、茨城県の自宅で、台所にあった包丁を自分の首に突きつけた。傍らにいた夫の尚員さん(51)は、包丁を握った幸子さんの手を押さえながら、「高額な医療費が彼女を精神的に追いつめていたのか」と、思わずにはいられなかった。

 幸子さんが慢性骨髄性白血病と診断されたのは02年10月。ウイルスを攻撃する白血球などが異常に増え、正常に働かなくなる病気だ。だが医師には「最近、良い薬が出たので安心してほしい」と言われた。分子標的薬という新しいタイプの抗がん剤「グリベック」が前年に承認されたためだ。

 他人の骨髄液を採って移植する骨髄移植に比べ、提供者を探す必要がないうえ、体への負担も少ない。現在では第一に選択される治療になっている。

 幸子さんは毎日、グリベックを飲み始めた。しばらく後の血液検査で白血病細胞は見つからなくなった。ただし、この薬は効果がある限り続ける必要がある。

 1錠約3500円(当時、現在は約2750円)で1日4錠。保険がきくが、患者負担の月額上限を定めた高額療養費制度の適用を受けても、月約8万円かかる。制度の規定で負担は4か月目から月4万4400円に下がったとは言え、家計をじわじわと圧迫し続けた。

 夫婦と子供2人の4人暮らし。会社員の尚員さんは不況で残業がなくなり給料が減少。ローン負担の大きい持ち家は06年に売ったが、病院への支払いも滞るようになり、08年には未払い金は約50万円に達した。

 重い負担にあえぐ生活が影響したのか、幸子さんにうつ症状が出るようになったのはこのころ。自殺未遂騒ぎも一度ではなかった。

 薬をやめれば白血病で命を失う可能性がある。しかし医療費負担は重い。悩んだ末、08年12月、服薬を中断した。幸い病状は悪化せず、病気仲間の強い勧めで10年4月に服薬を再開したが、尚員さんは「『金の切れ目が命の切れ目』という現実が今もあるんですね」とため息を漏らす。

 医療の進歩で、グリベックをはじめとした「新薬」が近年相次いで登場した。だがその一方で、患者の高額な医療費負担という新たな課題も生まれている。



情報プラス



グリベック服用者に医療費を補助する基金



 白血病患者らを支援しているNPO法人「血液情報広場・つばさ」(橋本明子理事長)は2010年10月、グリベックなどの薬を服用し、経済的に苦しい慢性骨髄性白血病患者に対し、月2万円を補助する基金を設立した。


 治療薬を販売する製薬会社からの寄付金約2500万円で基金を設立。診断から1年以上、2009年の世帯所得が132万円未満(市町村民税非課税者、生活保護等受給者は除く)などを条件に、一般的な患者の自己負担額のほぼ半分に当たる月額2万円を補助する。現在、グリベック服用者は約8000人と推定されるが、100人ほどの申請を見込んでいる。


 問い合わせは専用電話0120・711・656(平日10時~17時)。
 詳しくはホームページ http://kikin.tsubasa-npo.org/  」



URL http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=35641  



重い費用負担(2)「高額療養費制度」 盲点も



「患者の自己負担が大きくなりすぎないよう、保険治療では、月当たりの患者負担額に上限を設けている。「高額療養費制度」で、70歳未満の一般所得者の場合、限度額は月約8万円(過去1年間で4回目の適用からは月4万4400円)に抑えられている。

 だが、この制度にも問題点がある。

 2002年に関節リウマチと診断された千葉県の渡部規子さん(45)は、従来の抗リウマチ薬で治療していたが症状が徐々に進行。07年4月、新薬の「レミケード」を使い始めた。

 最新技術を駆使して開発された「生物学的製剤」と呼ばれる薬で、炎症や痛みを抑えるだけではなく、従来薬では難しかった関節の破壊も防ぐとされる。関節リウマチ治療には現在、レミケードを含め五つの同種の薬がある。

 渡部さんは2か月に1度、通院で約2時間の点滴治療を受けた。治療前はだるさで寝込みがちだったが、痛みや熱が治まり、体が軽く感じた。「これこそ、夢見た生活」と喜んだ。

 しかし治療費は3割負担で1回約7万円を超えた。高額療養費制度の限度額には届かないため、まるまる払う。制度が適用されれば4回目からは半額近くに下がるのに、渡部さんのようなケースでは、負担額が7万円を超えたままだ。

 薬の効果が薄れたため今は、別の生物学的製剤(月に1回点滴)に変えたが、毎月の自己負担額は5万円を超えることがある。渡部さんは「夫の収入は治療費に消えており、もし夫が病気で倒れたら、生活が破綻しかねない」と話す。

 高額療養費制度はまた、年間所得によって上限額が3段階に区分されている。このうち「一般所得者」は、年間所得が200万~300万円程度から700万円程度に当たるとされるが、所得が200万円程度の患者にとっては負担が重すぎるのではないかとの声も強い。一時、負担の引き下げも検討されたが、見送られた。

 医療費負担を調査している東大医科学研究所(東京・白金台)特別研究員の児玉有子さんは「もっときめ細やかな制度に見直す必要がある」と訴える。(2011年1月18日 読売新聞)



情報プラス



医療費負担が重い関節リウマチ患者



 日本リウマチ友の会(東京)が、会員の患者の実態調査をまとめた「2010年リウマチ白書」によると、患者の負担は増している。1か月にかかった医療費の自己負担額が「3万円以上」だったと回答した人が16%おり、5年前より9㌽増えた。生物学的製剤の使用患者が増えていることが背景にあるとみられる。


 【日本リウマチ友の会】 〒101・0047 東京都千代田区内神田2の7の7 新内神田ビル3階。(平日午前9時半~午後4時半。土・日・祝日休)(電)03・3258・6565



慢性骨髄性白血病治療薬・グリベックの薬剤費負担も重く



 東大医科学研究所(東京・白金台)特別研究員の児玉有子さんが2009年、グリベック服用者にアンケート調査を実施した(回答者は566人)。73%が医療費の支払いに負担を感じており、薬の中断を考えたことがある人が37%もいた。実際に服用を中断した経験がある人は17人(3・2%)いた。」



URL http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=35720  



重い費用負担(3)「難病」 指定外で補助なし



「東京都の遠藤博之さん(63)は、通常の2倍以上のスピードで全身の細胞の老化が進む遺伝性の病気「ウェルナー症候群(早老症)」の患者だ。国内の患者数は推定800~2000人。治療法はなく、平均寿命は50歳前後とされる。

 身長は15歳ごろ、156センチで止まった。21歳の時には両目の白内障の手術を受け、右目は27歳の時に緑内障で視力を失った。30歳で老人のようなしわがれ声になって通院した際、精密検査でこの病気とわかった。

 40歳代になると、血管の老化で壊死した足の指数本を切断した。糖尿病も発病し、医療費は月に数万円になることも。子供のころは親が負担していたが、大人になってからは学校に通って身に着けた鍼灸師の仕事で医療費を賄った。

 ウェルナー症候群は治療法のない深刻な病気だが、国による医療費補助はない。

 治療法が確立されていない病気は5000~7000種類あるとされる。しかし、国の定める「難病」はわずかだ。国の公的な医療費補助があるのは、「難治性疾患克服研究事業」(130疾患)のうち、さらに「特定疾患」(56疾患)の指定を受けたものに限られる。ウェルナー症候群は入っていない。

 特定疾患は、厚生労働省の難病対策委員会などが、患者団体の要望も踏まえ、難病のうち特に医療費負担が重い病気を指定している。しかし、予算に限りがあるなか指定を受けられない病気も多く、不公平感を募らせる患者もいる。

 遠藤さんは2000年5月に左脚、10年7月に右脚の、それぞれ太ももから下を切断した。身体障害者手帳1級と認定され、医療費負担はほとんどなくなった。「足が切断されなければ、十分な福祉が受けられないのでしょうか」と嘆く。

 難病対策委員会委員長を務める金沢一郎さん(日本学術会議会長)は「病気ごとに指定する仕組みは限界にきている。医療費補助は、年収や病状の重さなどを勘案して決めるようにすべきではないか」と話す。




 治療法が確立されておらず医療費補助がない病気の例
  ▽色素性乾皮症(日光にあたると皮膚がんの危険性。患者数は500~600人)
  ▽HTLV―1関連脊髄症(脊髄が侵され歩行困難や排尿困難の症状。同約3000人)
  ▽先天性魚鱗癬様紅皮症(全身皮膚がうろこ状になり、赤みが伴う。同100~300人)
  ▽家族性突然死症候群(QT延長症候群)(突然、脈が乱れて意識を失うことがある。数百家系)
  (難病情報センターなどによる)

 難病情報センターのホームページ
  http://www.nanbyou.or.jp/
  特定疾患(ベーチェット病や多発性硬化症など56疾患)など難病について掲載

(2011年1月19日 読売新聞)」




URL http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=35748  




重い費用負担(4)収入減で治療ためらう




「「原因不明の体重減少があり、精密検査を受けるように病院を紹介したが、受診せず、後日亡くなった」

 「十二指腸潰瘍で薬を処方しようとしたが、患者が断り、痛みをこらえている。時々、母親に出された痛み止めを飲んでいるようだ」

 患者が、治療費を払えないなどの経済的な理由で治療を中断・中止する事例が、全国で相次いでいる。全国保険医団体連合会(保団連)が2010年5~10月に行った調査(医科診療所、歯科診療所、病院約1万施設が回答)では、約4割の施設が、過去半年間に経験があると答えた。

 福島県に住む建築業のAさん(40歳代)は3年前、自宅で突然、ろれつが回らなくなり、脳の血管が詰まる脳梗塞と診断された。約2か月後に退院したが、右手と右足にまひが残り、仕事を続けられなくなった。しばらくして、事務関係の仕事に就いたが給料は下がった。

 1か月または3か月に1回通院し、脳のCT(コンピューター断層撮影)検査を受け、血を固まりにくくする薬や血圧を下げる薬を毎日飲む。費用負担は、通院の交通費など含め月に3万円になることもあった。

 妻、子ども2人の4人家族。暮らしは楽ではない。出費を抑えるため、飲む薬の量を医師に内緒で減らしたり、服薬を一時やめたりしたこともあった。実家の母から仕送りされる年金の一部を、生活費の一部に充てた。

 同県猪苗代町の矢吹医院院長、矢吹孝志さんは「地方では年収が低い世帯が多く、医療費の負担は深刻。通院をやめたり、検査を断ったりする患者が増えている。不景気が続き、患者の経済的格差は広がっており、安心して治療を継続できるような体制作りが急務」と訴える。

 一家の大黒柱が病気で倒れると、家族全員に大きく影響する。

 がん患者を支援するグループ「がん経験者の就労・経済問題を考えるプロジェクト」が10年6~7月行った調査では、がん患者の67%が発病に伴い収入が減少し、年収減少率は平均36%に及んだ。

 回答した就労者770人のうち、「依願退職」(18%)、「廃業」(4%)、「休職・休業中」(10%)、「解雇」(2%)と、3人に1人が仕事を続けられなくなったと答えた。「生活を切り詰めている」(56%)、「子どもの進路・進学を変更した」(5%)、「住宅取得をあきらめた」(4%)、「配偶者が働き始めた」(3%)、「離婚した」(2%)などの回答もあり、生活面への影響も大きい。

(2011年1月20日 読売新聞)


情報プラス


全国保険医団体連合会(保団連)の調査



 保団連加盟する全国の医療機関を対象に調査を行い、9677施設(医科診療所6035、歯科診療所3105、病院527)から回答があった。


 「この半年間に、主に患者の経済的理由から、治療を中断または中止する事例がありましたか」との質問に対し、38・7%が「あった」と回答した。施設別にみると、病院の23・3%、医科診療所の33・6%、歯科の51・3%。「命にかかわらないから」と、虫歯など歯科治療が後回しになっている実態が明らかになった。


 歯科診療所から寄せられた具体的な実例としては、「欠損した歯があるが、部分義歯の作成は3か月待ってほしい」「治療の支払いは(給料が出る)月末まで待ってほしい」「(虫歯はあるが)痛くないので、今はお金がないから痛くなってから治療する」などがあった。」



URL http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=35810  



重い費用負担(5)長期闘病の世帯 「支援を」



「日本難病・疾病団体協議会代表 伊藤たてお さん



Q&A



 医療費負担の問題について、日本難病・疾病団体協議会(JPA)代表の伊藤たておさん(65)に話を聞きました。

 ――患者への重い医療費負担が問題になっています。

 全国の難病や慢性疾患の患者団体が一堂に会する初めての全国フォーラムが、JPAなどが主催し、2010年12月に東京都内で開かれました。国の難病対策が不十分だという意見が多く出されました。

 国の「特定疾患」(56種類)に指定されれば医療費の公費補助が受けられますが、それ以外の病気でも、重い負担に苦しむ患者は多いのです。仕事を辞めたり、転職を余儀なくされたりして、治療を断念しなければならない例もあります。生活の破綻を招くこともあります。年収200万~300万円で、家族を養い、年間50万円を超える医療費を払っている患者もいます。

 ――伊藤さん自身、「特定疾患」の患者ですね。

 私は、神経と筋肉の接合部の異常により全身に力が入らなくなる筋無力症を患っています。しかし公費補助があると言っても、この病気の治療にかかる費用のみです。通院にはタクシーを使うしかありませんが、月3万~4万円かかる交通費への補助はありません。脳梗塞と狭心症も患っていますが、この治療にも助成はありません。妻はアルツハイマー型認知症で寝たきりなので、洗濯や食事の介護、施設への送り迎えなども私が行っています。

 ――子どもの難病に対する制度にも問題があると聞きます。

 治療が長期にわたる子どもには「小児慢性特定疾患治療研究事業」(514疾患)による医療費の公費補助があります。ただし対象は18歳未満(20歳未満まで延長も)です。大人になると医療費負担が生じます。

 たとえば、血糖値を下げるインスリンホルモンが分泌されなくなる「1型糖尿病」は、多くが幼少期に発病します。インスリンの自己注射が欠かせませんが、成人後、医療費負担の重さから注射の回数を減らす人さえいます。命を落としかねない危険なことです。年齢に関係なく継続して補助が受けられるよう、見直しが必要です。

 ――国は昨年、負担の上限を定めた高額療養費制度の見直しを検討しましたが、結局見送られました。

 JPAなど患者団体では、低所得者の負担上限額の引き下げを求めてきました。見直し案は、70歳未満で年間所得約300万円以下の世帯(住民税非課税世帯は除く)の負担上限(月額約8万円)を、半分程度に引き下げるものでした。財源不足を理由に2011年度の見直しは見送られましたが、納得できません。

 景気が一向に回復せず、世帯収入は低迷しています。長い闘病を強いられる患者を抱える世帯に対し、年収や患者の症状などを考慮した負担軽減制度を作ってもらいたいです。(坂上博)

(2011年1月21日 読売新聞)


情報プラス
 日本難病・疾病団体協議会(JPA)事務局 
 〒162・0822 東京都新宿区下宮比町2の

社会保障改革 与謝野氏軸に政府案を急げ(1月20日付・読売社説)

2011年01月29日 | Weblog
2011年01月21日 00時03分09秒

URL http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110119-OYT1T01106.htm  



「社会保障制度は少子高齢化で、随所に歪(ゆが)みが生じている。改革に一刻の猶予も許されない。

 政府が社会保障と税の一体改革について、6月に政府・与党案をまとめる方針を決定した。それまでに与野党協議をレールに乗せたいという。

 政府・与党案とりまとめは与謝野経済財政相、与野党との窓口には玄葉国家戦略相があたるなど役割分担も決まった。まずは推進体制を整えたということだろう。

 民主党の姿勢を厳しく批判してきた与謝野氏の入閣に対して、与野党双方から反発が出ている。与謝野氏は、迅速かつ着実に成果をあげることで応えるしかない。

 起用した菅首相もここは腹をくくって、与謝野氏が思い切った仕事のできる環境を作るべきだ。

 社会保障改革の議論の中心は、年金制度と消費税である。

 政府・与党が年金改革案について意思統一を図ることが、その第一歩となる。

 民主党内には、年金改革の財源について「党としては従来、“全額税方式”を唱えてきたのだから現行の社会保険方式維持を主張する与謝野氏とは全く相いれない」とする声が根強く存在する。

 だが、民主党は政権交代を果たした衆院選の政権公約(マニフェスト)から、年金改革案の説明を微妙に修正している。

 全額税による最低保障年金を創設はするが、それは同時に新設する社会保険方式の国民共通年金を補完するもの、という位置づけに変えた。全体としてはむしろ、社会保険方式に傾いている。

 一方、与謝野氏の持論は、社会保険方式の現行制度の不備を改善した上で、年金額が低い人には税金を用いた支援措置を講じる、というものだ。

 保険料と税のバランスの問題であり、大枠は重なっている。十分に妥協点は見いだしうる。

 政府は、現実的な社会保険方式を基本に議論することで、民主党内の合意を得るべきだ。

 自民、公明など野党側の考える年金改革案も与謝野氏の考え方と大きな違いはない。

 持続可能な制度を実現するためには、消費税率を引き上げることでしか安定財源を確保する手だてはない。議論の過程でこうした認識も再確認できるはずである。

 年金制度は何十年先まで安定したものでなければ、国民の不安は解消しない。政権交代のたびに制度が変わることのないよう、与野党で早急に改革案を練り上げなければならない。

(2011年1月20日01時19分 読売新聞)」


相変わらずの読売らしい記事に対しては、私も相変わらずの反論を。

「社会保障改革の議論の中心は、年金制度と消費税である。」


この消費税決め打ちの根拠がわからない。いつも私がブログで指摘しているように、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に積み上がっている年金積立金が128兆円。そして、現在、基礎年金に費やされている公費が7.5兆円。これが基礎年金の2分の1に当たるので、民主党が言う最低年金保証制度に移行した場合、必要となる残りの公費は7.5兆円。
ということは、来年度から全額国庫負担で基礎年金(最低保証年金)部分を賄うことにしても、年金積立金を取り崩していけば17年は増税なしで年金給付が行える(128÷7.5≒17)。


でもそれじゃ17年しかもたないじゃないかという再反論が来そうなので、毎年取り崩す額を5兆円とした場合、128÷5=25.6。25年以上増税なしで年金給付が行える。不足する2.5兆円はキャピタルゲイン課税を総合課税にしたうえで税率を引き上げる、相続税の最高税率を引き上げる、法人に対する各種優遇税制・租税特別措置を撤廃する、贈与税率を引き上げる等して手当てする。(金融資産に課税しちゃえば一発なんだけどね。)消費税率を引き上げる必要なんてかけらもない。


読売は、タイトルで「与謝野氏軸に政府案を急げ」と煽っているが、与謝野である必要はないし、急ぐ必要もない。必要なことは、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が運用ごっこをして遊んでいる年金積立金を取り崩し、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を廃止すること。ただそれだけ。


そして、こうすることで、現役世代は国民年金部分に対する保険料負担を免れ、法人も、折半して負担している保険料負担を免れることが出来るので、景気対策にもなる。デフレ不況にあえぐ現在、やらない理由が見当たらない。

消費増税、11年度中の法整備に言及 藤井官房副長官

2011年01月29日 | Weblog
2011年01月19日 00時08分54秒

asahi.co.配信記事(URL http://www.asahi.com/special/minshu/TKY201101170413.html  )



「藤井裕久官房副長官は17日のCS番組で、消費増税をめぐり2009年度税制改正関連法の付則で11年度までに必要な法制上の措置を講じるよう定められていることに言及し、「法律だから与野党とも忠実に従わないといけない」と述べた。同法は麻生政権下で成立したもので、藤井氏の発言は、自民、公明両党に対して早期に税制改革をめぐる与野党協議に応じるよう促す狙いがある。

 枝野幸男官房長官も17日夕の記者会見で「内閣は法令を順守する法的責務を負っており、大切にしないといけない」と指摘。ただ、「(税制改革を)具体的に政権の意思としてどう進めていくのかは、あくまでも社会保障のあるべき姿を6月にとりまとめたうえで議論、検討されることだ」と述べ、法整備に向けた具体的な動きは社会保障改革案をとりまとめた後になる、との認識を示した。 」



藤井裕久官房副長官の発言はおかしいよね。



「法律だから与野党とも忠実に従わないといけない」って言ってるけど、現時点ではそうかもしれないけど、立法府は法律の制定改廃をする権限を持ってるんだから、従いたくなければ法律を廃止すればいいだけの話で、与野党が将来にわたって現在効力のある法律に拘束されるいわれはないよね。



誤った付則は即刻改廃すればいいだけの話。


増税で社会保障、各党の共通認識に…与謝野氏

2011年01月29日 | Weblog
2011年01月18日 23時54分24秒

URL http://www.yomiuri.co.jp/feature/20100806-849918/news/20110116-OYT1T00469.htm



「与謝野経済財政相は16日、NHKの番組に出演し、社会保障と税制の改革について、「ここ5年間ぐらい各党の間では、税を上げても財政再建に使うのは駄目で、社会保障(に充てる)という共通認識が広がっている」と述べ、消費税率を引き上げて社会保障の財源に充てるべきだとの考えを改めて強調した。

 さらに、「社会保障制度や税制の改革は、1党ではなかなか難しい」と指摘し、与野党協議が不可欠との考えを示した。

 一方、枝野官房長官は与野党協議について、「窓口は民主党の玄葉政調会長や岡田幹事長にお願いする」と述べた。

 年金制度改革について、「税金でお願いする部分と保険料でお願いする部分と、うまくバランスを取って、時間をかけて理想の形にもっていく。各党の考え方にほとんど違いはない」と述べ、与野党の歩み寄りは可能との認識を示した。

(2011年1月16日20時29分 読売新聞)」

与謝野の発言は一々ムカツク。一番嫌いな政治屋。


消費税率引き上げを掲げて選挙で勝った政党がどこにあんだよ。だから、かつて所属していた自民党が下野して、立ち上がれ日本を立ち上げて、で、そこもどうにもならないから、節操もなく民主党政権に潜り込んで、消費税率引き上げを画策してんだろ。


卑怯な真似しないで、社会保障制度の設計を精緻に行ったうえで、その制度の財源には消費税を充てると言って、選挙を戦えよ。それで選挙に勝てたら税率引き上げをしろよ。


選挙に負けた奴がのこのこ出てくんなよ。財政民主主義違反なんだよ、お前の存在は。


メッセージボード

2011年01月14日 | Weblog
基礎年金に年金積立金から充当を!!


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              本ブログの内容



 2006年12月~2007年6月掲載の記事はおおよそ闘病記と言って差し支えない内容になっていると思います。骨肉腫に関する情報を欲する場合には、2006年12月~2007年6月掲載の記事をお読みください。



 2007年7月以降掲載の記事は政治に関する記事が多くなっています。その理由は、自らの闘病体験および身体障害者としての生活を送る中で、医療制度改善の必要性および障害者雇用制度改善の必要性を強く感じ、当該改善には政治による解決が強く望まれる部分が大きいと考えたためです。闘病記のみならず、もう一歩踏み込んで医療制度をはじめとした様々な制度の改善に関する情報にも関心のある方は2007年7月以降掲載の記事もあわせてお読みください。



 また、学生時代に憲法学を専攻し、卒業後も暫く法律の勉強をしていたことから、憲法や憲法に基礎を置く刑事手続に関心があり、憲法や政治、刑事訴訟等に関する記事も多く掲載しています。



 モバイルからアクセスして頂いている方は出来ないのですが、PCからアクセスして頂いている方は、本ブログ左サイドバーにブログテーマが掲げられていますので、ご自身の関心あるテーマを選んでお読み頂ければと思います。



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障害があるという属性に着目し、障害者については非正規社員として雇用するものとすることは、男性は正規社員として雇用し、女性は非正規社員として雇用するものとすることが差別であるのと同様、明らかな差別である。





障害者に対しては、その障害に応じた配慮が必要なため、健常者は正規社員とし、障害者は非正規社員とすることには合理性があると考えることは、女性には産前産後休暇や生理休暇が認められるため、男性は正規社員として雇用し、女性は非正規社員として雇用することに合理性があると考えることと同様、完全に失当である。                  







・障害者を非正規にて雇用することの法律による禁止を!!




・障害者雇用率の5%への引き上げを!!




・障害者雇用納付金及び調整金・報奨金を現行の6倍に!!




・在宅就業障害者特例調整金及び報奨金の大幅な拡充を!!




・障害者雇用率上位企業及び下位企業の広範な公表を!!




・年金積立金を取り崩して社会保障の充実を!!




・年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の廃止を!!




・金融資産税を創設し、金融資産に2%の課税を!!


内閣改造:与謝野氏を要職に起用へ たちあがれ日本離党

2011年01月14日 | Weblog
2011年01月13日 23時00分05秒

URL http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110113k0000e010055000c.html



「菅直人首相は13日、14日に行う内閣改造で、たちあがれ日本の与謝野馨共同代表を政権の要職に起用する意向を固めた。税制改正と社会保障担当の特命相や首相補佐官、厚生労働相などを検討している。与謝野氏は13日午前、東京都内で同党の平沼赳夫代表に離党届を提出した。また、野田佳彦財務相の留任も固まった。首相は同日午後の民主党大会後に記者会見し内閣改造と党役員人事の基本方針を示して人事に本格的に着手。24日の通常国会召集を目指す。

 与謝野氏は離党届提出後、国会内で記者会見し、「税制抜本改革、社会保障、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)で、できることは(菅内閣を)お手伝いしたい」と政権入りへの意欲を示した。

 与謝野氏は昨年11月以降、首相と2回にわたって会談するなど、菅政権への協力を探っていた。しかし、同12月27日にたちあがれの連立政権入りが破談になり、以後は党の会合を欠席していた。与謝野氏は09年衆院選で比例代表東京ブロックの自民党候補として復活当選したため公職選挙法などの規定で既存政党に移ることはできず、今後は無所属で活動する。平沼氏は与謝野氏との会談で「それなりの考えがあることは理解する」と述べたが、離党届の扱いは保留した。

 首相は政界きっての政策通で、消費税率引き上げによる財政再建論者の与謝野氏を政権内に取り込むことで、6月にも方向性を示す税と社会保障制度改革論議に道筋をつけたい考え。社会保障の抜本改革の必要性には自民、公明両党も賛同しており、与謝野氏に野党との橋渡し役を期待する狙いもあるとみられる。

 一方、民主党の鉢呂吉雄国対委員長は13日午前、自民、公明両党国対委員長に対し、昨年の臨時国会で参院で問責決議を受けた仙谷由人官房長官を交代させる方針を個別に伝えた。仙谷氏も13日午前の会見で自身の交代について「方向性はそういうことだ。(首相が)大局的な判断をした」と認めた。これを受けて自公両党は14日の衆院議院運営委員会理事会の開催を了承、通常国会は24日に召集される見通しになった。

 首相は仙谷氏の後任に民主党の枝野幸男幹事長代理を起用し、仙谷氏は民主党代表代行と国対委員長を兼務する方向だ。馬淵澄夫国土交通相も交代させる。前原誠司外相、北沢俊美防衛相の留任や、岡田克也幹事長、玄葉光一郎政調会長(国家戦略担当相兼務)の続投が固まっている。

 与謝野氏は当選10回で72歳。自民党時代には党政調会長、官房長官、財務・金融・経済財政担当相など要職を歴任した。政権交代後の昨年4月、谷垣禎一総裁の党運営を批判して自民党を離党し、平沼氏らとたちあがれ日本を結党した。【中田卓二】」



事実とすれば極めて残念なニュース。



私から見ると、与謝野馨は財務省の使いっ走り。しかし、本人はそのことに気付かず、一人よがりの使命感に浸っている。一人よがりの使命感ほど厄介なものはない。



与謝野馨は、先の総選挙では、自民党で出馬し、比例で復活当選した議員。ということは、国民から不信任を突きつけられた政党の議員ということ。その議員が、国民に負担を強いる消費税増税を主導することは、国民主権に対する挑戦と言える。



そのような人事を菅総理がするのであれば、マニフェストを修正または撤回し、国民に信を問うべき。そうでなければ、国民は何を信じて、何を基準に投票行動を取ればいいかわからなくなってしまう。



また、参院で問責決議を受けたことを理由に仙谷由人官房長官を交代させるというのも、悪しき前例となってしまいよろしくない。参議院には内閣に対して不信任を突きつける憲法上の権限は与えられていない。権力機関が憲法に定められる権限を越えて権力を行使しようとすることは厳に慎むべき。



マスコミも、民主党憎さから、仙谷官房長官憎さから、参院の問責決議に乗っかっているが、これは憲法という最高規範を無視する蛮行である。憲法が定める原則を決して軽く見てはならない。



菅総理や参議院議員(特に西岡参院議長)、そしてマスコミの人間は、立憲民主主義の意義をもう一度しっかり勉強する必要がある。


届いたコメントについて

2011年01月07日 | Weblog
2011年01月06日 23時31分51秒

届いたコメントに回答する。届いたコメントは以下の通り。



「こんにちは。労働組合ってどんなところ?から来ました。

>健常児の保護者が、障害児を受け入れる姿勢を示せるか否かだよね。
>自分の子供が障害児と一緒に学ぶとなったら、反対しそうな保護者が結構いそうだからね。

私個人としては授業中に奇声を発したり、暴れだしたりとよほどの迷惑を他の者にかけない限りは反対はしないのですが、逆に知的障害者の子ども自身は健常者と一緒に学ぶことが幸せなのでしょうか?
中学生のころ、知恵おくれの田中くんという子がいました。
私の学校には特別学級というのがあり、知恵おくれの子はそこで授業を受けていたのですが田中くんはどういうわけか私と同じクラスでした。
数学の時間、みんなが方程式を習っているときに四則計算も理解しているか怪しい田中くんはその授業を受けていてもチンプンカンプンだったと思います。
田中くんがその授業の間、何を思って過ごしていたのだろうと考えると複雑な気持ちになります。」



その田中くんを訪ねて、その当時の気持ちを聞いてみたらどうですか。
「労働組合ってなにするところ?」(URL http://ameblo.jp/sai-mido/  )でのあなたのコメントからも感じていることですが、あなたは当事者の気持ちを確認する前に決め込むところがありませんか。


学校は、数学だけを学ぶところではありません。もし仮に、本当に田中くんが四則計算を理解できていないなら、友達が教えてあげるとか、授業後に地域のボランティアが補習をしてあげるとか、田中くんに対して周囲ができることはあるはずです。現実の物理的条件からそれらのことの実現は難しいかもしれません。しかし、そういった可能性をあなたは考えようとしましたか。田中くんにとっては、数学が出来ないことよりも、友達から「隔離」されて過ごすことの方が苦痛かもしれません。数学は理解できなくても、皆と同じ教室で学べた思い出が、それからの生涯を支える良い思い出となっているかもしれません。大切なことは、障害者に寄り添おうという姿勢です。障害者にとっては、こうしてあげることが幸せであるはずだ、そして、私はそのような幸せを実現してあげるだけの慈悲深さは持っていると思い込むことではありません。



自分の中で想像するだけでなく、現実に障害者に接して、どうして欲しいかを確認してみたらどうですか。そして、本当に障害者を思う気持ちがあるのなら、障害者自身が望むことの実現に自らができる範囲で助力してみてはいかがですか。(もし、障害者をサポートする気がないのなら、私のブログには2度とコメントしないでください。そういう人と関わる時間は私にとっては無駄ですから。)



ちなみに、私自身障害者なので言わせてもらうと、「あなたは足が悪いから遠出はしない方がいいですね。エスカレーターやエレベーターがある駅ばかりではないから、外出は控えた方がいいですね。それがあなたの幸せですよ。」と言われたら、一言、「大きなお世話だ。」と言い返します。


障害児教育 「共に学ぶ」環境作りは可能か(12月31日付・読売社説)

2011年01月02日 | Weblog
2010年12月31日 22時09分18秒

URL http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20101230-OYT1T00667.htm



「障害のある子どもが障害のない子どもと一緒に授業を受ける。そんな教室の風景を障害児教育の原則にしようという議論が、内閣府を中心に進められている。

 障害の程度に応じ、特別支援学校などで専門教育を行ってきたこれまでの枠組みが、将来大きく変わることになるのだろうか。

 障害児と健常児が共に学ぶことを理念とする教育は、「インクルーシブ(包容する)教育」と呼ばれ、国連で採択された障害者権利条約にうたわれている。

 日本は2007年に署名し、現在、内閣府の「障がい者制度改革推進会議」が、批准に向けて国内法の整備を検討している。このほどまとめた意見書では、「お互いを尊重する土壌を形成する」と、その必要性を強調している。

 インクルーシブ教育は、多様性を認め合う社会を築く上で目指すべき方向ではあるのだろう。

 しかし、実現するためには、専門教員の養成や施設の充実、それに伴う多額の予算確保など課題が山積していることも確かだ。

 現在、障害の重い子は特別支援学校で専門性の高い教育を受け、比較的軽い子は、小中学校に設けられた特別支援学級で学んだり、通常の学級に在籍しながら、一定の時間、別の教室などで専門の指導を受けたりしている。

 仮に、障害のある子をすべて地域の小中学校で受け入れることになれば、担任を補助する教員や医療的なサポートをする看護師らの配置が必要となる。40人を上限とする1クラスの人数も大幅に減らさねば対応できないだろう。

 文部科学省の試算では、教員らの増員に2兆円、施設整備に10兆円のコストがかかるという。こうした条件をただちに整えることは難しいと言わざるを得ない。

 中央教育審議会の特別委員会は今月、現行の枠組みを維持する方向で意見を集約した。

 教育条件が大きく改善されない中で、個々の子どもの障害の状態などを考慮せずに同じ場で学ばせることは、「適切に教育を受ける機会を平等に与えることにはならない」との理由からだ。

 現行の専門的教育に対するニーズは高い。特別支援学校などの在籍者数は増え続け、教室が不足するところも出ている。

 一方、インクルーシブ教育導入による教室の学習環境の変化を懸念する教育関係者の声もある。

 その導入の適否については、現行の障害児教育を着実に充実させる中で、慎重に議論したい。

(2010年12月31日01時16分 読売新聞)」

「40人を上限とする1クラスの人数も大幅に減らさねば対応できないだろう。」

そもそも40人というのが多過ぎるんだから、早急に25人くらいにしてもらいたいね。民主党もそんなこと言ってなかったっけ。やるやる詐欺だね。

「文部科学省の試算では、教員らの増員に2兆円、施設整備に10兆円のコストがかかるという。こうした条件をただちに整えることは難しいと言わざるを得ない。」

ホントにこんなにかかるのかねえ。

「インクルーシブ教育導入による教室の学習環境の変化を懸念する教育関係者の声もある。」

問題はここだよね。教育関係者のみならず、健常児の保護者が、障害児を受け入れる姿勢を示せるか否かだよね。

自分の子供が障害児と一緒に学ぶとなったら、反対しそうな保護者が結構いそうだからね。

爪切り無罪、刑事補償を請求…拘束102日

2011年01月02日 | Weblog
2010年12月29日 14時04分31秒

URL http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20101229-OYT1T00174.htm



「入院患者の爪の処置を巡って傷害罪に問われ、福岡高裁で逆転無罪が確定した北九州八幡東病院(北九州市)の元看護課長・上田里美さん(44)が、身柄拘束されていた102日間に対する刑事補償として、約127万円を同高裁に請求していたことがわかった。

 上田さんの弁護団によると、請求は今月7日付。

 刑事補償法は、無罪が確定した場合、元被告の拘束日数に応じて1日当たり1000~1万2500円を補償すると定めている。

 上田さん側は、「長期間の身柄拘束で受けた経済的、精神的損失は大きく、最高額での補償が相当」と主張、2007年7月2日に傷害容疑で逮捕されてから、1審・福岡地裁小倉支部での初公判後の同年10月11日に保釈されるまでの102日間の補償として、1日あたり1万2500円、計127万5000円を請求した。

 上田さんは09年3月の1審判決で、「爪を切った行為はケアではなく、傷害にあたる」などとして懲役6月、執行猶予3年の有罪判決を受け、福岡高裁に控訴。高裁は今年9月、「正当な看護行為であり、傷害罪は成立しない。捜査段階の自白は捜査官による誘導の疑いが残る」として逆転無罪を言い渡し、確定した。

(2010年12月29日11時25分 読売新聞)」

この金は、起訴後の勾留を請求した検察官と、令状を発布した裁判官に払ってもらいたいよね。起訴後も勾留し続ける理由はあったのかね。逃亡の虞も罪証隠滅の虞もなかったような気がするけど。こういう時こそ読売は、刑事訴訟規則を持ち出して、検察庁・裁判所を批判するべきだけど、しないんだよな。海保の職員はかばうけど。


人質司法を見直さないと、刑事補償や国家賠償で無駄な税金が使われるだけなんだけど。見直そうという機運は全く盛り上がらないよね。どうしたことかね。

読売新聞 12月26日付 編集手帳

2011年01月02日 | Weblog
2010年12月28日 18時16分28秒

URL http://www.yomiuri.co.jp/editorial/column1/news/20101225-OYT1T00775.htm



「「検察庁の看板に真っ黄色のペンキがかけられたその光景を、今でも忘れられない」。検察取材の長い本紙記者が中公新書『ドキュメント検察官』(読売新聞社会部著)に書いている◆金丸信・元自民党副総裁の聴取もせず、5億円違法献金事件を罰金で済ませた検察に怒る男の仕業だった。市民の元副総裁への告発も4万件超、とまどう幹部を見て記者は「検察の考える『正義』が揺らぐ」を実感した◆1992年のこの騒動が、今では「特捜神話」崩壊の序章のように見えなくもない。大阪地検特捜部の捜査資料改ざん・隠蔽事件で神話が最終章を迎える中、最高検は検証結果を公表した。身内調査を甘いとみれば、法相の私的諮問機関「検察の在り方検討会議」は厳しい注文をつけるだろう◆ただし角を矯めて牛を殺すな、である。全面可視化で否認が増え、検事の取り調べ能力も劣化すれば真の犯罪者を取り逃がす。特捜部「解体」に至っては、ほくそ笑むのは巨悪である◆本紙に載った弁護士の話。「特捜部が目を光らせ、それでも事件がないのが幸福な社会」。そこではペンキが飛ぶこともないだろう。

(2010年12月26日01時20分 読売新聞)」


同日の読売新聞朝刊24面では、最高検の検証アドバイザーを務めた元特捜検事の高井康行弁護士の「全面可視化が導入されれば、巨悪を摘発できなくなる」とのコメントを紹介している。

読売新聞は、事ここに至っても、相変わらず全面可視化に絶対反対のようである。



しかし、ここで我々が考えなければならないのは、何が「巨悪」であるかである。求めるべき「正義」とは何かである。

ある政治家が特定の企業から5億円の賄賂を受け取っていたとする。しかし、読売が言うように、取り調べの全面可視化がなされたことにより、供述を取ることが困難となり、この政治家の有罪立証が出来ず、取り逃がすことになってしまったとする。



他方、ある無実の人がやってもいない強盗殺人の嫌疑をかけられていたとする。取り調べの全面可視化がなされていなかったため、捜査機関による供述の誘導、調書の捏造、物的証拠の捏造が行われ、この無実の人には死刑判決が下り、死刑が執行されたとする。

特定の企業から5億円の賄賂を受け取った政治家と、供述の誘導、調書の捏造、物的証拠の捏造を行った捜査機関のどちらが「巨悪」であるのか。



賄賂を受け取る政治家を取り逃がさないことと、無実の人を間違っても処罰しないことのどちらが、我々が求めるべき「正義」であるのか。


私にとっては、供述の誘導、調書の捏造、物的証拠の捏造を行った捜査機関が「巨悪」であり、無実の人を間違っても処罰しないことが「正義」である。


もちろん、賄賂を受け取る政治家も取り逃がさず、無実の人を間違っても処罰しない司法手続きがベストであることは言うまでもないが、現実はそうはなっていない。無実の人が処罰を受けた事例は多数ある。
その現実を見た時に我々は、無実の人に対して「残念だったね。だけど、『巨悪』を処罰するためには、仕方がないんだよ。」と言ってもいいのだろうか。無実の人が、間違っても処罰されない方法を探らなくてもいいのだろうか。

読売は、「全面可視化で否認が増え、検事の取り調べ能力も劣化すれば真の犯罪者を取り逃がす。特捜部「解体」に至っては、ほくそ笑むのは巨悪である」と書いている。


こういう考え方を「必罰主義」という。いくつかの冤罪を生み出したとしても、犯罪者を処罰することの方が大切だという考え方である。


それに対置される考え方を「無辜の不処罰」という。真犯人を何人取り逃がしたとしても、無実の人を決して処罰してはいけないという考え方である。もちろん、私はこの考え方である。


読売をはじめとした、「必罰主義」を採用している者達には、その考え方を、自分の配偶者が、子が、孫が、無実の罪で処刑されても変えないな、と問いたい。






最後に、東京新聞の2010年5月23日付社説を紹介しておく。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2010052302000073.html

週のはじめに考える 『無辜の不処罰』めざし

「裁判員制度が始まって一年。「疑わしきは被告人の利益に」の鉄則は国民に知られ、浸透しつつあるのですが、あらためて整理し、考え直してみます。
 まず、こんなクイズはどうでしょう。被告と被告人は同じか違うのか?

 答えは、法律用語のうえでは違う、です。被告は民事訴訟での原告の相手、被告人は検察官から刑罰を科すべきだとして公訴を提起されている者を指します。



◆被告人の相手は国家



 そうです。被告人の相手は国なのです。新聞は被告と略称していますが、憲法などには被告人と書いてあります。一人の人間が国を相手にすれば必ず大きな不利があり、従って黙秘権が保障され、疑わしきは被告人の利益にという刑事裁判の鉄則もあるわけです。

 少々古い話ですが、英国で「冤罪(えんざい)」で死刑が執行された有名な事件がありました。一九四九年、ロンドンでのこと。下町のアパート最上階に住むトラック運転手ティモシー・エヴァンズ(25)の妻(20)と娘(1つ)の死体が裏庭の屋外洗面所から発見されます。警察がエヴァンズを調べると「妻が無断で借金し、責めたらけんかとなり絞め殺した。二日後、娘も殺した」と供述。治安判事に犯行を認めた。しかし法廷では一転、アパート階下に住むジョン・クリスティー(51)という男が犯人だと自白を翻したのです。

 裁判は陪審でした。彼の否認は退け、重いものを引きずる音や目撃証言などから有罪評決を下し、上訴も棄却。翌年エヴァンズは絞首刑に処せられたのでした。

 ところがその後、壁板の裏や床下、庭からクリスティーの妻を含む女性の死体が次々見つかったのです。エヴァンズ裁判の誤判は濃厚となり、のちに英国政府は誤りを認めました(クリスティーは自分の妻殺害の罪で死刑執行)。



◆英国事件と足利事件



 この誤判を機に英国は死刑廃止へと向かうのですが、当時の専門家は、エヴァンズの虚偽自白について、普通の人には理解しにくいだろうが、取り調べを終わらせたい気持ちなどから迎合したようだと分析しています。

 半世紀以上も前のことですが、最近の足利事件のケースなどをつい思い出してしまいます。違う国で時を経て似たような過ちが起きるのは、それが構造的であり、しかも一般には理解しにくいからではないでしょうか。

 構造的というのは、密室での取り調べはやはり威圧的に感じさせるものであり、自白すれば帰してやるなどという“誘導”に人は弱く、取調官は一定の見込みをもって自白を取ろうとしていることなどです。理解しにくいというのは例えば、やっていない人がやったと言うはずがないという“常識”が社会では固く信じられていることです。

 日弁連の調査によると、富山県氷見市の強姦(ごうかん)等冤罪事件では男性はパンと牛乳の昼食だけで丸一日調べられ、帰宅後、死んだ方がましと除草剤を牛乳に混ぜて飲んだといいます。鹿児島県志布志市の選挙違反事件ではやはり連日長時間の取り調べに耐えかね、多人数が「自白」しました。自白調書があると、法廷でいくら否認しても裁判官は、罪を逃れようとしている、と逆の印象へ向かうことがあるそうです。

 三重県名張市の毒ぶどう酒事件(一九六一年発生、五人殺害)では、奥西勝死刑囚(84)が再審請求中です。逮捕当時、警察署内でマスコミが行った会見で彼は「大きな事件をちょっとした気持ちから起こし、何とお詫(わ)びしたらいいかわからない」と答えました。後に刑事のメモを暗記して話したと述べています。一審は証拠や証言の不自然さから無罪としたが、高裁では死刑に逆転、最高裁は上告を棄却しました。

 会見した元記者は「なぜあんなことを言ったのか、目を見てもう一度聞きたい」と述懐したそうですが、極限の人間心理の不合理は説明不能かもしれません。

 誤判防止には、取り調べの全面可視化と証拠の全面開示がまず必要です。自白は本当か、証拠に矛盾はないか。つまり疑わしきは被告人の利益に、を実現するためです。もう一つ言い換えるなら、十人の真犯人を逃がしても一人の無辜(むこ)の人間を罰してはならない、という英国の格言になります。



◆司法不信を招くより

 諸外国に比べ、日本は凶悪犯罪がまだ少ない方です(日本の殺人発生件数は英独仏の約三分の一、米国の約六分の一=二〇〇七年統計、犯罪白書から)。社会の秩序と治安を真に守ろうとするなら、真犯人を逃すことよりも、無辜の人を罰して司法の不信を招くことをより恐れるべきです。英国の苦い体験は、いつ思い起こしてもいいのではないでしょうか。」