ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

ミステリー作家の服部真澄さんの新刊「天の方船」を読み始めました

2011年08月23日 | 
 ミステリー作家の服部真澄さんの新刊「天の方船」を読み始めました。8月初めに大型書店に行った際に、緑陰で読む本として買い求めたものです。服部さんは最新のテクノロジーをミステリー作品として消化して読ませる点で、実力がある作家です。

 新刊「天の方船」は2011年7月7日に講談社から発行された、服部さんの最新本です。



 服部さんのこれまでの作品と同様に、ページ数が520数ページもある分厚い単行本です。現在、まだ1/3ぐらいまでした読んでいません。今回のテーマはODA(Official Development Assistance、政府開発援助)にまつわる利権話の顛末(てんまつ)記です。本書は、8月21日日曜日の朝日新聞の書評欄に取り上げられ、ODAの実態が取り上げられたミステリー小説として、高く評価されていました。

 まだ、1/3ぐらいまでした読んでいませんが、真面目で地味な苦学生だった主人公がコンサルティング会社に就職し、ODAに関わっていく職業につく導入部は見事なフィクションです。しかし、ODAの実態を説明するための長い“脚注”を読んでいる気分になることも実感です。読者に、ODAの実態を説明する知識を、面白く与えるためのフィクションとしての工夫が足りないと感じています。

 まだ読みかけの「天の方船」についてはここまでとし、服部さんのこれまでの作品についての感想を書きたいと思います。

 着想のうまさを感じたのは、2010年6月に発行された「KATANA」(発行は角川書店)です。



 タイトルになった「カタナ」とは、豊臣秀吉が行った刀狩りを意味しています。米国の銃保有を許している現状を、あるハイテク技術を利用して銃規制を実現する未来話です。どんな結末に向かって話が展開していくのか読めないのに、話の展開が面白くて途中で止められない本です。展開の見事さに脱帽しました。

 2008年2月に発行された「エクサバイト」(発行は角川書店)は、超小型記録装置を実現した人類が記憶の必要性を変えてしまう小説です。ハイテクの説明が回りくどいためか、好き嫌いが分かれる作品です。発想のすごさに感心しました。

 一番好きな服部作品は、実はハイテク技術を織り込んだミステリー作品ではありません。現在は文庫本でした入手できない「清談 佛々堂先生」(発行は角川書店)と「わらしべ長者、あるいは恋 清談 佛々堂先生」(発行は講談社)の2冊です(大きな書店で探しても単行本は見つからず、文庫本も置いてある店が少ないようです)。シリーズなのに発行元が違う点が興味深いです。服部さんの多彩な才能を感じさせる作品です。でも、読者の支持をあまり受けていない不思議な作品です。好き嫌いがある点が小説の魅力なのかもしれません。