ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

八方尾根自然研究路を歩いてきました

2010年07月21日 | 旅行
 名峰の白馬岳(しろうまだけ)を仰ぎ見ることができる八方尾根のトレッキングコースを歩いてきました。
 八方尾根スキー場の上側部分に伸びている登山道までのアプローチを歩くコースです。多彩な高山植物がいっせいに開花する7月下旬に一度行ってみたかったコースです。

 このコースは「八方尾根自然研究路」と、仰々しい名前が付いています。標高2060メートルにある八方池まで歩く、距離約7キロメートルの“素人”向けコースです。これより上側を登るには「本格的な登山装備が必要」と説明されています。コースの途中では、五竜岳や鹿島槍ガ岳を間近に望める個所や、白馬三山(鑓ヶ岳、杓子岳、白馬岳)を望める個所があるなど、登山を少し体験した気になれる路です。


 歩く個所を地図で冷静に眺めると、白馬岳や立山などの長野県と富山県にまたがる2000数100メートル級の山々が連なる北アルプスの縁(ふち)です。イントロ部分です。でも、あこがれの名峰を望むことができ、可憐な高山植物や雪渓が楽しめる人気のコースです。

 歩き始める出発点は、八方池山荘がある黒菱ラインの起点です。ここはスキー場の一番上で、冬にスキーやスノボウを滑り始める場所です。ここの標高は1830メートルもあります。標高差200メートル強を約2時間30分かけて往復するコースです。標高2000メートル付近にはまだ小さな雪渓があり、溶け出した水が勢いよく流れていました。この清水が貴重な高山植物群を育てているようです。

 歩くコースは整備されています。雪渓近くには木道が配置され、歩きやすかったです。これ以外の個所は石を組み合わせて、階段状に組んであります。段差が大きい個所は、日ごろ鍛えていない足腰には効きます。ご年配の方は下りの際に、自分の脚力以上の段差を降りるのに苦心していました。こうした年配の方まで引きつけるのは、可憐な高山植物を数多く見ることができる山野草の宝庫だからです。ある意味では山岳信仰による修行の意味も少しはあるのかもしれません。

 出発点までは、スキー場の「グラートクワッドリフト」で一気に標高約1800メートルまで上がります。リフトはニッコウキスゲやワレモコウなどの野草が咲く草原をグングン上っていきます。以前にスキーをした場所から上に向かって歩き始めます。この出発点付近の小さな湿原には、ニッコウキスゲやクルマユリがよく咲いていました。

 クルマユリは標高が低い場所では背が高くよく見かける大きさでしたが、標高が高い場所では背がかなり低く地面に這うように育ち、花も1輪を咲かせるのがやっとの感じでした。標高が2000メートル近いと、成長するだけでも大変そうな感じで、厳しい環境を身をもって示していました。


 普段でしたら、こうした高山植物を見ただけで十分満足するのですが、多くの方は黙々と上を目指して歩き始めます。目指す場所までの体力消費の厳しさを考えて、まずは歩き始める感じです。

 7月の連休のため、観光業者が企画した観光ツアーのお客であることを示す“ツアーバッジ”を胸に付けた方も多数おられました。高年齢者や小学生などの子供づれのグループが多い初心者向けのトレキングコースで、登り始めの場所から人の列が切れない感じの混雑ぶりでした。何回か来ている方は「人波が切れないので、今日はものすごい混雑だ」と、あきれていました。半分以上の方はしっかりした登山装備を身につけています。登山用のポールを持っている方も多かったです。皆さん、手慣れた感じです。

 当方は靴以外は、リゾート地を歩くような軽装の服装で上りました。しっかり装備した方からみれば「トレッキングコースをなめているな」と思われる気楽な格好でした。飲み物と軽食以外は持たない身軽な装備です。このため、露出した首回りや二の腕は日焼けしました。準備不足の罰でした。夕方に入った温泉ではしみました。

 目標の八方池の周りでは、お弁当を食べる方が多く、目標まで登った満足感に満ちていました。


 八方池の下側に雪渓があったり、小さな池もありました。この小さな池ではカエルが鳴いていました。急いで求愛し、子孫を残すようです。

 野鳥は数羽と出会いました。ウグイスがあちこちに鳴いています。姿はほとんど見せません。八方池付近の低木の間を、ウグイスが行き交う姿をやっと見ました。雪渓付近では、ビンズイが低木の上で鳴いていました。低木の梢の上から上に舞い上がり、鳴きながらまた梢の上に留まります。岩原に降りたビンズイを双眼鏡で確認したのですが、正確にはビンズイかどうかの判定する自信はありません(トレッキングには双眼鏡の持参をお薦めします。いろいろな確認に便利です。本格的な装備の方も双眼鏡はほとんど持っていません)。昆虫は、アゲハなどを数羽見ました。標高が高すぎるためか、アサギマダラは見かけませんでした。

 登り始めの朝方は快晴でした。上っている途中から白馬岳に上昇気流による雲(霧?)がかかり始めました。八方池辺りまで上ると、お目当ての白馬岳の山頂は雲の中でした。白馬岳周辺だけに雲がかかっていて、他の方向は快晴でした。残念ですが「またお出で」との山からのメッセージと考えています。氷河時代からの生き残りの高山植物を観察するために、また訪れようと思います。日ごろの運動不足を解消するためでもあるのですが。

 今回の“散歩”は、日本が山国であることを改めて感じました。7月でも残雪を上下方向に筋状に残す山々の姿はなかなか荒々しく、人間が簡単には近づけない雰囲気を感じました。しかも、そんな山々が多数並んでいるのですから。