マイコー雑記

行き来するもの書き留め場

「創造力」と「批判的思考力」が土台となる「問題解決力」って21世紀になぜ不可欠?どうやって育む?

2017年03月23日 | 21世紀型子育て

国立政策研究所が提案する「21世紀型能力」の中核とされる「思考力」。

その「思考力」のひとつに「問題解決力」があげられています。

 

知識も技術も環境もめまぐるしく変化する21世紀には、

これまで想像したこともないような「問題」も次から次へと起こりうるといわれています。

 

例えば、20年前の親なんて、

子どもがスマートフォンとどう付き合っていくかなんて「問題」、

考える必要もなかったですよね。

まさか、手の平から世界と繋がれるなんて!

 

これから20年後なんてどうなってるんでしょうか。

「子どもがホログラムのお友達としか遊ばない」とか、

「現実とバーチャルの違いがよく分らないみたいです」とか、

そんな悩みも出てくるんでしょうか。

想像は止まりません。

 

こうして「問題」の内容もどんどん変わりますから、

そしてどうやらそのスピードも加速してきているようですから、

ますます、「この問題にはこれ!」、

というような「一つの方式」を暗記して向き合っても太刀打ちできないですよね。

 

そうした「一つのやり方」を記憶して当てはめるんじゃなくて、

多様なやり方を駆使できる「問題解決力」を培ってやりたいです。

 

 

 

では、「問題解決力」ってどうやって育めるんでしょう?


 リサーチしてくる中で分かったのは「以下の2つが必要不可欠ですよ」ということ:

・創造力をつける

・批判的思考力(クリティカルシンキング)をつける

です。

 

これは、確かに、ですよね。

 

「一つのやり方しかないんです」より、

「あれもどうかなこれもどうかな」と創造的にアイデアを出す力

そして、与えられたやり方や情報を鵜呑みにするのでなくて、

「これってどうなんだろう?」「自分の思ってることってどうなんだろう?」

客観的論理的に考えられる力

 

確かに「これらふたつ」があったら、

問題を前に、にっちもさっちもいかなくなりボキっと折れることもないでしょうし、

創造的に生み出したいくつもの解決策を吟味することもできます。

「さあ問題よ、どんとこい」、

ともなれるのかもしれません。

 

 

 

ちなみに、「21世紀型能力」にも、

その土台となる米国発の「21世紀型スキル」にも

この「創造力」「批判的思考力」は要としてあげられています。

 

創造力と批判思考力については、

こちらにも、書いてきてます。

21世紀型能力:http://blog.goo.ne.jp/managaoka/c/7d2921eac03ee163afb3f470a0baa4ce

 

 

 

以下は、2つの研究紹介です。

こんな遊びが「問題解決力」を促進しますよという2つの研究紹介

 

1.多様な用い方のできる玩具が「問題解決力」を促進

プレスクーラーを2つのグループに分けます

・パズルなど「用い方が一つ」のみの玩具を渡す

・積み木など「用い方が多様」な玩具を渡す

しばらく遊んでもらった後、問題解決力をはかったところ、後者の「多様な用い方のできる玩具を渡されたグループ」の方が、より高い問題解決力を発揮したとのこと。

(Pepler DJ and Ross HS. 1981. The effects of play on convergent and divergent problem solving. Child Development 52(4): 1202-1210.)

 

2.ごっこ遊びが「問題解決力」を促進

ごっこ遊びをするようトレーニングを受けた子は「問題解決力」が高くなった、

また、多様な解決法のある問題を解くトレーニングを受けた子は、

よりごっこ遊びをするようになった、とのこと。

(Wyver SR and Spence SH. 1999. Play and divergent problem solving: Evidence supporting a reciprocal relationship. Early Education and Development, 10(4): 419 - 44.)

 

 「遊び」ってホント、

「創造力」も「批判的思考力」も「問題解決力」も培う機会の宝庫ですね。

 

 


お友達間の「問題解決力」をアップするサポート

また上の研究で、「多様な解決法のある問題を解くトレーニング」とありますが、

こちら米国では、子供たちがお友達間の問題を自ら解決できるようなサポートが整っている学校もあります。

 

以前、少しまとめたものです:

カエルの選択

・子供達自身で葛藤解決、「ミディエーター」という係りがあるのっていい


こういうサポートは、

大家族で、兄弟姉妹も多く、コミュニティーも密で、

子どもたちが毎日集団でわいわいと遊びまくっていたのような時代には、

自然に身に着けられ、必要なかったのでしょうね。

 

でも一昔前に比べ、圧倒的に他者と密に触れ合う機会の少ない現代の子には、

こうした「人間関係の問題解決方法」を参考に自ら試す中で、

他者とのコミュニケーションの仕方を体感として身に着けていくことも大切になるのかもしれません。

時代は変化し続けてますから、子供の問題も、問題解決の方法も、変わってきますね。 

 

 

 

「問題解決力」について引き続き、

考え、リサーチし、試みと続けていきますね。

それではみなさん、楽しい週末を!


『It Mama』連載:子どもの創造力を潰す「親のNG行動」5つ&学校教育の「ものさし」では掬われない子たち

2017年03月13日 | 21世紀型子育て

米国を中心とする研究者、教育者、ビジネス業界、政治家が

「これからの世界を生きるために必須!」と提案し、

世界中にその重要性が認められていった「21世紀型スキル」

そのナンバーワンに位置づけられるのが「創造力と革新力」です

 

日本でも、文部科学省が提案する「21世紀型能力」の中核となる「思考力」の中に、

「創造力」と記されています。「創造的に考える力」ということですね。

 

こちらにも、今後もどれほど社会で「創造力」が求められているかを、

まとめてあります

「創造性」がこれからの世界でいかに重視されるかを示す13の調査研究紹介

 

 

やはり今後、模倣や消費だけでない、

ユニークなアイデアを用い新しく生み出すことのできる創造的な力が、

とても重要になってくるのでしょうね。。

 

日本でも10~20年後には、日本の労働人口の約49%が就いている職業が、

人工知能に取って代わられることが可能といった予測があります。

当たり前のことを当たり前のようにいじるだけなら、

ますますロボットで十分になっていきますよね。

 

 

 

とはいえ、教育現場や子どもを取り巻く状況とは、

まさしく、「時代のニーズに逆走している」とはいえないでしょうか。

 

こちらにも、創造的な子ほど先生が「やっかいもの」に感じるという調査や、

創造的な子は先生にとって重荷?既存のシステムでの「成功」と「創造性」を育むこととのバランス

「創造的な子」の学校のドロップアウト率が高いという報告が載せてあります。

世界のニーズに逆行する「子供の創造性は低下の一途」現象をどうにかしたいですよね

 

「創造性」とは、IQスコアや学校の成績や統一テストの結果とは、

関連がないとされています。

つまり、

学校など今の教育が用いる「ものさし」では、

もれ落ち、掬い取られることのない能力です。

 

それなのに、これからの世界が求める「ナンバーワンの資質」という、この矛盾。

 

周りも自らもダメダメだと思ってしまう子が、

1人でもその創造力を認められ、

発揮できるようになることを願っています。

 

しかし本当に、

創造力がこれほど大事と、世界中が納得しているわけですから、

「教育改革」、着実にすすめられていって欲しいです。

 

 

 

ひとまず子どもに関わる大人に何ができるかを、

簡単にまとめました。

私自身、思い出していきたいです!

【21世紀型子育て#3】子どもの創造力を潰す「親のNG行動」5つ

 

ここに親のNG行動(6)として、

「結果ばかり求める」を付け加えておきますね。

成績やテストスコアや目先の「できる」といった「結果」を求めてばかりでは、

試行錯誤してリスクを犯し失敗を繰り返すことで培われる「創造性」は育ちません。

 

 

 

最後に、『虹色教室』の奈緒美さんの著書

『子どもの考える力をぐっと引き出すお母さんの話し方』PHP出版より

“子どもの興味に大人が敏感に反応していると、子どもはいっそう観察力を働かせて、より正確に思い出そうとします。そして、「こういうふうに作って!」と大人にお願いする段階を経て、自分で創造的に作ってみようとする態度につながっていきます。

もし工作やブロック製作がめんどうなら、家にあるもので見立てて五分ほど遊ぶ程度でもOKです。そうして記憶を振り返って、今日の新しい体験を親子で一緒に味わうようにすると、同じひとつのものを見るだけでも、よりていねいに観察し、よりたくさん考え、より想像力をふくらませて、創造的に関わるようになっていきます。”

 

大人が、子ども自身の興味関心や好奇心の動きを観て反応する大切さ。

記憶をたどったり、ていねいに観察し、考え、想像力をふくらませ、

子ども自身が「自分もこういうものを創ってみたいなあ」という気持ちを育んでいくこと。

「物事に創造的に関わる姿勢」を、培っていきたいですね。

 

 

さて、今週も少しずつ動いていきます!

最近日中摂氏25度近くまで上がる日もあったのですが、なんと明日は大雪という予報。

「寒温の差」が激しすぎる三寒四温なこちらの春です。

みなさん、今日もよい日をお送りください!


It Mamaへの連載:21世紀には「批判的思考力」を持った人材が求められる?!&似た人々と「外」の人々と

2017年03月12日 | 21世紀型子育て

国立政策研究所が2013年に提案した「21世紀型能力」の中核となるのが「思考力」。

その「思考力」の中に、「批判的思考力」が明記されています。

 

誰もが世界に向けて気軽に発信することのできる現代。

ネットを繋げば、世界中の清濁正誤様々な情報がなだれこんできます。

 

一昔前とは「桁違いの情報量」と隣りあわせで暮らすことになる子ども達にとって、

この「批判的思考力(クリティカルシンキング)」は、

今後ますます必要不可欠な力となるでしょう。

 

なだれ込む情報を鵜呑みにするのではなく、

「これってどうなんだろう?」「こう思う自分ってどうなんだろう?」と、

立ち止まって客観的に思考できる力を、

子ども達にも、そして大人としても培っていきたいですね。

 

 

以前、こちらにまとめてきたことを、さらりとまとめてあります。

日本政府も提案する「批判的思考(クリティカルシンキング)を育む」のってなぜ大切?育むヒント

興味ある方、是非どうぞ!

21世紀は「批判的思考力」がある人材が求められる!? #2 

 

 

 

ちなみに、

「誰もが世界へ向けて気軽に発することのできる時代」というのは、

確かに情報の質をより分ける必要もあるわけですが、

そのおかげで、

そうでなければ会うことのなかった人々にも出会えますね。

 

身近な周りでは、あまり会うことがないような

同じような考え方や感じ方をする人であっても、

世界中と繋がるなら、何倍もの人数になります。

 

ああ、1人じゃないんだなと、

どれほど心強く感じることか。

 

「似た人々」と、励ましあい、持てるものをより深めていくことで、

また「外」へ向けて、発信していく力も蓄えられます。

 

「異なる多様な者同士が共生する」とは、

似た人々同士の深め合いがあるからこそ可能なのだと、

私自身は思っています。

 

似た人々と手を取り合うからこそ、

自らのコンフォートゾーンから踏み出し、

異なる者と交わり理解し合おうという力も蓄えられるのだと。

 

 

世界中に多様な「部族」が存在するようなイメージ。

私が「似た人々」と感じる部族というのは、

「敏感系部族?」「子どもの視点を大切にする部族?」「親子で創造性を発揮できる場を創りたい部族?」 

 

ネットでの出会いに感謝を込めて。

みなさん、新しい週、よい日々を!


『It Mama』さんへの新連載 :【21世紀型子育て#1】将来勝ち抜く「5割の人材」必須スキル3つ&「変わらない子育ての知恵」と「変わる必要のある方法」

2017年02月28日 | 21世紀型子育て

『It Mama』さんでの新連載が始まりました!

「21世紀型子育て」についてです。


 

今も昔もこれからも大切な「子育ての知恵」というのはあると思います。

例えば、子どもを温もりで包むこと。

無条件の愛情で利き手にしっかりと抱きつつも、

もう片方の手では押しやり旅をさせるといったダイナミックな「加減」

 

そうした「子育ての知恵」を土台にしつつも、

その上に築く「知性や技術を育む方法」というのは、

これまで主流だったやり方、

知識の詰め込み重視型や、言われたことのみへの追従型では、

とても太刀打ちできない時代に、今後ますますなっていくのではないでしょうか。

 

 

 

記事のタイトル「将来勝ち抜く5割の人材」の基になっているのは

『野村総合研究所』が英国オックスフォード大学准教授等と行った共同研究結果です。

(ちなみに、毎回の記事タイトルは市場のエキスパートの編集者さんが力をふるってくださいます)


2012年に発表された研究結果についてのこちらの記事”日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に”によると、

 

日本国内の601種類の職業を調査したところ、

”日本の労働人口の約49%が、技術的には人工知能やロボット等により代替できるようになる可能性が高いと推計”

されたとのこと。


それでも、”創造性、協調性が必要な業務や、非定型な業務は、将来においても人が担う”としています。

 

記事の最後には、人工知能やロボット等による代替可能性が高い&低い100種の具体的職業が載っています。)

 


 

 

 

こちらの記事でも紹介しましたが、

世界中で提案される「21世紀型能力」とは? 次世代に求められる資質や能力って具体的に何なんでしょう?

世界中で、自ら考え、判断し、行動できる、

そして他者とのコラボレーションを通して共に創り出していける人材育成の必要性が叫ばれています。

 

 

 

これからを生きる子供たちに関わる大人として何ができるでしょうか?

 

この新連載では、家庭でできる取り組みのヒントを、

ざっと紹介していきます。

 

 

すっきりと簡潔に読み易くまとめてあります。

是非どうぞ!

【21世紀型子育て#1】将来勝ち抜く「5割の人材」必須スキル3つ


 

Think big act small(大きく考え、それを実現するために小さな一歩を踏み出し続ける).

Think globally act locally(世界規模で考え、足元から行動を起こす). 

今できることを、できる範囲で、していきたいですね!

それではみなさん、今日も良い日を!


世界中で提案される「21世紀型能力」とは? 次世代に求められる資質や能力って具体的に何なんでしょう?

2017年02月08日 | 21世紀型子育て

1980年代の終わり頃から、米国政府機関、アカデミック界、NPO団体、企業団体などにより、

「現代、そして次世代に必要とされる資質・アカデミックスキル・能力とは何か?」

をテーマに、膨大なリサーチが始められたといいます。

 

こうした米国の動きは、カナダ、英国、

そしてAPECやOECDなどの国際団体など、

世界中に広まっていきます。

 

そうして2002年、ビジネス界、教育界、政治家などにより

(アップル、シスコシステム、デル、マイクロソフト、米国教育協会、MIT、米国教育省など)、

NPO団体『the Partnership for 21st Century Skills (現the Partnership for 21st Century Learning、もしくは  P21)』

が創設されました。

 

この記事ではこの『P21』が掲げる「21世紀型スキル」と、

日本政府の提案する「21世紀型能力」をざざーっと紹介します!

 

こうした時代の流れを知っておくのも、

「では今目の前の子どもにどう向き合っていくのか?」の指針になりますよね。

 

 

P21』が掲げる「21世紀型スキル」

(詳しくはこちら

こんな図で表されています:

 

 

(by Charles Fadel'FRAMEWORK FOR 21ST CENTURY LEARNING' より)


上のカラフルな部分が「21世紀型スキルの内容」

下の部分が「サポートシステム」です。


 「21世紀型スキルの内容」以下の4つからなっています。

1. 鍵となる教科と21世紀のテーマ

2. 学習と革新スキル

3. 情報、メディア、テクノロジースキル 

4. ライフとキャリアスキル


1. 鍵となる教科と21世紀のテーマ

国語

世界の言語

アート

数学

経済学

サイエンス

地理

歴史

公民

 

これらの教科に加え、以下のような「21世紀のテーマ」についてカリキュラムに取り入れ、基礎的な能力にフォーカスするだけでなく、より高度はレベルで理解しよう、とのこと。

・グローバルな視野(Global awareness

・ファイナンシャル、経済的、ビジネス、企業的リテラシー

・公民リテラシー

・ヘルスリテラシー

・地球環境リテラシー

 


2. 学習と革新スキル

・創造と革新:創造的に考え、他者と創造的にワークする。革新を実行する。

・クリティカルシンキング(批判的思考)と問題解決:効率的に論理付けシステマティックに考える。判断し決定する。問題を解決する。

・コミュニケーションとコラボレーション:明確にコミュニケートし他者とコラボレートする。

 



3. 情報、メディア、テクノロジースキル

・情報リテラシー:情報にアクセスし評価する。情報を用いマネージする。

・メディアリテラシー:メディアを分析し作る

・ICTI(Information, Communications and Technology) リテラシー:テクノロジーの効率的な用いる

 


4. 人生とキャリアスキル

・柔軟さと順応性

・率先力と自主性

・社会的、異文化間スキル

・生産性と責務(accountability

・リーダーシップと責任感(responsibility)

 

 

図の下部の「サポートシステム」は、

基準とアセスメント、

カリキュラムと指導、

専門的な開発

学習環境

を合わせ、生徒が「21世紀型スキル」をマスターできるようサポートするシステムとのこと。

 

では、日本はどうでしょう?

 

 

 

文部科学省国立政策研究所が提案する「21世紀型能力」

 世界中の流れを受け、日本では、2013年に、文部科学省国立政策研究所が「21世紀型能力」を提案しています。

2020年にセンター入試が廃止されるのも、こうした「教育改革」の一環ですね。

 

では、日本が提案する「21世紀型能力」とは?

 

こんな図で表されてます:

 

育成すべき資質・能力を踏まえた教育目標・内容と評価の在り方に関する検討会(第6回)平成25年6月27日配付資料より

 

 

 

基礎力と、思考力と、実践力の三層構造、なんですね。

 

1. 基礎力

「読み書き」「算数・数学」プラス、情報リテラシーやICTスキル。

 


2. 思考力

三重構造の中核とされ、問題解決・発見力・創造力 ・論理的・批判的思考力 ・メタ認知・適応的学習力があげられています。

「一人一人が自ら学び判断し自分の考えを持って,他者と話し 合い,考えを比較吟味して統合し,よりよい解や新しい知識を創り出し,さらに次の問いを見 つける力」とのこと。

 

 

3. 実践力

自律的活動力 ・人間関係形成力 ・社会参画力・持続可能な未来への責任があげられ、

「日常生活や社会,環境の中に問題を見つけ出し,自分の知識を総動員 して,自分やコミュニティ,社会にとって価値のある解を導くことができる力,さらに解を社 会に発信し協調的に吟味することを通して他者や社会の重要性を感得できる力」とのことです。

(国立教育政策研究所『教育課程の編成に関する基礎的研究 報告書7「資質や能力の包括的育成に向けた教育課程の基準の原理」』(2014年)https://www.nier.go.jp/05_kenkyu_seika/pdf_seika/h25/2_1_allb.pdfより)

 

 

 

これら3つの力を、別々ではなく、関連させながら育んでいくとのこと。

そしてこの三層構造が「生きる力」にも繋がるというわけですね。

 

 

 

ざっとみてきましたが、

21世紀に求められる資質や能力に基づく教育改革、

世界中で少しずつ進んでいるのではないでしょうか。

 

我が家の暮すここ米国東海岸の地域でも、

ここ数年で学校のカリキュラムががらりとかわり、

授業内でも「暗記」や「繰り返し」より、

「なぜそうなるのか?」といった説明がより取り入れられるようになっています。

また高校でも「コンピューターサイエンス」や「テクノロジー」、

中学でも「発明と革新」といった授業が必須になってます。

小学校でも「プログラミング」や「エンジニアクラス」が放課後希望者対象に催されてもいます。

 

 「思考力」や「実践力」を育むためにも、

中高生にもなったら、もっと学校の外でのボランティアやインターンなどの機会が

カリキュラムに組み込まれていくのもいいですよね。

授業は単位制にして、オンラインでもとれるようフレキシブルにするなどして。

(この学区でも来年から、通常の高校の授業枠にオンラインコースが取り入れられ、

その枠はオンラインの進み具合など自分で調整しつつ、

ボランティアやチューターなど他のことをしてもいいことになるようです)

 

 

従来の知識を暗記して蓄えることがメインの「知識重視型」の学習から、

こうした「21世紀型スキル」促進など、

自ら考え、判断し、行動できる人材を育てようという試みが進むにつれ、

今の学校で窒息しそうになっている子たちが、

より生気を取り戻すということもあるかもしれませんね。

 

とはいえ、制度的な変化というのは、

今この瞬間にも待ったなしで成長し続ける子どもにとっては「カタツムリの歩み」のようなもの。

普段子どもに関わる大人が、

時にこうした「21世紀に求められる資質や能力」というの思い出しながら、

子ども達に向き合っていくのも大切だなあと思います。

 

今、目の前の子どもに何ができるかを見つめつつ、

変化の波をみまもっていきたいですね!

 

それではみなさん、今日もよい日を!


『オールアバウト』に「生活の中で子どもの『考える力』がみるみる伸びる工夫」をまとめました

2017年01月20日 | 21世紀型子育て

従来の「知識重視型」の教育から、

自主的に考え、判断し、行動できる人材を育むことを目指すとし、

2012年に文部科学省が提案した「教育改革」

 

その中で、「考える力(クリティカルシンキング)」の大切さがあげられています。

 

クリティカルシンキングとは、記事でも説明したように、

「論理的に物事をとらえ、自らの考えを省み、的確な判断を下す力」を指しています。

周りの情報だけでなく、自らの考えについても、

「自分の考えていることってどうなんだろう?」(メタ認知)と、

多角的に見つめ直すことのできる力です。


ネットを繋げば世界中から雑多な情報溢れる今日、

そして技術が進むにつれますますそうなるであろうこれからを生きる子どもにとって、

情報を暗記して知識を増やすことよりも、

情報を論理的にとらえ、自らの考えを多角的に省み、判断し行動する力というのは、

必須になってきますよね。

 

記事の中では、

以前こちらの記事にあげた研究に基づき、

生活の中でできる具体的な言葉かけや働きかけなどがまとめてあります。

 

生活の中で、というより、生活の中でこそ、「考える力」鍛えていきたいですね。

 

興味ある方是非どうぞ!

生活の中で子どもの「考える力」がみるみる伸びる工夫

 

 

 

 

 

 

 

連日、我が家では、

ロボティックスチームのメンバーの誰かがロボットに取り組んでいます。

昨日は長男、夜は救急隊員訓練でいなかったんですが1人、

今日も長男はレスリングの試合でいないんですが2人のティーンが1階で作業。

せっせと食料を運ぶ日々です(すっかり給食のおばちゃん)。

一昨日は、迎えにきたママさんと一旦玄関を後にした子がすごい勢いで駆け込んできてそのまま階下へ直行。

後ろについてきたママさんに「忘れ物?」と聞くと、

「アイデアが湧いたらしいのよね・・・」と。

2人でふき出しました。

夢中になるティーンの姿って最高ですね。

 

みなさん、週末お楽しみください!

 

 

 




 

 

 


日本政府も提案する「批判的思考(クリティカルシンキング)を育む」のってなぜ大切?育むヒント

2017年01月04日 | 21世紀型子育て

「批判的思考(クリティカルシンキング)」についてまとめ中です。


「批判的思考(クリティカルシンキング)」を育むことの大切さ

欧米社会では、小学校時代から聞かれる言葉です。

 

日本でも、

2012年に文部科学省が提案した「教育改革」にて、

その重要性があげられています。

 

この「批判的思考」、字面どおりにみると、

まるで「常に周りのあら捜しをして非難できる箇所を見出そうとする」かのようですよね。

私も初めてこの言葉を聞いた当時は、そんなイメージをもっていました。

 

でも「批判的思考(クリティカルシンキング)」とは、そうではなくて、

「論理的に考え、そうした自らの考えを多角的に省察し(メタ認知)、的確な判断を下す」

ことを言うんですね。

 

 

以下、生物人類学者グエン・デワー氏のこちらの記事(Teaching critical thinking: An evidence-based guideを参考に、

「批判的思考」について、ざっとまとめます。(それぞれの研究の詳細は記事原文を参照ください)

 


「批判的思考」を身につけることはなぜ大切?

スクリーンをのぞけば瞬時に世界中の情報が手に入るネット時代、

正誤清濁入り乱れた情報が溢れる中、情報を鵜呑みにするのでなく、

より的確に「選択する」ためにも、「批判的思考」は重要になってきます。

 

また「批判的思考(クリティカルシンキング)」とは、

「好奇心と柔軟性とオープンマインドから成り、

創造的な問題解決にも欠かせない」とのこと。

(Quitadamo et al 2008) (DeHaan 2009)

 

 好奇心、柔軟性、オープンマインド、創造性といえば、

何が起こるか予想しにくいこれからの「不透明な時代」に、

ますます必要とされる資質。

「批判的思考」とは、これらの資質をひっくるめた思考法なんですね。 

 

 

文部科学省は「教育改革」として、

従来の知識重視型の教育ではなく、

自ら考え、判断し、行動する生徒、

つまり、これからの世界で活躍できる人材を育てることを目指しているわけですが、

確かにそのためには、「批判的思考」が重要になってきますね。

 

 


「批判的思考(クリティカルシンキング)」を身につけることでIQなどもアップ?

「批判的思考(クリティカルシンキング)」を磨くことで、様々な能力がアップすることも分っています。

 

・言語理解力、発明思考、IQが著しく上昇

400人以上の7年生に、45分間60回の「批判的思考」レッスンを与えたところ、レッスンを受けなかったグループよりも、著しく、言語理解力、発明思考、IQが上昇。(Herrnstein et al 1986).

 

・問題解決力の向上

678人の7年生を対象に、生物学のカリキュラムに「批判的思考」のレッスンを加えた場合と、そうでない場合を比較したところ、レッスンが加えられた生徒の方が、分析能力が改善され、日常の問題解決能力も向上したとのこと。つまり、日常生活にもより応用できる科学的な力が培われたということですね。(Zohar et al 1994)

 

 


では、「批判的思考(クリティカルシンキング)」をどう鍛えるのか?

 

 いくつかの研究によると、以下を教えるのが有効とのこと(Abrami et al 2008):

 

• アナロジーの分析(analyze analogies)

• 分類を創り、モノを適切に分類する(create categories and classify items appropriately)

• 妥当な情報の識別(identify relevant information)

• 適切な演繹的議論の構築と認識(construct and recognize valid deductive arguments)

•仮説を試す( test hypotheses)

• よくある推論の誤謬の認識(recognize common reasoning fallacies)

• 根拠と根拠の解釈の区別(distinguish between evidence and interpretations of evidence)

 

なんだかこう並べると、難しそうですが、

実生活の中で、これらに意識が向くようにもできますよね。

 

鳥とトンボの類似点はなんだ?海と空の類似点はなんだ?と考えてみたり、

色や形や用途別など玩具を様々なやり方で分類してみるとか、

「こうかな?と思ったこと(仮説)」を試してみるとか、

それは事実?それとも思ったこと?と考えてみる、などなど。

 

小さな子ほど、自らの頭と身体を使って体験できるような環境を整えられるといいですね。

(幼児期のアカデミックってどう思う?という質問、『遊び=動き』のあふれた自主的な体験の大切さ)

 

 

・ディベート

「ディベート」をクラスに取り入れるのが有効と示す研究もいくつかあるようです。

確かに、異なる主張を前に、自らの主張を納得してもらおうとするなら、「批判思考」もフル回転しますよね。

二手に分かれて「ディベートゲーム」してみるのもいいですね。兄弟姉妹間の意見が分かれた場合など最高。じゃあ、「フローズンストア」と「アイスクリームストア」のどちらがいいか、周りを納得させてみよう、などなど。

 

 

以下は、米国哲学協会(American Philosophical Association)によるヒントです:

・早くに始める

日常生活のなかで機会を作っていくことができますね。


・ドグマを押し付けるのを避ける

これはこうと突きつけるよりも、理由を教えていく。


・質問することを励ます

考えやアイデアを聞いてやる。


・他の説明のしかたや解決法を考えさせてみる

「他にどんなやりかたできるかな?」「これこうしたらどうなるんだろう?」などなど。

ひとつのみの答えだけでなく、いくつかの解決方を考えることで柔軟な考え方ができるようになる。

 

・自分の言葉で説明する練習をする

言われたままより自分の言葉に直すことでより身につきますね。


・偏見について話す

小学生ぐらいなら偏った味方についての説明も理解できるとのこと。

 

・事実やアカデミックについてだけでなく、モラルや倫理や公的なポリシーなどについても考えてみる

日常のあらゆることが「考えるトピック」になります得ますね。


・書くことを励ます

自らの説明を明確にし、議論を研ぎ澄ませるために。

 

 

年齢によって、できることをできる範囲で。

 

子どもの「考える力」を養うヒント、

周りの大人が好奇心をもって、柔軟に、オープンマインドで創造的に、考えていきたいですね。

 

それではみなさん、今日もよい日を!