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ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

日本経済新聞紙の「成長戦略を問う 新陳代謝阻む規制破れ」を拝読しました

2014年12月30日 | 日記
 2014年12月28日に発行された日本経済新聞紙朝刊の一面に掲載されたコラム「成長戦略を問う 3 新陳代謝阻む規制破れ」を拝読しました。

 アベノミックスの第三の矢の成長戦略は失速したのか、これを判断する数字を、記事の冒頭で紹介しています。

 日本経済新聞紙のWeb版である日本経済新聞 電子版でも、見出し「成長戦略を問う(3) 新陳代謝阻む規制破れ」となっています。



 解説記事では、2015年版の世界銀行のビジネス環境ランキングでは、日本は29位と予想以上に低いです。実は前年の27位から下落しています。同ランキングで、先進国に限っても、前年15位から19位と下落しています。日本は世界の国々の中で、ビジネスしにくい国と考えられます。起業・開業や不動産登記に必要な手続き数が多く、時間がかかるなどの“規制”が多いからです。

 日本の企業の開業率と廃業率はともに5パーセント未満で、10パーセント前後の欧米に比べて、水をあけられています。新しい仕組みの事業の企業が、古くなった企業に取って代わる“新陳代謝”が進まなければ、潜在成長率が高めることは難しいです。

 企業の新陳代謝は生産性向上のカギを握ると解説します。新規参入企業が増えると、競争が激しくなり、その結果として“負け組企業”が市場から退出すれば、競争力の高い企業が残り、経済全体の効率が高まると解説します。

 日本の一部業種では、焦げ付き全額が保証されるという異例の中小企業保護政策を、日本政府は続けています。先進国では異例の政策と解説します。しかし、この政策を続ける理由は「実は全額保証の存続を求めているのは銀行」と、政府関係者があかすと続けます。信用保証を使って、リスク資産を減らすのは銀行の融資の仕組みです。

 リスクのある事業投資資金を投入するのは、VC(ベンチャーキャピタル)などの役目ですが、日本ではこうしたリスクマネーを供給する仕組みがあまり育っていません(欧米に比べて規模が小さい)。記事では、企業の新陳代謝を高める王道は、新規参入を促し、衰退部門方成長部門にヒト、モノ、カネを移す規制改革と指摘します。しかし、その具体的なやり方は示されていません。

 現政府には規制改革会議がありますが、その具体策は見通せないようです。政府の規制改革も大事ですが、これに風穴を開ける元気な新規参入企業の登場も大事なことです。新規参入企業を起こす生きのいい人物が増える方策はみえません。いや、生きのいい人物は勝手に頭角を現すものですが、その芽を摘んでいるような気がします。

日本経済新聞紙の「成長戦略を問う 日本『実力』底上げの時」を拝読しました

2014年12月30日 | 日記
 2014年12月26日発行の日本経済新聞紙の朝刊1面のトップ記事「成長戦略を問う1 日本、『実力』底上げの時」を拝読しました。

 この記事から始まったコラム「成長戦略を問う」シリーズは4日間にわたって続きました。そのコラム1の冒頭には、3年目に入ったアベノミックスの第三の矢の成長戦略が本格稼働していないことから、その成長戦略の中身を問う解説記事だとの趣旨説明が宣言されています。

 日本経済新聞紙のWeb版である日本経済新聞 電子版では、見出し「成長戦略を問う(1) 日本、『実力』底上げの時 人口減、生産性で克服」となっています。



 安倍晋三内閣は、現在の人口減を食い止めようと、人口1億人維持を目標に掲げています。しかし、人口減を食い止めることはそう簡単なことではないので、「労働力や資本効率を高めることによって、人口減を上回る勢いで、生産性を高めることがカギを握る」という東京大学教授の吉川洋さんの処方箋を紹介しています。

 その起爆剤は、イノベーション(革新)だとし、その代表格として、今年のノーベル物理学賞を受賞した青色LED(発光ダイオード)を紹介します。LED照明の世界市場は2020年には、2013年比で3.8倍の6.8兆円に成長するとの市場予測を紹介しています。

 この論理は飛躍があります。まず、青色LED の研究開発に精力を傾け、事業化を進めたのは日本企業です。しかし、2020年時点で、日本企業が世界市場の6.8兆円の中の何割を占めているかを明らかにしないと、日本の成長とはいえません。最近は、研究開発時は日本(日本企業)が牽引しながら、事業化となると他国の後塵を拝する製品・サービスが増えています。

 少し事例としては古いですが、液晶パネル(LCD)の研究開発と初期の事業化は日本企業が牽引しましたが、現在は韓国や台湾の企業が事業化面では勢力を持っています。青色LEDも日本企業が事業化面でも先行し続ける戦術・戦略が必要です。

 この記事では、大人用の紙おむつや小型乗用車での事業成功例を例示しています。こうした成功事例をどうやって増やすのかが、アベノミックスの第三の矢の成長戦略の肝です。

 2014年12月27日発行の日本経済新聞紙の朝刊1面のコラム記事「成長戦略を問う2 企業の足かせ 今こそ外せ」を拝読しました

 この規制緩和の必要性も言われ続けて長いです。少なくとも、安倍晋三内閣が発足した当初から、規制緩和を実行すると、いい続けています。

 最近の円安傾向によって、大手企業の事業業績が回復し、企業が持つ手元資金は空前の規模になっていると推定されています。しかし、「企業の経営者はまだ、投資しても採算が合うのかどうか自信が持てないでいる」と、UBS証券の担当者の分析コメントを伝えます。この結果、UBS証券は世界の投資家に対して「日本の設備投資が復活するとの予想を取り下げる」と、12月5日に伝えたそうです。投資リスクを取れない、日本の大手企業の経営陣は困り者です。

 日本企業の経営者は「超円高、高い法人税率、貿易自由化の遅れ、エネルギーの制約、労働規制、温暖化ガス規制」の六重苦の内、アベノミックスなどによって、「前の3つは解消されたが、残りの3つはバツだ」との経済同友会代表幹事のコメントを伝えます。

 しかし、こうした制約の下で、これからの事業戦略プランを実践できる日本企業・経営者がいるのかどうかの分析がありません。ただ嘆くだけの経営陣コメントを並べてもとしかたがない気がしました。しかし、こうした状況からは、日本の成長戦略は処方箋を提示することがかなり難しいことが分かります。