ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

発売間近のアップル社の「iPad 3」で、高まるIGZOのうわさの続きです

2012年03月06日 | イノベーション
 米国アップル社のタブレット型携帯機器「iPad 3」の発売が3月7日とうわされ、その「iPad 3」にIGZO(通称はイグゾウ)という酸化物製の半導体TFT(薄型トランジスタ)が採用されるのではないかとのうわさが高まっています。

 このIGZO酸化物製の半導体TFTは韓国のサムソン電子、LGディスプレー、日本のシャープなどの電機メーカーが製造できると推定されています。特に、サムソン電子とシャープは、IGZO酸化物製の半導体TFTの基本特許を含むパテントプール(関連する特許群)を所有する、日本の科学技術振興機構(JST)から実施権ライセンスを技術導入しています。このために、その事業化を図っていると考えられています。

 そのIGZO酸化物製の半導体TFTの研究成果を発明した東京工業大学フロンティア研究機構教授の細野秀雄さんが出願し成立させた基本特許や、その後にキヤノンと共同研究した成果から産まれた特許など束ねた特許群です。

 以下の画像は細野教授が試作したIGZO酸化物製の半導体TFTです。実験室レベルの試作品です。



 シャープは三重県にある亀山第二工場で、IGZO酸化物製の半導体TFTを用いた液晶パネルの生産技術を保有していることを、記者会見で明らかにしています。さらに、従来の大型液晶テレビ用の液晶パネルの価格が大幅下落したことから、新鋭の堺工場にも「IGZO酸化物製の半導体TFTを用いた液晶パネルの生産技術を移植する計画もある」とも説明しています。

 IGZO酸化物製の半導体TFTの生産ラインを持つシャープにとっては、アップル社が「iPad 3」にもし採用するのを見送った場合は、その設備投資費の負担が大きくのしかかります。

 ある記者会見では、シャープの首脳は「2012年2月中にはIGZO酸化物製の半導体TFTを用いた液晶パネルの量産出荷を始める」とも説明しています。「iPad 3」の発売時期と一応合っています。

 さらに、「IGZO酸化物製の半導体TFTを用いた液晶パネルは、当初はスマートフォンやタブレット型携帯端末をターゲットにしていたが、画面サイズがもう少し大きい用途にも展開できそうだ。具体的には、高精細なディスプレーを搭載する、ノート型パソコンやデスクトップ型パソコン用などのモニター向けの引き合いもきている」との発言もありました。

 シャープの事業収支は今後どうなるのでしょうか。シャープの事業収支の改善に大きな影響を与えそうです。