ロボット開発ベンチャー企業のテムザック(福岡県宗像市)とNTTドコモが介護・福祉施設向けの電動車イス「NRR」の実証実験をデンマークで始める話の続きです(前編は2014年11月7日編をご参照)。
この電動車イス「NRR」は「広義のロボットだ」と、テムザックの代表取締役CEO(最高経営責任者)の高木陽一さんは説明します。
高木さんは2000年1月4日にテムザックを設立して以来、日本にロボット利用を広げたいとの思いで、ロボット開発を続けてきた人物です。しかし、実際に開発したロボット群は日本国内よりも、外国で評判がいいのが実情でした。
今回開発した電動車イス「NRR」は、大きさが幅・長さ・高さ700ミリメートル・986ミリメートル、高さ865ミリメートルで、質量は100キログラムです。座面の高さは400ミリメートルから640ミリメートルの範囲で調整できます。
車輪は、前輪が1個、中程の車輪が左右合わせて2個(駆動輪)、後輪が左右合わせて2個の構成です。駆動輪はそれぞれ独立して駆動します。この駆動輪を用いた移動速度は最大時速6キロメートルです。電池は鉛電池です。「鉛電池がリチウムイオン2次電池などに比べて、かなり安い点から採用した」と、高木陽一さんは説明します。
現時点では、電動車イス「NRR」の価格は約100万円です。高木さんは「日本で販売されている電動車イスは約30万円から40万円程度が多いので、やや高い価格になっています」と、説明します。しかし、欧米のお金持ち用などの高度な電動車イスは同様に価格が約100万円と補足説明をし、「欧州市場では受け売れられる価格帯になっている」といいます。
電池には鉛蓄電池を採用し、価格を抑えているそうです。リチウムイオン2次電池の方がコンパクトですが、価格が高いので、鉛電池を採用しています。電動車イス「NRR」は8時間、充電すると、連続稼働を8時間できる設計です。
充電はプラグイン方式になっています。鉛電池の残量は、電動車イス「NRR」に組み込んだスマートフォンが警告表示し、場合によっては管理者に電子メールで知らせる仕組みです。
今回、デンマークのコペンハーゲン市とファーボ・ミッドヒュン市の介護・福祉施設(高齢者住宅とリハビリセンター)で、電動車イス「NRR」の性能などを実証する実験を11月から始めました。今年6月に、経済産業省傘下の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)がデンマークのコペンハーゲン市とファーボ・ミッドヒュン市と、介護・福祉施設での実証実験の基本協定書(MOU)を結んだ結果、いよいよ実証実験を始めることになりました。
テムザックとNTTドコモは、電動車イス「NRR」に対して、欧州で販売する製品に必要とされる、基準適合マークの「CEマーク」を今年6月に取得しています(公開されている「CEマーク」に適合することを確認し、「CE宣言」を実施したもの。安全性や電磁波影響などの各項目を満たしていることを確認したもの)。
さて今回、欧州のデンマークで、電動車イス「NRR」の実証実験ができるのは、この「CEマーク」に適合することを示し、販売することが可能になったからです。デンマークのコペンハーゲン市とファーボ・ミッドヒュン市と、介護・福祉施設は来年春ぐらいまで、電動車イス「NRR」の使い勝手などを評価し、その性能を評価すれば、購入し利用する姿勢です。
欧州のデンマークの両市の介護・福祉施設は、介護補助者の労働力負担が軽くなり、介護を受ける方々が自分で移動することに満足感を持つなどの成果を実証します。その実証成果を基に、テムザックはデンマーク同様に福祉政策を進めているスエーデンなどの国々で販売する計画です。
今回、日本国内での実証実験に先駆けて、デンマークで実証実験する理由は、電動車イス「NRR」の構造が新しい点に原因があります。実は、日本のJIS規格では車イスは利用者が背もたれに保持される構造になっています。電動車イス「NRR」にも背もたれが収納されているのですが、これでは日本では「車イス」とは認定されないのです。
このため、日本ではJIS規格を満たさないために、国内販売ができないそうです。新規の“車イス”構造が登場しても、JISを改訂する作業は見通しがないようです。日本での製品の安全性の基準規格が得られないために、日本国内では大学と共同で電動車イス「NRR」の実証実験を始めたいと思っても、その当該大学の倫理委員会の許可が得られない仕組みになっています。
このため、テムザックはデンマークなどの欧州市場で販売実績をつくり、これを基に日本や米国での製品の安全性の基準規格の変更機運を盛り上げることを目指します。
日本のロボットベンチャー企業が新規の“車イス”を開発しても、日本の製品の安全性の基準規格は簡単には変わらないので、欧州での実績をつくって、日本での安全性の基準規格変更に影響を与えたいと考えているようです。
この電動車イス「NRR」は「広義のロボットだ」と、テムザックの代表取締役CEO(最高経営責任者)の高木陽一さんは説明します。
高木さんは2000年1月4日にテムザックを設立して以来、日本にロボット利用を広げたいとの思いで、ロボット開発を続けてきた人物です。しかし、実際に開発したロボット群は日本国内よりも、外国で評判がいいのが実情でした。
今回開発した電動車イス「NRR」は、大きさが幅・長さ・高さ700ミリメートル・986ミリメートル、高さ865ミリメートルで、質量は100キログラムです。座面の高さは400ミリメートルから640ミリメートルの範囲で調整できます。
車輪は、前輪が1個、中程の車輪が左右合わせて2個(駆動輪)、後輪が左右合わせて2個の構成です。駆動輪はそれぞれ独立して駆動します。この駆動輪を用いた移動速度は最大時速6キロメートルです。電池は鉛電池です。「鉛電池がリチウムイオン2次電池などに比べて、かなり安い点から採用した」と、高木陽一さんは説明します。
現時点では、電動車イス「NRR」の価格は約100万円です。高木さんは「日本で販売されている電動車イスは約30万円から40万円程度が多いので、やや高い価格になっています」と、説明します。しかし、欧米のお金持ち用などの高度な電動車イスは同様に価格が約100万円と補足説明をし、「欧州市場では受け売れられる価格帯になっている」といいます。
電池には鉛蓄電池を採用し、価格を抑えているそうです。リチウムイオン2次電池の方がコンパクトですが、価格が高いので、鉛電池を採用しています。電動車イス「NRR」は8時間、充電すると、連続稼働を8時間できる設計です。
充電はプラグイン方式になっています。鉛電池の残量は、電動車イス「NRR」に組み込んだスマートフォンが警告表示し、場合によっては管理者に電子メールで知らせる仕組みです。
今回、デンマークのコペンハーゲン市とファーボ・ミッドヒュン市の介護・福祉施設(高齢者住宅とリハビリセンター)で、電動車イス「NRR」の性能などを実証する実験を11月から始めました。今年6月に、経済産業省傘下の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)がデンマークのコペンハーゲン市とファーボ・ミッドヒュン市と、介護・福祉施設での実証実験の基本協定書(MOU)を結んだ結果、いよいよ実証実験を始めることになりました。
テムザックとNTTドコモは、電動車イス「NRR」に対して、欧州で販売する製品に必要とされる、基準適合マークの「CEマーク」を今年6月に取得しています(公開されている「CEマーク」に適合することを確認し、「CE宣言」を実施したもの。安全性や電磁波影響などの各項目を満たしていることを確認したもの)。
さて今回、欧州のデンマークで、電動車イス「NRR」の実証実験ができるのは、この「CEマーク」に適合することを示し、販売することが可能になったからです。デンマークのコペンハーゲン市とファーボ・ミッドヒュン市と、介護・福祉施設は来年春ぐらいまで、電動車イス「NRR」の使い勝手などを評価し、その性能を評価すれば、購入し利用する姿勢です。
欧州のデンマークの両市の介護・福祉施設は、介護補助者の労働力負担が軽くなり、介護を受ける方々が自分で移動することに満足感を持つなどの成果を実証します。その実証成果を基に、テムザックはデンマーク同様に福祉政策を進めているスエーデンなどの国々で販売する計画です。
今回、日本国内での実証実験に先駆けて、デンマークで実証実験する理由は、電動車イス「NRR」の構造が新しい点に原因があります。実は、日本のJIS規格では車イスは利用者が背もたれに保持される構造になっています。電動車イス「NRR」にも背もたれが収納されているのですが、これでは日本では「車イス」とは認定されないのです。
このため、日本ではJIS規格を満たさないために、国内販売ができないそうです。新規の“車イス”構造が登場しても、JISを改訂する作業は見通しがないようです。日本での製品の安全性の基準規格が得られないために、日本国内では大学と共同で電動車イス「NRR」の実証実験を始めたいと思っても、その当該大学の倫理委員会の許可が得られない仕組みになっています。
このため、テムザックはデンマークなどの欧州市場で販売実績をつくり、これを基に日本や米国での製品の安全性の基準規格の変更機運を盛り上げることを目指します。
日本のロボットベンチャー企業が新規の“車イス”を開発しても、日本の製品の安全性の基準規格は簡単には変わらないので、欧州での実績をつくって、日本での安全性の基準規格変更に影響を与えたいと考えているようです。
特区などで実証実験ができないのでしょうか。
技術の進歩と安全規格の追いかけっこのようです。
今回の電動車イスは、新しい構造になっていることを知りました。日本でも買えるようになるといいですね。
日本はこんなことでは、先進技術が育たないと感じました。