マイコー雑記

行き来するもの書き留め場

昨年話題になった研究「早い時期から突出した才能を示す子=天才児?に大切な8つのこと」は、結局どんな子にとっても大切ですよね

2017年04月10日 | ギフテッド

「ギフテッド」や「敏感な子」について相談をいただくことがあります。

 

これまで書いてきたことは、こちらになります:

ギフテッド:http://kosodatekyua.com/category/giftededucation/

敏感な子:http://blog.goo.ne.jp/managaoka/c/799bdc6ec6ad9c8a15c5841831b99aec 

引き続き、少しずつ書き足していきますね。

 

ひとまずこの記事では、去年発表され話題となった研究結果についてみてみます。

去年9月に科学雑誌『ネイチャー』に、

5000人の主に「早い時期から突出した才能を示した子」を45年間追跡調査した研究結果の解説記事が載せられました。

 

ちなみにここでいう「早い時期から突出した才能」というのは、

13歳前に、SATという大学進学に必要とされる統一テストで、

「エリート大学」入学に必要とされるほどの高いスコアを出したということです。

 

ちなみに1972年の調査の始まりには、「数学テストのみ」が用いられていたようです。

そのため追跡研究の名称も「The Study of Mathematically Precocious Youth (SMPY):数学的に早熟な若者の研究」となっています。 

45年の間に、言語系のテストなども付け加えられていったとのことです。

 

また「主に」としたのは、5000人の内の714人は、

米国のトップ大学大学院で数学とサイエンスを専攻する大学院の1-2年生の追跡調査が含まれるためです。

Study of Mathematically Precocious Youthより)

 

『ネイチャー』の記事では、

こうした早い時期に突出したテストスコアを出した子と

トップ大学大学院生などの学業的な達成によって選ばれた5000人をひっくるめて、

「ギフテッド」や「天才児」や「スーパー賢い子」と言及しています。

 

 

この研究を率いた(正確には途中から引き継いだ)ヴァンダービルト大学のCamilla P. Benbow教授と David Lubinski教授は、

こうした「早い時期から際立った才能を示す子を育てる上で心掛けたいことを8つ」あげています。

 

日本でも様々なウェブで、

「天才児育児とは?」といったタイトルなどで取りあげられてますから、

みなさんも、もう目を通されてるかもしれません。

 

『It Mama』さんでも、心理学博士の山本ユキコさんが、

分かりやすく連載されています:

https://itmama.jp/column/tensaiji/

 

 

ではこの「天才児?を育てるために必要な8っつ」って何なんでしょう?

 

内容をみてみると、これら8つのほとんどは、

どんな子にとっても大切なことなんじゃ、とみなさん思われると思います。

また敏感な子の子育てでも、心掛けたいとされることと随分重なりますよね。

 

ある意味、Benbow氏とLubinski氏は、

「どんな子にも大切なことが、突出した成果を早い時期から出す子にも大切、

ということを改めて分かりやすくまとめてくださった」

という印象です。

 

我が家も13歳前に大学入試テストでそんな飛びぬけたスコアを出した子は誰もいないわけですが、

これまで接してきた「ギフテッド」とされる子や、様々個性的な子を思いつつ、

参考になるなと思うことを書き留めてみますね。

 

 

1.子供に多様な体験をさせる

ギフテッドの子にとっては、絶え間ない「知りたい分かりたい欲求」を満たすことになりますし、

また「感情の強烈さ」を持つ子は、1の物事からも100の刺激を受けますから、その都度「大きな成長の機会(積極的分離)」ともなりえます。

また慣れるのに時間のかかる敏感な子にとっては、

様々な場や物事に慣らすという意味もありますね。その子その子に無理のないペースで、が大切ですよね。

 



2.子供が強い興味や才能を示したとき、それを伸ばすチャンスを与える

その子の性質や環境、また観る側の「ものさし」も関係してきますから、

その子の「興味関心」は分かりやすい場合もあれば、とらえにくい場合もあるでしょう。

いずれにしても、子どもが興味の隆起を見せた場合は、「できる範囲」で対応してやりたいですね。

 

ここに「強い興味関心」とあるのは、好奇心がとにかく旺盛な場合、

あらゆることに興味関心を示し続けますから、

「強い」というフィルターを通して絞り込んでいくことも必要になるためもあるのかもしれませんね。

興味関心がべらぼうにある場合は、なるべく手あたり次第自ら試すことのできる環境を整え、

その中から残ったものに対応していくのがいいんでしょうね。

親子共に、1日24時間、身体は1つですから。

 

 

3.知性だけでなく感情面もサポートする

これも、どんな子でもいえることですよね。心の欲求が満たされないところに、何も積み重ねてはいけません。

ただ、ギフテッドの子の場合、知的欲求が強烈なゆえに、心面へのサポートがおろそかになったり、

知的面ができているからと心面がかえりみられない、ということを気を付けていく必要があるかもしれません。

ギフテッドも敏感な子も、自らの「感情の強烈さ」とうまく付き合っていく術を身に着けるよう助けてやりたいですね。

 

 

4.能力ではなく努力を褒め、「成長型マインドセット」を培う

「成長型マインドセット」を育む働きかけは、こちらにも書きました:

『It Mama』連載:挑戦する子に育てる!知っておくべき3つのこと【21世紀型子育て】 & 他にも知っておきたい5つのこと

「成長型マインドセット」を提唱した心理学者のキャロル・ドウェック氏は、元々すべての生徒を対象にしていますね。

ただ、ギフテッドの子は、周りから「生まれ持った才能がある」とみられることで、

能力は生まれつきで変えるものではないといった「固定的マインドセット」を持ってしまわないよう注意して働きかける必要があると思います。

また敏感な子は、周りが自分をどうとらえているかといった評価にも敏感ですし、

「過程の努力」を励ますことを心掛け、能力は伸ばしていけるというマインドセットを培ってやるのが大切ですね。

 

 


5.子供が知的リスクをおかすことを奨励する。子供が失敗することにオープンに、失敗から学べるよう助ける

これも、どんな子でも大切ですね。失敗を恐れていたら成長はありません。

ギフテッドの子も敏感な子も、完璧主義になりがちとされます。そのため伸び悩んでしまうこともあるもの。

完璧主義への対応:

『オールアバウト』 子供の成長に悪影響!行き過ぎ「完璧主義」への対処法

『ユア子育てスタジオ』:http://kosodatekyua.com/category/perfectionism/

『マイコー雑記』:http://blog.goo.ne.jp/managaoka/c/ea27326c0d2d31aa9944051b9a05720e

 

失敗を防ぐより、失敗から立ち上がるサポートをしてやりたいですね。

 

 

6.レッテル貼りに気をつける。「ギフテッド」というレッテルは子どもにとって感情的負担になり得る

できないなら「ギフテッドのくせに」、できたら「ギフテッドだからあたりまえ」ととらえられることもあるものです。

また「ギフテッド」というレッテルによって、「上位〇パーセント」であらねばと、

失敗する恐れのあることへは踏み出せなくなることもあるといわれます。←「固定型マインドセット」

凸凹がある場合など、「自分は一体できるのかできないのか」と常に揺れているものですから、

負担はより大きくなり得ます。

 

『ネイチャー』の記事の中でも、

ハンター大学のギフテッドの専門家の、

「『ギフテッド』も『ギフテッドでない』という呼び方のどちらも、

子どもの学ぶモーティベーションを損なうことになり得ます」という言葉が紹介されています。

 

レッテルによって自信がついてよりやる気になるならいいですが、

どんなレッテルも、その子の成長の邪魔になるようならば、頓着せず、

自分のペースでこつこつと進むことを励ましてやりたいですね。

 
 
 

7.教師と協力して、子供の欲求を満たせるようにする。

「レベルの高い課題」「特別な学習支援」「自分のペースで学習する自由」を必要とする場合もある。

その子その子に合ったハードルや学習環境を調節できるのがベスト。

でもそれが、今の学校ではなかなか難しい場合があるんですよね。

先生方も、ノルマに沿って大勢を一斉にみなければなりませんし、メールをいただくこともありますが、

組織と個別の親御さんの要求との間で、何とか最善を尽くそうとされている場合も多いのだと思います。

 

フリースクールやオンラインスクールやホームスクールなど、

多様な学習環境がより一般的になるといった今後の教育改革を見守りつつ、

通常の学校で満たされるのが難しいならば、

せめて学校の外に、少しでもニーズが満たされる場を作っていけたらいいですよね。

 

「ロケットプログラム」に選ばれるような際立った子や「頭のいい」とされる子だけでなく、

身近な街角に、子供が自ら探索し学べる場が増えたり、家庭での拡充学習が盛んになり、

家庭どうしが集まって一緒に何かをしてみたりとできたら。

 

 

 

8.子供に知能テストを受けさせる。テストのスコアによって、子供のレベルに合った勉強をさせたいと申し出るときの根拠となる。またテストを受けることで、ディスレクシアやADHD、社会性や心の問題が明らかになることもある

確かに、その子の特性を知る資料になりますね。

IQテストは、パズルや迷路やなぞなぞ的なものもあり、年齢が低くても「試験」とかしこまることなく、ゲーム感覚で楽しめるものだと思います。

また確かにスコアがあると、学校側にニーズを説明するときなど便利ですね。

 

 

多様な特性を持つ子のニーズが満たされる場が増えていきますように。

私自身、できることを少しずつ、していきますね。

みなさん、新しい週、良い日々を! 

 

 

参考資料:

Clynes, T. How to raise a genius: lessons from a 45-years study of super-smart children. Nature, 2016, 537, 152–155


思い整理&子育て風景:夫との同意、この子がビリなわけじゃない、子宮の暗闇

2017年04月10日 | 雑感

春の日差しに、身も心もぽかぽかしながら、毎日走り回ってます。

今週末には春休みも始まります。

思いをポンポンとつづりますね。

 


1.夫との同意

前回の夫についての記事ですが、

重度ディスレクシア&恵まれない環境に育った夫に学ぶ3つのこと、「落ちこぼれ代表」からの挽回

ひとつ付け加えたいのが、彼は厳しい生い立ちですが、基本的に明るい、ということです。

出会った頃も、私自身も色々抱えていたんですが、とにかく周りが「???」となるぐらい2人で笑い転げてばかりでした。

 

結婚生活20年近く、それは色々あって、笑ってなんかいられない時期も「多々」ありました。

それでも年とともに、この底に流れる「楽観性」のようなものを、互いに以前よりはっきりととらえられるようになったと感じています。

それは、「これも、多分、何か善きことのため」といった信念、といえるかもしれません。

 

何かが思うようにいかない、そんなことって我が家もしょっちゅうです。

それでもそうした「問題」にぶつかるたび、何とか改善しようと行動しつつも、

今では夫との繋がりの底のところに、「これも、多分、何か善きことのため…」といった同意があるように感じています。

 

振り返ると、きつくてひーひー言っていた時も、必ず「今の善きこと」に繋がっている、

目を覆いたくなるような過去を持つ夫の信念であり、私自身もそう思います。

 

年をとることの貴さのひとつに、この「流れ」をより実感できることがあるのでしょうね。

 

 

 

 

2.人と向き合う瞬間

最近は、知り合いとの関係がより深くなったり、新しい方に出会うことも増えてきて、

少しずつ、この地に根づきつつあるなと感じています。


人の温もりに触れる喜び。

 

身近に日本人の方は今のところいないのですが、どんなに文化背景が違っても、心と心が通じ合えるのだと、

当たり前のことですが、改めてしみじみと感じる日々です。


他者にいかにマインドフルに向き合うか。

人と接する瞬間瞬間に、成長への機会が溢れています。

 

 

 

 


3.この子がビリなわけじゃない

陸上の練習のたび、次女13歳が「ビリ」になることが続いていました。

何人かの仲良しのお友達は、はるか先へ。本人、練習を重ねるにつれ「ため息」も多くなります。

 

「速く走る方法」など、ネットで眺めたりしつつ、

「周りじゃなくて、昨日の自分と比べるのよ。自分のタイムを縮めることにフォーカスすればいいのよ」と励まし。

 

とはいえ、周りのお友達はどんどん上達し、差も開いていくばかりです。

 

「私なんてサッカーもどうせ芽が出ないだろうし、運動はだめだめなんだ」と「認知のゆがみ」も顔を出し始めます。

フィルタン、パンカー、マグミニ、ジャンパー、ラベラーといったところでしょうか:

「認知のゆがみ」に気づくことが心を軽くする、子供にも分かり易い言葉&図の紹介

(これはこれで、「ほらほら、ユガミン出てきてるよ」と客観化できる機会となり、貴い学びの時ですね。)

 

そこで、陸上クラブに誘ってくれたお友達が一緒という理由で、

本人最初から迷わず「中距離走」を選んでいたのですが、

「短距離走を試してみたら?」と提案してみます。

 

次女はこちらの子に比べると細く(←本人気にしていて体重を増やしたくてしょうがないんですが)、

中距離を全速力で走り続けるには、筋力的にもスタミナ的にも向いてないんじゃないかな、という素人考えです。

 

まあ短距離でも「ビリ」続きで、本人の「やる気」も底をつくようならば、

走りの速さというのは「生まれ持った素質が大きい」というし、

6月までの今シーズンは貫徹して、次シーズンはまた違ったものを選べばいいよね、という気持ちでした。

 

 

この一連のことでしみじみ思ったんですが、何度も何度も他の子より遥か離れて「ビリ」の姿をみていると、

あたかも「その子自身がビリ」のような気持ちになることがあるんですよね。

 

「走る速さ」という単なる「ひとつのものさし」で最下位なのであって、

「ものさし」を変えるなら順位などいくらだって変わると思い出すことの大切さ。

 

「ものさし」が多様であることで、どれほど救われる子がいるか。

 

Tamakiさんのブログ記事にもありましたが、

トラブルからいじめにどうしてなってしまうの?

「偏差値」など「限られたものさし」ではかられてばかりで、挽回できる「多様な選択肢」がなかったら、

そりゃあもう親子で息が詰まりますよ。

 

 

と、練習が始まって約1か月、今日は初めて正式にタイムをはかることになっていたんですが、

「短距離走」を試してみると決めた次女。

 

これでもだめだめだったときは、ああしてこうして励ましてやろうと考えつつ、練習場をのぞくと、

なんと、80m、150m、300m全てで上位3位以内に・・・。

 

誰よりも、本人が一番驚いてました。

 

私も嬉しくなって、「ママ分かってたもんねー」と、

さっきまでどう励ますかで頭がいっぱいだった自分を横に放り投げ、大げさに胸を張って2人でふざけ合い。

 

今日はお友達の何人かがレースにも出ていたんですが、

結果を聞いても、種目によって、驚くほど順位が変わっていました。

 

その子が力を発揮できるものは、本当にそれぞれ違うんですよね。

自ら力を発揮できるものを見出すよう、サポートしてやりたいですね。 


 


 

4.『コスモス』おすすめです!

週末の「サイエンスオリンピアッド」の州大会で、長男のペアが5位に入賞。

1位のみが全米大会へ進むので、ここでおしまいですが、

来年のクラブの3人キャプテンの内の1人にも選ばれたようです。

 

入賞したテストスコアを競った分野は「天文学」だったんですが、

彼が小学生時代からほれ込んだドキュメンタリー『Cosmos: A Spacetime Odyssey(邦訳:コスモス:時空と宇宙』から随分と学んできたようです。

ニール・ドグラース・タイソン氏が司会ですが、その前バージョンのカール・セーガン氏が進行役の『コスモス』も大好きです。

 

娘たちとも観るたびに、「自分の小ささと、宇宙の大きさに、頭が不思議なことになる」と。

もし観ていない方は是非!

 

 

 

 

5.子どもによって「理想の生活」は違う

「サイエンスオリンピアッド」から帰宅し、

数日まともに寝てないので(学校の課題も半端ない上に競技会の準備やら他にもアクティビティー盛りだくさんゆえ)、

そのまま夕方5時から翌朝7時まで眠り、「これまでの人生で最長の睡眠時間だったよ」といいながら、救急隊員訓練へ。

夕方戻ってすぐに、我が家でロボティックスのミーティング。

新たな競技会に提出するロボットの構想案提出が迫っているとやらで、夜9時ころまで5人チームで話し合ってました。

 

長男曰く、こうした次から次へとチャレンジ溢れる毎日こそ「僕の理想的な生活」とのこと。

確かに、これまでの人生で一番生き生きとしているかもしれません。

 

 

 

 

 

6.大学は通過地点のひとつにすぎない

高校卒業間近の生徒たちの進路も続々と決まったようです。

 

アカデミック完璧、各種アカデミック競技会優勝、各種クラブのキャプテン等、

これ以上すごい高校生がどこにいるのというような経歴を持つ生徒も、

アイビーリーグなどのトップ大学はことごとく審査をパスしなかったようです。

 

「あの先輩までだめだったなんて・・・」と驚く長男。

 

「大学は、人種や地理など『全体的な多様性』を考慮するものね。

でももういろんな事例みても確かにいえるのは、審査を通らなかったからといって、

それは単なる大学側の都合であって、その子の能力や頑張りが何ら損なわれるものではないということ。

 

それだけ頑張ってきたことは、これからどんな場へいこうが、必ず生きてくる。

だいたい、質の高い教育を受けられる大学というのは、有名どころ以外にも、たくさんある。

 

とにかく、自らを磨き続けること。これに尽きるよね。

大学は単なる通過地点。」

 

そんな話をしていました。

 

どこの大学へ進もうが、自らの夢に向かって突き進んでほしい、そう願っています。

 

 

 

 

7.子宮の暗闇

さて、話は尽きませんが、最後に、

今日、「ユニタリアン・ユニバーサリズム教会」の牧師さんが引用していて心に刺さった言葉をシェアさせてください。

 

「墓場の暗闇ではない。子宮の暗闇なのだ。」


苦しい渦中にあると、お先真っ暗にも思えるわけですが、

これは、新しく生まれる前の暗闇なのだと思い出してみます。

まぶしい光の中に産み落ちる前の暗闇。

 

呼吸を整え、最後はいきんで。

 

みなさんの新しい週が素晴らしいものでありますように!