goo blog サービス終了のお知らせ 

ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

第44回東京モーターショーでは、トヨタは新型「PRIUS」などを展示しています

2015年10月31日 | イノベーション
 第44回東京モーターショーは、2015年10月30日から東京都江東区有明の東京ビックサイトで始まりました。11月8日まで開催します。

 トヨタ自動車は、同社の展示ブースで、既に米国などでお披露目していた新型「PRIUS」などを一般向けに公表しています。

 第4代目となる新型「PRIUS」を真ん中に、次期小型スポーツカーの「TOYOTA S-FR」と新世代コンパクトクロスオーバーコンセプト「TOYOTA C-HR Concept」の3台を並べて展示しています。



 新型「PRIUS」は、約6年ぶりのモデルチェンジです。2015年12月に4代目となる新型「PRIUSを発売します。



 特徴は、1リットル当たり燃費40キロメートル(JC08モード)を達成したことです。2009年に発売された3代目の同1リットル当たり32.6キロメートルに比べて、約22.7パーセントも燃費を改善しています。例えば、3代目に比べてモーターを20パーセント以上も軽量化しています。ニッケル水素電池とリチウムイオン電池も小型・高性能化しています。

 ユーザーには直接関係ありませんが、トヨタの新しいクルマづくり技術「TOYOTA New Global Architecture(TNGA)」というを初採用した乗用車です。

 このTNGAは、車の開発プロセスから生産工程までを含めた全社的な取り組みで、複数車種の同時開発(グルーピング開発)によって部品の共通化を推進します。高性能化と高収益化を両立させようという狙いです。

 次期小型スポーツカーの「TOYOTA S-FR」の「S」は「Small」の略で、文字どおり「小さなFR」(後輪駆動)を表します。



 「TOYOTA S-FR」は、細かなスペックが公表されていませんが、エンジンはフロントミッドシップに搭載し、現在発売されているスポーツカー「86」の“弟分”を狙います。

 「TOYOTA C-HR Concept」は“プリウスSUV”とうわさされている車です。



 この車にも、TNGA の手法が適用されています。2016年11月に発売されるとみられています。

 「TOYOTA KIKAI」は、従来のクルマの常識にとらわれない、新たな魅力を提案するコンセプトカーとのことでした。



 詳細は伺っていません。

 燃料電池のコンセプトカー「FCV PRUS」も展示されています。少し奧での展示で、気がつかない方も多そうです。



 燃料電池スタックをフロントタイヤの間に、水素タンクをリアシート後方に搭載する配置です。そして、4輪それぞれにインホイールモーターを採用することによって、広い室内空間が実現できると説明しています。

 後輪と床下には、充放電可能な非接触給電システムを搭載し、自宅や地域で電力をやり取りすることを目指しています。

 ある自動車部品メーカーのブースでは、トヨタ自動車が発売している燃料電池車「MIRAI」の構造展示がありました。





 水素ガスタンクが2つ並んでいます。こうした具体的な構造展示品を拝見できる点も、東京モーターショーの魅力です。


文部科学省は、人工知能(AI)などを研究開発するAIPプロジェクトを計画中です

2015年09月19日 | イノベーション
 2015年9月19日に発行された日本経済新聞紙の朝刊一面の中程に掲載された「IoTに新通信規格 モノのネット化」を拝読しました。

 朝刊一面トップの見出し「安保法案 成立へ 集団自衛権可能に」の記事のすぐ下に掲載された記事です。

 日本経済新聞紙のWeb版である日本経済新聞 電子版には、見出し「IoTに新通信規格 『モノのネット化』総務省後押し」と掲載されています。



 あらゆるものがインターネットにつながるIoT(Internet of Things)用の新しい通信規格を開発するために、総務省はNTTやNECなどの通信大手や自動車大手の有力企業約200社に参加を呼びかけ、自動運転車を実用化する前提となる、新通信規格を開発するという内容です。

 実際には、先行しているとみられている欧米と連携するために、欧州委員会や米政府と早い段階から連携し、国際規格に育てる計画です。

 最近は、このIoTという言葉や、AI(Artificial Intelligence、人工知能)という言葉をよく見かけます。



 またビックデータという言葉もよく見かけます。

 日本でも、この難しい人工知能(AI)を研究開発している研究者・開発者が多いのですが、欧米の方が先行しているようだとみる見識者の方が多いもようです。

 少なくとも、この人工知能(AI)、IoT、ビックデータを利用した事業化は、欧州(事実上はドイツ)と米国が先行しているという見方が多いようです。

 この人工知能(AI)、IoT、ビックデータを利用した事業化は、想像もつかない現実をもたらしそうだと予測する方が増えています。

 人間の簡単な作業・業務は、見かけ上はインターフェースとなるロボットなどに取って代わられるとの将来予測が出ています。背後に人工知能(AI)のコンピューターがいます。

 現実に、ロボットなどが受け付け業務を担当するホテルが、日本でも実験として現れました(ハウステンボスが2015年7月17日に開業した「変なホテル」です)。

 その人工知能(AI)、IoT、ビックデータなどを、日本でも大々的に研究開発するプロジェクトを、文部科学省は来年度実施予定の新施策で推進する予定です。

 文部科学省傘下の国立研究開発法人理化学研究所と国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)は、平成28年度(2016年度)の新施策として、人工知能(AI)などの総合研究開発拠点を整備するAIPプロジェクトを計画中です。このAIPプロジェクトの新規施策は、文部科学省が平成28年度(2016年度)の新施策として提案しているもので、理化学研究所と科学技術振興機構が協力して実施するというものです。

 このAIPプロジェクトの概算要求額は100億円と巨額である点が注目されています。文部科学省のプロジェクトの中では、巨大な実験施設をつくる時以外は、なかなか100億円規模のものはありません。

 AIPプロジェクトは「Advanced Integrated Intelligence Platform Project」の略称です。人工知能分野で、「自ら特徴を捉え進化する人口知能」などの大きなブレークスルーを実現し、さらに各分野でのビッグデータを集積するセンサーによるデータの質的・量的拡大を実現するIoTを進展し、同時にますます高度化しているサイバー・セキュリティを確保するなどの革新的技術開発を目指すそうです。
 
 人工知能(AI)、IoT、サイバー・セキュリティを総合的に研究開発する狙いは、これらが「誰も予想し得ないような社会システムや産業・経済構造の大変革をもたらす」可能性が高いからだと説明しています。この三つの技術課題を追究することによって、「日本が直面しつつある、人材不足などの労働力減少、高齢化社会による医療・介護問題、将来のエネルギー・資源などの問題を抜本的に解決することを目指す」と説明しています。日本が直面している難問の多くを解決できると、説明しています。
 
 実際には、理化学研究所にAIPセンターを設け、革新的な人工知能技術を大学などと連携し、研究と実証・実用化開発などを推進するそうです。この中から、人工知能や機械学習、ビックデータ解析の要素技術などを組み合わせることによって「統合プラットフォーム」を実現する計画です。
 
 理化学研究所に設けられるAIPセンターに集まる研究者などに対して、科学技術振興機構は「新領域開拓者支援」として、100課題を採択し、研究資金を支援する計画です。日本では、この人工知能(AI)、IOT、サイバーセキリュリティなどの分野での人材育成が急務になっているそうです。

2013年11月26日掲載の「第43回東京モーターショー2013」の話が読まれています

2015年02月28日 | イノベーション
 昨日2015年2月27日に、この弊ブログの閲覧数と訪問者数がいくらか急増しました。その原因を調べてみると、弊ブログに2013年11月26日に掲載した「2013年11月23日から始まった『第43回東京モーターショー2013』の番外編です」がよく読まれていました。

 その理由は、2015年2月27日に発行された日本経済新聞紙の朝刊一面に掲載された「ヤマハ発が四輪車 欧州で生産・販売」という記事の影響でした。

 日本経済新聞紙のWeb版である日本経済新聞 電子版には見だし「ヤマハ発、欧州で四輪事業 19年めど工場」として掲載されています。



 二輪車世界二位のヤマハ発動機は2019年をメドに欧州で四輪車事業を始めると、報じています。数100億円を投じて専用工場を建て、二人乗りの四輪車を製造・販売するそうです。低燃費の小型四輪車は“生活の足”として世界で需要が高まっているからだそうです。ヤマハ発動機は二輪車のノウハウを生かして、欧州市場に参入するそうです。

 2013年11月26日に掲載した「2013年11月23日から始まった『第43回東京モーターショー2013』の番外編です」では、ヤマハ発動機は第43回東京モーターショーで、小型四輪車の試作車「MOTIV(モティフ)」を公開したとお伝えしました。

その第43回東京モーターショーのヤマハ発動機ブースで公開された小型四輪車の試作車「MOTIV」です。



 2019年までに製品化して四輪車事業に参入する方針を表明していました。同社は2人乗りで排気量1000㏄のガソリンエンジン搭載車と電気自動車の開発を進めていると伝えていました。販売する地域は欧州を皮切りに、日本、アジアでの展開も視野に入れていると説明していました。

2014年2月5日に載せたクオンタムバイオシステムの話が読まれています

2015年02月12日 | イノベーション
 ここ数日間にわたって、この弊ブログの閲覧数と訪問者数がいくらか増えています。ふだんと少し違う様子です。その原因を調べてみると、経済産業省系の官製ベンチャチャーキャピタル(VC)の産業革新機構(東京都千代田区)が2015年2月9日に、次世代DNA(デオキシリボ核酸)シーケンサーの開発を進めているクオンタムバイオシステムズ(Quantum BiosSystems Inc.,大阪市)に、33億円を上限とする出資を実施すると発表したことの影響でした。

 弊ブログで2014年2月5日に載せた「ベンチャー企業のクオンタムバイオシステムズの威勢のいいお話を伺いました」がWeb検索などによってヒットし、いくらか読まれたようです。

 産業革新機構は手始めとして、同社に15億円を出資したそうです。産業革新機構は、今回出資した理由を、「クオンタムバイオシステムズが開発している技術が市場拡大すると見込まれ、個別化医療の推進につながると期待したため」であり、政策的な意味を含めて出資を決めたそうです。今回の資金提供に加えて、社外取締役の派遣やパートナーとの提携支援などの経営支援も行うそうです。

 クオンタムバイオシステムは今回、以前からの出資者(既存株主)であるジャフコ(JAFCO)と東京大学エッジキャピタル(UTEC、東京都文京区)、みずほキャピタル、の3者に加えて、新規投資家として三菱UFJキャピタルを含めた4者も、合計9億円の出資を受けました。



 クオンタムバイオシステムズは、大阪大学特任教授の川合知二さんと教授の谷口正輝さんらの研究開発成果をベースに、DNA1分子単位で塩基配列を読み出せる次世代シーケンサーを開発中です。数nmオーダーの空隙を隔てた金属電極の間をDNAが通過する時に、電極間を流れるトンネル電流が塩基ごとに異なるとの現象を利用し、塩基配列を高速・高精度に読み出す「ゲーティングナノポア法」を採用しています。

 ゲーティングナノポア法を半導体チップに実装し、解析装置を使って塩基配列を電気的に直接読み出します。この結果、製品化できれば、従来型DNAシーケンサーに比べて「破壊的価格で遺伝子を解析できる」(同社代表取締役社長の本蔵俊彦さん)と主張します。原理的には「100米ドル以下・数時間での解析が可能」とアピールしています。

 クオンタムバイオシステムズは産業革新機構からの受け取った出資金を、技術開発に加えて、米国拠点の人材強化などを含む研究開発体制の拡充に使うそうです。2016年後半をメドにプロトタイプ機を完成させ、外部ユーザーに使ってもらって評価を受ける計画です。2017年から2018年には、製品販売に加え、研究開発機関や製薬会社からの受託型サービスも念頭に入れた事業化に乗り出す構えです。

 約2年前から、同社の技術を実装した半導体チップの量産を担当する半導体関連企業と連携を進めてきた。今後は同企業からの出資を含めた共同開発を検討していくそうです。

青色LED事業化を進めた豊田合成の事業化経緯の話の続きです

2015年01月06日 | イノベーション
 2014年ノーベル物理学賞を受賞した名古屋大学名誉教授の赤崎勇さんたち3人の受賞式報告会が、2014年12月中旬に東京都内で開催された話の続きです。

 1985年11月に名古屋大学教授だった赤崎さんは、「結晶性に優れた窒化ガリウムができれば、将来は青色LEDやレーザーができるだろう」などという当時の研究成果を、名古屋市の名古屋商工会議所で講演しました。これを聴講した豊田合成は新規事業シーズとして考え、赤崎さんに技術指導をお願いしました。



 この豊田合成の動きと並行して、偶然、当時の文部科学省系の新技術開発事業団(現在は科学技術振興機構=JST)の担当者は、結晶系の優れた研究成果として注目し、赤崎さんに面会をお願いしていました。何回かの面会の際に、赤崎さんの研究成果を特許出願するようにお願いしたそうです。実際には、この研究成果の特許出願にはいくらか時間がかかったようです。当時は青色LEDの研究開発の本命とは考えられていなかったので、問題なく特許出願され、将来の武器になりました。

 当時の新技術開発事業団の“目利き”担当者は、同組織が「委託開発事業」制度を持っており、この制度によって、赤崎さんの研究成果を基に青色LEDを事業化したいと考えました。

 同担当者は赤崎さんに委託開発事業制度の中身を説明する一方、豊田合成にも実用化に向けた研究開発費は、新技術開発事業団が負担する制度になっていると説明したそうです。

 この委託開発事業とは「委託先企業が、もし研究開発に失敗したら、その委託研究開発費は返却しなくてもいい制度である」と説明しました。この話を聞いた豊田合成は研究開発リスクは、同新技術開発事業団という“国側”が引き受けるという趣旨を理解しました。もし、研究開発に成功し、事業化した場合には、その際にかかった研究開発費を返却するという趣旨も理解したそうです。要は、豊田合成は国が研究開発リスクを負担するという同制度の趣旨を理解したそうです。

 1987年から、名古屋大学と豊田合成は、委託研究事業として「窒化がリウム(GaN)青色発光ダイオードの製造技術」を開始します。この研究開発は1990年まで実施されます。委託研究費として、4年間で5億5000万円が支給されます。

 赤崎さんが同委託事業制度によって、豊田合成と共同開発を始めると決断するまでには、約8カ月かかったそうです。「企業への技術指導に時間を取られるのは困る」と赤崎さんが悩んだからです。

 実際に、共同研究が始まってからは、ゴムやプラスチックの成形技術には長けているものの、半導体技術は素人だった豊田合成の研究開発者に「半導体のイロハから教え、その事業化に向けて同社の社員を徹底して鍛えることに時間を割いた」と赤崎さんは振り返ります。

 豊田合成に技術指導する一方、名古屋大学では青色LED実現の基盤技術となる窒化ガリウム系でpn結合という青色LED実用化のブレークスルー基盤技術を1989年にメドをつけます。そして、1995年に豊田合成は青色LEDを製品化します。

 この当時を振り返って、赤崎さんは「当時の半導体事業を推進していた大手電機メーカーは、窒化ガリウムのpn結合ができていない段階では、共同開発に踏み切らなかったのは当然だろう」と解説します。

 半導体の難しさと怖さを知らなかったからこそ、豊田合成はしゃにむに取り組んだようです。画期的なイノベーションは主流からではなく、傍流だからこそ、大胆な発想によって実用化ができるようです。

 この研究成果が発表された当時でも、青色LEDといった青色発光素子の研究開発対象は亜鉛セレン(ZnSe)が主流で、その次に炭化ケイ素(SiC)を利用した研究開発が多かったのです。窒化ガリウムは最も傍流でした。

 実は、カリフォルニア州立大学サンタバーバラ校教授の中村修二さん(当時は日亜化学)が窒化ガリウムを研究対象に選んだ理由は博士号の取得でした。 中村さんは以前の米国留学中に、博士号を持っていなかったことから、研究者として扱われなかった経験から、博士号を取りたいと強く思ったそうです。

 博士号を取るためには独自の視点を持つ論文を書かねばなりません。既に多くの研究者が論文を書いている亜鉛セレンではなく、当時は傍流であまりデータがなった窒化ガリウムを選んだそうです。

 まさに、辺境にあった研究開発テーマから革新的なイノベーションが産まれた実例になっています。そして、非半導体メーカーである豊田合成と日亜化学がその製品化に成功したことになります。想定外の企業が事業化に成功すると、その対応に窮するために、大成功を収めます。